トランスファット・フリー・パン

なぜトランスファット・フリーなのか

まだマスコミの扱いは小さいが、生物がつくる不飽和脂肪酸にニッケル触媒をつかって部分水素添加して作るマーガリンや ショートニングは生物由来でないトランス型二重結合脂肪酸を含み、代謝異常の結果、ア レルギー疾患や心臓病になりやすくなることがこの20年間で欧米の調査でわかってきた。 ヨーロッパでは含有量が規制されて、米国でもトランス型か否かの表示を義務つける方向にあるという。

バターはコレステロールが増えるから健康的な植物油から作ったマーガリンを使うべきという宣伝に乗ってしまったことが悔 やまれる。この危険性はBSEや アスベストとは多少様相が異なり、タバコの害みたいなものでろう。 マーガリンのお先棒を担いだ日本の医者や学者が因果関係を調べ た統計も寡聞にして聞かず、厚生省はマーガリン業界に配慮してかそ知らぬ顔である。ただタバコと異なるのは必須脂肪酸にかかわることである。厚生省は早急 に調査し、法律を作って最低限、市販食品にトランス型油脂が含まれるか否かの表示の義務付けをしてほしい。

個人的な対策はマーガリンやショートニングを使ったケーキやクッキーなどの菓子、フレンチフライなどのジャンクフードを 買って食べなければよろしいのだ。 ショートニングとはマーガリンから水分と添加物を除いて純度の高い油脂にしたものと考えてよい。フレンチフライや天婦羅がほしければ自分で安全な油を使っ て料理すればよい。問題は毎朝たべる食パンである。毎日ご飯を朝食に取る人は関係ないが、グリーンウッド氏は毎朝2枚の食パンを過去40年間毎日続けてき た。

1998年頃、研究所長の中村宗和氏に水素添加してつくるマーガリンはヤバイらしいと聞いたが気にもしなかった。しかし さすがに2005年にはマーガリンを使わないことにした。いまさらバターも嫌だということでイタリアン・パラドックスを信じてオリーブ油をつけて食べ ていた。しかし食パン製造の過程でメーカーはショートニングを使う。これにもトランス型が含まれていることはほぼ間違いない。いまのところトランス表示も ないし、これを使っていないことを商品価値とするパンも市場にでていない。そこでやむをえず食パンは自家製にすることにした のである。 引退者には時間はたっぷりある。

船井電機の家庭用製パン機を10年前に買ったまま、台所のゴミになっていた。マーガリンやショートニングに安全上問題があるのならこれを使わない手はない というわけである。

材料

強力粉 250g
塩(小さじ1) 4.5g
砂糖(大さじ1) 10g
スキムミルク(大さじ1) 5g
天然バター(小さじ3)またはオリーブ油 10g
ドライ・イースト(小さじ1) 3g
ぬるま湯(25-35oC) 190ml

英国ではバターの代わりにオリーブ・オイルを使って自家製の食パンを作って いる。早速試したが、問題ない。ショートニングを使うのは単なる習慣以外のなにものでもないことがわかる。

料理プロセス

材料を寝る前に計量して家庭用製パン機の撹拌器付きの釜に投入し、現在時間と焼き上がり時間をセットする 。あとは自動で夜中にせっせと練り上げ、イースト菌が砂糖を食べてアルコール発酵し、発生する炭酸ガスで生地を膨らませ、朝食直前に焼き上げ、かつ適温ま で空冷して結露を防いでくれる。これで翌朝焼き立てのおいしいトランスファット・フリー・パンを味わうことができる。

仕込みの注意事項としてはドライ・イーストは釜の底に真っ先に敷いておき、ぬるま湯は最後に粉の上にかけるのが良いらしい。 発酵が不足気味のときは、水を200mlに増やすと良い。本末転倒になるのででまちがってもマーガリンは使わないこと。

間違って薄力粉をつかうとパンにならずクッキーになってしまう。仕込み忘れしたときはパンケーキをバターをひいて焼くか、伝統的なメザシご飯にすればよい のだ。

強力粉もいろいろ試したが、株式会社 私の台所社製のスーパーキングという強力粉がおいしいパンになる。カナダ・米国産の小麦粉に麦芽粉末とアルギン酸を 増粘剤に添加したものだ

