サウスプレイス氏との往復書簡

太平洋侵出を狙う中国の意図について

グリーンウッドさん

以前、在日外国人地方参政権付与の件で、参考意見をお話したことがありました。貴兄からもご自身のご意見も拝聴しました。

その上で、再び類似の見方している一文を見つけましたので押し付けがましくもありますがお送りいたします。(無料メルマガの国際派日本人養成講座からです)どうか最後まで読んでみてください。中国が沖縄を狙っている、ということがお分かりいただけると思います。

サウスプレイス


添付書

中国が米中で太平洋を分割管理する構想をアメリカに提案

 

1.太平洋の米中「分割管理」構想

米紙『ワシントン・タイムズ』は米軍関係者の話として、2007(平成19)5月にアメリカ太平洋軍のキーティング司令官が中国を訪問した際、会談した中国海軍幹部から、「ハワイを基点として米中が太平洋の東西を『分割管理』する構想を提案された」と報じた。

中国海軍の幹部は「われわれ(中国)が航空母艦を保有した場合」として、ハワイ以東をアメリカが、ハワイ以西を中国が管理することで「合意を図れないか」と打診したそうだ。

アメリカ側は中国の提案を拒絶したとしているが、同紙は情報機関を含むアメリカ政府の親中派内で、この提案に前向きな姿勢を示す向きもあったと報道している。

この中国の提案、それに対するアメリカ側での一部の賛同も、「地政学」と呼ばれる分野の研究に基づけば「さもありなん」と理解できる。世界各国の外交・国防戦略は、おおむね地政学の常識に基づいているからだ。

そして我が国の外交・国防の常識が「世界の非常識」になりがちなのも、戦後、アメリカに地政学の研究を禁じられ、忘れ去ってしまったからである。

日本が世界に伍してやっていくためには、地政学を学ぶしかない、として、イギリスのレディング大学大学院で地政学を研究している奥山真司氏が最近、刊行したのが『"悪の論理で"世界は動く!』である。今回は、この本に基づいて、特に中国の動きを考えてみたい。

 

2.ランドパワーの海洋侵出

 「地政学」とは、国際政治を世界各国の生存競争の場ととらえ、各国の戦略と行動を地理的要因から考察する学問である。

地政学の生みの親の一人、米国海軍大学学長のアルフレッド・マハンは、「人類の歴史はランドパワー(陸上勢力)とシーパワー(海上勢力)の闘争の歴史である」という世界観を提唱した。

ランドパワーはユーラシア大陸の内部から冨を求めて海に出ようとし、沿岸部でシーパワーとぶつかり合う。ランドパワーとシーパワーの代表例が冷戦時代のソ連とアメリカである。東西ヨーロッパ、アフガニスタン、ベトナム、朝鮮などユーラシア大陸の沿岸部で冷戦や熱戦が展開された。

社会主義体制の行き詰まりによってソ連が崩壊すると、次のランドパワーとして台頭したのが中国である。中国の沿岸部は急速な経済発展を遂げ、各種資源・エネルギーの輸入と商品の生産・輸出に、中国経済の生命線となっている。東シナ海と南シナ海を「内海」にできれば、中国にとってこれほど安心なことはない。

しかし、中国の海洋侵出を妨げているのが、九州から沖縄、台湾、フィリピン、ボルネオ島と続く列島群である。このラインは、米国を盟主とするシーパワー陣営の勢力範囲であり、特に沖縄の米軍と台湾軍は、まさに中国にとって「目の上のたんこぶ」なのである。

中国海軍はフィリピンから米軍が撤退した途端に、南シナ海に軍事基地を作った。後ろ盾を失ったフィリピンの抗議など、どこ吹く風である。そして、次に狙っているのが台湾と尖閣列島、そして沖縄である。

 

3.「第一列島線」から「第二列島線」へ

上述の九州から沖縄、台湾、フィリピン、ボルネオに至るラインを、中国は自国の勢力範囲の「第一列島線」として捉え、その内側で海軍を活発に展開している。

2020年には、伊豆諸島、グアム、サイパン、パプアニューギニアと続く「第二列島線」までを勢力圏とし、米海軍に対抗できる海軍の建設を目論んでいる。その一環として2隻の中型空母を建造しており、2012年までの実戦配備を目指している。

