考察”広葉樹発電”

かねてよりグリーンウッド氏は広葉樹発電を提唱してきた。かっての職場OBのサークルRoundtable21の各位にチェックしてもらったところ、にしのさんとまえじまさんから質問とコメントをいただきました。その後弁慶農園の冨田さんと小学館の広瀬さん、それとNPOの曽根原さんからも大変貴重な情報がよせられましたのでポイントをご紹介します。私の提案はいずれわが国の林業が必然的にたどるであろう姿ではないだろうかと想像したものです。北海の原油生産が山を越えましたし、中国は躍進してますので意外にはやく、こういうことがはじまるのではないかという予感をもっております。

にしの::オンサイトチップ化作業車の開発が事業の成否を制するのではないでしょうか?それにマキ燃料エンジンは理論的には可能でしょうが面倒なのではないか?

グリーンウッド: オンサイトチップ化作業車の開発が事業の成否を握るというのはご指摘の通りです。えてして新規技術の開発には巨額な資金が必要で失敗のリスクもともないます。そこでいきなり新規開発するより、既存の技術を転用するのが賢いとおもいます。欧米で使われている森林機械を使うにはどこをどう変えればよいか考えてみましょう。

日本で欧米式の大型森林機械が採用されないのは日本の山林の大部分が高斜度であるためではないかと弁慶農園の冨田さんはおっしゃっております。欧米では下図のように30度位の斜面に対処できる伐採機が使われております。アーム先端に装着するハーベスタヘッドは既存技術を転用します。切断位置を調節するためのローラーを持ち、チェーンソーで切るものです。ここだけ欧米のメーカーから輸入します。

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フィンランドのAFM社のハーベスタ

日本の山地に多い45度の高斜度にも対応できるようにするにはキャタピラ2個を前後に連結した構造にすればよいでしょう。前部は市販されている森林機械そのままで、これが急斜面で転倒しないように幅広のテンダーを連結する方式が実現性がありそうです。前後のキャタピラはそれぞれかじを切れ、斜面の形状に沿うようにキャタピラが曲がるようにします。もちろんエンジン、クレーンアーム、操縦席はユニバーサルジョイントと油圧シリンダーで常時水平にすることも含め、欧米の既存技術の組み合わせですみますから技術開発のリスクも少ないと思います。日本の土建機械メーカーなら喜んで作ってくれるでしょう。キャタピラの幅を広くとっても斜面に横向きでは横倒しになってしまうので、もっぱら斜面に沿って縦にまたは縦に近い角度をもって上下道することになると思います。

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高斜度伐採機

切り取った大枝は小枝をつけたままスキッダーでまとめて斜面を下の林道まで引きずりおろします。

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スキッダー

引き降ろされた枝はすべてここでチッパーにかけてチップ化し、林道経由バイオマス発電所にトラック輸送することになるでしょう。

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チッパー

マキ燃料エンジンをオンサイトチップ化作業車のエンジンに採用するとしたのは石油が枯渇した次世紀でも森林資源だけで森林資源が利用可能ということを証明したかったからです。石油が使える現時点では石油燃料エンジン搭載の既存の森林機械採用とすべきでしょう。

にしの:適地としては「全般的に緩斜面であること(急斜面は少ない)」ということを条件があるのではともうしましたがこれは作業機械の複雑化や作業性の劣化だけではなく、急斜面の森林はもともと土壌の養分が流出しやすい(降水に起因する地表水が多い)ので、伐採すると土壌条件が悪化し、元の条件を維持できなくなるからです。結果 して土砂崩れの原因にもなります。四手井綱英著「森の生態学」−森林はいかにしていきているか、BULUE BACKS(S51.10.31)\520の記述から得られた推論です。また、同書には「皆伐人工造林では一伐区を小面積化し、伐期の長期化を計る必要がある。またなしうる限り、非皆伐作業といわれる、単木的なぬき伐り(択伐)、小群状のぬき伐り(劃伐)に伐採技術を変え、現植生のかく乱を最小限度にとどめて、木材を生産する努力をしなければならない。」とあります。落葉広葉樹だけでなく常緑広葉樹、針葉樹も含めた緩斜面森林の、択伐や劃伐のでる作業機械ができれば、森林の健全性と美観を同時に守れるので、コストは別にして一番欲しいもののように思いました。

グリーンウッド:おっしゃるとおり急斜面ではどんな森林機械を使うにしても生産性が低下しますので、斜度には限度はあるとおもいます。

落葉樹林の択伐という構想は植林をしないで放置するといういままで日本の林業者が考えてもいなかったものですので日本の主流の林学者の本には書いてないと思います。森林昆虫学者の西口親雄氏の本からコナラ、ミズナラ、クリ、ヤマザクラ、アオハダ、リョウブ、エゴノキ、クワなどの落葉樹はいずれも切り株から萌芽する木であるということを学んだ私の当初のアイディアは切り株から自然発芽する落葉樹に限定してました。しかしAmerican Hardwood Export Councilによれば「米国の広葉樹林は、広葉樹林は東部の州に集中しており、肥沃な土壌、そして生育条件に恵まれているため、自生種による天然更新を、最も効果的な造林方法だとしている。伐採が終わると地中の天然の種子から盛んに発芽がみられ、伐採した後の切り株から新芽も出てきます。したがって天然更新にとって最高の成果を生む要因が何であると森林官が考えて伐採方法の選択をしています。」と書いてあります。広葉樹林が実生で二次林が再生するのであればなにも落葉樹に限定することはありません。すべての広葉樹をエネルギー植物の対象にすればよいわけです。タイトルも初期の落葉樹から広葉樹に変えました。

