山中湖の近況報告12      更新日: 2002年08月04日
*** DELETE PICTURES (2010.09.01) ***

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☆  可憐な富士の素顔: 2002年06月29日  

29日は、富士桜山麓探偵団の活動日でした。雨で流れるかと心配したのですが、当日は曇り空となり、実施されました。当初の目的地は、富士7、8合目の牛ケ窪の溶岩地帯で、富士山の高山植物を観察する予定でしたが、午後からの天候が不安ということで、5合目の御庭付近(駐車場からお中道、さらにその上の標高2500m位まで)を散策?することになりました。

麓を出発したときは曇り空で、途中からは深い霧におおわれ、視界は10m以下といった天気でしたが、4合目を過ぎると雲の上になり、突然富士山が姿を現しました。遠くは、八ヶ岳や南アルプス連峰も見渡すことが出来ました。感激でした。
北アルプス、南アルプスのお花畑とは比較にはならないかもしれませんが、火山レキの山麓にもたくさんの高山植物ががんばって咲いていました。
樹木では、カラマツ(ハイマツのように低い)、ミヤマハンノキ、ダケカンバ(これも大きくない)ミヤマヤナギ、オオバスノキ、ウスノキなどが、厳しい冬を耐え抜いて、生育していました。シラビソやオオシラビソは限界のようです。

雲の上の富士山の雄姿 コイワカガミとイワヒゲ
コケモモが木の下に隠れるようにたくさん咲いていました。それから初めてコイワカガミ(サクラ色の花)とイワヒゲ(白い壷の花)を見ました。これらは、厳しい環境に耐えるために、割れ目火山の斜面にひっそりと咲いていました。
富士山にはお似合いのオンタデが素敵でした。可憐なフジハタザオが群落しているのには驚かされました。その他に教わった花は、メイゲツソウ、イワツメクサ、ミヤマオトコヨモギ、ミヤマミミナグサなどです。また、白いミヤマハナゴケやスナゴケなども観察できました。


オンタデ イワツメクサ

☆  しっとり、青木が原樹海: 2002年06月15日  

6月の山麓探偵団は、梅雨の季節の青木が原樹海でした。前日のよるは大雨でしたが、朝型には雨も止み、曇り空の一日でした。今回は、精進登山道口から入り、途中の’下り山’まで、ほとんど標高差のない登山道をのんびりと散策しました。樹海の中は、前日の雨のせいか、溶岩の上のコケが生き生きとしており、しっとりとした雰囲気を漂わせていました。広葉樹の葉も若々しく、ときどき射す太陽の光で照り輝き、林の中を明るくしていました。
樹海の中の花は多くはありませんが、コアジサイ(白い散房花序)、ギンリョウソウ(やや透明な白色)、ウメウツギ(やや大きい白い5弁花)、エゴノキ(白い花)などが見られました。その他にも、イワセントウソウ、ヒトツボクロ、マルバイチヤクソウ、ミヤマナルコユリなどの珍しい花も教わりました。
ウメウツギ ヒトツボクロ

