1998年に読んだ本 | |||||
読了 | 購入 | 発行 | 題名/原題 | 著者/訳者 | 出版社 |
1998/12/23 | 1998/02/22 | 1997/10/30 | さよならは言わないで Take No Farewell | Robert Goddard 奥村 章子 | 扶桑社 文 庫 |
ミステリ・プロパーの読み方をすれば、探偵役の行動がもどかしい。勿論、ゴダードの狙いはそこにはないわけだが、ここまでメロドラマ色が強いと、おもしろいことは間違いないとしても、疑問も生じる。 | |||||
1998/12/10 | 1998/09/29 | 1998/10/25 | 殺し屋 Hit Man | Lawrence Block 田口 俊樹 | 二見書房 文 庫 |
ブロックによるもう一人の孤独なニューヨーカーの肖像。人を殺すという一点のみで、普通でない男の物語だが、深刻な問題を素通りすることで、成り立っている。際だった部分はないが、楽しめる。 | |||||
1998/12/02 | 1998/10/20 | 1998/10/15 | 帽子屋の休暇 Mad Hatter's Holiday | Peter Lovesey 中村 保男他 | 早川書房 文 庫 |
初期シリーズの未訳分。小説としてはおもしろいが、ミステリとしては弱い。これは、このシリーズ全てに言えることのようだ。提起されている問題は現代にも通じる物で、その解決も説得力がある。 | |||||
1998/11/22 | 1998/10/27 | 1998/10/25 | ムーチョ・モージョ Mucho Mojo | Joe R. Lansdale 鎌田 三平 | 角川書店 文 庫 |
シリーズものは、やはり順番に読みたい。「罪深き誘惑のマンボ」のコンビが、より理解できる。物語自体は、意外なほどミステリとしての結構を備えており、その分、弱いところもあるが、楽しめた。 | |||||
1998/11/10 | 1998/10/05 | 1998/10/01 | 猟 鬼 The Button Man | Brian Freemantle 松本 剛史 | 新潮社 文 庫 |
フリーマントルの新しいシリーズ。ロシアの民警とFBIの捜査官が共同でロシア国内の犯罪を追う。当然ながら国際政治が絡み、単なる警察捜査物語にはならない。終盤の解決に向けて、様々な伏線が明らかになり、謎解きの要素も十分考慮したことを窺わせるが、その部分はあまりうまくない。主人公二人の人物造形はそれなりに魅力的だが、マフィンほどの魅力は、残念ながら無い。まあ、当然だが。 | |||||
1998/11/04 | 1998/10/20 | 1998/05/25 | 覆面作家の愛の歌 | 北村 薫 | 角川書店 文 庫 |
1998/10/26 | 1998/10/20 | 1997/11/25 | 覆面作家は二人いる | 北村 薫 | 角川書店 文 庫 |
日本の作家、短編集は、原則としてあまり読まないのだが、この作家の作品は気になる。直観型名探偵の古典的形式に忠実で、楽しませてくれる。それにしても、ここまで奇異な人物設定をする必要があるのかは疑問。 | |||||
1998/10/22 | 1998/09/30 | 1998/09/30 | 幻の森 The Wood Beyond | Reginald Hill 松下 祥子 | 早川書房 新 書 |
ダルヒール、パシコー、ウィールドという三位一体の活躍ぶりは快調。1つの事実から、事件の全体が一気に明らかになる醍醐味は、ミステリならではのもの。女性刑事のノヴェロも一役買い、シリーズの新しい展開も期待させる。ダルジールの恋、パスコーの先祖探しも絡み、文句なしの面白さ。 | |||||
1998/10/05 | 1998/09/03 | 1998/08/31 | 明日なき二人 Bordersnakes | James Crumley 小鷹 信光 | 早川書房 単行本 |
クラムリーについては、それほど熱心な読者ではないが、ミロとシュグルーの競演ということで、読んでみた。省略の多い、正統派ハードボイルドのスタイルを貫いている。分かりづらさが、結末の驚きに繋がらず、真相はどうでもいいという気分になってしまう。謎の構成も古典的である。二人の主人公の生き方に、あまり共感を覚えないせいかもしれない。『友よ、戦いの果てに』、『明日なき二人』と感情移入した邦題については、若干の疑問を感じる。 蛇足:モンタナが登場する小説が3冊続いてしまった。気分を変えよう。 | |||||
