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「らぴすらずりIII」〜第6回かわさきロボット競技大会特別戦出場マシン | |||||||||||||||||||||||||||
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ルール変更とコンセプト | |||||||||||||||||||||||||||
第5回大会からかわさきロボット競技大会のルールが若干変更されました。
「11条」と呼ばれるこの条文は、
つまり歩行性能のないらぴすらずり(初代) のようなマシンには大会参加の道が閉ざされました。 そこで第6回大会に向けて設計を開始する際にはらぴすらずり(初代)同様の巨大アームと せっかく作るんだから人並み以上の歩行性能を備えたマシンを目指す事にしました。 この足回りの追加によって、 らぴすらずり(初代)では不可能だった、 旋回によって相手に照準を合わせる事も可能になります。
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らぴすらずり(初代)との相違点 | |||||||||||||||||||||||||||
「らぴすらずりIII」は「らぴすらずり(初代)」の拡大改良版です。 マシンを理解するには「らぴすらずり(初代)」と比較することが有効でしょう。 | |||||||||||||||||||||||||||
手〜ICBE2(Inter Corner Ballistic Edge-2) | |||||||||||||||||||||||||||
ICBE2(Inter Corner Ballistic Edge-2)と呼ばれる、
らぴすらずりIIIの手に当たる部分はらぴすらずり(初代)と大差ありません。
コンスタントフォーススプリング4本を使ったエッジは
4.4kgfの力を発揮して相手を転倒させる事が可能です。
ただし、ICBE2に使用しているシャフトが曲がるのを防ぐために構造を変更しました。 らぴすらずり(初代)では両端が固定端であったため、 シャフトに曲がりが生じていたものを一端を回転対偶にし、 もう一端をダンパで支える事としました。 この改造によってシャフトが曲がる事がなくなり、ICBE2はより堅牢な 構造となりました。 |
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腕〜ストラトリンク2(Stratolink-2) | |||||||||||||||||||||||||||
ストラトリンク2(Stratolink-2)はらぴすらずり(初代)のストラトリンクと同様に、
ICBE2をほぼ直線の軌道にそって相手マシンの場所まで搬送する役目を持っています。
その役目を果たしながら、以下の点で変更を加えました。
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![]() 図1:ICBE2の軌跡とStratoLINK |
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脚〜ミラーチェビシェフ2+SkidLEG | |||||||||||||||||||||||||||
足構造はどうせつけるならば人並み以上のものをという考えのもと、
チェビシェフ近似直動機構を採用しました。
さらに中上君と共同で機構の配置を検討した結果、
従来よりより薄型で堅牢な「ミラーチェビシェフ2(IIIc)機構」
を考案し実現する事ができました。
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![]() 図2:SkidLEGと擬似12足歩行
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らぴすらずりIIIではミラーチェビシェフ2(IIIc)機構の出力する軌跡を平行リンクを用いて
そのまま足(SkidLEG)の先端点軌跡としました。
そのため タイプB丘陵の登坂は出来ませんでしたが、
タイプA丘陵ならばアームを畳んだまま登り、かつ降りる事が可能である事が判明しました。
第一の目標であったある程度の荒地走破性能はこれによって達成されたと
言う事ができます。
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またらぴすらずりIIIでは足の第二の目標を超信地旋回によるアームの照準合わせ
としていたので、旋回性を重視した足の設計をしました。
つまりSkidLEGはマシンの前から後ろまで全通しており、
マシン前端と後端では摩擦係数の低い家具スベールを利用し、
旋回性に関与する足の中心部分をゴム支持とする事で、
前後に長い足が旋回を妨げる事のないように工夫しました。
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完成したマシン | |||||||||||||||||||||||||||
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マシンスペック | |||||||||||||||||||||||||||
製作したマシンのスペックを以下に示します。
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部品点数・重量 | |||||||||||||||||||||||||||
![]() 図4:重量配分 |
らぴすらずりIIIはらぴすらずり(初代)+足機構であった事が、
部品点数とマシンの総重量によって明白にわかります。
部品点数はらぴすらずり(初代)の約150点から320点強に増え、 そのほとんどが足機構の増強によるものです。 またストラトリンクとICBEは軽量化されましたが、 それは不十分で結果として重量制限をクリアするため、 多大な労力を費やす結果となりました。
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![]() 図5:部品点数(電装品は除かれています) |
部品点数の増加を招いた原因の一つに「アジアカーのような設計」
(通称:アジア設計)があげられます。
単純な形状の部品を組み合わせる事によって 複雑な機構を実現する設計方針は、製作が容易という利点を持ちます。 しかし一方でかわさきロボットの脚のような同形の部品を 大量に製作する場面では部品点数がうなぎ上りに増え、 また軽量化しようとした場合には小さな部品ばかりであるために どこを軽量化したらよいかわからないという欠点も持っているのです。 |
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試合結果 | |||||||||||||||||||||||||||
1999年8月28日、29日に行われた第6回かわさきロボット競技大会におけるらぴすらずりIIIの試合結果は以下の通りです。
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マシン総括 | |||||||||||||||||||||||||||
らぴすらずりIIIは11条をクリアするためには
性能過剰ともいえる足機構を搭載した展開マシンであり、
その安定した歩行と巨大なアームによる遠隔地攻撃は大会関係者に強い印象を与え、
オーム社の「ロボコンマガジン」(No.6)にも紹介されました。
しかしここで問題となるのは、このマシンを製作する上で、 特に軽量化のため、 恐るべき労働力が使用されたという事です。 ロボット技術研究会の友人諸氏の協力がなければ、 このようなマシンの製作は不可能であったと考えられます。 今後は「らぴすらずり」また製作を完了せずに 出場辞退した1996年の「五里霧中」の設計方針に立ち返り 「より安く・より速く・より良く」を目指していきたいと考えています。 またこの年から異常設計事業部の設計スローガンに「ノーモア・ニクヌキ」が追加されました。
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マシン略歴 | |||||||||||||||||||||||||||
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