☆ 星くずの”たわごと” 06 ☆   更新日: 2017年12月25日

** 人間の体を作っている原子はずっと昔に爆発した古い星の内奥部で作られた。その意味で人間は星くずからできているといえる。 **
** 人間の体を作っている原子は原子核とその周りをまわる電子からできているが、その間はとても広く、何もない真空といえる。 ****

                                                  
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☆ 2017年12月25日 : 初冬の中国地方西部の旅

 年も押し迫っていましたが、生きている時間が少なくなっているので、旅行の空白県である中国地方西部(学生時代に山口県は下関、広島県は広島を訪れたことがありますが、島根県は皆無のはずです)の旅行に行ってきました。団体ツアーなので、バスに乗って我慢してさえいればいろんな珍しい観光地へ連れて行ってくれるので、ご気楽な旅でした(あまり面白いといった旅ではありませんが)。訪れたところだけ紹介します。

12月18日: 萩・石見空港=>津和野旧市街=>萩・松下村塾&松陰神社=>萩旧市街=>萩泊
12月19日: 秋吉台&秋芳洞=>青海島遊覧(ボート)=>元乃隅稲成神社=>角島
         =>門司レトロ街=>八幡泊
12月20日: 岩国・錦帯橋=>安芸宮島・厳島神社=>広島空港

 老齢の今でも、日本の素晴らしい地方を観ることができたので、幸せだと思いました。
津和野の旧市街
萩・松下村塾 萩の旧市街 秋芳洞入り口 日本海・青海島遊覧
元乃隅稲成神社と日本海 角島大橋(左:響灘、右:日本海) 岩国・錦帯橋 安芸宮島の厳島神社


☆ 2017年12月11日 : いつまで続くか?大掃除をやっています(2)

 今週末は、東京の家の大掃除(1、2回目)をやりました。朝は晴れ渡って大掃除日和?に思えるのですが、外気温は低く、室内から始めました。陽が上がるにつれて気温が緩んできたので、網戸や窓の外側の掃除をすることができました。東京でも大掃除は毎年やっているのですが、いつまで続けることができるかわかりません。

 東村山市にあるハンセン氏病療養施設全生園の敷地内で、毎週木曜日の朝、花屋さんがやってきて花の販売をしています。墓参に行くときは、いつもここの花屋さんで花を買うことにしています。施設の入所者や近隣の住民で、結構にぎわっています。でも、今でも近隣の住民でハンセン氏病に対する偏見をもっている(あるいは知識がない)人がいるようです。と言う私も知識は持っていませんが、偏見はないつもりです?



花屋さん(ハンセン氏病療養施設全生園)

  第9章:DNAからタンパク質、遺伝子型から表現型まで(続き)

 まず、遺伝子は”DNAの配列”であり、体の特徴すなわち”表現型”を決定しますが、このことは子嚢(しのう)菌である”アカパンカビ”を用いた研究で証拠づけられたのだそうです。多くのタンパク質は、1本または複数本のポリペプヒド鎖(アミノ酸の鎖)から構成されていますが、一つの遺伝子からは一つの特有なポリペプチド鎖が作られるということです。したがって、遺伝子の機能は、ある特定のポリペプチド鎖(タンパク質の構成分子)を産生すると言ってもよいとのことです。

 遺伝子からポリペプチド鎖を形作る手順は、”転写”と”翻訳”の2ステップからなります。@転写はDNAの塩基配列情報をRNAの塩基配列情報(DNAの塩基配列に相補的な配列)へとコピーします。A”翻訳”はRNAの塩基配列情報をもとにアミノ酸配列から成るポリペプチド鎖へ変換します。ここで、DNA(デオキシリボ核酸)と似た名前の”RNA”が出てきました。このRNA(リボ核酸)は、DNAとポリペプチド鎖をつなぐ重要な分子です。DNAは”ポリヌクレオチド鎖”2本からなる二重らせん構造をした高分子ですが、RNAは1本のポリヌクレオチド鎖からなります。また、DNAは4つの塩基(アデニン、グアニン、シトシン、チミン)を使いますが、RNAはチミンの代わりにウラルシという塩基を使うところが違っています。

 この遺伝子(DNA塩基配列)からRNAの手助けを借りてポリペプチド鎖が産生される仕組みは、これまた巧妙、精細で、知ればどうしてこんな仕組みが作られたのかと驚いてしまいます。図でもなかなか説明できませんし、ましてや文章ではなおさらです。したがって、ここではこの仕組みに絡んで重要な要素を列挙するに留めます。
a.RNAポリメラーゼ: DNAからmRNA(メッセンジャーRNA)を転写する巨大な複合タンパク質
b.mRNA(メッセンジャーRNA): DNAから転写によって産生されるRNA、 
c.リボソーム: mRNAの塩基配列を読んで、対応するアミノ酸が付いているtRNA(トランスファーRNA)を呼び寄せ、そのアミノ酸をポリペプチド鎖の後尾に付ける(翻訳する)細胞小器官、 
d.tRNA(トランスファーRNAまたは運搬RNA): 3桁の暗号(3つの塩基配列)に対応したアミノ酸を持って、リボソームにアミノ酸を提供するRNA

以上ですが、これでは何のことかわかりませんね。詳しく知りたい人は本を読むしかありません。

 ところで、”翻訳”とは何でしょう。これがまたまた驚愕的な仕組みなのです。すなわち、生物は3個の塩基配列(”コドン”という)の配列順とアミノ酸が対応した”翻訳表”をもっており、これに従って翻訳を行っているのです。生物学者は、この翻訳表の存在を推測し、翻訳表の”解読”に成功したのです。エジプト文明のロゼッタ石碑の解読のようなものですよ。こんなものを生物が持ち合わせているなんて信じられますか?しかもヒトの翻訳表は、哺乳類はもちろん、動物、植物、細菌も基本的に同じものであるのだそうです。このため、細菌の遺伝子やDNA、RNA等などを使って、ヒトに関する遺伝子研究をすることができ、これが遺伝子工学へとつながっていったということです。恐るべき研究成果ですね。

 翻訳の仕組みを詳細に説明できませんが、翻訳表の一部を掲載してみます。

U(ウラシル) C(シトシン) A(アデニン) G(グアニン)
UUU: フェニルアラニン
UUC; 同上
UCU: セリン
UCC: 同上
UCA: 同上
UCG: 同上
UAU: チロシン
UAC: 同上
UGU: システイン
UGC: 同上
UUA: ロイシン
UUG: 同上」
UAA: 終止コドン*
UAG: 同上
UGA: 終止コドン*
UGG: トリプトファン
C CUU: ロイシン
CUC:: 同上
CUA: 同上
CUG: 同上
CCU: プロリン
CCC: 同上
CCA: 同上
CCG: 同上
CAU: ヒスチジン
CAC: 同上
CGU: アルギニン
CGC: 同上
CGA* 同上
CGG: 同上
CAA: グルタミン
CAG: 同上
以下省略 以下省略 以下省略 以下省略
 A:アデニン、 G:グアニン、 C:シトシン、 U:ウラルシ この3つの塩基配列をコドンと呼ぶ
 コドンの後に続くカタカナ名はアミノ酸の名前である

 いかがですか。これが生物の遺伝暗号なのだそうです。シンプルで美しいではありませんか。本当に誰が考えたのでしょうか、不思議ですね!!

 それでは、翻訳されて産生されたポリペプチド鎖の行方はどうなるのかが問題です。もちろん、ここでも巧妙な仕組みがあります。一般的には、ポリペプチドが産生されると、3次元立体構造をとるようになるとのことです(タンパク質は巧妙な3次元立体構造を作ります)。更に、アミノ酸配列には、行先タグとも言うべき”シグナル配列”が含まれており、それに従って細胞核やミトコンドリア、葉緑体、あるいは細胞小器官である小胞体へと移動します。小胞体にたどり着いたペプチド鎖は、さらにゴルジ装置を通って、細胞膜やリソソーム(その後細胞外へ出る)、液胞(植物の場合)などに移動するとのことです。すごい搬送の仕組みですね。我々の体の中ではすごい仕組みが働いているのですね。ヤマトや佐川の運送システムなど比べ物になりません。

 長くなりましたが、最後に突然変異の話です。突然変異とは、DNA塩基配列の変化の事です。突然変異には、体細胞突然変異と生殖細胞突然変異があります。体細胞突然変異では、有糸分裂で娘細胞に伝わりますが、生殖細胞に伝わることはありません。ところが、生殖細胞の突然変異をもつ配偶子(精子、卵子)は受精により後世に伝わっていくことになります。また、染色体レベルで、染色体のある部分が欠落していたり、重複していたりすると、大規模な遺伝子変異となり遺伝物質に多大な影響を与えることになります。突然変異は生命体を傷つけ、病気の原因となりえますが、他方、ランダムな突然変異が蓄積し有用なタンパク質が合成されるようになれば、自然選択された新しい遺伝子は永続するようになり、進化の礎になることもあると言えるのだそうです。ヒト(ホモサピエンス)の誕生は、突然変異による”進化”の成果?ということですね。


