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Home Sweet Homicide : Private Book List 1999 / 1999年に読んだ本


1999年に読んだ本

読了購入発行題名/原題著者/訳者出版社
1999/12/15 1999/09/02 1999/09/01 Charlie's Chance
流 出
Brian Freemantle
戸田 裕之
新潮社
文 庫
チャーリー・マフィンは、相変わらず冴えている。ただし、相手の力不足という印象は拭えない。東西冷戦という枠組みが無くなり、結局、こうした形を取るしかないとしても、少し寂しい。
1999/11/20 1999/09/25 1999/09/25 Cold In July
凍てついた七月
Joe R. Landsdale
鎌田 三平
角川書店
文 庫
これはまた、ストレートなサスペンスを、と思いきや、意外な展開の連続で、楽しく読めた。主人公の心情も、過不足無く書き込まれていて、十分に納得できる。ちょっと、調子がよすぎるという感じがないでもないが、この長さで、説得力のある話となっているのはさすが。
1999/11/15 1999/09/10 1999/09/11 Breakheart Hill
夏草の記憶
Thomas H. Cook
芹澤 恵
文藝春秋
文 庫
圧倒的な描写力で、身につまされる物語である。高校時代の初恋が、甘く、切なく、描かれている。問題は、事件の真相が明かされた後のもう一つの驚きである。結局、驚かすためのものでしかなく、物語にとっては、むしろマイナスに作用している。『死の記憶』も、ミステリ的な意外性が、小説の主題を損ねていたが、これもまた、主人公の良心を疑う結果となり、物語自体に疑問を抱かせる。

amazon.comなどで書評をみても、結末については、やはり意見が分かれている。Ed's Internet Book Review: Mystery/Suspense/Thrillerでは否定的だ。