日本は戦後、成長速度の遅い広葉樹林を皆伐して針葉樹の植林をしたのですが、輸入材にコストでまけてしまったため農水省もようやく平成13年に森林・林業基本法を改正し、人工林への広葉樹導入による混交林化や複層状態への誘導および森林構成の多様化に取り組むことにしたばかりです。四手井綱英氏の言っているのは針葉樹の皆伐人工造林のことだと思います。人口林はすべて針葉樹です。針葉樹は皆伐すれば根は死んでしまいますので植林しないかぎり土壌流出になります。落葉樹林の枝だけの択伐なら幹と根はのこっており、春になればすぐ小枝が芽吹いて林となります。常緑広葉樹ですら発芽して自然更新しますので土壌の流出は心配いらないとおもいます。日本の学会は広葉樹の研究をずっとしてこなかったので文献は極端に少ないのが現状です。また学会というものは権威ですから異論は摘出されてそだちません。

にしの:昨日の日経新聞の「商品」面に「木材チップー中国需要で高騰懸念」とあり、そのなかで「日本は広葉樹チップを年11,000,000BD(絶乾=水分を完全に抜いた状態)トン、針葉樹チップを3,000,000BDトン輸入する最大のチップ輸入国だ。」とありましたが価格が具体的に出ていなかったので、インターネットで「木材チップ」と入力したら農林水産省の統計情報が見つかりました。以下はそこからの抜き書きです。
日本の平成13年12月31日の木材チップ工場数は2,438工場であった。木材チップの生産量は10,244,000m3であった。原料別生産量は、工場残材は4,881,000m3、素材(原木)は3,890,000m3、解体材・廃材が1,438,000m3、林地残材は35,000m3となっている。また、樹種別生産量は、針葉樹は7,151,000m3、広葉では3,093,000m3となっている。
[参考統計]
木材チップおよびパルプの輸入量(資料:財務省「貿易統計」)平成3年木材チップ13,876,000トン、パルプ2,671,000トンです。
これで見ると国内はm3単位で輸入量はトン単位(BDトン?)であり、換算係数が解らないので、直接的には比較できませんでした。
価格については宮城県林業課のHPから平成14年12月のパルプ向け木材チップの価格は
針葉樹   4,800 円/m3
広葉樹   9,300 円/m3
で、広葉樹の方が約2倍でした。木材チップは燃料としてよりパルプ向けの方が価格が高いのではないでしょうか。

グリーンウッド:日本はものすごい量の木材チップを輸入してます。かって八戸の三菱製紙工場を外からみたのですが我々が建設した水島の石油リファイナリより広くみえる敷地に膨大な量のチップの山を見て度肝をぬかれました。

さて木材の水分含量を50wt%とすれば、日本のチップ全輸入量の年14,000,000BDは年28,000,00トンとなります。木材チップの国内生産量の年10,244,000m3は木材の比重0.5とすれば年5,122,000トンとなります。合計が全消費量とすれば年33,122,000トンです。したがって国産チップの生産量は全消費量の15%ということになります。

小学館の広瀬さんから興味深いお話をうかがいました王子製紙各地に分散して香川県に匹敵する18万ヘクタール(課税評価240億円)の山林を保有していますが、伐採費、輸送費のせいか年間5億円の管理費を払って数%しか利用せず、放置しているようです」とご指摘をいただきました。「ブルータスおまえもか?」の感があります。まえじまさんがかって講談社から出版した山(内容は現在、氏のHP http://members.jcom.home.ne.jp/tetsuom/ で閲覧可能)の本の赤岳のページをみると東海パルプのカラマツ林となってました。まえじまさんに問い合わせると「南アルプス南部は、土地は国有地でも林は東海パルプの私有林と聞いております。あのあたりの山小屋は東海パルプの子会社・東海フォ−レストが経営しています」との回答を得ました。ただこのカラマツ林は谷底の比較的平らなところにあるようです。南アルプスは日本でも造山運動のもっとも激しいところで、結果として雨水による侵食量も大きく、ほとんどの斜面は急峻で、たしかに森林機械が入るのはむずかしいだろうなと感じます。今年、Wakwak山歩会で赤石岳に登山する予定なのでよく視察してこようと思ってます。

私はいままで廃業の瀬戸際の林業を救うための補助金目当てで日本中で話題になっているバイオマス発電から入りましたので。パルプ用の市場は研究の対象としていませんでした。7,100ヘクタールの山林の固定資産税3,000万円を地主に保証し、6,400万円の森林機械の償却、人件費すべて含めて伐採・搬出・チップ化コスト計算してみると山元チップ単価は1,948円/m3となります。40kmmのトラック輸送含めても2,531円/m3です。(詳細は広葉樹発電)従ってにしのさんのご指摘のように広葉樹林をパルプ生産に利用するほうがエネルギー作物とするより採算性はよくなります。落葉樹も広葉樹ですからチップがパルプ用に使えるなら9,300 円/m3ですのですごいことになります。