冒頭の、ハワイを基点に太平洋を米中で分割しようという中国海軍幹部の提案は、一個人の思いつきなどというものではなく、海洋侵出を狙うランドパワー中国の国家意志なのである。

第2列島線までが「中国の海」になれば、日本列島はその中にすっぽり入ってしまう。別に日本を軍事占領する必要はない。日本のシーレーンを抑え、中国の意のままになる傀儡政権を作って、日本の冨と技術を自由に搾取できれば、それで良い。日本の経済力と技術力が自在に使えるようになったら、米海軍と渡り合える海軍建設も現実となるだろう。

 

4.中国の太平洋侵出の鍵は沖縄

太平洋侵出を狙う中国にとって最大の突破口が台湾と沖縄である。特に沖縄の強力な米軍基地によって、中国海軍は第一列島線の内側に閉じ込められている。もし米軍を沖縄から追い出すことができれば、第二列島線への侵出が容易になる。

そもそも中国は沖縄を日本固有の領土とは考えていない。2005(平成17)年8月1日の中国誌『世界知識』は、「沖縄が日本の領土になったのは琉球王国に対する侵略の結果であり、第二次大戦後のアメリカからの返還も国際法上の根拠を欠き、『主権の帰属は未確定』だ」とする北京大学教授の論文を掲載した。一研究者の論文という形でアドバルーンを上げ、周囲の反応を見る、という中国がよく使う手である。

確かに江戸時代に沖縄は、琉球王国として日本と清国の両方に服属する形をとっていた。しかし、明治27(1894)年の日清戦争後の談判で、清国は琉球を日本領として認め、以後、1世紀以上も沖縄は日本の正式な領土として国際的にも認め られてきた。

沖縄の帰属に疑義を挟むなら、第2次大戦後に中国が侵略したチベット、ウィグルの方がはるかに「未確定」のはずだが、こちらは頬被りして、自国に都合の良い所だけ主張するのは、中国外交の通例である。

いずれにせよ地政学的に見れば、第二列島線への拡張のために、台湾と沖縄を勢力圏に収めなければならない、というのが、中国にとって必然的な戦略なのである。

 

5.沖縄を「独立」させ、傀儡政権を作る

しかし、チベットやウイグルのように軍事占領して自国領に組み入れるというのは、前時代的なアプローチであり、民族独立意識の高まった現代においては、国際社会からの反発や住民の抵抗などでリスクが大きい。

それよりも、中国にとって現実的なアプローチは、沖縄を日本から独立させて傀儡政権を樹立するというシナリオである、と奥山氏は推論している。

仮に中国が本気で独立を画策するとしたら、第一弾として沖縄の企業や土地などに投資をしてくるだろう。次に、中国系の資本を進出させ、経済を握る。すると、中国人がたくさん定住するようになり、二世が生まれると彼らは日本国籍を取得できる。当然、投票もできるし、立候補もできる。

そこで、華人系の議員を擁立して議会を掌握し、経済と政治を握ってゆくゆくは独立を図るという寸法である。

 

6.沖縄の「自立・独立」

このシナリオに見事に合致したビジョンを公表しているのが民主党である。同党が平成17(2005)年8月に改訂した「沖縄ビジョン」では、次のような提言をしている。

・沖縄において「自立・独立」型経済を作り上げる

・「一国二制度」を取り入れ、「東アジア」の拠点の一つとなる

・在沖縄米軍基地の大幅縮小

・東アジアと全県自由貿易地域(フリー・トレード・ゾーン)構想

・地域通貨の発行

・アジア地域における人的交流の促進

 「独立」とは「日本からの独立」という意味ではない、とわざわざ断っているが、一国二制度、フリー・トレード・ゾーン、地域通貨とくれば、「経済的独立」そのものである。

これに民主党政権が主張している在日外国人の地方参政権、米軍基地の県外移転が実現すれば、「政治的独立」もぐっと近づく。こういう背景から見れば、民主党が「在日中国人も含めた外国人の地方参政権」という一般国民には不可解な政策を強引に進めようとしている理由もよく分かる。