自動的に制御される工程は第1混和、第1発酵に1時間、第2混和、第2発酵に1時間、丸め、成形発酵に1時間、焼きに1時間の合計4時間である。発酵のた めに適温に加熱することも自動的に行われる。

干しブドウをラム酒につけておいたものを、第2発酵後の丸め工程に投入するとレーズン・パンになる。ナッツ類を加えるとバターの代用になる。

グラハムブレッド

1839年に米国の牧師シルベスターグラハム氏が、ふすまや胚芽の部分の栄養が失われることを懸念し、全粒小麦粉を提唱でしたことで、「グラハムブレッド フラワー」という名がついたという。

グラハム粉という小麦を丸ごと粗めに挽いた全粒粉やライ麦粉はスーパーでは手に入らないが、デパートなどの専門店で売っている。インターネットでも買え る。これでパンを焼くとグラハムブレッドやライ麦パンができる。

グラハム粉に少し、通常の強力粉を混ぜたほうが旨く仕上がる。これにバターを塗り、ハムをのせて食べれば最高。ブリュッセルの カレフール・ド・ヨーロッパでの朝食がよみがえる。

反対のグラハム粉50グラムと強力粉200グラムのブレンドがクセが少なくいいだろう。

減塩パン

友人の1人が最近心筋梗塞をわずらった、治療のためには食塩の摂取量は6gr/dにしなければならないという。血管を保護し心筋梗塞を予防するためには食 塩の摂取量は10gr/d以下にしたほうが良いという。

最近70才になり、スキー後の背中のはげしい筋肉痛を心筋梗塞と間違って医 者に駆け込んだ経験を持った。血圧は脚ブロック気味で高くないのだが、タンパク尿から血管は歳相応に劣化しているとの医師の見立てもあり、少し心配になっ た。いままでラーメンの汁を飲み干すほどであるが心を入れ替えて食塩の摂取量を10gr/d以下にしようと思い立った。

まず毎日食べる食パンを塩化カリウムをブレンドして塩化ナトリウムを半分にした「減塩しお」で食パンを作ってみた。酵母はうまく増殖して膨らんだ。しかし 塩味が不足気味であまりおいしくはない。

今度は「減塩しお」を減らして、酵母がうまく増殖するかテストしてみよう。

家庭用製パン機

この1年使い込んだ船井電機の家庭用製パン機はまずタイマーが壊れ、ついで理由は不明(多分イースト菌の劣化)だが充分膨らまなくなり、遂に撹拌羽根の軸 へのはめ込みハブ部にクラックが入って使えなくなった。

2007年5月、松下製のモチも作れる製パン機(SD-BT153)を購入した。酵母やレーズン・クルミをベストタイミングで自動投入できるように進化し ていた。また パンケースが円筒から四角になって出来上がりパンも矩形になった。パンケースに撹拌羽根が内蔵されているので、パンケースを秤に載せて粉の計量ができるの で便利である。 酵母やレーズン・クルミをベストタイミングで自動投入する装置がパンケースの上部にあるため内部が見えない構造になったため楽しみが減った。

マニュアルによれば仕込む水は25oCが望ましいという。理由は書いてないが、こね回す動力に よる過熱を防止するためかと思う。

グルテンの害

問題はあまりにおいしくてたべすぎてしまう。それも次第に食べる量が増えるようになった。グルテンがアルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、筋委縮性側索硬化症(ALS、ルー・ゲーリック病)の原因になるとの学説がでてきて、パン食をひかえるようになった。

2014年に空腹時血糖が上がった。まだグリコヘモグロビンが許容値内だったので白内障の手術はできたが、危機感をもって難消化性デキストリンを毎食飲む ことにした。しかし保険がつかえないため高価なうえ、メシがまずくなる。グルテン中毒がどうも原因と気が付き、パン食を完全にやめた。

それでも食後、眠気がでるのは血糖値が上がっているためとわかっても、食欲に抗するのはどこかの麻薬中毒の引退野球選手のように苦しい。ココナッツオイルをエネルギー源にするケトン食事法で朝食と昼食には炭水化物を完全に摂取しないという方法を2週間実験した。散歩などしなくとも、体調はすこぶるよろしいし、膝の痛みも消える。頭は冴えわたり、メールを書きなぐって皆に迷惑をかけるということがわかった。さすがシリコンバレー流と感心。

February 10, 2006

Rev. February 7, 2016

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