日本の森林学者の本は沢山よみましたが、パルプ会社がどのような樹種を育てているのか文献がありません。多分利益の源泉のノーハウを発表したくないためかと思っていたのですが、実は何もしておらず米国の林業者におまかせだったということのようです。日本林業はドイツ林学の思想に忠実だと西口親雄氏の本で読んだ覚えがあります。国民の意識も真っ暗なシュヴァルトバルト信仰が強いようにおもいます。個人的には私は英国のオークの林の方が明るくて好きです。日本の林学者や林業経営者が北米や北ヨーロッパの考えを学ぼうとしないのもそのためかもしれません。

でも広葉樹林を放置して自然に育つ混合二次林の利用が本構想のポイントですから、パルプの製造工程に外乱を与えないように好ましい樹種を育成するための徐伐など機械化がむずかしい手法を導入してコストが上がるようでは意味がありません。熱併給なしのガスタービン発電装置に7.3億円追加投資すれば11.7円/kWhで売電可能ですので話を複雑にせずともギリギリ売電できそうなコストになります。

さて落葉樹のナラ材は硬くて日本では建材にはあまり使おうとしませんが、西洋ではオークといわれる高級材で家具用の木材ですのでチップ化せず用材として輸出するとか家具として売るという産業もありえます。ただよいデザインでなければうれないでしょう。こうなると文化のもんだいですね。


まえじま: なぜ植林の間伐材の利用ではなく、広葉樹放置林の大規模利用なのか?

グリーンウッド: 植林の間伐材のバイオマス利用は地方自治体、NPO、林業者、大学が政府の補助金目当てにぶち上げている方策です。渡辺正 林俊郎著「ダイオキシン 神話の終焉」によれば間伐材は科学的にまちがったダイオシキン規制法のため、10,000円/m3の廃棄物処理コストが余計かかることになり、山に放置せざるを得ないことになってしまったのも一因です。所詮、採算性がなく、税収減で補助金も先細りでいずれ下火になるとにらんでおります。バイオマスはオイルショック以来もう30年間もコンサルタントのメシの種を超える存在ではありませんでした。私の広葉放置林の大規模利用は補助金だのみの現在の林業にアンチテーゼとして提言させてもらいました。
まえじまさんのご指摘のように丹沢、奥武蔵、奥多摩、奥秩父の標高800〜1,000m位までの、スギ、ヒノキ、カラマツなどの針葉樹の植林地を伐採し、放置すれば針葉樹は植林しないかぎり再生はせず、広葉樹主体の混合二次林となるでしょう。現在、日本の林業は破綻した状態で植林地は放置せざるを得ません。放置しておけばいずれ針葉樹の植林地は自然に落葉樹との混合林にそして常緑樹へと遷移してゆくでしょう。鎌倉の広町緑地の明治時代の陸軍測量部作成の5万分の1の地図、30年前の航空写真、現状を比較すればわかります。これを欧米で発達した大型森林機械で10年に1回位択してバイオマスにしようというのが私の構想です。トリミングすると針葉樹は淘汰されてしまうとおもいます。10年に1回択伐すれば森林は再生され、人工的にトリミングされた別の自然美がでてくるものと考えます。これがポルトガルでみた風景です。現在のようにトラックに載せて用材としての木材を搬出しようとすればアスファルト舗装の林道を沢山維持しなければなりませんが、大口径ゴムタイヤのスキッダーで垂直に引き出せば林道は最小限にできます。いずれにせよもう日本の林業は廃業同然ですので林道の必要性もなくなり、メンテナンスもできなくなり、観光目的の林道を除き、廃道になるのではないでしょうか。中山間地で林業に携わってきた村も老齢化と過疎がすすみ、観光業も成立しなければ、いずれ消えてしまうでしょう。そうすれば治山・治水のための山間部の土石流止めも不要となるのではないかとおもいす。いま日本の中山間地区ではこのような大きな構造変化がジワット進行しているとおもいます。

まえじま: 欧米で使われている大型の”森林機械”が日本の山を走り回るのはみたくありませんね。

グリーンウッド: まえじまさんが危惧する標高800〜1,000m以上のブナ、ミズナラ、シラカバなどの落葉樹と一部シラビソなどの針葉樹の入った混成林や稀少種となったブナ林などは法律で保護すれば良いのではないでしょうか。私も”森林機械”が白神山地どころか奥丹沢でも”森林機械”が動き回る姿を見たくありません。

調査していてもう一つ意外な発見だったのは米国の林業は大規模で日本の林業は零細と思い込んでいたのですが、American Hardwood Export Councilによれば、「林業が可能な広葉樹林のうち、企業が所有し管理しているのは、11%という比較的小さい面積です。製材会社の大半は、使用する原木の大部分を非常に多数にのぼる小規模な民有林所有者から調達しています。これら零細な民有林が合計で広葉樹林全体の73%を占め、残る16%は連邦政府が国民のために保有経営する国有林であるが、州政府、地方自治体などの公共機関が所有している森林です。ということでした。日本でもなせばなるというはげましのデータです。