民主党が、中国に洗脳されたお人好しなのか、中国の意図を知ったうえで協力している確信犯なのか、は不明であるが、その政策が、中国の太平洋侵出の戦略と見事に符合している
>> のは事実である。

このような民主党がある限り、万一、中国が沖縄に傀儡政権を作ることになっても、その人材には事欠かないだろう。

 

7.アメリカも第二列島線への後退

一方、シーパワー・アメリカは、強大化しつつある中国の太平洋侵出に、どう対処しようとしているのか。

アメリカが世界ダントツのスーパーパワーであった時代は過ぎ、勢力圏を縮小しながら自国の権益を守る、という戦略に移行しつつある。いまだ軍事力こそ強いが、それを支える経済力において、長年の財政と貿易の双子の赤字で、日本や中国に大量の国債を買って貰って、やっと国が保てるという依存体質になってしまっている。

すでにフィリピンのスービック基地は撤退し、韓国軍の有事統制下指揮権も2012年に韓国政府に返還する。沖縄の米軍基地も段階的に縮小し、極東の軍隊はグアムに集約するという構想を立てている。すなわち、アメリカ側も第二列島線への後退を考えているのである。

中国は、こうしたアメリカの後退姿勢を読んでいるからこそ、冒頭に紹介した太平洋の米中分割構想を臆面もなく提案してくるのである。

 

8.日本のとりうる選択肢は3つ

中国が太平洋に向かって勢力を伸ばそうとし、アメリカが後退しつつある、という現実の中で、我が国はどうすべきなのか。奥山氏は地政学的に見て、日本のとりうる選択肢は以下の3つしかない、と指摘する。

第一は「アメリカとの同盟関係を継続する」という選択である。後退しつつあるアメリカの軍事力を補うには、今以上の自主防衛努力が必要である。また、アメリカの経済的弱体化を支えるために、すでに200兆円も買ったアメリカ国債を今後も買い続けなければならない。

これでは日本の経済力も衰退していくだろうから、落ちぶれた老友同士で支え合っていくという構図になる。しかし、アメリカの方が借金を踏み倒して、去っていくという可能性は捨てきれない。

第二は「中国の属国になる」という選択肢である。「いまでさえ日本はアメリカの子分なのであり、純粋な独立国ではない。親分がアメリカから中国に変わるだけで、今とたいして変わらない」という楽観的な見方がある。

しかし、独裁国家中国は、政府批判をしただけで投獄するような国である。その属国となれば、今の民主党内の小沢独裁のような状況が日本全体を覆うだろう。また脱税・賄賂は日常茶飯事という国柄でもあるから、その属国になれば、鳩山政権のような巨額脱税や違法献金、国費の使い込みなどが国全体に広まるだろう。

その上に、今の中国の反日歴史教育を当然、属国にも要求してくるだろうから、今後の日本人はすべて前科者として洗脳されていくことになる。中国の属国となって幸せになるのは、傀儡政権と与党党員という特権階級だけだろう。

 

9.第三の選択肢「日本独立」

奥山氏の指摘する第三の選択は「日本独立」である。アメリカや中国に従う子分ではなく、国際社会の中で主体的に動く国になることである。

「独立」といっても「孤立」ではない。地政学的に見れば、ユーラシア沿岸部の国々と同盟関係を結んでランドパワーに対抗するという手がある。日本と同じく中国の脅威にさらされている台湾、東南アジア、オーストラリア、さらにインドなどとの広範な同盟関係を結ぶ。

もう一つは、「敵の中に味方を作る」戦略である。チベット、ウイグルなどの独立運動を手助けしつつ、北京に対抗する上海や広東省を味方につける。中国がソ連の分裂崩壊の道を辿らない、という保証はない。

