最高裁判所判事の人事

一緒にゴルフしたり六本木で飲み歩いた高 校時代の同期生が最高裁判事になるというのは同期生が閣僚になるという頻度より低いと思う。

長い付き合いだが、最近数年は破産法の権威になって司法試験の出題者になり、母校で講義すると600人の学生が聴講にく るとは本人の口から聞いてはいたが、昨年の暮れ突然の任命で驚いた。しかし本人が一番驚いたのではないかと思う。自分の弁護士事務所は閉鎖しなければなら ず、独立を強いられる後輩は途方にくれてますと挨拶状が 来た。

在野の一弁護士が最高裁判所の判事になぜなれたかは多分、破産法の権威になったためだろうと想像していたが、就任を祝う 会にでて、その通りだとわかった。彼は過去5年間、法務省が作った破産法の改訂のための法制委員会の委員に任命されて、思う存分暴れたためのようだ。結 果、今国会に上がっている法案にはかなり彼の影響のつよいものになった。といわけでこれから70才になるまでの5年間、判例を作る役もすべきとなったよう である。いかにも小泉時代を象徴する人選だと思った。彼をみていると一芸に秀でるということの顛末が分かる。

弁護士時代は管財人になって、寝る時間もなかったのが、突然、9時前出勤、午後5時半以降の残業ダメ、電車通勤はダメ、 一日中電話は1本もかかってこないという、まるで監獄の生活のような異様な環境に投げ込まれたと言っていた。第一小法廷の担当となり、今後5年間に1万件 の訴状を処理するノルマが課されるのだそうだ。多いときで1日に20件ということもあるとか。特に在野の弁護士が就任するとその異様な環境に気が変になっ たり、死んでしまう人もいるそうで、彼にとっては生還が当面の課題のようだ。時々ゴルフなどで息抜きをしようということになった。

グリーンウッド氏は、参議院議員定 数訴訟に対する最高裁の判決が一部既得権益者擁護になりすぎていて国民の平衡感覚から乖離していると考えてきた。弁護士出身以外の純粋培養の判事 は交代してもらいたいと思っていたが、彼なら弁護士出身でもあり正しい判断をするものと期待している。彼の任命は一歩前進だが、まだ弁護士出身枠が固定さ れており、最高裁の保守性はなかなか変わらない、彼のいつものエネルギーで内部から意識改革をしてほしい。大いに期待している。ガンバレ才口!

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別役と握手する才口千晴判 事 (左端)

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幹事の別役、山岸両氏

祝賀会幹事には法曹界の幹事の他に、同期生の劇作家の別役実氏や朝日新聞一面で毎日「けさの鳥」シリーズを連載している 山階鳥類研究所所長の山岸哲氏 など異色の顔が見られた。

この祝賀会は最後は同窓会のようになり、6,000人のプログラマーを抱えている某システムズ & サービスの役員をしている同期生の和田君から興味深い話を聞いた。彼の中国の沢山の企業と提携しているのだが、南にゆくとたしかにフランシス・フクヤマの いう華僑的なメンタリティーが多くなって、企業規模は小型でとても能率的、かつ金持ちである。ただ社長以外と話してもラチがあかない。北に行くにしたがい 次第に大企業になり、日本に似てくる。特に旧満州になるとそうで、韓国も同じとか。中国の全土はまだ貧しいが数%は日本以上に豊かでその総計は日本の規模 にじきに匹敵するようになる。

日本の組織運営能力問題はトヨタ、ナショナル、ソニー、ホンダいずれも、現経営陣の後をつぐ大物経営者の育成に失敗して いることだ。会社が小さいときの苦労を共有している人材が年をとり引退したのち、トヨタ、ナショナル、ソニー、ホンダなど想像を絶する巨大な世界企業を リードしてゆくことは容易ではない。今をときめく、トヨタの張さんがその最後の人材だとトヨタ自身が悩んでいるそうだ。その点、中国は今伸び盛りで人材が 育っているので脅威だととため息をついていた。人材は育っていず今後どうするか。一つの参考モデルは三菱重工だとのこと。人材が育っていないなら、組織で 粛々とすすむしかないのではないかというのが彼の心境のようであった。

その後、最高裁判所も見学さ せてもらった。

彼の在任中の判決で議員定数違憲判決は評価するがもんじゅ控訴審棄却はかれの大失点だろ う。これで間接的に福島事故の遠因を作ったといえる。

March 5, 2004

Rev. May 12, 2012


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