☆  静寂、明神峠・湯船山: 2002年06月08日  

三国峠の反対側、小山町に湯船山があるのはご存知ですか?明神峠というところから片道1時間弱で行けます。朝は、山中湖側は快晴だったのですが、三国峠を超えると、曇り空で、山には霧が出ていました。標高1041mのこの山は、バスの便もないためか、あまりハイカーも訪れず、ひっそりした山ですが、ブナの林もあり、散策にはよい山でした。この山はサンショウバラが群生しており、5、6mはあると思われる大きなサンショウバラの木がありました。また、林縁にはフタリシズカが群生して、見事でした。そのほか、ヤマツツジ、ハンショウズル、キンラソウ、スズムシソウ、ヨツバムグラ、ザリコミなどが花を咲かせていました。
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昨年の秋(10月)、このホームページで取り上げた’山中湖の権利’について、最近の状況を報告します。5月の4日に久しぶりに課ニューをしようと思い平野湖畔に出かけたところ、民宿’芙蓉荘(長田)’が県から委託されて管理している?という湖岸の区域が、昨年と同じく、車が入れないように鎖がつけられていました。それで、山梨県水産課に、調査依頼と芙蓉荘(長田)への指導をお願いしたところ、いろいろと経緯があったのですが、最終的には以下のような回答がありました。
調査結果
当該地区は平野区(天野傳長他93名)の所有地です。山梨県が芙蓉荘(長田氏)に管理委託したものではありません(注釈:昨年の報告では、芙蓉荘が県から委託され管理している)。前回鎖と鍵を設置したのは芙蓉荘(長田氏)でしたが、今回は平野区です。ただし、設置場所は前回と同じです。漁協が鍵を持っている事については、当該地先の左側(南側)に漁協の施設があり、そこに行き来するに他に道がないからです。鎖設置は単に車を制限しようとしたもので、人を排除しようとしたものではないとのこと。平野区は芙蓉荘関係の車も入ってもらいたくないと言っています(注釈:現在も芙蓉荘が鍵を持っているのでしょうか?何となく話しが変ですね)。平野区が鎖を設置した理由は、1.県内外から訪れた観光客がゴミを捨てて買えってしまった、2.区民が清掃を行なっているが、ゴミ捨ては減らない、3.区有地の環境を守るため止むを得ず鎖を張った。観光客がゴミを捨てなければ鎖を張ることはない(県担当者の見解:「観光客のモラルの問題です」)。
調査結果は以上でした。私としてはいろいろと不満もあるのですが、とりあえず人は入ってもよいということなので、これで収めました。皆さんで何かご意見がありましたら、ご連絡ください。==> 
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☆  風薫る、富士五湖: 2002年06月01-02日  

今週は、友人ら8人と西湖でキャンプをしました。天気に恵まれ、さわやかな5月の風(実はかなりの強風で、タ-プが飛ばされそうになりました)が吹く湖畔でのキャンプとなりました。最近はキャビンを借りてのキャンプでしたので、テントを張って、そこで寝るというキャンプは久しぶりでした。気温もそう下がらず、夜もシュラフだけで寒くはありませんでした。
おじさんたちが(若い人も若干おりましたが)、焚き火を囲み、料理を作って、飲み、食い、談笑するのは、とても楽しいものですね。もちろん?以前(4月27-29日)に紹介したダッチ・オーヴン料理もやりました。ただし、ロースト・ビーフに初挑戦したのですが、どうもチャーシューのような出来上がりとなってしまいました。再挑戦を!!

2日、キャンプの解散後、天神山付近の弓射塚(1566m)の麓にある’氷池白大龍王’という所へ一人で探検に行ってきました。この氷池は、鳴沢村のパンフレットには、次のように書かれています。
「昔ここから’白雲がものすごい勢いで富士山に昇天していって、跡は冷気の漂う氷の池と化した’という言い伝えがあります。すり鉢状になっている噴火口には常に水がたまっており、その水が水蒸気となって点に舞い上がる・・・・。こんな様子が’白い龍’が空に昇るような姿に見え、神を感じたのでしょう」
氷池への道標はいっさいないため、道路からの入り口がまったくわからず、感で当たりをつけて山道に入りました。途中までは、植林工事をしているため道が広いのですが、すぐに踏み跡程度の道になってしまい、方角を見失ってしまいます(そもそも目的地の方角もよく判らないのですから)。2、3度あちこち試し、諦めかけていたところ、偶然にも氷池の噴火口(直径50mくらいでしょうか?)の淵を発見することができました。感激してしまいましたが、そこからが大変でした。
噴火口の底までは、30から40mくらいでしょうか。辺りは樹木で覆われやや暗く、溶岩の上はコケで覆われており、道といえるようなものはありませんでした。ただ、急な崖を降りるというような感じでもなく、なんとなく人が通った後がありましたので、勇気を絞って降りてみることにしました。慎重に降りたのですが、ちょっと滑って、擦り傷を負ってしまいました。