中国の経済成長が著しいとは言え、その国民総生産の総額はいまだ日本と同程度の規模で、それで日本の10倍以上の人口を養わなければならない。しかも国内に独立運動、地域間対立、階級対立を抱えている。人権と自由を求める声も強い。

そんな中国に脅かされていると言っても、幕末に西洋列強が押し寄せる中で見事に国家の独立を貫いた明治日本に比べれば、平成日本ははるかに恵まれた立場にあると言える。

足りないのは、国際社会の中で独り立ちしてやっていこうという国民の意志と、地政学的な戦略眼だろう。

伊勢雅臣


 

サウスプレイスさん、

奥山氏が地政学から日、中、米関係を見て分析するなかで納得させるものとそうでないものがあります。

また奥山氏の見方を引用しつつ伊勢雅臣氏が展開する論のなかに事実誤認があると思います。例を挙げると

伊勢雅臣氏は地政学を「悪の論理」と呼んでいましたが私は「悪の論理」というと道徳的な臭いがして、感情的になり、対応を誤ります。というわけで引用しませんでした。「力の論理」といえば理性的にとりくまなければならないことになります。日本が悪の論理といっている間はだれもまじめに考えないので国際関係を旨く処理できないと危惧します。

「アメリカに地政学の研究を禁じられ、忘れ去ってしまったからである」というのは事実誤認でしょう。米国は禁じていません。日本人一般が平和ボケして興味を持たなかっただけと思います。事実私は関連する本をいつくつか読んでいます。たとえば

167 地政学入門 曽村保信

アルフレッド・マハンの本も昔読みました。

516 海軍戦略 アルフレッド・マハン

地政学は学ばなくても現実に存在する力関係ですね。国民国家が存在するかぎり、この原理は永遠のものでしょう。

地政学は日本はシーパワーの国ですからランドパワーの中国とは軍事的思考回路が逆相になると教えます。

中国軍部は沖縄をコントロールすることはできると考えるかもしれませんが、所詮失敗するでしょう。台湾もシーパワーの国です。昔、中国は日本の倭寇に苦しめられてどうにもならず鎖国しました。日本も中国をまねて欧米が船に乗ってやってきたとき鎖国しました。ランドパワーのモンゴルのフビライは日本に上陸することさえ出来なかった。英国はユーロ圏に加盟していませんね。 日本は朝鮮半島、満州そして中国本土を侵略して結局全てを失いました。これは陸を統治する智恵も文化もなかったためです。

朝鮮戦争を第一戦で指揮した韓国初の陸軍大将白善Yの次の言葉(名言集1319)は参考になります。

日本が四方を海に囲まれた海洋国家であることは疑いない。その日本が日露戦争から第二次大戦までの間に大陸志向となってしまったところに日本のおおいなる悲劇の原因があった。日本国内に過剰人口と食料問題があって、それがゆえに満州は日本人が手にすることのできる無限の資源が眠っているようにみえたのであろうが、無論そこには先住の人間が住まっており、しかも隣には戦いになれば残虐の限りを尽くす世界最大の大陸国家ロシアが国境を接している。大陸国家であれば一旦緩急あっても、何らかの対処法をいろいろと見出すものだが、海洋国家の民たる日本人には大陸での困難に処する資質がない。木を見て森を見ない、そして森の奥深くさまよい込んでしまう、日本の失敗はそういうことだったのであろう。大陸勢力がなかなか海洋に乗り出せないのと同じく、海洋勢力も大陸の奥深く入り込めない。それを日本民族は大きな犠牲を払って学んだことであろう

中国海軍の幹部がアメリカ太平洋軍のキーティング司令官が中国を訪問した際、「ハワイを基点として米中が太平洋の東西を『分割管理』する構想を提案したのはランドパワー的思考回路をもつ中国の軍部の不勉強がなせる業でしょう。まー空母位建造するでしょうけれど賢い中国のトップがこれに乗っているとは思えません。 それに現在の中国は国家資本主義路線をとりグローバルマーケットに依存する国です。ですから米国や日本の企業の投資とマーケットなしにはやって行けない国です。資源をもとめてアフリカ諸国を味方にするなど正しい戦略をとっております。