☆ 2017年12月04日 : いつまで続くか?大掃除をやっています

 今週末は、晴れ間があったので大掃除をやりました。先週は南側の大きなガラス戸を掃除しただけだったので、今週はそれ以外のガラス窓掃除と、2階の部屋掃除を行いました。まだ1階の部屋が残っています。大掃除は毎年やっているのですが、いつまで続けることができるかわかりません。

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  第9章:DNAからタンパク質、遺伝子型から表現型まで

 前章から分子生物学の核心であるDNA(デオキシリボ核酸)の話に入りました。本章では、DNA(遺伝子)からRNAへの転移とRNAからペプチド鎖(タンパク質)への翻訳という遺伝の仕組みの核心に入り込むことになります。例によって、今回は序章で述べられている猛毒”リシン”(リボソームを阻害する暗殺毒)の話を紹介します。
家の庭から見た富士山

 1978年、ロンドンに亡命していたブルガリア人ジャーナリスト、ゲオルギー・マルコフは、当時共産主義国であったブルガリアに対し批判的な記事を書いていた。ある日の夕方、ウォータールー駅近くのバス停に立っているとき、1日との男(おそらくブルガリア当局の人間)が、通りすがりにマルコフを傘で突いた。あたかもよくある偶然の出来事のようであった。しかし、マルコフは鋭い痛みを感じ、数時間のうちに衰弱し始める。まもなく、高熱、嘔吐、さらに深刻な症状を呈し、2日後に死亡した。
熱帯原産のヒマの種子からとれるヒマシ油は、昔使われた即効性の下剤であっり、現在はプラスチック産業でも使用されている。リシン毒はヒマシ油に含まれていないが、人間に対する致死量が約1mg(ほんのピン先程度)のタンパク質である。

 リシン毒による計画的犯行例はマルコフの殺害だけではない。(テロリスト集団の)アルカイダが隠れていたアフガニスタンの洞窟でも発見されているし、1980年代のイラン・イラク戦争でも使用されている。1990年代には税金に反対するグループの4人のメンバーが自家栽培したヒマから作ったリシンを使ってアメリカ政府職員の殺害を企み逮捕されている。リシンがテロ攻撃に使われる危険性については多くの記事があるが、その可能性は低いだろう。なぜなら、多くの人々を殺傷するためには、比較的大量のリシンを必要とするからである。炭疽菌とは違い、リシンはタンパク質なので、自己増殖することはない。

 リシンは、ガラクトースを持つ糖タンパク質や糖脂質に結合して細胞内に入り込む。こうした糖タンパク質や糖脂質は多くの細胞表面の細胞膜に存在するので、リシンは大抵の細胞にとりつくことができる。エンドサイトーシスによって細胞質内に入ると、タンパク質合成を阻害し細胞を死に至らしめる。具体的に言うと、タンパク質合成が行われる真核生物リボソームの巨大RNA分子を修飾し切断する。細胞質に入り込んだリシン1分子によって1500個のリボソームが修飾され、分単位で細胞死に至る。

 タンパク質とは、DNAの遺伝情報である遺伝子型を具体化した表現型である。リシンは、遺伝子の表現型であるタンパク質の合成を阻害して障害する。

 以上ですが、リシン(タンパク質)が細胞質内に入り込んで、リボソームというタンパク質製造工場を攻撃(修飾)し、各種タンパク質の合成を阻害しているというイメージはお判りでしょうか?難しいですね。


☆ 2017年11月27日 : 初冬の寒さです

 朝はマイナス4度くらいまで下がりました。冬ですね。ずっと畑の土起こし(2回目)をやっていなかったのですが、ようやく終わりました。土の中までは凍っていませんでしたが、土の表面は霜柱などで凍っていました。薪割りや落ち葉焚きなどもやり、冬に備えました。

 さすが冬になると、温泉もすいてきますね。久しぶりに石割の湯へ行き、ゆったりとした時間を過ごしました。

 今年はもう氷点下まで下がるので、水抜きをして帰りました。昨冬はトイレの水抜きが十分でなく、便器を破損してしまい、大変な出費となりましたので、今冬は注意しようと思っています。

水彩画作品40:チーター親子 水彩画作品41:リンドウとユリ 水彩画作品42:湖畔の紅葉


☆ 2017年11月20日 : 平地も紅葉の見ごろを迎えてきたようです

 信州上田、佐久、軽井沢近辺を旅しました。山は登っていないのですが、平地は紅葉に見ごろでした。


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第8章:DNAと遺伝におけるその役割(続き)

 第8章の序文のDNAに関する文章が面白いので、転載してみます(一部抜粋)。 「二重らせんは科学雑誌”ネイチャー”の短い論文の中でジェイムズ・ワトソンとフランシス・クリックによって最初に提唱された。論文にはクリックの妻オディールによって描かれた構造の図が添えられ、そのシンプルかつ優美な構造は、
信州上田城のお堀の紅葉 信州上田・海野宿の通り

科学者だけでなく、一般の人にもあっという間に広まった。ワトソンは後にこう表現している。”この愛らしい構造は、存在すべくして、存在した。”(私には意味不明ですが・・)」

 「デオキシリボ核酸−DNA−と二重らせん構造は私たちの時代の科学の素晴らしいシンボルの一つになった。それは、ニュースの雑誌の表紙を”生命の秘密”として飾るだけでなく、難解な専門後から大衆の言葉への移行であった。”顧客をビジネスのDNAへ”と誘う企業の広告が見られたり、”DNA”と名づけられた香水が”生命の泉”として宣伝されたりしている。あるデジタルメディア・ソフトウェア・システムは”DNAサーバー”と呼ばれている。」

 「このような強烈なシンボルが科学から出てきたのはこれが初めてではない。核爆発のキノコ雲や、電子が核の周りを駆け巡るボーアの原子模型がある。サルヴァドール・ダリは、風変わりな創作品の中でDNAの二重らせんを用いた最初の有名な芸術家である。ノーベル賞を受賞した遺伝学者ジョン・サルストンの肖像はサルストンのDNAを含むとても小さい最近細菌のコロニーによってできている。ブラジル人の芸術家エドワルド・カックは、聖書の一説をDNAヌクレオチド塩基配列に翻訳し、このDNAを細菌に組み入れた。UV灯をを点けるとDNA配列とそれが表す聖書の節が浮かび上がる。DNAを主題とした彫刻が多数作られ、二重らせんのモチーフで作られた装身具は”生命の鎖”コレクションと呼ばれる(DNAの二重らせんをデザインしたイアリングを付けた若い女性が読者に微笑んでいる写真が添えられています。すごい教科書ですね。老人も少し慌ててしまいますよね)。」

 「しかし、我々の社会をかき回すのはDNAの構造だけではない。その構造が象徴すること、つまり、急速に広がっている遺伝学の知識がもたらす希望と危機もしかりである(全くその通りに社会が進んでいるようですね)。」 


☆ 2017年11月13日 : 紅葉も終わり、そろそろ冬支度かな

 紅葉も終わりに近づいてきたようですが、11日(土)の朝、山中湖で大きな素晴らしい虹が観測されました。夜中から未明にかけて雨が降っていて、朝方から雲がなくなりました。すると窓から山中の方に虹が立ち上がっているのを見つけました。早速外へ出て写真をパチリ。こんな虹はなかなか見ることができませんね(いつかペルーの高原で同じような虹を見たことを思いおこしました)。

 週末は好天だったので、土起こしと薪割りを行いました。土起こしは今年中にもう1回反対側から行おうかと思っています。体力に疑問ですが???薪割りも久しぶりだったのですが、すぐに腰に来たので、途中でやめてしまいました。

大きな虹が架かりました 第1回目の土起こし完了

第8章:DNAと遺伝におけるその役割

 いよいよ分子生物学の核心であるDNA(デオキシリボ核酸)の話に移ります。20世紀の初頭には、遺伝学者は遺伝子は染色体と関連していることに気づいており、染色体中の遺伝物質の実態を化学的に解明することを開始したということです。1920年代までには、科学者たちは染色体はDNA(デオキシリボ核酸)とタンパク質から構成されていることがわかっていたそうです。しかし、遺伝物質はDNAなのかタンパク質なのかはまだ特定できていませんでした。1952年になって、アメリカのアルフレッド・ハーシーとマーサ・チェイスによる、T2バクテリオファージという細菌(大腸菌)に感染するウィルスを用いた実験で、DNAが遺伝物質であることが明らかになったのだそうです。その後、真核生物においても、DNAが遺伝物質であるという決定的証拠が得られました。

 それから、科学者はDNAの三次元化学構造を突き止めようと努力しました。化学構造を明らかにするために、物理学で用いられていたX線による結晶解析が用いられました。そしt、1953年2月に、イギリス人フランシス・クリックとアメリカ人ジェームズ・D・ワトソンが、DNA分子は2本のポリヌクレオチド鎖がらせん状の構造を作っており、しかもその2本の鎖が反対方向に走っていることを解明しました彼らは、ブリキでこのDNAの模型を作って発表したのだそうです。この構造は、DNAの知られていた科学的な性質をすべて説明し、DNAが持つ生物学的機能を理解するための扉を開いたものと称賛されているとのことです。このあたりの経緯は、J・D・ワトソンの著書「DNA上」(ブルーバックス)に詳しく述べられています。