にしの: グリーンウッドさんの考えを支持する内容をHPを見つけました。その一部を引用します。「山にも、原生の自然に近い奥山と人の生活する場の中にある里山があり、里山の中にも針葉樹などの人工林と二次林としての落葉広葉樹林があります。以下の埼玉県児玉郡の林業家、大森耕介(仮名)さんのお話で了解していただけると思います。
荒れた山をなんとかしたいんです。自分の山(針葉樹林)はかなり大きく育っています。大木の森には人知を超えた何かがいる気がするんです。それがあってゴルフ場にすることに反対しました。そのことで山を売れなかった周りの人の山にも責任を感じ ます。自分の山だけ手入れをしていても荒れる一方の山を見ていると虚しさを感じます。それで、森林組合に作業班を作って、人を育てようと思ったのです。それから7年ほど、若い後継者が育ってきています。黒木(杉、ヒノキなどの人工林)は50年程度で皆伐するなんてとんでもないことです。50年はまだ義務教育が終わったぐらいです。間伐を繰り返して大木にしていくことこそ目指さなければなりません。若い木を皆伐すると根張りが充分でなく、土壌が流出して、山が崩れ、回復するのに何百年もかかることになります。50年以上の木は黒木でも、切っても隣の木から根が養分をもらって、形成層が生き続けるから、山が崩れることはありません。針葉樹の森のあちこちに、広葉樹が芽を出して、混合林になることも目指したいものです。広葉樹は皆伐を十数年で繰り返していかなくてはなりません(30年以上もたつと萌芽 しにくくなる、その場合は、腰高で切ってやった方が萌芽しやすいです)。陽が当たることで、様々な種類の草や花や虫が生息できるのです。数十年前にはよくタカをみ かけました。伐採して明るくなったところに、うさぎなどが出てきたところを捕獲していました。 
広葉樹はどんどん切って燃料にした方がいいんです。炭ももちろんだが、燃やして発電すればいいと思います。雑木は切っても萌芽し、成長してCO2を吸収するので、燃やして出るCO2と相殺され、CO2は増加しません。一方、鎮守の森、極相林も成長しないのでCO2はプラスマイナスゼロです。ならばCO2を出す一方の化石燃料の代替エネルギーとして、広葉樹を使うべきなんです。」
大森耕介(仮名)氏が実在するかどうかはわかりませんが、話の内容は人を納得させる ものがあります。
以上ご参考までにメイルします。

そねはら:私も、広葉樹のバイオマス活用は利用サイドから見れば、たいへん好都合と考えています。広葉樹は伐採後、古木でなければ、芽は自然にでてくるわけですし、面積あたりの材積は、針葉樹よりも多いですし。

実際、広葉樹のこの性格を利用して、日本では、広葉樹の山林は、薪炭業、つまりバイオマスエネルギー利用してきたわけです。ちなみに、私の住む白州では、昔からこの広葉樹林を、およそ20年サイクルで伐採(局所皆伐)〜エネルギー利用〜生育管理〜伐採(局所皆伐)・・・・このようなサイクルで時間と場所をぐるぐる回して、薪炭等に利用してきました。白州の場合局所皆伐の面積は、およそ0.3ha〜1ha(1,000坪〜3,000坪)ぐらいの規模の範囲ぐらいだと思います。ですから、バイオマスエネルギー利用においては、私もこれに実は目をつけてはいます。その意味で、私自身、山梨県に移住して以来、山林業の動向をみるためにも山林業(薪、シイタケ材販売等)をやってきました。(今は、NPOが忙しくあまり注力できていないのですが・・・しかしそろそろ復活かな!)

ここから本題!バイオマスエネルギー利用をやってきて感じたことなのですが、これは理論的には、これはたいへんよいのですが、しかし、広葉樹をこれに活用していこうとする場合、現実的な大きな壁が実際はあります。この地域だけの問題かもしれませんが。

それは、広葉樹山林が流動化できにくい状況にあるということです。広葉樹は、全般に民有林が多い傾向にあります。そして、その民有林の現在の状態はというと、相続によって、地主が細切れ状態、またその地主が不在地主に・・・、あるいは、不動産会社の手によって既に資産目的に販売、さらに転売、さらに転売・・・・針葉樹林より、広葉樹山林にこの傾向が強いようです。針葉樹は、いなかの人にとっては、ある種、宝だったから不動参会社に手放さなかったからでしょう。

そんなわけで、薪炭利用でまとまった1ha規模ぐらいの山林は、もともとはこのあたりにはたくさん散在していたのですが、今は、これがそんなわけで、小さく分筆されて200坪〜500坪ぐらいの規模に散在し、しかも不在地主の手に・・・・なのです。実際、この土地の細切れ状態と、地主不在には私自身、大いに困りました。私自身、広葉樹の土地の買い付け(土地のウワモノとしての木の買い付けですが)を行ってきたのですがたいへん苦労しました。細切れで、しかも地主はというと、東京といったケースが多く。小さい500坪ぐらいの広葉樹林でも地主が東京、九州、山梨にまたがって、共有しているなんてケースもありましたから。しかし幸いなことに、不在地主は、土地(山林)に対する執着はほとんどの場合なく、時間をかけて法務局等で地主を丹念に調べていき・・・・、というプロセスを経ればそうとうに安く買い付けることはできました。1haあたり買いつけ価格としては・・・0円〜30万円ぐらいでした。0円というのは、こちらに管理さえしてくれればよい、という価格?です。