1998/09/20 | 1998/09/01 | 1998/08/30 | キラー・オン・ザ・ロード Killer on the Road | James Ellroy 小林 宏明 | 扶桑社 文 庫 |
日付と現実の事件を背景とした疑似自伝小説、というのが読み始めたときの期待だったが、その期待は裏切られた。主人公であるマーティン・プランケットの、作者であるエルロイの生年1998年は、私と同じである。同じ時代を、エルロイはどのように感じていたのかという興味があったわけだが、その点は最初だけしか満たされなかった。途中から、殺人行は、犯罪実話雑誌、新聞の引用となり、更にFBIの監察官デューセンベリーの手記まで現れる。殺人に至る心理的背景についてはあまり説得力がない。殺人を犯すかもしれないという衝動はあっても、シリアル・キラーになる素質はエルロイにはなかったのではないか。 | |||||
1998/09/09 | 1990/02/15 | 煙草屋の密室 Butchers and Other Stories of Crime | Peter Lovesey 中村 保男他 | 早川書房 文 庫 | |
つなぎに読むために鞄に入れておいたが、新しい短編集が出たので、残りの数編を一気に読んだ。堪能しました。 | |||||
1998/09/08 | 1998/08/04 | 1998/07/01 | ビッグ・ピクチャー Big Picture | Douglas Kennedy 中川 聖 | 新潮社 文 庫 |
郊外の高級住宅地に住むエリート家庭に起こる不倫と嫉妬と殺人。ありふれた話が、壮大な夢物語に発展し、皮肉な結末を迎える。『郵便配達』の手かと思わせて、そうはならない。結末のつけようが無くなった、という感じもあるが、これはこれで、面白い。これもまた悲惨な結末なのだろうか。最後の一文の意味するところはどう解釈すればいいのだろうか。 | |||||
1998/08/31 | 1998/08/04 | 1998/08/01 | 殺人摩天楼 Gridiron | Philip Kerr 東江 一紀 | 新潮社 文 庫 |
インテリジェントビルを管理するコンピュータが、ビルを使って殺人を行う、その方法を様々に展開する部分はおもしろいが、最後がアクション・スペクタルになってしまう。それなりに迫力はあるが、映画にすれば見せ場になるだろうなという感想しか浮かばない。人間側の個性が生かされていないので、反撃の面白さがない。最後の文章は、何の恐怖感も喚起しない。 | |||||
1998/08/24 | 1998/07/22 | 1998/07/20 | ベッド・ディテクティヴ | 都筑 道夫 | 光文社 文 庫 |
この改題は、本当に著者の意向なのだろうか。ベッドの上で推理といった光景は全くない。第一集の方が、まだ、このタイトルに相応しかったのではないか。 | |||||
1998/08/02 | 1998/05/30 | 1998/05/15 | 黒い薔薇 Gone, But Not Forgotten | Philip Margolin 田口 俊樹 | 早川書房 文 庫 |
面白いということには異存はないが、あまり好みではなかった。 | |||||
1998/07/21 | 1998/06/30 | 1998/06/30 | 完璧な絵画 Pictures of Perfection | Reginald Hill 秋津 知子 | 早川書房 新 書 |
ウィールドが大活躍の異色編。若い巡査の失踪を巡って、荘園制の名残と田園の残る長閑な田舎の村を舞台に、様々な事件が起こり、解決する。お馴染みの面々のお馴染みの行動と、意外な側面が明らかになる。シリーズのファン向け。 | |||||
1998/07/02 | 1998/05/23 | 1996/09/15 | 殺人容疑 Snow Failing on Cedars | David Guterson 高儀 進 | 講談社 文 庫 |
ここにあるのは人生そのものであり、悪意や作為は存在しない。当然、人工的な産物であるミステリではない。それを期待して読んでは、裏切られることになるが、圧倒的な人間描写と自然描写には、感服するしかない。
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1998/06/14 | 1998/02/02 | 1998/02/01 | 報 復 Charlie's Apprentice | Brian Freemantle 戸田 裕之 | 新潮社 文 庫 |