 DNAの構造とその仕組み、機能はとても複雑で、その詳細を理解するのはとても難しいことです。図を用いたとしても、簡単な解説をすることも無理です。とりあえず、私が重要と思った点だけをピックアップして述べてみたいと思います。

1.DNAは糖(デオキシリボーズ糖)とリン酸基からなる2本の鎖が骨格となっていて、それぞれの鎖から横に伸び塩基が水素結合で結びついている。
2.このDNAの2本の鎖は逆方向に並行的に走っている(この逆平行がDNAの複製時において重要な意味を持ってくる)。
3.塩基には、アデニン(A)、グアニン(G)、チミン(T)、シトシン(C)の4種があり、アデニン(A)とチミン(T)が対に、グアニン(G)とシトシン(C)が対になって、あたかも2本の鎖の間にハシゴのステップのように結びついている(これら塩基の並びが遺伝情報の暗号になっている)。
4.生物は、このDNAの塩基の並びから遺伝情報を読み取り、いろいろなタンパク質を生成する(多くのタンパク質は酵素として、生体の各種機能を維持する役目を果たすことになる)。

 ここで問題になるのは、DNAはどのように複製されるかである。しかし、DNAの構造はもちろん、その複製も巧妙かつ高度で、とても簡単に説明はできません。そこに出てくる酵素(タンパク質)などの主なものとして、DNAポリメラーゼ、DNAヘリカーゼ、DNAリガーゼ、RNAプライマーなどなどたくさんあり、それがプロジェクトチームを組んだように協同して複製を行っているのだそうです。イヤー、いつものことながら神秘的なとしか言えませんね。

 更に驚くことは、DNAの複製において間違いが生じたとき、生命はそれを修復する機能をも持っているのだそうです。それも、三つの修復機構を持っており、いくつかの酵素が絶えず細胞のDNAを”点検”しているというから驚きではありませんか。誰がこんな仕組みを思いついたのでしょうね。なんとも不思議です。

 科学者は、このようにDNAがどのように複製され、修復されるのかを理解すると、今度は遺伝子を研究するための技術を開発しました。本書では、DNAの短い領域を何回もコピーして、多量のDNAの部分鎖を作る技術とDNAの塩基配列を決定する技術について解説しています。こうして、ヒトは生命の遺伝子を操作し、改修する方法を取得してしまったわけです。恐ろしい技術ですね。原子力爆弾の開発に匹敵する技術とも言えますね。今後どうなるかは、予測もつかない事のようです。


☆ 2017年11月05日 : 今週末は久しぶりに好天に恵まれ、紅葉が・・・

 今週末は好天に恵まれ、山中湖畔には紅葉を見ようと多くの観光客が訪れていました。前回の記事で、富士山の初冠雪の写真を掲載しましたが、今週の富士山には雪が見当たりませんでした。11月になっても雪のない富士山は私には初めてのような気がします。気候温暖化のせいでしょうか??

 庭には枯枝や枯葉がいっぱいで、焼却処分しました。ところが、煙が多く出たためか、誰かが村役場に通報!村役場の赤い車が来て、煙をあまり多く出さないようにという注意を受けてしまいました。ごめんなさい!これからは注意して焼却します。
家の前の紅葉1 家の前の紅葉2


☆ 2017年10月30日 : 寒い冬が近づいてきました

 今年は富士山の初冠雪が遅かったですね。先週末22日の台風でようやく確認されました。27日(金)は久しぶりの好天で、富士山がとてもきれいでしたが、翌日はまた雨でした。あー、何ということ!!

 27日(金)から、”夕日の渚紅葉まつり”が開催されました。まだカエデの紅葉には早いようで、夜は人もまばらでした。

 夜は寒くなってきたので、ストーブを点火しました。部屋がよく温まりました。

初冠雪の富士山 夕日の渚 紅葉まつり ストーブの点火

第7章:遺伝学:メンデルとその後(続き)

 オーストリア人のグレゴール・メンデルは、科学者ではなく教会の修道士でした。しかし、ウィーン大学で物理学、化学、数学や生物学を学び、その勉学が彼の遺伝の研究に用いられた実験的かつ定量的な方法に強く影響を及ぼしました。そして、その定量的な実験が成功の鍵になったとのことです。しかし、よくあるように、彼が書いた多くの先駆的な論文は、当時の学会では受け入れられず、無視されたとのことです。進化論のチャールズ・ダーウィンでさえ、メンデルと同じような実験を行っていながら、メンデルの発見の重要性を理解しませんでした。1900年までに減数分裂の現象が報告され、ユーゴー・ドフリース、カール・レンスおよびエリッヒ・フォン・チェルマックという3人の植物遺伝学者によって、それぞれ別々にメンデルの論文に言及し、突如注目の的となったのだそうです。すなわち、染色体と減数分裂を使えば、メンデルが交配から得た結果を説明するのに提唱した理論を科学的に説明できることがわかりました。よかったですね。

 遺伝子と減数分裂の発見以前にメンデルがすばらしい洞察に達することができたのは、その実験方法によるところが大きかったということです。彼の研究は、大規模な準備、幸運な実験対象の選択(エンドウの選択)、細心な実験の遂行、想像力に富みながらも論理的な解釈の成果といえるそうです。すばらしいですね。でも、教会の修道士は暇がたくさんあったのでしょうね。うらやましいです。

 ここで、メンデルの遺伝学について詳細に記述することはできませんが、重要な用語を説明します。
・”特徴”:花の色や種子(豆)の形状、色などのような観察可能な外観のこと
・”形質”: 紫色の花や白色の花のような特徴における特定の型(外観)のこと
・”遺伝形質”:親から子へ伝達されるもの ちょっとわかりづらいですね
・”優性”、”劣性”:ある特徴において比較的表現が多い形質を”優性”形質、少ない形質を”劣性”形質という(正確な定義ではありませんので間違わないでください)。

 メンデルは、実験である特徴の遺伝形質が融合することはなく、親の世代からこの世代へと受け継がれていくことを見出しました。すなわち、世代を受け継ぐ”分離した粒子”(今でいう”遺伝子”であるが、メンデルはこの言葉は使っていないとのことです)が存在すると推論しました。すばらしい推論ですね。でも当時の状況では、大胆過ぎて受け入れられなかったのもうなづけまかね。現在は、ある個体のすべての”遺伝子の集合”を”ゲノム”とも呼んでますね。

 メンデルは、自身の学説が染色体やDNAの二重らせんなどの発見と同じような素晴らしい生物学上の発見として称賛されることなく亡くなりました。しかし、遺伝子は今、染色体のDNA分子のある領域の塩基配列であることがわかったわけです。すなわち、1個の遺伝子は”遺伝子座”と呼ばれる染色体上の特定の部位に存在するDNA塩基の配列であり、特定の性質をコードしています。そして、遺伝子はその特定のコードに対応した特定の機能を持つタンパク質と結びついて、ある特定の表現型を示すことになります。メンデルは、現代のDNAや塩基配列、コードなどを全く知らない中で、遺伝子の存在を推論し、メンデルの法則を主張したことになります。称賛されるべきすごい科学者であったのですね。

 メンデルによって明確に表された遺伝の法則は、今日でも依然として有効であり、彼の発見は遺伝学のすべての未来の研究における土台を築きましたが、その後の研究によって当然のことながら複雑な事象もわかってきました。本著では、多くの例を説明しています。例えば、ウサギの複数の毛色の表現型、キンギョソウの花の中間色の表現型、人の血液型(A、B、AB、O型)、ラブラドール・レトリーバー(犬)の毛色の表現型、トウモロコシの雑種強勢などです。また、環境によってウサギなどは遺伝子の表現型である毛色が変わることもあるのだそうです(ライチョウの冬毛と夏毛の生え変わりもこれで説明してよいのですかね)。すなわち、ほとんどの複雑な表現型は多数の遺伝子と環境によって決定されるということです。多様な人間がいることがよくわかりますね。

 コロンビア大学のトーマス・ハント・モーガンは、ショウジョウバエを使って多くの遺伝学上の問題を解決しました。高校の時、生物の先生が熱心にショウジョウバエの話をしてくれましたが、当時はつまらないことをと思っていました。本当は素晴らしい話だったのだと今になってわかりました。先生、済みませんでした!この中で私が驚いたことは、減数分裂の間に、2本の相同染色体の間で対応する部位の乗り換えが起こり、それに従って染色体(遺伝子)も組み換えられるということです。これによって、両親の染色体が組み合わさった染色分体が子供に引き継がれ、多様な子孫が現れるとのことです。これがまた、人類の”進化”に大きく影響しました。すごいことですね。でも、人類の”進化”は、自分と異質な人を排除したり殺害するヒトを作り出したことを考えると、???と考え込んでしまいます。

 最後は、性染色体の話になります。ご存知の人も多いことと思いますが、ヒトの男は1本のX染色体と!本のY染色体を持ちますが、ヒトの女はY染色体を持たず、2本のX染色体を持ちます(これは、鳥では逆転しているそうです)。本書では性染色体の異常によるいろいろな例が述べられていますが、ここでは省略します。


☆ 2017年10月21日 : 朗報 オサカベホームコンサートが12月に再開

 最近の週末は雨ばかりです。山中湖へ行っても屋外作業ができません。いやになってしまいますね。

 そんな中で朗報がありました。刑部さんの奥さんから、多くのホームコンサートファンの要望を受けて、12月からホームコンサートを再開するとの電話連絡をうけました。うれしいですね。ご夫妻ともに高齢で、体調も芳しくない中、コンサートの継続を決意していただいて、恐縮するとともに、敬意を払いたいと思います。感謝!感謝!