1999/10/27 1999/10/12 1999/10/25 Everybody Dies
皆殺し
Lawrence Block
田口 俊樹
二見書房
単行本
ここ何作とは作風を一変し、それ以前の作品に連なるものとなっている。これはこれで嫌いではない。
1999/10/13 1999/07/18 1999/07/15 Cimarron Rose
シマロン・ローズ
James Lee Burke
佐藤 耕士
講談社
文 庫
主人公の暴力性向を、過去の物語で説明しようとしているようだが、その部分がしっくりこない。主人公の考え方に違和感を覚える。
1999/09/18 1999/07/18 1999/05/25 スコッチに涙を託して
A Drink Before the War
Dennis Lehane
鎌田 三平
角川書店
文 庫
幼なじみの三角関係という設定に違和感があり、主人公にもあまり共感できなかった。結局、こうした形でしか解決しないということは分かるが、政治家への対処の仕方はちょっと安易なのではないか。
1999/08/27 1999/06/25 1999/06/20 高く孤独な道を行け
Way Down On the Hight Lonely
Don Winslow
東江 一紀
東京創元社
文 庫
ストリート・キッズのニール・ケアリーは活躍の舞台を大都会に活躍するということがないようだ。今回は、西部劇の世界に入り込んでいる。多少、調子がよすぎて、どうかなと思うところがないではないが、とにかく面白い。終わり方も、結局パターン化しているようだが、悪くない。
1999/08/12 1999/02/12 1999/02/15 誓いの渚
The Lost Coast
Roger L. Simon
木村 二郎
講談社
文 庫
1999/08/05 1998/03/28 1977/08/15 ワイルドターキー
Wild Turkey
Roger L. Simon
木村 二郎
早川書房
新 書
このシリーズはまだ出会っていなかったので、新作を読む前に、たまたま古本屋で買ってあった旧作を準備作業として読んだ。世代的に作者と近いということもあって、共感する部分が多々あった。ワインは変わっていないといえば、変わっていないし、その点は、この年になって果たして成長したのだろうかと自省する身としては、分かりすぎるほど分かる。
1999/07/31 1999/06/30 黒いスズメバチ
Black Hornet
James Sallis
鈴木 恵
早川書房
文 庫
何故、回顧という枠組みがあるのか、分からないところで、判断が難しくなる。シリーズ3作目ということで、2作目の次でこういう形になったのではないかと推定されるが、解説を読んでも、2作目の説明が全くない。失ったものへの嘆きが語られても、現在の姿が分からなければ、共感しようがない。黒人解放運動の歴史、チェスター・ハイムズの登場、さらにカミュの異邦人と、作者が書きたかったという思いは伝わってくる。ミステリとしても工夫があり、気になるシリーズとなったことは間違いない。全貌を知りたい。
1999/07/21 1999/06/25 1999/06/20 六の宮の姫君 北村 薫 東京創元社
文 庫 版
やはり、ちょっと、小説にはなっていないのではないかと思います。こういう話は嫌いではないが、それほどスリリングに感じられなかった。
1999/07/16 1999/06/06 1999/05/31 五百万ドルの迷宮
Out on the Rim
Ross Thomas
菊池 光
早川書房
文 庫 版
ロス・トーマスの世界は、絶対的な正義が無く、すべてが相対化されている。主人公たちに同化する理由はないのに、何故か惹かれてしまう。この世界はやはり魅力的だ。
1999/07/02 1999/05/29 1999/05/25 ボビーZの気怠く優雅な人生
The Death and Life of Bobby Z
Don Winslow
東江 一紀
角川書店
文 庫
最初に主人公の駄目ぶりを強調しすぎた感じで、危機脱出の手際の良さが嘘っぽくなってしまう。主人公の変貌ぶりが、心身共に納得できない。とはいっても、面白いことは確か。面白ければそれでいい、のですが。
1999/06/22 1999/06/06 1999/05/18 謎物語 北村 薫 中央公論社
文 庫
1999/06/21 1999/04/08 1999/04/10 日輪の果て
Out of the Sun
Robert Goddard
成川 裕子
文藝春秋
文 庫
「蒼穹のかなたへ」のハリー・バーネットが登場する。存在すら知らなかった息子が危篤状態にあることを知らされ、事件の真相に迫っていく。ただ、事件自体が、とてもありそうもない話(こんなことでこんな陰謀を巡らすか)なので、興味がそがれる。ハリーがどうなるか、という一点で、読み進めたところもあるが、その点からすると、この結末は嫌いではない。ゴダードには現代の謀略小説は向かない。
1999/06/04 1999/04/23 1999/04/30 悪党パーカー/エンジェル
Comeback
Richard Stark
木村 仁良
早川書房
文 庫
パーカー、堂々の復活である。ローレンス・ブロックは、タナー復活に仕掛けを用意したようだが、パーカーの場合は、そんなものは必要なかった。現金強奪、裏切り、窮地からの脱出と、ブランクを感じさせない活躍ぶりである。それは勿論、ウエストレイクの作家としての腕の問題だが、見事である。善悪ではなく、損得のみで行動する人物像を鮮やかに描き出している。
1999/05/31 1999/04/25 1999/04/23 鉄の絆
Hand in Glove
Robert Goddard
越前 敏弥
東京創元社
文 庫
舞台を第一次世界対戦からスペイン市民戦争に代え、ゴダード的な物語が展開するのかと思いきや、上巻の最後で大きな謎の真相が明らかになる。どうなることかと思ったら、後半は宝探しのアクション的な展開となる。印象は従来の作品とかなり違うが、面白い。ゴダードの作品は、いい話を読んだという感想が多かったが、これは面白い話を読んだと感じる。せっかくの舞台装置の割には、深みに欠けるが、これはこれでいいのだろう。
1999/05/18 1999/04/18 1999/03/31 まやかしの風景画
