Bon Voyage! HOMEMOVIE REPORT > 1997年10月

「ボルケーノ」
ミック・ジャクソン監督、トミー・リー・ジョーンズ、アン・ヘイチ、ギャビー・ホフマン
★★★☆

ロサンゼルスの真ん中で火山が噴火するというお話。地震の多いとろだから、ありそうかも。この種の天災映画ではお約束のSFXは、よくできてます。音響で体感する地鳴りとか。

しかし、問題は危機に直面した人間たちのドラマの方。自己犠牲をいとわない、献身的な人たちが、ロサンゼルスを救うために涙ぐましい努力をするわけですが、人間描写が薄っぺらいものだから、どうもあざとく見えてしかたがない。それでも、阪神大震災とか、地下鉄サリン事件の時のことを思い出すと、胸が打たれます。村上春樹『アンダーグラウンド』に出てくる地下鉄職員の方のお話の方が、ずっと迫真的でした。

「コンタクト」

ロバート・ゼメキス監督、ジョディー・フォスター、マシュー・マコノヒー
★★★★☆

地球以外にも知的生命体はいるのか? その探査に打ち込む女性科学者エリーに、ジョディー・フォスター。熱演です。予算をカットされてもめげない。電波望遠鏡の使用期限を切られても、一人でつづけると頑張る。やがて、ついにContact(接触)の瞬間がやってくる。

メッセージは明瞭で、実に感動します。We are not alone.という言葉が真実味を帯びます。単に映画にとどまらない、深い思索を感じます。とくに宗教と科学の対比が繰り返しでてきますが、コンタクト自体が神との出会いの比喩のように思われます。

原作はカール・セーガン。この秋のおすすめです。

「フィフス・エレメント」

リュック・ベッソン監督、ブルース・ウィリス、ミラ・ジョヴォヴィッチ、ゲイリー・オールドマン、イアン・ホルム、クリス・タッカー
★★★☆

「グラン・ブルー」「ニキータ」「レオン」のリュック・ベッソンが大型SFに挑む。しかも主演はブルース・ウィリスで、フランス映画がハリウッドに殴り込み、といろいろ話題に。音楽にはエリック・セラ、衣装デザインはジャン・ポール・ゴルティエとフランス文化界の才能を結集。謎のヒロインにはスーパーモデルのミラ・ジョヴォヴィッチ、悪役には「レオン」につづいてゲイリー・オールドマン。

23世紀を舞台にして、エジプトの神官の伝承を頼りに、あらゆる生命体を消すという邪悪な物体に対抗する。風、土、水、火の4つの要素を統合する至高の存在「Fifth Element(5番目の要素)」とは一体何か?

映像は素晴らしいです。空中を車が飛び交い、そこに、女が飛び降りるシーンなんか、息を飲みました。アクションシーンもよくできてます。

しかし、ストーリーに無理がある。なんで偶然タクシーに落ちてきた女を警察に追われてまで助けるのか? 百歩譲ってそれが個性だとしても、彼が特殊部隊のただ一人の生き残りで、4つの石を受け取る任務につくなんて都合が良すぎる。

それでも、ユーモアはよく効いていて(フランスだからエスプリか?)、筋がどうのこうの言う前に映像で圧倒するところは、さすがベッソンです。本筋以外にもラジオ番組のパーソナリティや、声だけの母親役など、楽しい演出が盛りだくさん。


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Text by (C) Takashi Kaneyama 1997