水彩画作品38:スイカ、トウモロコシ他 水彩画作品39:果物と野菜

第7章:遺伝学:メンデルとその後

 遺伝学は分子生物学とは異なり、19世紀半ばのメンデルの時代にまで遡る生物学です。それで、私には少し違和感があるのですが、メンデルの素晴らしい偉業については認識しておく必要があると思います。まずは、前章と同じように、本論に入る前に、先ず前文にある「ラビ(ユダヤ教指導者の知恵」の話を掲載します。なるほどと思いました。「1800年前の中東の砂漠で、ラビがジレンマに直面していた。あるユダヤ人の女性が息子を産んだ。その約2000年前にアラハムへの神の命令(あー!なんとあほらしいことよ!)によって定められ、のちにモーゼが復唱した法律の定め(おー!なんとつまらないことを!)母は生後8日の息子を割礼の儀式のためにラビのもとへ連れてきたのである。」

 「そのラビは、女性の2人の息子が陰茎包皮を切られたとき、出血死しているのを知っていた。しかし聖書の命令は生きている。割礼を受けなければ、その子は神と厳粛な契約を結んだものとはみなされないだろう(ひぇー、なんと不合理な話であることよ!)他のラビとの協議の後、この三男は割礼を免除すると決定された(なんと優れた決断なのだ!!)

 「それから約1000年後の12世紀、医師であり神学者のモーゼス・マイモニデス(Moses Maimonides)は、ラビが書き残した文献でこの事情やその他多くの事例を調べ直し、このような場合、三男に割礼を施すべきではないと述べた。さらに、この子が母の「最初の夫との子であろうと2番目の夫との子であろうと」免除すべきであるとした。出血性疾患が明らかに母から息子へ受け継がれていると、彼は推論したのである。遺伝子や遺伝学に対して我々が持つ現代的な知識もなく、ラビはヒトの疾患(現在ではこの疾患は血友病Aとして知られている)を遺伝の型と結びつけていた。血友病Aの正確な生化学的性質とその遺伝的メカニズムがわかったのは、わずかここ数十年のことである。

 中略

 我々は、このような遺伝の様式をどのように説明し、予想するのか?遺伝について多くのことが、科学者や研究者が遺伝子や染色体の存在を知る以前から直感されていた。約2000年前の賢いラビの決定が証明するように。事実、遺伝の基礎科学は、生命科学の歴史における驚くような実験と結果解析の精華によって1860年代に構築された。グレゴール・メンデル(Gregor Mendel)による実験と解析の重要性は、約30年間、科学界に理解されなかった。しかしながら、一度評価が定まると、自然科学と医学はこれまでにない速度で発展し始めた。

 とてもよいお話ではありませんか?でも、現代の宗教にもこのような問題が山積していることはないのでしょうか?


☆ 2017年10月09日 : 秋の花 トリカブトとハマギク

 以前は庭に雑草のごとく生えていたトリカブトですが、近年めっきり少なくなり、今年は2株しか咲きませんでした。今となっては、我が家にとっては絶滅危惧種です。何とか頑張ってほしいものです。

 ハマギクはシカが好むようで、近年若い枝が食べられるようになりました。それでネットで覆っていたのですが、そのために咲い枝は窮屈そうに折り曲げられてしまいました。でも何とか大輪の花をつけてくれました。きれいですね。ちなみに、このハマギクは亜低木で、幹が木質化します。

 今回の選挙は呆れて書く気にもなりません。憲法9条は絶滅危惧種並みですね。
絶滅危惧種?ヤマトリカブト シカの食害から逃れたハマギクの花


☆ 2017年10月02日 : 今年も何とか山の恵みを頂くことができました

 今年初めてのヤマブドウ観察のために、梨ケ原演習場に行ってみました。9月末ではもうヤマブドウは他の人に採取され、期待できないと思いながら出かけましたが、予想通りほとんどヤマブドウは採取されてしまっていました。少々のおこぼれを頂いて戻りました。何とか”あおいおばさんのヤマブドウジャム”数個を作りました。山の恵みに、感謝!感謝!

 草津方面で”チャツボミゴケ”の群落を観ることができました。イオウの匂う酸性の渓流に生きるコケで、驚きました。おもしろい植物があるものですね。


あおいおばさんのヤマブドウジャム チャツボミゴケの群落

第6章:染色体、細胞周期および細胞分裂(続き)

 第1章、第2章で細胞と細胞膜についての話がありましたが、本章では細胞の分裂と染色体の話となります。原核細胞は単純な(真核細胞に比べて)”2分裂”によってどんどん細胞が分裂、増殖していきますが、真核生物では大変複雑な”有糸分裂”と”減数分裂”で分裂していきます。真核生物は、雄の精子(”配偶子”)と雌の卵(”配偶子”)が受精し、受精卵が作られますが、このたった1個の細胞(”接合子”という)か細胞分裂(有糸分裂)を繰り返すことによって、ヒトを含む多細胞生物が作り出されるわけです。

 真核細胞の”有糸分裂”は、ステップを踏みながら1周期をまわり、その分裂周期を繰り返します。1周期は”Gap1”、”S(DNA合成)”、”Gap2”、”M(有糸分裂)”および”細胞質分裂”の5つのステップからなり、タンパク質や化学的シグナル等によってステップの進行が複雑かつ精確にコントロールされているのだそうです。分裂していない細胞は、通常”Gap1”期にとどまっており、細胞分裂が始まると”M”期に移行し、2本鎖DNAが複製されます。その後、”Gap2”期に入った後、”M”期に入り、そこで核の分裂(有糸分裂)が起こり2つの娘核が作られます。最後に細胞質が分裂して、2つの娘細胞が作られ、有糸分裂が完了します

 2本鎖のDNA分子は非常に長い巨大な分子ですが、有糸分裂の前に、この2本鎖のDNA分子は超小型の”染色体”の形に折りたたまれまれ、複製元のDNA染色体と複製されたDNA染色体はお互いにペア(”姉妹染色分体”という)を組んで結びついているのだそうです。有糸分裂ではDNA複製によって作られた姉妹染色分体(遺伝情報が入っている)を、複雑な仕組みで、かつ高度にコントロールしながら正確に分離します。本書では、この有糸分裂の仕組みをカラーの図で分かりやすく?解説してくれていますが、とても複雑でここでは説明できません。どうしてこんな複雑で精確な仕組みが進化によって作り上げられてきたのか考えると、もう不思議で不思議で、言葉もありません。

 有糸分裂が複雑だと述べましたが、減数分裂はさらに複雑怪奇?な細胞分裂を示します。”減数分裂”は、新しい個体を作る元となる”精子”と”卵”を作る細胞のみで起こります。減数分裂は、有糸分裂とは違って、新しい個体を作る有性生殖に備えて、2回の核分裂を行い、1対の染色体(DNA分子)を分離し、1組の染色体(DNA分子)セットのみを持った精子または卵(配偶子)を作ります(1つの元の細胞が分裂して4つの娘細胞が作られます)。したがって、通常の体細胞は1対の染色体(DNA分子)を持ちますが、この配偶子(精子または卵)は1組の染色体(DNA分子)セットしか持たないということです。ちょっとわかりにくいですね。ヒトの場合で言うと、通常の体細胞は23本の染色体セットを1対、すなわち46本の染色体を持ちますが、配偶子(精子または卵)では23本の染色体セットしか持たないということです。

 繰り返し言いますが、この減数分裂はとても巧妙で、言葉では説明できないほど複雑で精確な仕組みになっています。こちらの分裂の仕組みもカラー図で解説されていますが、理解に苦労します。一つだけ重要なことを言いますと、この減数分裂の過程の中で、染色体(DNA分子)の遺伝子組み換えが行われ、分裂して誕生した新しい染色体(DNA分子)はお互いに異なるとともに、親の細胞の染色体(DNA分子)とも異なったものになるということです。言い換えると、有性生殖によって誕生する個体の染色体は、兄弟同士でも異なるし、親とも異なったものになるということです。これによって生物の子孫が遺伝的多様性を持つようになり、強いては種の進化につながっていくことになるのだそうです。すごいですね。ヒトが微生物から進化してきたのは、減数分裂による染色体の組み替えによっているということになります。また、自分の子供が親とはまったく似つかないことや兄弟の性格などがまったく異なるなどといったことがよくありますが、これで納得ということですね。

 しかし、細胞分裂は精確といっても、時々エラーを起こすそうで、特に、減数分裂において誤りが生じると、異常な染色体構造をもつ染色体(DNA分子)が生じたり、染色体(DNA分子)の数が異常になるといった状態が生じる可能性があります。そうすると、染色体異常を持った子供が生まれたり、不妊や死産に至ったりすることになるのだそうです。例を挙げると、”ダウン症”は21番染色体(DNA分子)が3本ある三染色体性(トリソミー)によるものであり、生殖においてある確率で生じるものだそうです。