とはいえ日本の軍部が妄想したものと逆の妄想をもっている中国海軍指導部にゴーサインを出さないためにも日米同盟が大切になります。この考えは岡崎久彦氏から直接教えを受けて持ったものです。ただ自民党政権、特に小泉首相のように 何でも考えもせずイエス・イエスという対米盲従は愚かです。チャーチル以後ブレアまでの英国も対米盲従でしたが、今後は変わるでしょう。日本も是々非々で同盟関係を前向きに維持するという難題をこなさなければなりません。

1031 台湾問題は日本問題 岡崎久彦

たしかに米国の力は弱っていますが国家資本主義で成功した中国もかなり内部にストレスを抱えていますので今のまま安泰ということはないのではないでしょうか。主要なストレスとは拡大しすぎた国境、いずれ到来する高度成長の停止、中間層の成長、インターネット・携帯電話に象徴される通信革命でしょう。そういう意味で中国は日米欧が維持する安全保障の受益者でもあるわけで、賢い指導者ならこれを破壊するとは思えません。世界と協調できるように成長するのが最も望ましいことは論を待ちませんが、失敗して自壊するかもしれませせん。もしかしたらそれは10年後にくるかもしれません。いずれにせよ世界のために日米欧同盟は維持しなければならないと思います。

1030 中国は歴史に復讐される 繁栄か、崩壊かー赤い資本主義の全シナリオ 岡崎久彦・渡辺利夫

第三の選択肢「日本独立」は自尊心をくすぐるという意味では輝いてみえます。また英国の外相パーマストン子爵が「一国に従属している地方というものは、周囲の国々にとっては永遠に誘惑の種である以上、その地域は領土保全の決意の上に立つ独立国となってはじめて、安全な地帯として存続できる」と言っています。

しかし 日本は今後ますます経済的な力がそがれるでしょう。同盟もせず独立を維持するためには実際には使えない核兵器であろうと持ちたいという誘惑に負けるかもしれません。その誘惑に負ければウラン資源を持たない日本は インドのようにウラン燃料入手困難になり、原発すら動かない事態になるとおもいます。原発はブラックスワンのリスクを抱えています。規模放出事故確率べき乗則分布に乗ると考えられるからです。原発の大事故が世界のどこかで発生すれば、エネルギーの需給に大きな影響を与えます。

歴代の自民党政権が溜め込んだGDPの2倍という世界最高水準の負債を抱えて自主独立が可能ともおもえません。かてて加えてなにより長い対米依存で自主独立する指導層を育ててき ていません。自主独立とは気分がいいだけではないでしょうか?個人も家族も友人、隣人に助けられて社会を作って生きてゆくものです。国際社会もおなじではないでしょうか?仮想敵国を作って内を固めるという思想は指導層が人民を犠牲にして利権をむさぼる構図でもあります。マルクスは資本家を仮想敵としましたがこの共産党構想はソ連の崩壊でワークしないと証明されたのが最も説得力ある実例ではないでしょうか?

ただ国際的な地位低下はさけがたく、国内では心理的にフラストレーションが溜ます。これは英国がかって経験したことで克服しなければならないでしょう。

地政学を知らず朝鮮半島、満州、中国本土を侵略して失敗した我々の親の世代の失敗を繰り返してはいけないと思います。奥山氏や伊勢雅臣の地政学の浅薄な適用はこの誤りをくりかえす危惧があります。

米国の地政学者はどう考えているかを見るのも参考になります。米国の将来については超楽観しているのでこれも驚きですが。

1035 100年予測 世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図 ジョージ・フリードマン

米国の政府機関であるNICの顧問で地政未来学者マシュー・バローズらは2008年にGLOBAL TRENDS 2025を公表しております。中国の成功を冷静に認知し、米国の影響力は低下し、世界は多極化すると予想しております。マシュー・バローズは米国はワシントン・コンセンサスの上にあぐらをかき、アジア金融危機の重要さを見過ごし、IMFの地盤を低下させ、そして2008年の金融危機で世界の信用を失い、ゲームのルールが変わってしまったと認めています。

奥山氏は日本のとりうる選択肢は3つとしています。私は第一の「アメリカとの同盟関係を継続する」という選択が当面の正しい選択と思います。 そして多極化した世界でより複雑な力関係の方程式を解きながら対処していくということではないでしょうか?