火口底は木々とシダ、コケに覆われ、静寂な神秘の緑の洞穴という感じでした(雪が少し残っていました)。一人のため、静寂をゆったりと味わうといったような気持ちにはなれず、写真を撮って、すぐに戻り始めました。登りでも、道がはっきりしていなかったため、方角をやや誤り、最初の火口淵と違ったところに上がってしまいました。周りは遠くが見渡せない森の中なので、あせってしまいましたが、何とかヤブ漕ぎを繰り返し、最初の淵を探し当てました。ほっとして、先ほど来た道を戻りましたが、ここでもまた道を何度か見失い、ようやく出た道路は、登りはじめた道路とはやや違った所という顛末でした。ちょっとばかり危なかったですね!!(皆さんも、樹海の単独行は避けましょう!!)

☆  ミズキ、咲き誇る: 2002年05月26日  

富士山麓は、ミズキが、大きな手を広げて、白い花をたくさん咲かせています。ミズキの花は、一つ一つは小さいのですが、ミズキの大きな手の上でたくさん咲かせるので、とても華麗かつ豪快に見えます。昔の私は、ミズキそのものを知らなかったので、まったく気づくこともありませんでしたが、最近は、初夏の頃に、山麓のあちこちで咲き誇るミズキがとても好きになってしまいました。
ズミの白い花を見ようと’みさき’へ行きましたが、今年も満開のズミを見ることが出来ませんでした。今年は春が早かったので、ほとんど咲き終わっていました。これで3年連続満開のズミを見ることが出来ませんでした。来年こそ!!
湖畔には、4月6、7日で報告した白鳥が、4羽の子供を従えて、のんびりと泳いでいました。子白鳥の羽はまだ灰色でした。近くで写真を撮ろうとすると、親鳥から威嚇されました。この白鳥家族に幸ありますように!!

先週見たアツモリソウがまた見たくて、今週も三つ峠の麓に行ってみましたが、おそらく人工受粉のためか、まったくありませんでした。1株だけ、咲き終わったようなアツモリソウが見られただけでした。また、近くのサイハイランも探したのですが、これも見付からず、ややがっかりでした。

☆  林床、騒ぐ: 2002年05月18日  

今週も、もう梅雨入りしたのではないかと思われる、ぐずついた天気が続いています。18日は、富士桜探偵団に参加し、西桂町の里山(三つ峠の麓)を散策しました。林床にはたくさんの花が咲いており、めずらしい花も観察することができましたので、ここに紹介します。
今回のハイライトは、何といってもアツモリソウです。現在、アツモリソウは絶滅の危機に瀕しており、希少野生動植物種に指定されています。西桂町(三つ峠の草原植物を愛する会)では、1996年よりアツモリソウの復元に努めており、今年から花が咲き始めたのだそうです。この日は、咲いている花は1輪だけでしたが、そのあでやかな姿に魅了されてしまいました。「愛する会」の努力に拍手したいと思います。

オオバウマノスズクサのユニークな姿には思わず笑ってしまいました。サクソフォーンをひっくり返したような形をした茶色の花が、つるにぶら下がっていました、自然の造形の多様性にあらためて感嘆しました。
ミヤマナルコユリは、葉の腋から白い小さな花をたくさんぶら下げていました。この小さなベルにも、思わずにっこりとさせられました。

アツモリソウ オオバウマノスズクサ ミヤマナルコユリ
続いて見たのが、ギンラン、キンランの可憐な花です。早く見てみたいと思っていた花が、思いがけず同時に見ることができ、感激しました。ササバギンランは白い花で、ちょっと見付けづらいのですが、その可憐な姿にはうっとりとさせられてしまいました。花は全開せず、半開のままで終わるのだそうです。
ギンランは、暗い林床のなかできらりと光って見えます。ちょっと表現が悪いようですが、草原の中で小さな金貨を見付けたような思いでした。それにしても、自然の創った造形物には驚嘆させられますね。
ちょっとタムラソウに似た紫の花をつけたキツネアザミが咲いていました。ただし、これはアザミではなく、キク科だそうです。