 最後に、細胞の”死”が取り上げられています。細胞の”死”には、毒素や、酸素、栄養素不足等によって細胞が分解してしまう”ネクローシス”と遺伝的にプログラムされた細胞の”自殺”である”アポトーシス”があるのだそうです。説明は省略します。


☆ 2017年09月25日 : 秋も深まり、畑は店じまいしました

 今週末も曇り空で、22日(金)の夕方から翌日朝にかけては雨が降りました。気温はやや寒く、湿気が多く、もう秋も深まってきたかのような感じです。畑のキュウリもトマトももう終わりのようです。今年はキュウリ、トマト、インゲンが本当によく頑張ってくれ、とても感謝しています。なお、ナスだけはまだ一人気を吐いています。というわけで、畑のネットの取りはずしを始めました。庭はすっきりとしてきましたが、とても寂しく感じました。

 24日(日)は、今年初めてのヤマブドウ観察のために、梨ケ原演習場に行ってみました。9月末ではもうヤマブドウは他の人に採取され、期待できないと思いながら出かけましたが、予想通りほとんどヤマブドウは採取されてしまっていました。少々のおこぼれを頂いて戻りました。何とか”あおいおばさんのヤマブドウジャム”を数個くらいは作れそうです。山の恵みに、感謝!感謝!



水彩画作品36:七夕飾り 水彩画作品37:花とビン


☆ 2017年09月18日 : 夏目漱石と「資本論」(カール・マルクス著)

 17日(日)、待ちに待った「オサカベホームコンサート 200回記念コンサート」が、富士山ホールで開催されました。台風18号が近づいていたにもかかわらず、数百名のホームコンサート愛好者が集まり、たいへんな盛り上がりでした。最後には、刑部夫妻がステージに上がり、感激してお礼のあいさつをされていました。実行委代表の萱沼さん、素晴らしいプレゼントありがとう。プログラムは以下の通りでした。
 1部:黒須やすこによるピアノ演奏・・・ベートーベン ピアノソナタ第8番ほか
 2部::池上秀樹によるマンバリン演奏・・・ドビュッシー 子供の領分ほか
 3部:長谷川清(ds)、板垣光弘(p)、吉木稔(b)によるジャズ演奏
      ・・・Take The A Train、Over The Rainbow、Carabanほか

 最後には、アンコールとして出演者5人によるアンサンブル演奏がありました。とてもすばらしく、拍手が鳴りやみませんでした。

台風で折れた木が車の上に? 水彩画作品35:花

 山中湖村では、17日(日)深夜から翌明け方まで、台風18号による嵐が吹き荒れました。我が家では、ダンコウバイの幹が裂け、友人の車に枝葉が接触してしまいました。幸い車に傷はなかったものの、あわやの大損害となるところでした。ほかにもカラマツの枝などが風で折れてしまいました。危ない!危ない!

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 今年は、カール・マルクス著「資本論」第1部発刊150年であり、また夏目漱石誕生150年の年だそうです。”しんぶん赤旗 2017年9月10日”に漱石がマルクスの視点に共鳴したという記事が掲載されていました。私は、学生時代に”資本論”に取り組んだことがあるのですが、とても難しく、挫折してしまいました。細菌、学生時代に読み残した”マルクス経済学”に再挑戦しているのですが、経済学の素人にはなかなか理解できず、悪戦苦闘中です。この2人の組み合わせはちょっと意外に感じましたので、その記事(平野喜一郎)の一部を紹介します。

 「漱石は留学地の英国で”資本論”と出会い、購入しました。その本は東北大学付属図書館の”漱石文庫”に保管されています。1901、02年のロンドン滞在中、彼がその地で見たものは、すべてを支配する金力と”財産の不平均”、”貧富の懸隔甚だしき”こと。彼は義父への手紙にこのことを書き送り、マルクスの
説について”今日の世界にこの説の出ずるは当然の事”とのべています。」
 
 「帰国後、日本も事情は同じだと考えました。07年8月、漱石は友人に送った手紙に次のように書いています。」 「細民はナマ芋を薄く切って・・食って居る由。鋳物薄切りは猿と択(えら)ぶところなし。残忍なる世の中なり。而(しこう)して屋から彼等は朝から晩迄(まで)真面目に働いている。”ところが他方で”岩崎の徒を見よ!!!終日人の事業を妨害して・・三食に米を食っている奴等(やつら)もある。漱石子の事業は此等の敗(背)徳漢を筆誅(ひっちゅう)するにあり”」 「三菱創業者の一族、岩崎への反感は同年の”野分”で噴出しています。高柳君は思う。”岩崎の塀が冷刻(酷)に聳(そび)えている。あの塀へ頭をぶつけて壊してやろうか”と。」

 「三菱は戦前、絶大な支配権を持ち、軍国主義や戦争と深くつながった財閥のトップでした。 中略 三菱財閥こそ日本中の富が、貨幣と資本が集中したかね力家でした。漱石の怒りは当然でした。」 「金力家への怒りが作品の底流にあります。第一作”吾輩は猫である”(05年)では、金持ちの金田グループと苦沙弥(くしゃみ)先生のグループとの対立が物語を進行させています。金田一党は物質的利害関係でつながった利益社会です。他方苦沙弥先生たちは学問や芸術を通じた人格社会です(滑稽に戯画化されていますが)。」

 「利益社会を動かす利己心は、それを生み出す貨幣とともに、その後の作品の主要なテーマの一つです。最後の未完成”明暗”(16年)では入院費や父からの送金など、お金をめぐる利己主義が物語を進めます。”明暗”に大きく思い”経済学の独逸(ドイツ)書”が出てきます。漱石は題名を挙げずに”資本論”を登場させているのです。」

 「漱石の作品は文学論のほか、さまざまな学問分野から数多くの研究がなされています。加えて、”資本論”の視点から分析することでさらに新しい視野が開け、より豊かな漱石の世界が現れることでしょう。」


☆ 2017年09月10日 : 秋の花サラシナショウマ

 秋の代表的な花サラシナショウマが咲き始めました。これを見ると夏の終わりを実感します。庭ではアゲハチョウやヒョウモンチョウがたくさん飛んできてフジアザミの三つを吸っていました。私の点滴?のハチもやってきて、なぜかウドの花?のまわりをぶんぶん飛んでいました。

 今だにキュウリ、ミニトマト、ナスがたくさん採れます。ありがたいですね。終わった作物はそろそろ引き抜き始めました。

サラシナショウマ フジアザミとクロアゲハチョウ? ヒョウモンチョウ?

 前回で第1巻「細胞生物学」は終わり、今回からは第2巻「分子遺伝学」です。主な内容は、染色体と細胞分裂(減数分裂、有糸分裂)、メンデル遺伝学、DNAの構造と複製、タンパク質の合成、遺伝子と複製、ウィルス/最近の遺伝学などです。本格的な分子生物学への初まりです。

第6章:染色体、細胞周期および細胞分裂

 本論に入る前に、先ずは前文にある「癌治療研究におけるヒーラ細胞」の話を掲載します。「1951年1月28日、5人の子供の母親である31歳のヘンリエッタ・ラックス(Henrietta Lacks)は、下着に血液の染みがついているのを見つけた。何か問題があると感じた彼女は、近くのジョンズ・ポプキンス病院(メリーランド
ボルチモアシュウ州)に、夫に連れて行ってもらった。子宮頸部の検査によって血痕の理由が明らかになった。100gぐらいの大きさの腫瘍が見つかったのである。医師は腫瘍の断片を臨床検査室の病理学者に送り、腫瘍が悪性であることが確かめられた。」

 「1週間後、ヘンリエッタは入院して、腫瘍を死滅させるためにラジウムによる放射線治療を受けた。治療を始める前に、医師らは腫瘍からサンプルとして少量の細胞を取り、ジョージ・ゲイ(George Gey)とマーガレット・ゲイ(Margaret Gey)の研究室に送った。このジョンズ・ホプキンスの2人の科学者は、人間の細胞を体の外(すなわち試験管内)で生存、増殖させようと20年間試行していた。彼らは人間の細胞を試験管内で”飼育”することができれば、癌の治療法を発見するのに使えるかもしれないという信念の下に研究をしていた。彼らはヘンリエッタの腫瘍細胞でついにそれを実現したのだった。この腫瘍細胞は、彼らがこれまで培養したどんな細胞よりも活発に増殖した。」

 「不運にも、腫瘍細胞はヘンリエッタ・ラックスの体の中でも急速に増殖し、数カ月以内で、癌性細胞は彼女の体内のほとんどすべてに広がった。そして彼女は1951年10月4日に亡くなった。同じ日にジョージ・ゲイが全国放送のテレビに登場して、Hela(ヒーラ)細胞と名づけた細胞が入った試験管を示し、癌治療は近いと言った。」