だからこそ、今回のフォーラムでも提案しました、山林流動化促進制度なのです。不幸中の幸いともいうべきでしょうか、地主の山林に対する執着は農地に比べて低いので、管理促進機関ができれば、その管理をゆだねてくるでしょう。この機関が地域行政の関与があれば、その信用度からみて、なおさら促進されるでしょう。さらにグリーンウッドさんの提案の固定資産税ぐらいをみてあげればなおさら流動化することでしょう。だから私は、この制度が地域行政が関わる形で、明文化された形で導入されれば、広葉樹のバイオマスエネルギー活用は、がぜん現実味を帯びてくるものと思っています。

ところで、今、広葉樹の林はそんなわけで手が長らく手がはいっていないので、そうとうな材積をため込んでいます。針葉樹の比ではない。これもバイオマス利用にとってはありがたいことです。一方、先にも書いたように約40年以上たった古木広葉樹は、自然に芽を出さなくなります。広葉樹に手が入らなくなってそろそろ40年ぐらいになりますのでこの意味では、広葉樹新芽発生危機期にはいるということでしょうか。これらの意味でも、流動化促進制度は、今、必要なのですが・・・

ちょっと余談。私は、現在行われてきている林業をけっこう見てきましたが、はっきりいってこれは産業とよべる代物ではないと思っています。グリーンウッドさんもおっしゃる機械利用もそうですし、そもそも事業マネジメントにしてもそうですし、マーケテイング的にも最悪ですし、食えなくなったのは当然だと感じました。私自身、林業を何年かやってみた感想はといいますと、・・・これはいけるな、ということです。たしかに産業構造がずたずたになってひどいもんですから、たいへんはたいへんですが、少なくとも農業よりは、十分食っていけます。私自身、農林業、両方やってきて、生産性計算してみると、林業のほうが数倍よかったですから。

ちょっと長くなりましたが、以上です。また、グリーンウッドさんみなさん、ご意見ください。

グリーンウッド:そねはらさん、コメントいただけ恐縮です。問題点が非常によくわかりました。所有権がずたずたになっていることは知りませんでした。今まで金を生まなかった山林に固定資産税を支払い続けるのはバカらしいと売ってしまうのでしょうね。それとバブルのころの別荘ブームもあったかもしれません。まるで返還された沖縄の米軍用地のようですね。
私は所有権移転せずとも賃貸契約で使わせてもらうビジネスが現実的と思いこの試算をいたしました。所有者探しなどの面倒なことをまとめる気力と知力のある人が手をつければなんとか動き出すのではとおもいます。これに成功する企業家が最後に笑うのでしょうね。不在地主探しの手間を省くために管理促進機関をつくってもらって明文化された形で地域行政の信用とコストで整理してもらい、それを民間が借受けて管理ビジネスを展開するなど良いアイディアとおもいます。固定資産税補償はギブアンドテークと使えるとおもいます。ぜひそねはらさんと地方の首長と相談して仕組みを作っていただきたいと思います。
もう一つ、針葉樹林も、放置されているのなら、一旦皆伐して用材にして換金してもらい、以後、広葉樹林としてオーナーにかわって管理してあげるというビジネスモデルもありうると思うのですが。

そねはら:・・・山林を不動産会社を通じて、地主が手放すようになったのは、バブルの頃もそうでしたがそれ以前からかなり活発にされていました。田中角栄の日本列島改造論の頃からです。このころ、売買された山林は、バブルの頃よりひどく、不動産会社が、宅地造成という名目で、簡単な道路だけひいて(電気、水道なしです!)別荘地ということで、一坪500円とかで売買されているのです。地主も、別荘地で買うわけでなく、はなから資産目的で、実際の土地も見ないで買っているケースも多々ありました。

ですから、土地に対する不在地主の執着は、全くといってありません。私が買い付けをしたときに、土地の境界の確認ではじめて自分の土地を買ってから数十年たって見た、ということもかなりありました。

針葉樹の皆伐ですが、本来ならば、そうしてもよいところなのですが、地元の地主の針葉樹への付加価値への夢、未練がまだ残っているせいでしょう。皆伐は、難しいのです。逆にこちらが広葉樹を伐採した後に、一生懸命、ひのきの苗を植えている人がけっこうまだいるくらいですから。

針葉樹を皆伐して用材にして現金化となると、当然のことながら地主は、簡単でもその見積もり金額を林業者等からもらいます。そうすると、植林したときに思い描いた収入にはほど遠い現実に直面します。なあんだ、こんなんだったら、やっぱりしばらくこのままほっとくか、もしかしたらもう少しおけば、値段があがるかもしれないから・・・と自分を説得して。