ササバギンラン キンラン
ブルーのホタルカズラもとてもきれいでした。暗い林床の中でひときわ目立っていました。実は最近まで、ツルニチニチソウをホタルカズラと間違えており、ホタルカズラとはどんな花かと思い悩んでいました。それをここで発見し、飛び上がる思いでした。
テンナンショウもたくさん咲いていましたが、種類が多く(アオノテンナンショウ、ミミガタテンナンショウ、ウラシマソウ・・)、私にはどれがどれだかよくわかりませんでした。
花の終ったヒトリシズカが咲いていましたが、葉が大きく、教えられるまで判りませんでした。フタリシズカはまだ花をつけていました。
ナガバノスミレサイシンも、春先の花の様子とはまったく違い、大きな葉だけが残っていました。これらは教わらないとまったく判りませんね。
ホタルカズラ テンナンショウ

その他に見られた花は、カシワバハグマ(白い花)、チゴユリ(花は終って、小さな実がついていた)、ワニグチソウクモキリソウ(小さな緑の花)、ヒメハギ(小さなピンクの花)、サイハイランなどでした。でも、もうどんな花だったか忘れてしまいそうなものもあります。
花をつけている木では、ミズキの白い花とウツギの白い花が素敵でした。ただいつも思うのですが、ミズキは遠くから山を眺めたときにはとてもりっぱに見えるのですが、花が葉の上に咲くので、下からはよく見えず、山を散策するときは見落としがちで、やや残念に思っています。
最初、コゴメウツギと思っていた木が、ユキノシタ科のザリコメという木だと教わりました。自然界ではほんとうにまぎらわしいものが多くありますね。
早春に花を咲かせるキブシの葉を教わりました。葉が出る前に花を咲かせる木々は、花が終るとほとんど判別できません。アブラチャンも最近葉の形を覚えることが出来ました。
18日夜には、オサカベ邸ホームコンサートがありました。今回の演奏は、社会人のアマチュアビッグバンド”スイングフォレスト”
によるジャズ演奏でした。狭いホールに、17名のバンドマンが入り、聞き応えのあるジャズを演奏してくれましあた。私にとって久しぶりのジャズ演奏で、激しいリズムに思わず体が揺れてしまいました。なお、次回は50回目の記念コンサートが開かれます。

☆  山、しっとり: 2002年05月10-11日  

連休明けからは天気がぐずつき気味で、空はすっきりしません。10日は、朝に山中湖に入ったのですが、小雨でした。友人3人が遊びに来ていたので、久しぶりに青木が原樹海に出かけてみました。精進登山道と開拓道路とが交差する入口に着いてびっくり仰天、大型観光バス4台が、道路脇に停車していました。中学生の「修学旅行」で、富士風穴の洞窟体験ツアーとのことでした。若い人達が自然と親しむのは大いに結構かと思いますが、それにしても一度に百人以上の大勢で富士風穴に入るとなると、「自然破壊」そのものではないかと思います。

何となくやり切れない思いでしたが、我々も富士風穴とブナの林に入ってきました。風穴内は床は氷でたいへん滑りやすくなっていました。氷筍は皆崩れたようで、高さも30cmを超えるものはありませんでした(大きな氷柱1本が目立ちましたが)。大量に人が入ったせいかどうか分かりませんが、風穴内の環境の変化によるような感じがしてたまりません。
ブナの林は、雨で残念でしたが、それでも新緑がとてもきれいで、ゆったりとした気持ちになることができました。

 11日は、山麓探偵団の参加を予定していたのですが、前日雨の心配があるということで中止となってしまいました。ところが、当日の朝は雨も止み、日差しも少し出たので、須走5合目まで行き、幻の滝を見に行くことにしました。

須走の5合目付近はもう雪はまったくありませんでした(例年はまだ残雪が見られます)。富士山の5合目以上は、もちろん雪渓が残っておりますが、青いキャンパスの上に、白のハケでさっと描かれたように、青と白のコントラストがとてもきれいな富士山でした。植物ではスゲが出ているだけで、他は枯草だけでした。幻の滝(左写真)にも出遭え、早春の富士5合目をたっぷりと味わうことができました。
 *ここでも、およそ20名くらいの植物観察グループが、幻の滝見学に来ておりました。




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