Landscape of Lies
Peter Watson
田中 靖
早川書房
文 庫 版
ロマンス小説の登場人物のような男女が、中世の絵に隠された謎を解き宝探しをする。ほのぼの系のお話と思いきや、肉体的な苦痛を伴う正統的な冒険小説だった。画像学を駆使しての謎解きがキリスト教関連ということで馴染みが薄いことと、主人公の成長、コンプレックスの克服という主題が盛り込まれていないことが不満となるかもしれないが、面白いことは間違い無いので文句は言いません。
1999/05/07 1999/04/08 1999/04/01 密送航路
A Five Year Plan
Philip Kerr
後藤 由季子
新潮社
文 庫
面白くなる要素は取り揃えてあるのだが、まさしく取り揃えたという感じで、面白くならない。翻訳のせいもあるのかもしれないが、わざとらしさが目立ち、無理にお話を作っているとしか思えない。文庫だからつい読んでしまったが、カーはもういいかと感じ始めている。
1999/04/22 1998/09/17 1998/09/10 32台のキャディラック
32 Cadillacs
Joe Gores
木村 仁良
ベネッセコーポレーション
文 庫
個々のエピソードはそれなりに面白いし、全体の話も面白いが、完全にのれたとは言い難い。あまり馴染みの無いシリーズものだったからか。
1999/04/08 1999/03/10 1999/03/10 死の記憶
Mortal Memory
Thomas H. Cook
佐藤 和彦
文藝春秋
文 庫
暗く陰鬱な物語で、ユーモアのかけらもないのが読んでいて辛い。テーマとしては、身につまされる部分がないでもないので、一層読むのが辛くなる。その割には、最後に救いを与えてしまっているのが逆に不満になる。ミステリ的な真相解明という結末は、結局、小説としては逃げていることになる。
1999/03/28 1999/01/04 1998/12/25 自殺の殺人
Death In Botanist's Bay
Elizabeth Ferrars
中村 有希
東京創元社
文 庫
“猿来たりなば”ほどストレートな意外性はないが、最後の真相解明は十分に説得力がある。
1999/03/16 1999/01/26 1999/01/29 惜別の賦
Beyond Recall
Robert Goddard
越前 敏弥
東京創元社
文 庫
かなりストレートなミステリだが、やはり何かが違う。それがゴダードらしさということなのだろうが、今回はそれほどメロドラマにならず、素直に意外性を楽しめる。
1999/03/03 1998/12/24 1998/12/31 封印された数字
The Holland Suggestions
John Dunning
松浦 雅之
早川書房
文 庫
途中のサスペンスは、なかなかの迫力だが、最後のまとまりが悪い。それだけの話、という印象が免れない。
1999/02/23 1998/12/01 1998/11/30 よそ者たちの荒野
A Wasteland of Strangers
Bill Pronzini
山本 光伸
早川書房
新 書
寂れかけたリゾートの町によそ者が現れて波紋を投げかける。多視点一人称でその波紋を様々な角度から照らし出す。ひとつの町を多面的に描写するとともに、ミステリとしての趣向も凝らしている。かなり大胆に犯人を示す手掛かりを提示しているが、つい見過ごしてしまう。読み返してみると、フェアプレイ精神を持ち、ぎりぎりの描写をしていることが分かる。自ら語ることのない主人公に感情移入してしまう。
1999/02/12 1998/12/10 1998/09/25 ひとりで歩く女
She Walks Alone(Wish You Were Dead)
Helen McCloy
宮脇 孝雄
東京創元社
文 庫
完全に騙されたわけではないが、論理性とフェアプレイの精神に満ちていて、ミステリの本来の楽しさを味わうことができる。
1999/02/04 1999/01/19 1999/01/15 過去の傷口
Past Tense
Stephen Greenleaf
黒原 敏行
早川書房
新 書
読み終わって思わずタナー・シリーズの新作があるかどうか確認してしまった。このシリーズは、元々タナーの事件に対する個人的な関わりが大きいが、それにしても思い切った設定である。真相解明の部分があっけない感じもするが、このような結末を用意しているのでは仕方ないか。
1999/01/28 1999/01/04 1998/12/31 暗い迷宮
Upon A Dark Night
Peter Lovesey
山本 やよい
早川書房
単行本
2つの自殺と記憶喪失の女性の失踪、3つの事件が1つに結びつき、解決する。それぞれの事件が関連することが明らかに過程も無理がないし、無駄なエピソードはひとつもない。見事に構築されたミステリである。
1999/01/20 1998/12/24 1998/12/15 泥棒はボガートを夢見る
The Burglar Who Thought He Was Bogart
Lawrence Block
田口 俊樹
早川書房
新 書
バーニイのカサブランカ。関係者全員を集めて真相を解明というおなじみの場面は、パズラーのそれというよりロス・トマスだが、それほどの緊迫感はない。ダイイング・メッセージの分析、犯人当てなど、要素は揃っているが、もう一つ盛り上がらない。殺し屋、この本と、田口俊樹さんは訳者あとがきで「最近のブロックは口当たりがいいだけ」とぼやいているが、楽しめることは楽しめるし、ファンとしてはつきあいますので、これからも飽きずに翻訳して下さい。
1999/01/10 1998/12/10 1998/09/25 猿来たりなば
Don't Monkey With Murder
Elizabeth Ferrars
中村 有希
東京創元社
文 庫
あまりうまくペースに乗れなかったが、謎解き部分は十分に楽しめた。ミステリとして必要とされる条件は全て揃っている。非合理な謎と論理的な解決がやはりミステリの魅力の基本である。

1998年に読んだ本


Home Sweet Home

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