また、皆伐すればまた植林しなくちゃいけないし。・・・ここで広葉樹の植林という方向はたしかにあるのですが、広葉樹は、いなかでは雑木と呼ばれているぐらいで資産とみなされていないのでこれを好んで植林をする人はいないのです。また、いなかの変わり者?がもしいたとして、この人がいざ広葉樹の苗木を買おうにも地元の森林組合で販売している苗木は、針葉樹ばかりで広葉樹の苗木の入手は難しいですし。

また、良い機会があったら、不動産屋へでも売っちゃいましょう、ということになってしまうのです。そのほうが地主としては儲かりますから。これらのことを地域の民有林バイオマスの前提として考慮しなくてはいけません。

そうすると、やはり流動化促進機関なのです。この機関で山林管理して、民間やNPOに管理委託して、針葉樹は間伐などする。もちろん、地主の許可があれば、皆伐する。広葉樹は、昔の局所皆伐サイクルにて管理する。こういうふうにもっていきたいと思っております。これですと、地主の利害も障害とならないはずなので。

これですと、針葉樹林は、間伐などされて管理されます。(いなかは、世間体を非常に気にしますので、自分の山が現状管理できていないことは、実はたいへん気になっているので、管理委託してくるはずです。)広葉樹林も、昔の手の入っていて頃のことをよく覚えているので昔のサイクルで管理するといえば、委託してくることでしょう。

ただし、ここでも1点、問題は残るのですが。それは不動産屋さんです。この機関が機能して、山林が少しづつ動いてきたとします。そうすると、山はよい状態にもどってきます。そうなってくると、ある意味では資産価値があがってきます。ここで、不動産屋さんのあきんど魂と地主の金銭欲が合致したとき簡単に販売されていってしまうことになるかもしれません。

このあたりの規制は、必要と思います。現状でも、山林における不動産開発の現状はちょっといきすぎといった面も見られますので、このあたりは、別途この話題とは別に条例など作るなどして、対処しなくてはいけないのだとも思っています。

以上、3回にわたり長くなりましたが、重要な点と思い、送らせてもらいました。

グリーンウッド:ますます事情がよくよくわかりました。針葉樹至上主義はもう神話の時代に入っているというのに針葉樹信仰は骨の隋までという恐ろしい話ですね。世代交代を待たねばならないとは悲しい。

ところで今朝NHKが地籍問題を取り上げておりました。国土の67%が森林というのに地籍が確定しているのは35%くらいで残りの山地は明治時代に作成した公図しかなく、実際の境界は確定していないとのことです。今各地の森林組合に委託して遅ればせながら棺おけ寸前の老人達を山に連れ出して、境界を確定してもらっているそうです。

NHKが一生懸命に教宣してくれましたけれど、まず行政にこの地籍の確定をしてもらわないと大規模広葉樹林の利用の基盤すら存在しないということですね。でもどうせ今後も相続で文筆され、所有権はますます細分化されるでしょうから山の形状に従いグループ分けしグループ毎にまとめて外側の境界だけ確定し、内部は所有割合だけ記載するという法律を作ってもらえれば、お互いに面倒なこともなくなるとおもうのですが。曽根原さん提唱の管理促進機関がこれをやられたらどうでしょう。農水省はかって税金を使って水田を土木工事で大型化しましたが、山はハードではなく、ソフトで大規模化するというアイディアです。よろしくお願いします。

もう山村に残っている人は新しい事業はおこせません。老兵はだだ消え行くのみということでしょう。新規森林事業はUターン組みに希望をつなぐことになりますが、住宅などは自己で責任としても、消えてなくなってしまう山村のインフラストラクチャ、即ち子供の教育、医療などどうするかはまた行政の問題としてはねかえりますね。

「南アルプスの大井川上流、赤石岳の東側一帯は王子製紙が香川県に匹敵する18万ヘクタール(課税評価240億円)の山林を保有していますが、伐採費、輸送費のせいか年間5億円の管理費を払って数%しか利用せず、放置しているようです」と小学館の編集者の広瀬氏からうかがいましたが、これはどういうわけでしょうか。自社のパルプ原料として山林を所有しているはずですが、どうなっているのでしょうか?その原因を知りたいものです。森林機械の導入ができないほど、山がけわしいためでしょうか?

べんけい:一つ森林機械のことで気になったことがありますが、それはキャタピラーをダブルにするのは一見安定感があってよさそうですが、作業をする腕の長さはキャタピラーの先端より数メートル長くなければ作業ができないという事実、その腕の剛性と目方の関係、又横に腕を振った時の不安定さ(経験者は語る)・・・多分オペレーターは100メーターの高さの鉄塔の上で作業するより怖いのではないかと思います。30°の傾斜度で安全に作業ができるということは45°の傾斜度でもこけないほどの安定性を要求されます。もしこけて機械と人間が谷底に落ちるようなことがあったら大変です・・・人の命はたいへん高くつきますから・・・そうだ・・ロボットにすればいいんだ・・・

グリーンウッド:45度の傾斜度でもこけないほどの安定性を持たせるためには幅を特に広くしなければいけないでしょうね。そうすると重くなるし。でも世界に冠たる日本の土木機械メーカーなら必ず開発できると思ってます。ドーバー海峡の海底トンネルを掘ったのは日本の機械ですよ。難関はこの機械を使いたいと考える企業家がでてくるかどうかです。そして行政がその基盤作りに取り組むかではないでしょうか。

にしの:なにかしっくりこないので、返事が遅れました。胸高直径30cm以上もある広葉樹はやはり発電燃料として使うことに抵抗感があります。これは物として木材、家具、建材、パルプ用木材チップなどとして使うべきではないかなあと思います。発電用には石炭がまだ沢山あるので、これを先に使うべきではないかというのが、小生の思いです。どう思われますか?