 「著しい増殖能力のたね、Hela細胞は安定した基盤として生物医学の研究に利用された。条件が整えば、この細胞はウイルスに感染し、ポリオウイルスの産生師団として用いられ、この疾患に対する最初のワクチンが開発された。ヘンリエッタ自身はヴァージニアとメリーランドの外にはいったことがなかったが、彼女の細胞は世界中を移動している。Hela細胞はスペースシャトルに乗って宇宙にさえ行った。過去半世紀にわたって、Hela細胞から得られた情報を使って何万もの論文が発表された。しかし、Hela細胞が早急に癌の治療法を導いてくれるという望みは、事実に反することになった。」

 「世界の先進国の大部分では、癌は2番目の死亡原因のままである(心臓病に続く)。しかしながら、もし1941年に最初に用いられた簡単な医学検査を受けていれば、ヘンリエッタはおそらくもっと長生きしただろう。パップ試験と呼ばれるこの検査は、子宮頸部の前癌状態の細胞を検出できる。通常、癌になる前に細胞は取り除かれる。米国では、パップ試験は子宮頸がんによる死のおよそ90%を防いだ。当時、このような検査が普及していれば、Hela細胞が世に出ることもなかっただろう。」

 「正常組織では、細胞分裂(細胞”誕生”)は細胞消失(細胞”死”)によって相殺される。ほとんどの正常細胞と異なり、Hela細胞を含む多くのがん細胞は、細胞消失よりも細胞分裂に大きく傾いた遺伝子の不均衡のせいで成長を続ける。放射線や薬剤を用いる癌の治療は、この均衡を細胞消失の方へと傾けさせることを目標としている。」

 Hela細胞のことは、もちろんこの本を読むまでは知りませんでした。癌との戦いの中でこんなことがあったのですね。驚きました。ところで、この話には”後日談?”があるようで、出訴は忘れたし記憶もあいまいなのですが、ヘンリエッタの家族は以上のような事実は知らされておらず、最近になって偶然知ったという話を読みました。現在なら、Hela細胞は違法な産物になるのかもしれませんが、私にはその意義など鵜を評価する能力を持ち合わせていません。長くなったので、第6章の続きは次回以降にします。


☆ 2017年09月03日 : 寒いです。冬支度?です

 2日(土)、山中湖は初秋のような寒さでした。朝の温度は13℃で、Tシャツ1枚では寒くて、長袖シャツを着て、さらに上に一枚羽織るほどでした。昼になっても19℃くらいにしか上がらず、家内はフリースを出して着込んでいました。更には薪ストーブを付けたいと言い出しましたが、さすがにそれはやめました。

 3日(日)は久しぶりに朝から青空が広がりました。日に当たればかなり厚いくらいでしたが、これも一時的なようで、秋の季節に転がり落ちていくように思えて仕方ありません。本当に今年の夏(8月)の天気にはがっかりでしたね。


水彩画作品33:野菜とオレンジ 水彩画作品34:木片とボール他


☆ 2017年08月28日 : 植物の光合成(番外編)

 庭にはフジアザミが満開となってきました。15株くらいあり、壮観です。これでそろそろ夏も終わりのようですね。



 前回、植物の光合成について記述しましたが、雑誌「ニュートン 2017.10」に光合成と量子力学における”電子”(”粒子”でもあり、同時に”波動”でもある)との関係に触れた記事があったので、転載してみます。これを読んでも、生物における電子と量子力学における電子の関連がわかるわけではありませんが、学問の世界でも課題となっている様子がうかがわれます。
豪勢なフジアザミ タイマツソウ

「光合成と量子力学の奇妙な関係」 「ニュートン 2017.10」より

 私たちは人生においてさまざまな選択をせまられますが、「すべての選択肢を同時に進められたらいいのに」と思ったことはありませんか?そんなことは物理的に不可能だと思うかもしれません。しかし”量子力学”が支配する極小の世界ではそのようなことが現実におきています。たとえば右のイラストのように、1個の電子を2本のスリット(穴)が開いた板を通してフィルムにぶつけると、「1個の電子が2本のスリットを波として同時に通過して」、フィルム上に1個の点を残すことが実験的に確かめられています。

 そんな量子力学の不可思議な現象が、植物が行う”光合成”でおきているという、おどろくべき研究結果が2007年ごろから次々に発表されています。光合成は太陽光エネルギーを利用して、糖などの有機物を合成する反応です。植物の細胞の中にある葉緑体でおき、いくつもの複雑なステップを踏みます。その最初のステップで、光エネルギーを捕まえる役割を果たしているのが”クロロフィル”とよばれる緑色の色素分子です。葉緑体の中にあるタンパク質に、たくさんのクロロフィル分子が結合しており、光を待ちかまえています。

 クロロフィルは、光(光子)を受け取ると、高いエネルギーをもった状態(励起状態)になります。このエネルギー(励起エネルギー)は、タンパク質の中にぎっしりつまったクロロフィルの間を直接受け渡されていき、最終的に”反応中心クロロフィル”に送られて、次のステップで利用されます。従来、励起エネルギーはクロロフィルの間をランダムに移動していくと考えられていました(右のイラスト上)。しかし無数に存在するルートの中で、迷子になることなく、ほぼ100%確実に反応中心にたどり着くことができるのはなぜなのか、その理由はわかっていませんでした。

 2007年、カリフォルニア大学のフレミングらは、光合成をおこなう最近のバクテリオクロロフィルとタンパク質の複合体に光を当てて、その反応を解析しました。すると、励起エネルギーの移動パターンに、先述の二重スリット実験に見られたような、「波としてあらゆるルートを同時に通っている」可能性を示すデータが得られたのです(右のイラスト下)。これが励起エネルギーがほぼ確実に反応中心にたどりつける一因なのかもしれません。量子力学の不可思議な状態が、どのようなしくみによって生体のなかで活用・維持されているのか、現在、研究が進められています。


☆ 2017年08月21日 : NHK終戦記念?報道番組(悪魔の第731部隊)

 NHKが、8月8日と13日の番組「NHKスペシャル」で日本の侵略戦争について報道しました。8日は「731部隊の真実」で、15日は「戦慄のインパール」です。私は偶然後者だけを観ましたが、こちらは大本営の誤った作戦(正しい作戦などはあるはずがないが)によって多くの兵士が殺されたという話です。それはそれで悲しい出来事ですが、戦争の実態でしかありません(日本人の多くには戦争の実態も知らない人が多いので、一面良い報道という言い方もできますが)。

 前者については、私は見逃してしまい、内容はわからないのですが、NHKが”第731部隊”について報道したということを後で知って大変驚きました。”第731部隊”とは”関東軍満州第731部隊”のことであり、満州ハルピンを拠点として満州で活動し、隊長は石井四郎中将でしたので、石井部隊とも呼ばれます。731部隊は満州において細菌戦を行い、また中国人を捕虜にして”人体実験”を行いました。731部隊については、森村誠一著の「悪魔の飽食:「関東軍細菌戦部隊」恐怖の全貌!:光文社、1981年」に詳細に書かれており、私も若いときに読んで日本軍の正体を知り、愕然としたものでした。
お花と動く箱(工作品) 水彩画作品32:西洋シャクナゲ

 報道内容は知らないのですが、NHKがこの細菌戦部隊を報道したことはとても勇気のある報道であったのではないかと思った次第です。「しんぶん赤旗 2017.5.14号」でも、日本軍による毒ガス作戦と関連して第731部隊に触れていましたが、多くの日本人は日本の侵略戦争を被害者意識や単なる平和愛好意識でみるのではなく、侵略戦争の真実を知り、アジアの人々に対しては大いなる”加害者”であったことを認識し、反省することが大切です。そのような認識がないから、中国や韓国、北朝鮮とは、いつまでも真の友好関係を結ぶことができないでいるのです。

 P.S. 朝日新聞2017.8.16で、次のような記事がありました。 「中国では、NHKが13日に放送した、第2次大戦中に中国人捕虜らに人体実験をしていた”731部隊”の実態を伝える番組が注目されている。華氏(中国外務省副報道局長)は同番組を念頭に「日本軍は大罪を犯した。日本は正確に過去の歴史を認めて初めて歴史の重荷を下ろすことができる」と指摘。その一方で、「真相を明らかにした日本の有識者の勇気を称賛する」と評価した。」

第5章:光合成:日光からのエネルギー

 先ずは、「究極のエネルギー源」と題した前文を紹介します。 「地球上の光合成によって1年で合成される糖質をすべて使って角砂糖にすると、30京(30x10の16乗)個にも達する。それらを積み重ねると、地球から冥王星まで達する。それほど光合成は凄いものである。」

 「地球の光合成が減少するとどうなるかを想像してみよう。そのような大災害はおよそ6500万年前に実際に起こった。巨大な隕石が今のメキシコ南部に激突したときである。地質学的な証拠から、その衝突により巨大な粉塵の雲が形成され、太陽を遮り、光合成を減少させたことがわかっている。これにより植物の成長は抑制され、植物に依存している種の生存も脅かされた。その結果、恐竜(および他の種も)の絶滅に至ったと考えられる。しかし恐竜の絶滅は初期の哺乳類にとっては有益であった。というのも大きな爬虫類と競争することなく生き延びることができたからである。」