チャーリー・マフィンの健在ぶりに、改めて脱帽。冷戦終結とスパイ小説の存在意義といった議論の馬鹿馬鹿しさが分かる。マフィンの姿に自分を投影することは、あまり健康とはいえないが、この快感は、他に代え難い。 | |||||
1998/06/03 | 1998/05/16 | 1971/10/22 | 毒入りチョコレート事件 The Poisoned Chocolates Case | Anthony Berkeley 高橋 泰邦 | 東京創元社 文 庫 |
古き、佳き、という形容詞が浮かんでしまうが、今読んでも、十分に楽しめる。純粋推理の楽しさである。 | |||||
1998/05/25 | 1998/03/25 | 1998/03/31 | 死はわが隣人 Death Is Now My Neighbour | Colin Dexter 大庭 忠男 | 早川書房 新 書 |
仮説と検証、というか、思いつきと現実が、食い違うようで奇妙に符合して事件が解決する。Dexterを読む楽しみが十分に味わえる。 | |||||
1998/05/12 | 1998/03/17 | 1998/03/10 | 緋色の記憶 The Chatham School Affair | Thomas H. Cook 鴻巣 友季子 | 文藝春秋 文 庫 |
老人の取り留めのない回想と思わせて、緻密に計算された物語。思わせぶりな科白が紹介され、実際の発言の場面が後で出てくる。そうした技巧の繰り返しで、事件の真相が、徐々に明らかにされる。結末で明かされる真相は、意外というより、作者はこれを選んだのかという感じである。その結末から逆算して、冒頭からの雰囲気が決定されている。事件に関する謎は全て明らかなる。主人公の絶望感もそれによって明らかになる。見事な語り口である。 | |||||
1998/04/24 | 1998/04/10 | 1998/04/15 | 欲望の爪痕 Flesh Wounds | Stephen Greenleaf 黒原 敏行 | 早川書房 新 書 |
1998/04/14 | 1998/03/26 | 1998/03/31 | 逃げだした秘宝 Why Me | Donald E. Westlake 木村 仁良 | 早川書房 文 庫 |
1998/04/09 | 1998/02/24 | 1997/08/10 | 蒼穹のかなたへ Into the Blue | Robert Goddard 加地 美知子 | 文藝春秋 文 庫 |
1998/03/20 | 1997/02/19 | 1996/12/27 | 衣装戸棚の女 The Woman in the Wardrobe | ピーター・アントニイ 永井 淳 | 東京創元社 文 庫 |
1998/03/17 | 1998/01/29 | 1997/12/30 | 緋の女 Scarlet Women | J.D.クリスティリアン 棚橋 志行 | 扶桑社 文 庫 |
1998/03/07 | 1998/02/18 | 1998/02/10 | 闇に浮かぶ絵 Painting the Darkness | Robert Goddard 加地 美知子 | 文藝春秋 文 庫 |
1998/02/26 | 1998/02/24 | 1998/01/30 | 天才伝説 横山やすし | 小林 信彦 | 文藝春秋 単行本 |
1998/02/18 | 1998/01/27 | 1996/10/18 | 千尋の闇 Past Caring | Robert Goddard 幸田 敦子 | 東京創元社 文 庫 |
1998/02/05 | 1997/10/03 | 1993/01/10 | リオノーラの肖像 In Pale Battalions | Robert Goddard 加地 美知子 | 文藝春秋 文 庫 |
1998/01/26 | 1997/12/13 | 1997/12/15 | 夜の片隅で Simple Justice | ジョン・モーガン・ウィルスン 岩瀬 孝雄 | 早川書房 新 書 |
1998/01/19 | 1997/12/12 | 1997/12/15 | 接 触 Unnatural Exposure | パトリシア・コーンウェル 相原 真里子 | 講談社 文 庫 |
1998/01/09 | 1997/12/17 | 1997/12/15 | 楽園の骨 Twenty Blue Devils | Aaron Elkins 青木 久恵 | 早川書房 文 庫 |