Bon Voyage! HOMEMOVIE REPORT > 1997年12月

「セブン・イヤーズ・イン・チベット」
ジャン=ジャック・アノー監督、ブラッド・ピット、デビッド・シューリス
★★★☆

登山、戦争、チベット、家族。身重の妻を置いてヒマラヤに行って、戦争がはじまって捕虜になって、脱走して、登山のパートナーとはけんかして、ここまではブラピはちょっといやな奴ですね。チベットに入ってダライ・ラマに会ってから、彼は変わっていきます。たしかに数奇な運命を主人公の登山家ハインリヒ・ハラーはたどるわけですが、結局これは一種の魂の目覚めを描きたかったんでしょうね。チベットはいまだに中国でもめごとのたねですが、そのわけはこの映画でよくわかります。でも、あまりにダライ・ラマがかっこよすぎて、あざとい感じも。とにかく、可愛い少年でなおかつ、チベットのリーダーとしての風格がある。中国の将軍へのスピーチなんか、泣かせます。これでは、中国国内では公開されないだろうな。

映画のスケールが大きいわりに、ちょっと焦点がぶれがちなのが残念。骨格がよすぎて血がめぐりきらないというか、壮大な歴史のなかでハラーとダライ・ラマとの心の交流を浮かび上がらせる意図は明瞭なんだけど、そのために妙にこぶりな映画になってしまったかな。はあんまりあげられないけど、心に残るいい作品です。

「エアフォース・ワン」
ヴォルフガング・ペーターゼン監督、ハリソン・フォード、ゲイリー・オールドマン、グレン・クローズ
★★★
大統領専用機エアフォース・ワンがハイジャックされるというとんでもない設定。このワン・アイデアだけで、ストーリーを持たせているといっても過言ではない。冒頭の特殊部隊の潜入・拉致作戦からハイジャックまでが早い。その後もなかなか気の利いた展開で二転三転する。サスペンス溢れるジェットコースター・ムービーとしてはいいです。ちょっと無理な筋もあるけど。役柄としては、グレン・クローズの副大統領が背筋が伸びてかっこいい。「マーズ・アタック!」ではレーガン夫人のシャンデリアで死んじゃう大統領夫人だったし、「101」ではダルマシアンの皮を狙う女だったけど、実はやっぱり実力派だったんですね。それにして、大統領を守るために実に多くの人が死んでいくのはなんだか切ない。大統領さえ無事だったらそれでいいのか? 
「バットマン&ロビン/Mr.フリーズの逆襲」
ジョエル・シューマッハー監督、ジョージ・クルーニー、クリス・オドンネル、アーノルド・シュワルツェネッガー
実にくだらない。劇場で観たら激怒してましたね(イタリア帰りの機内で観ました)。コミックでももっとリアリティがあるぞ。アクションも人間ドラマも低レベル。信じられないぐらい脳天気。あまりにもあまりなご都合主義。ああ、頭痛がしてきた。


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Text by (C) Takashi Kaneyama 1997