 「緑色植物は日光のエネルギーを使って、光合成の反応を行い、環境中の単純な化合物(二酸化炭素と水)を糖質に変換する。光合成の出現は、生命の進化の上で非常に重要な出来事であった。これにより外部のエネルギー源(日光のエネルギー)を生命世界に取り込めるからである。太陽エネルギーを用いて自分自身の養分を産生する光合成生物は、化学エネルギーに生物圏への玄関口を提供する。他のほとんどの生物は、代謝の原材料(例えばグルコースなど)を、大気中の酸素と同様に、光合成生物に依存する。」 以下省略。

 それでは、光合成に関する私のコメントを述べます。 光合成を式で表すと以下のような式になります。
    二酸化炭素 + 水 + 光エネルギー  -> 糖質(グルコース) + 酸素
 これを化学記号で書くと次のようになります。
    6CO2 + 12HO -> C6126 + 6O2 + 6H2O   (C6126 : グルコース)

 物理学では電磁波(可視光)の光エネルギーは”光子(フォトン)”という素粒子としてみなされ、その光子は植物の”葉緑体”に吸収されます。この吸収された光子エネルギーが葉緑素内で複雑な化学反応を経て、生物が利用できる化学エネルギーに変換されるというわけです。植物は複数の異なる吸収スペクトルをもつ”色素”分子によって光子エネルギーを吸収します。主要な色素として”クロロフィル”という緑色色素があります。皆さんんも聞いたことがあるかもしれませんね。このクロロフィルが葉っぱの緑色の基になっています。緑色の葉をもつ植物は、クロロフィルを持ち、光合成をしていると考えてよいようです。

 光合成の化学反応の各ステップはとても複雑で、ここでは概略すら紹介することはできません。私が感動するほどの巧みな仕組み(化学反応)によって光合成が行われています。ひとつだけコメントしますと、光合成では”電子伝達”という仕組みで、電子(e-)と陽子(H)をに巧みに扱って生物で利用できるエネルギー(ATP)を産生していますが、物理学(量子力学)では電子や陽子は確率的な確率振幅(シュレーディンガー方程式における波動関数)で表現されます。すなわち、生物の世界では、電子や陽子は確率的な動きをするのではなく、1個1個化学反応式に沿った動きをするものとしています。確か、シュレーディンガー著の「生物とは何か」でも言及されていたようにも思いますが(読んでいるときは何のこと?と思っていたが)、その関係については私にはさっぱりわかりません。物理学(量子力学)と化学とがどういう関係なのか、素人には理解不可能なようですね。でもそんな疑問を持つことができるようになっただけでも、私も少し進歩?してきたのかもしれません。


☆ 2017年08月14日 : 第199回オサカベ・ホームコンサート

 13日(日)、第199回のオサカベ・ホームコンサートが開催されました。恐らく、今回が夜のホームコンサートの最後になるかもしれません(奥さんは、10月以降のホームコンサートについてまだ決断がついていないようでした)。 最後?を飾るホームコンサートは、「長谷川清司と仲間達によるジャズの夕べ」と題して、長谷川さんのジャズ演奏でした。199回を飾るにふさわしい、にぎやかな演奏で、聴衆は大拍手、盛り上がりを見せました。

 9月17日(日)は、200回記念のコンサートが富士吉田のふじさんホール(富士五湖文化センター)で開催されます。皆さん、参加してみませんか?

壮大なキクイモ(ヒマワリ属) 水彩画作品31:信州青鬼部落の棚田


☆ 2017年08月06日 : 富士山環境美化クリーン作戦2017に参加

 5日(土)富士山をきれいにする会主催の「富士山環境美化クリーン作戦2017」に参加しました。私は個人参加ですが、ほとんどは企業や各種団体による参加でした。開会式などは、メーデーの集まり化と見間違うほどでした。参加者はおよそ1,600人とのことで、大型バス20?台くらいが用意されていたようです。

 ところが富士山5合目は登山客が多く、そこにクリーン隊が入り込み、超満員の賑わいでした。しかし、富士山にはごみはほとんど落ちていません。見つけるのに苦労するほどでした。そろそろ、このような大げさな活動は考え直すべきではないのかなというのが感想です。ただし、私の目的は無料で5合目を散策することだったので、十分に目的を達成することができました。
富士山クリーン作戦 開会式 富士山クリーン作戦 5合目泉ケ滝付近

第4章:化学エネルギーを獲得する経路

 前章で、生物は食物から得られるグルコース(ブドウ糖、C6126)から複雑な化学反応によってエネルギー通貨ATPを産生し、ATPのもつエネルギーによって生命を維持していると述べました。生物の一般的な化学燃料は、グルコース(C6126)という糖質(糖尿病で摂取制限を強要される栄養素でもあります)です。そして、生物は”酸化”という一連の化学反応(”代謝”)により、グルコースからエネルギーを獲得します。

 エネルギー産生反応は、次のような5つの”代謝経路”に従って行われます(発酵や光合成は対象外としている)。
    1.”解糖系”->2.”ピルビン酸酸化”->3.”クエン酸回路”->4.”電子伝達鎖”->5.”ATP合成”
 これらの化学反応は”解糖系”を除いて、皆さんにも聞いたことのある人がいると思いますが、有名なエネルギー生産工場である”ミトコンドリア”という細胞内小器官で行われます。
 
 それぞれの経路は大変複雑で、数行の文章で説明することは不可能です。本著ではすばらしいカラー図を用いて説明していますが、イメージはわかっても、内容をきちんと理解するのはとても難しかったです。とりあえず、少しでもイメージアップ?のために概略を記述します。

  1.”解糖系”では、1分子のグルコースをもとに、10ステップの化学反応によって2分子のピルビン酸が産生されるとともに、2分子のATP等が産生されます。この化学反応は細胞質内で行われますが、以降の反応は”ミトコンドリア”内で行われます。

  2.”ピルビン酸酸化”では、解糖系で産生された1分子のピルビン酸から1分子のアセチルCoAを産生し、この段階で1分子のCO2が放出されます。

  3.”クエン酸回路”では、1分子のアセチルCoAとオキサロ酢酸をもとに、8ステップの化学反応によって2分子のATP、2分子のCO2等が産生されます。この一連の反応はサイクリックな回路となっており、最終ステップではオキサロ酢酸が産生され、循環使用されます。

  4.”電子伝達鎖”では、前の代謝で産生された産物を利用して膜間腔にプロトン(H+)を流し込みます。

  5.最後の処理である”ATP合成”では、作られたプロトン(H+)流を利用して”ATPシンターゼ”というモータータンパク質を回転させ(本当にタンパク質複合体が物理的に回転するようです)、ATPを産生します。
      ADP + Pi + 自由エネルギー ->  ATP + H2

 以上の化学反応(代謝)と産物をまとめると、次式のようになるのだそうです。
   C6126 + 6O2 -> 6CO2 + 6H2O + 32ATP  (* 32分子のATPが産生されている)

 まあ詳細な代謝経路については理解できなくてもやむを得ないのですが、重要なことはこれらの経路が一緒に働いて細胞と生物に”ホメオスタシス”(自己維持的な一定の内部環境)をもたらしているということです。細胞はこれらの経路の調節機構(フィードバック機構)を持っており、最適な稼働を保証しているのです。本書に”糖代謝”(私の最も関心のある”糖尿病に関係している)の話がありましたので、紹介しておきます。

 「ハンバーガーのパンに含まれるデンプンがどうなるかを考えてみよう。消化管で、デンプンは加水分解されて、グルコースになる。グルコースは血流に入り、体全体に配分される。しかしながらその前に、調節のためのチェックが行われる。体の需要を充たすのに十分な血中グルコースがすでに存在しているのではないか?もし存在していれば、余分なグルコースは肝臓でグリコーゲンに変換されて貯蔵される。もし食事によって十分なグルコースが供給されなければ、グリコーゲンが分解されるか他の分子が糖新生によってグルコースに返還される。以上のような制御の結果、血中のグルコース濃度(血糖値)は一定に保たれる。グルコースの相互変換には多くの反応が関与し、こうした反応は酵素によって触媒され、調節ポイントはこれらの酵素であることを銘記してほしい。」

 すごいですね。我々の体は、一連の化学反応の流れによって維持され、しかもその流れが自動コントロールされているのです。さらにその反応はタンパク質である酵素の3次元立体構造によって調整されているのです。驚きですね。ヒトはバクテリアから進化してきたと言いますが、どうしてこんなに超複雑な化学反応で人の体が作られ、維持されるようになってきたのでしょう?不思議!不思議!