グリーンウッド:物として木材、家具、建材、パルプ用木材チップと使うかたがいれば当然そうすべきでしょう。でも日本では伝統的にやわらかい桐で家具をつくり、ナラのようなハードウッドで家具を作る伝統がなく、職人もおりません。もし日本でそのような家具を作り西洋に輸出できればすばらしい産業になるとおもいますが、西洋のあの微妙な香りのある調度品は日本の職人はつくることはできないのではないでしょうか。これは文化ですからやむをえません。西洋の家具の用材は日本の北海道から切り出されたものだと聞きました。根元から皆伐したと営林署は新聞でたたかれていました。でもそうしなければただ木は森のなかで倒木となり朽ちてゆくだけなのです。30年間伐採のおこなわれなかったわが裏山にはいって倒木を調査し、つくずく感じたことです。朽ちて行く速度は森の成長速度と均衡して恒常状態が保たれているのです。ブナですが200年もすれば老木として倒れてしまいます。これをみて大気汚染だと錯覚する人がいるくらいです。
私も胸高直径30cm以上もある広葉樹はやはり伐採したくない感情をもってますが、これも都会住民の理由のないセンチメントと理解してます。私が測定した裏山の森林密度の222green ton/haと成長速度3.2green ton/ha/yearからはサステナブルな(再生可能な)伐採間隔は69年とでてしまいます。単純な化学工学の物質収支計算です。
かって薪,炭目的では10年から20間隔で伐採していたようですが、手持ちのこぎりの人力伐採で山の中にこもって炭焼きし減量してから馬の背にのせて運びだいたのです。第二次大戦中は岩手のやまからこうして運び出した炭は木炭車で最寄の駅にはこび、東京に国鉄で運んだのでした。これでは山に入る人がゼロになっている現状を続けろといっているに同じことです。かっての社会党の空論のようなものです。コスト高で経済的に成立しません。やはり欧米式のフェラー・バンチャー、グラベル・スキッダーの出番でしょう。日本の製造業が成功したと同じ手法です。米国ではじつは早く成長するプラタナスを密植して10年後、胸高直径15センチで伐採するという研究もしています。この研究データを今回つかわせてもらったので、私の論文は無論15センチの林でも使える森林機械の生産性の数値を使ってます。米国の場合はプラタナスだけ植林してゆく方法で生産性は高いのですが、生態系の多様性をうしなわせ関心しません。私の方法はあくまで日本の雑木林を人手をかけないで維持する方法です。皇居の二の丸後に昭和天皇が作った雑木林がありますが、ニューヨークのセントラル公園より雑然としていて野趣があり、よいものだとおもいました。昭和天皇は生物学者だったのでちゃんと打つべき手はうっていると尊敬の念をいだきました。
石炭はいまやっていることでしょう。目的は宇宙船地球郷のエネルギーのありかたの研究です。ここをまちがってはいけません。

グリーンウッド:先のメールをだしてからじっくり伐採期間がなぜ69年になるのか考えてみました。わたしが測定地点に選んだところは40年前に放棄された畑ですが、桜の木がすでに植えられていたのが航空写真でみえます。それが直径50センチもの大木になってコナラ林に混じっていて、このため材積がふえて森林密度が222green ton/haになっていたわけです。この測定値にこだわったのがいけないとわかりました。伐採期間を40-20年としてとして森林密度を逆算することにしました。密度は40年の場合128green ton/haとなります。すかすかの森です。添付の写真がその程度のコナラ林です。

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自然再生した樹齢40年のコナラ林

40年前はここは萱場であることを航空写真で確認しました。皇居の二の丸の雑木林もちょうど同じくらいでした。皇居の説明文には武蔵野の雑木林は20年サイクルで伐採していて、切り株から発芽していたものだとイラスト付きの説明板がありました。40年で伐採すれば切り株からの発芽は弱くなりますがドングリから発芽します。伐採期間40年で胸高直径がほぼ30センチとすれば、リニア成長モデルでは20年で21センチ、10年で15センチとなります。先の計算で伐採本数はじつは30センチで計算していたので伐採間隔とは矛盾は感じていたのですが面倒なので手をつけていなかったのです。ご指摘ありがとうございました。20年の伐採期間にして皆伐すると幹は細くなって、伐採を一人のオペレーター、1台のフェラー・バンチャーですることはむずかしくなります。なにせ人件費が経費となって重くのしかかります。それに森も貧相になって景観に響きます。

