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第4回かわさきロボット競技大会参加マシン<らぴすらずり> | |||||||||||||||||||||||
<らぴすらずり>は僕がロボット技研の友人である佐藤君・坂柳君の協力を得て作成し、
第4回かわさきロボットコンテストに参加させたマシンの名前です。
大会では「異質」なマシンとして注目を集めました。
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かわさきロボットコンテストとは
川崎市産業振興財団主催の、「手」と「足」を備えたラジコン操作型マシンが
プロレスのフィールドに似たフィールドで戦うというバトルの要素を多く含んだコンテストです。
相手をロープに押さえつけるか、転倒させれば勝ちで、
マシンの大きさは全長350mm、幅250mm、高さ制限無し、重量3500gまです。
足の駆動のために、実行委員会がギアボックスを支給してくれます。 手の駆動方法は自由です。多くのマシンは通常足の生えたフォークリフトか、 ブルドーザーのような形状を持っています。
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コンセプト | |||||||||||||||||||||||
このコンテストに参加するにあたって、僕はフィールドの大きさに着目しました。
フィールドの大きさは1800mmの正方形です。
つまり長さ2メートル程度の腕をつくり、高く二つに折り畳んでおけば、
相手がフィールドの反対側に存在していても攻撃できるわけです。
この長さの腕で相手を直接攻撃する--例えばクレーンのように相手を吊り上げる-- のは困難ですから、 アームの先の「手」=ICBEの部分には強力なアクチュエータ (モータ・ばね・エアシリンダー)を積んでおいてこれによって相手の転倒を図ります。
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多くのかわさき参加マシンはフィールドの凹凸に対応するため、
胴体の下にある程度のスペースがあります。らぴすらずりのICBEはここに差し込む事にしました。
これによって胴体の他の部分を狙うよりも簡単に相手ロボットの転倒をはかる事ができます。
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![]() 図1:基本コンセプト |
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メカニズム | |||||||||||||||||||||||
そのためにはICBEは相手マシンに向けてまっすぐ進む必要があります。
また、相手マシンの下に潜り込みやすいように、
フィールドと平行の姿勢を保つ必要があります。
これらを実現する軽量な機構として、
らぴすらずりでは4節リンクとそれに沿わせた平行リンク機構
(StratoLINK)を利用する事にしました。
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図2の青が4節リンクで、緑が平行リンクです。
赤はICBEの動きを示しています。
ほぼまっすぐに相手に向けて進んでいく事が分かります。
なお、このストラトリンクを設計する際には自作のプログラム OGULINKを使用しました。 |
![]() 図2:アーム形状とICBEの軌跡 |
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製作上の主眼点 | |||||||||||||||||||||||
「らぴすらずり」製作の主眼点は「軽量化と高速化」に尽きます。
このように長いアームを持ついわゆる展開型ロボットにおいて、
もっとも重要なのは高速な展開性能の確保と重量制限をクリアするための軽量化です。
そこでアームについては直径10mm、肉厚1mmのアルミパイプを使用し軽量化を図る事とし、 それ以外の部分では一つの部材に複数の機能を持たせる事、 中空材を利用する事などで軽量化を行いました。 また高速にアームを開くためにコンスタントフォーススプリングおよびソレノイドを用いる事とし、 アーム先端に取り付けられた「手」を試合開始と同時に2Kgfの力で押す事としました。
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マシンスペック | |||||||||||||||||||||||
完成したマシンのサイズ等は以下の通りです。
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完成したマシンの写真を示します。
![]() 図3:らぴすらずり(1997年8月23日撮影)
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試合結果 | |||||||||||||||||||||||
「らぴすらずり」は1997年8月23日に行われた第4回かわさきロボットコンテスト
予選で2回、敗者復活戦で3回、計5回の戦いを行いました。
その試合結果は以下の通りです。
上記のように相手の転倒に成功して一本勝ちを2回奪う事に成功しました。 一本勝ちの率が低かったのは、 ICBEの部分が相手の胴体下への侵入に成功しにくかった事によります。 ICBEを相手に命中させる事だけであれば、 計10回の対戦のうち、9回成功しています。 なお、敗者復活の4回戦で対戦した防衛大学校滝田先生のYTメカは 前年の準優勝マシンであり、 ここで勝利すれば翌日の本選会に出場することができるはずでした。
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マシン総括 | |||||||||||||||||||||||
「らぴすらずり」は本選会に出場はできませんでしたが、
異質なマシンとして多くの人の注目を集めた事
(必ずしも好意的なものばかりではありませんでしたが)、
また大会当日夜のTBS「ブロードキャスター」に名前入りで紹介された
僅か3台のマシン(カトレア・Sケーパー・らぴすらずり)に入れた事は大成功と言えるでしょう。
このマシンは僕が学生として作った最後のマシンです。 今後は社会人生活とこのような趣味をどう両立するかが課題となりました。
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略歴 | |||||||||||||||||||||||
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