☆ 2017年07月31日 : 夏の花がいっぱい

庭の花1 庭の花2 ヤマユリ 収穫野菜

 梅雨が戻ってきました。曇り空と雨の天気が続きますね。おかげで、庭仕事の中休みができて、体がほっとしています。庭には夏の花がたくさん咲いています。トラノオ、キクイモ、ホタルブクロ、クサレダマ、キクザキハンゴンソウ、ヤマユリ、ムシトリナデシコ、ツキミソウ、などなど。園芸店で買った花では、名前の分からない花もたくさんあります。花はきれいでよいのですが、花壇はシカ君に食べられないようにみなネットで囲んでいるので、何か変な感じがします。おかしいな??野菜もたくさん採れ、どこで食べてもらうか困っているほどです。


☆ 2017年07月24日 : 富士山5合目のお中道を歩く

華麗で美しいハクサンシャクナゲ 美しい青紫色のシラビソの雌花 かわいい薄紫色のコメツガの実 雪崩で白骨化したダケカンバ
 22日(土)、富士山科学研究所主催の「自然観察会」に参加してきました。場所は、富士山5合目のお中道(奥庭から5合目駐車場まで)です。ガイドの説明はたいしたことはないのですが、無料で5合目まで上がれるというのが魅力でした。雪崩でお中道が荒れていたのに驚きました。

 驚異の教科書「大学の生物学」の第3弾を掲載します。
オンタデ(イタドリではありません) 可憐なタカネバラ かわいいベニバナイチヤクソウ

第3章:エネルギー、酵素、代謝

 この章の最初で、生物は絶えず化学反応を起こしており、”代謝”とはそのような化学反応の総和であると定義しています。熱力学で出てくる自由エネルギーやエントロピーの話も出てくるのですが、化学の知識がない私にはその意味が十分に理解できません。”代謝”という言葉ですら漠然としていて、私にとってはいまだに?です。

 生物では、エネルギーを獲得し、移動するために分子”ATP”(アデノシン三リン酸)を利用します。これは生物の”エネルギー通貨”ともいわれ、とても重要なものです。すなわち、ATPは加水分解されるときに大量のエネルギーを放出し、そのエネルギーをもって種々の化学反応を促進します。
   ATP + H2O ->  ADP + Pi + 自由エネルギー  (”ADP”:アデノシン二リン酸、 ”Pi”:無機リン酸イオン)
このATPは、ADPに自由エネルギーを与えることによって産生されます。
   ADP + Pi + 自由エネルギー ->  ATP + H2

 化学反応式はまあどうでもよいのですが、生物は食物から得られるグルコース(ブドウ糖、C6126)から複雑な化学反応によってエネルギー通貨ATPを産生し、ATPのもつエネルギーによって生命を維持しているということです。活発な細胞は、その生化学反応を維持するのに毎秒数百万個のATP分子を必要とするということです(活発でない細胞ももちろん生化学反応をするためにATP分子を必要とします)。そして、ATP分子は、平均して合成されてから1秒以内に消費されるそうです。安静時に、平均的な人は1日当たりおよそ40kgのATPの合成、加水分解を行い、このことは1個のATP分子が合成、加水分解のサイクルを毎日1万回繰り返していることを意味するのだそうです。ヒトのおよそ40兆個の細胞は、ATPという分子を利用して、休むことなくしかも規則的にエネルギーを産生し、消費しているのですね!すごいですね!驚きですね!細胞に感謝!感謝!

 ところが、生化学反応を進めるには”酵素”が重要な役割を演じます。”酵素”という言葉は大抵の人が知っていますが、酵素は化学反応の速度を速める触媒の役割をする”触媒タンパク質”です。この酵素(タンパク質)の働く仕組みが、あっと驚くような絶妙な仕組みとなっています。ここで詳細を述べることはできませんが、酵素は特定の(”特異的”という)反応物(”基質”という)と物理的に結合し触媒作用を行いますが、その”特異性”は反応物の三次元構造によって決定されているのだそうです。また、酵素の触媒を有効にしたり、阻害したりする調整作業も、分子の三次元構造によって管理されているとのことです。本著では、このような作用をカラーの図解で分かりやすく?解説しています。

 エネルギー通貨ATPや酵素による生化学反応の調整など、その仕組みの複雑さ、巧妙さにはただただ驚くばかりですが、さらには生物はバクテリアから発生し、なぜ?どうして?このような仕組みを作り上げ、進化してきたのかを思うと、私には不思議で不思議でしょうがありません。無神論者の私でも、神があるときエイヤーッと生命の仕組みを創造したのかと思ってしまいたくなります。


☆ 2017年07月17日 : 野辺山の電波(ミリ波)望遠鏡

 先週末は、八ヶ岳山麓の野辺山の電波(ミリ波)望遠鏡施設を見学し、スケッチをしてきました。チリにあるアロマ電波望遠鏡群もそうですが、電波望遠鏡も壮大な大人のおもちゃのように思ってしまいました(私だけの感想なのかな??)。そこに集う”学者”先生達は、象牙の塔の中できっと”宇宙”を楽しんでいるのでしょうね。

 天文学の宇宙とは全く関係ありませんが、我が家のキュウリが大豊作で、二人だけでは食べきれません。近くのおうちに配達をしましたが、それでも、週末の我が家の食卓はキュウリが毎回並ぶほどでした。


豊作のキュウリとインゲン 水彩画作品30:白馬岩岳山頂


☆ 2017年07月10日 : 驚異の教科書 「大学生物学」(2)

 8日(土)、第198回オサカベホームコンサートがありました。200回まで、あと2回と迫りましたね。刑部さんは待ち遠しくと、興奮しているようにも感じられます。チケットをまだ購入されていない方は、急いで連絡してあげてください。今回のコンサートは、「歌とピアノの夕べ」と題して、ソプラノ工藤夏子、ピアノ菊地原冴子による歌とピアノ演奏でした。ショパンやシューベルト、モーツアルト、メンデルスゾーンなどの比較的聴き慣れた曲が多く、とても楽しむことができました。


 それでは、6月26日に続いて、驚異の教科書「大学の生物学」の第2弾を掲載します。
水彩画作品29:川のある風景(模写) 野辺山の電波(ミリ波)望遠鏡

第2章:ダイナミックな細胞膜

 前回も少し触れましたが、”細胞膜”は単なる風船のような”膜”ではなく、細胞が細胞機能を働かせるための驚異的な機能を持った”生体膜”です。生体膜は”リン脂質”という脂肪酸鎖が二重に並んだ”二重層”からできています。そして、その膜にいろいろな機能を持ったタンパク質が埋め込まれており、細胞膜を通して生体に必要なイオンや分子などを往来させているのだそうです。また、二重膜の間は流動的であり、かの有名な”コレステロール”分子もこの膜の間に存在しているそうです。

 多細胞生物は、当然多くの細胞から構成されているわけですが、同一の機能を持つ細胞が集まって”組織”を構成します。そのような場合、細胞は周囲の細胞と接着することになります。細胞接着には3種類あり、隣接細胞と物理的に密着させるだけでなく、隣接細胞と細胞間情報の伝達をしたりする機能をももっているそうです。

 細胞外と細胞内の物質輸送の方法はいくつかあるそうで、大きく分けると、エネルギーを必要とせず、物質の外と内の間の濃度勾配による輸送(細胞内から細胞外とその逆方向)と、化学反応によって産生されるエネルギーを使って物質を細胞内に取り込む輸送とがあります。以前、私の母が倒れて入院したとき、医師から「倒れた原因ははっきりしないが、カリウムイオン濃度が異常である」と言われたことがありましたが、当時は何のことかわからなかったのですが、今にして思えば、おそらく細胞内と細胞外のカリウムイオン濃度の調整がうまく制御できなくなって、何らかの体の不調に繋がったのかなと、考えています。

 もう一つは、単なる拡散ではなく、キャリアータンパク質と呼ばれる膜たんぱく質による物質の輸送です。これは、私が今苦しんでいる”糖尿病”と関係しているようです。すなわち、細胞のエネルギー源である”グルコース(ブドウ糖)”は”グルコース輸送体”というキャリアータンパク質によって特異的に取り込まれ、そのときかの有名な”インスリン”が取り込みの手助けをするのだそうです。私が服用している糖尿病の薬には2種類ありますが、一つはインスリンの分泌促進用薬(膵臓のβ細胞に働きかける)であり、他方はグルコース受容体タンパク質にグルコースの取り込みを働きかける薬です。こんなことが最近になって少しわかってきました(正確な記述ではありません)。

 かなりラフな記述で、正確性を欠きますが、細胞膜をきちんとこの場で記述するのは困難なほど、細胞膜はあっと驚くような仕組みで生命活動に携わっています。本当に生命体はうまく作られ、運用されていて、感嘆の声を挙げざるを得ません。


☆ 2017年07月03日 : 初夏の花が咲きました(2)

 初夏の花が真っ盛りです。ヤマボウシはいまだに全開。きれいですね。見とれてしまいます。スイカズラ(ツル性植物)の花が強烈な香りをあたりに漂わせます。うっとりする香りです。

 ヒメシャラの花が数輪今年も何とか咲きました。可憐な花です。それに比べ、ウツギとイボタノキは白い花をたくさんつけ豪華に咲いています。見る者を圧倒する白さです。ヤマアジサイも豪華さはないですが、可憐できれいです。

 以上が初夏の白い花ですが、白以外にはヤマオダマキ、ムシトリナデシコ、シモツケ、コウリンタンポポなども咲いています。うれしくてたまりません。



美しいヤマボウシ 強烈な香りを漂わせるスイカズラ
ようやく咲いたヒメシャラの花 豪華に咲き誇るウツギ ウツギに優るとも劣らないイボタノキ 清楚なヤマアジサイ
ヤマオダマキ ムシトリナデシコ シモツケ


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