にしの:丁寧なご説明ありがとうございます。胸高直径30cm以上もある広葉樹を皆伐することについては、「やはりきりたくない感情」はもっていません。この点やや誤解されたようです。森林も田畑と同じで育てて刈り取るという感覚です。ただ、胸高直径30cm以上もある広葉樹をチップにしていきなり燃やすのはせっかくの資源を無駄遣いしているように感じられます。幹はもっと利用価値があるとおもうのです。日本に家具製作の技術がないのなら、技術導入なり、家具職人の招聘なりで産業を興せばよいのではないでしょうか。また、機械化によって価格競争力がついてくれば輸出もできます。世界中に木材の不足しているところはたくさんあります。ただ、広葉樹の木材として角材や板材としての用途は少なく、消費量がはけないのかもしれません。木材チップにすれば各種建材、パルプとして量的な問題はないと思います。このように利用した後、いずれは燃やされることになるでしょう。
焼却炉でもやされれば若干の発電には寄与します。そういう意味で「発電燃料として使うことに抵抗感があります。」と書きました。幹も枝もすべて木材チップにしてしまわずに、立地条件がよいところでは手間はかかるが使える幹は別扱いで分別利用したらどうかなというのが真意です。(
発電利用については小さな発電設備が沢山できることは景観上もあまり良くないような気がします。これらのことから木材チップによる発電は小生にはまだしっくりこないのです。どうおもわれますか。

グリーンウッド:私の論文にはむろんまず用材、つぎにパルプ、最後に発電と書いてあるのですが、読み落とされる可能性に気がつきましたので、イントロと最後の考察で念を押すことにさせていただきます。一生発電燃料でメシを食ってきた私として貢献できるとしたらマキ生焚きガスタービンなわけですから発電について書かざるをえないわけです。これをのぞいたら犬の遠吠えでしょう。何回もくりかえしますが、環境倫理に立てば石炭を燃すのは犯罪行為ですが、マキを燃すのはより罪が軽いのです。
家具については伝統的に日本の家具職人が手持ちの工具でつくっていたので硬い広葉樹は敬遠していたわけです。しかし今時は電気工具があるわけですからできるはず。残念ながら歴史が浅く、その造るものに残念ながら魅力がない。サルまででなく、世界に通じる工芸品を作る若者がでてくることを期待したいのですが。才能ある人間は向こうに修行にいっているのでしょうか?

にしの:もう一度論文を読んでみました。なぜ発電なのか、大切な部分を読んだのに忘れていました。どうも失礼しました。
広葉樹の利用が広がれば、用材も安くなり利用しやすくなるでしょうね。わが家では家内の和服用に桐のタンスが一本あります。その他、洋家具として洋タンス、洋整理タンス、本箱があり、20年ほど前に3本揃いで100万円したと記憶しています。ブナかナラ製で非常に重いのですが、頑丈で愛用しています。デザインは素朴ですが、装飾がシンプルであるのが日本的と思います。北海道で製作されたもので、デパートの人気商品であったらしく注文してから2ヶ月ぐらいして届きました。このことから日本にも洋家具技術はあると思います。日本でも洋間の割合が増えているので、洋家具も当然増えていると思います。しかし、家具は家よりも長持ちし、一旦買うと買い換えはほとんどしないでしょうから、国内の需要が限られるのかなと予想されます。また木材チップから作られる木質ボードも石膏ボーの安さには敵いませんね。わが家では建てかえたとき、壁も天井もほとんど石膏ボードで、これに簡単なアクリル塗装をしただけのものです。古い家は木質の化粧ベニヤを多用しましたが、時代が変わりましたね。やはりチップにしてパルプや燃料など消耗品としないと大きな需要は望めないのかなとおもいます。パルプ用は受入スペックがあるでしょうから、最後のニーズは燃料ということになり青木さんの主張するところとなります。
これでやっとしっくりしました。
ありがとうございました。

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Roundtable21の西野さんとまえじまさんコメントそして弁慶農園の冨田さんと小学館の広瀬さん、それとNPOのそねはらさんありがとうございました。おかげさまで少し構想が固まりました。しかしまえじまさんとおなじく登山愛好者としてはこのようなことまでしなくてもという思いもあります。石油が安価であるかぎり、山は放置され、炭酸ガス固定に関してはプラスマイナスゼロが続き、山間の村の過疎化は進行し続けるのでしょうね。でもしかし、どの文明も森林から切り離されて存続できないといわれます。日本に森は実在しているのですが人々がこれとどう関わるかという文化が失われしまうのではという危惧はいぜんのこります。なにより象徴しているのは大学の森林機械学講座や森林機械学会での発表論文などがまだ戦前の状態にあるようだということです。例外を除き、大方の林業の先生の興味も針葉樹ですし、発言もあまりしません。まあ卒業しても林業という職場がないのだからやむをえないかもしれませんが、最悪の状態ですね。米本昌平氏は「いやしくも大学が真に真理探究の場であるならば、間欠的にわきあがる既得権への批判や、時としてはその解体の衝動までをも、正当なものと受け止める覚悟があって当然なのだ。自己批判は、知の創出の本質に関わるものであり、大学が大学として機能するためには死活的に重要な生理のはずなのだ」と言っております。

January 31, 2004

Rev. February 29, 2004


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