日本の国債(地方自治体含む)1,000兆円は殆ど日本の金融機関がもっています。日本の金融機関が200兆円のアメリカ国債を買っているのは日本では企業の設備投資が低調で投資する案件がないし、国債は米債より信用力がないから米債を買うのですよね。

長年の自民党が溜め込み民主党が継承した借金漬けの予算ではドル暴落でアメリカが借金を踏み倒す前に日本の円がハイパーインフレになる危惧があります。アメリカが借金踏み倒して逃げるという見方は浅薄でむしろドルに助けられる確率の方が高いのではないでしょうか?今はデフレ、円高ですがハイパーインフレ、円暴落にそなえドルを保有してリスクヘッジすることも考えなくてはいけないとおもいます。

後退しつつあるアメリカの軍事力を補うには、今以上の自主防衛努力が必要であるというのもその通りと思います。ただし、ミサイル防衛に集中してその他の無駄を省くべきすべきと思っています。陸上自衛隊が富士の裾野で大砲の練習をしているなど時代錯誤、防衛省の利権化以外のなにものでもないと思っています。

中国が魅力を感じている空母は戦艦とおなじすでに役立たずとなっています。太平洋に繰り出して中国にどのような利得があるのでしょうか?持ちたければもてばよいでしょう。何のメリットもないと気がつきます。空母機動部隊などミサイル時代には張りぼてにすぎません。 沢山のフリゲート艦で護衛しなければ飛んでくるミサイルであっという間に撃沈となります。この辺は横須賀の原子力空母をつぶさにみればわかります。

原子力空母ジョージ・ワシントン

「中国の属国になる」という第二の選択肢は論外です。

ただ中国脅威論で騒いでいますが、日本の企業も中国に進出していますし、リテール業は中国の製品なしに商売はできず、日本の製造業だって中国への原料、材料、製品輸出で相互依存関係でもう後戻りできないでしょう。

グローバリゼーションの流れは熱力学の第二法則のように国民国家の国境線をぼやかしてゆきます。国境線の意味は膨大な難民を防ぐことくらいしかなくなるのではないでしょうか。

伊勢雅臣氏は民主党が2005年8月に改訂した「沖縄ビジョン」

・沖縄において「自立・独立」型経済を作り上げる

・「一国二制度」を取り入れ、「東アジア」の拠点の一つとなる

・在沖縄米軍基地の大幅縮小

・東アジアと全県自由貿易地域(フリー・トレード・ゾーン)構想

・地域通貨の発行

・アジア地域における人的交流の促進

は中国の陰謀と呼応しているかのごとき解釈をしていますが「在沖縄米軍基地の大幅縮小」と「アジア地域における人的交流の促進」以外は地方自治という観点からまっとうな政策だと思っています。「在沖縄米軍基地の大幅縮小」は沖縄の戦略的位置からいって無理なところがあり、より良い代替案を作ることが重要だと思っています。「人的交流」というのは中国的言い方で国民国家である日本は東大理系に合格するような優秀な外国人は積極的に帰化させ、単純筋肉労働者は排除するという選択的交流をすべきと思っています。これは国民国家成立の基礎でしょう。東大理系に外国人が受験しない?それは大学側がそのレベルに達していないという証明でしょう。

私は2,000年前に日本が建国される前に行ったように中国人や朝鮮人の優れた遺伝子と考え方を導入して日本の活力を上げないと日本は衰退してゆくのではと危惧しています。米国の活力(少なくとも日本よりはあるようにみえますが)は世界から優れた人材を導入する仕掛けにあると思いますがいかがなものでしょうか?

グリーンウッド

March 20, 2010


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