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		ミラーチェビシェフ2〜チェビシェフリンク機構の新しい配置方法 | 
	
	
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			ナカウエ重工オリジナルのチェビシェフリンクの配置方法 
			「ミラーチェビシェフ2」をラグオ電工ではさらに追求、
			僅か3レイヤ(層)のリンクの中にチェビシェフリンク2つを設置する事に成功しました。
			この「ミラーチェビシェフ2(IIIc)」は歩行を前提とした、 
			かわさきロボットの足機構として広く応用できます。
			「らぴすらずりIII」「しりこん・ちっぷ」「しろやぎ01」などのマシンでは
			このリンク機構を足として採用、 コンパクトで安定な足機構であることが実証されました。
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		チェビシェフリンク機構とは | 
	
	
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			「かわさきロボットコンテスト」において、 
			参加マシンの多くが採用しているのがチェビシェフリンク機構です。
			これはリンクの長さの比が下図のようである4節リンク機構です。 
			この機構は簡単で、
			かつ優れた軌跡(ピンク色の曲線)を持つため多くのマシンが採用しています。
			 
			
			
				
					| 節の名称 | 
					節の長さ | 
					機構の動作 | 
				 
				
					| 原動節DA | 
					1 | 
					
						 
					 | 
				 
				
					| 固定節AB | 
					2 | 
				 
				
					| 従動節BC | 
					2.5 | 
				 
				
					| 中間節CD | 
					2.5 | 
				 
				
					| 中間節の延長CE | 
					2.5 | 
				 
				
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					図1:チェビシェフ機構 | 
				 
			 
			
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			通常のマシンはこのチェビシェフリンクの原動節(図のAD)の位相を、
			180度ずらして横に並べています。
			この方法を採用すると、
			原動節が一回転する間に二つのリンクが二つとも床につく時期が存在するので、
			非常に安定した歩行が実現されます。
			 
			しかしこの時問題となるのは、
			リンクを配置していくと5レイヤ以上の多層構造となる点でした。
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			右図は一般的なチェビシェフ近似直動機構の配置です。
			 
			青・水色・緑・ピンク・赤がそれぞれのレイヤを示しています。 
			図を見ると分かるように、
			ピンク色で示されている原動節ADと緑色の固定節ABを同じ平面内に置く事は出来ません。
			またADと赤色で示されている中間節CDEを同じ平面内に置く事も、
			CDEとABを同じ平面内に置く事もできないため、
			1つのチェビシェフリンクだけで3レイヤが必要である事がわかります。
			左右のチェビシェフリンクでABだけは共有できるので、全体で5レイヤが必要です。
			 
			(クリックすると動きをアニメGIF-85Kbで見る事ができます。)
			
			このような多層構造は通常、機械的なガタ・ゆるみを招き、
			多くのスペースも必要とします。
			これに対する従来の解決策はリンクを薄くし、
			軸をしっかり止めるというものでした。
			 
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			図2:一般的なチェビシェフリンクの使用法
			 
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			しかしこれではリンク同士の摩擦が増加するか、
			あるいはリンクの強度が低下するという欠点を伴います。
			それに対してミラーチェビシェフ2(IIIc)はリンク相互の
			固定方法・配置方法を根本的に見直し、
			わずか3レイヤの中にチェビシェフリンクふたつを配置することで解決を図りました。
			 
			原動節が360度回転する4節リンクを3レイヤ未満で構成する事は不可能なので、
			これが最もレイヤ数の少ないチェビシェフリンク2個の配置方法のうちの一つとなります。
			 
			ではミラーチェビシェフ2(IIIc)を紹介しましょう。
			 
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		ミラーチェビシェフ2機構 | 
	
	
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			「ミラーチェビシェフ2」機構は「鏡のように反対向きに配置されたチェビシェフリンク2つが動作する」
			事から名づけられた機構で、中上君の提案によるものです。
			このミラーチェビシェフ2機構の特徴は
			同じリンク先端点軌跡を描くチェビシェフリンクの原動節が離れた位置にある点です。
			 
			レイヤ数の増加は、360°回転する原動節と固定節、
			中間節を同一平面状に配置できないために発生するので、
			このような配置をとるとレイヤ数の増加を招くことなく、
			機構を配置する事が出来るのです。
			 
			異常設計事業部ではこの機構について検討した結果、
			ミラーチェビシェフ2機構はわずか3レイヤで実現できる事が判明しました。
			これが「ミラーチェビシェフ2(IIIc)機構」です。
			 
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			右図に示すのがミラーチェビシェフ2です。
			ピンク色、緑色、水色が3つのレイヤとなります。
			この機構の特徴は、固定節が3つのレイヤにわたってジグザグにつながっているという点です。
			 
			またCDEやBC、あるいはABとBCのように互いに重なり合う事のないリンクは
			同一平面内に配置する事ができることを考慮に入れました。
			こうすると原動節周辺以外でのレイヤ数増加を抑える事ができます。
			ミラーチェビシェフ2ではこれをリンクCDEとリンクBCで採用した結果、
			3レイヤに2つのチェビシェフリンクを収めるという機構が実現したのです。
			 
			 
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			図3:ミラーチェビシェフ2機構
			 
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			さらにこの配置では、原動節ADは同じ緑色のレイヤ上に配置されています。
			原動節が同一平面にあれば、それらをタイミングベルト、ラダーチェーン、
			ギアなどで直接つなぐ事ができ、
			二つの原動節へ動力を伝達するための複雑な機構を
			リンク機構の外に持つ必要がないという利点もあります。
			 
			図3をクリックするとミラーチェビシェフ2機構のアニメGIF(85kb)を見る事ができます。
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		使用方法 | 
	
	
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			ミラーチェビシェフ2機構の使用方法は
			通常のチェビシェフ近似直動機構の使用方法と全くかわりません。
			大半のかわさきマシンが採用しているように
			スライダを利用して上下反転する事もできます。
			 
			今回の「らぴすらずりIII」「しりこん・ちっぷ」ではミラーチェビシェフ2機構に、
			それとは独立な平行リンクを付加して支持しました。
			こうすると部品点数の増加を招くので、実際には頭の良い方法とは言えないのですが、
			ミラーチェビシェフ2機構の動作を確認するためにこの形としています。
			 
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		結果 | 
	
	
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			1999年の「らぴすらずりIII」、2000年の「しりこん・ちっぷ」「はっぴーかめかめ」、
			2001年の「しりこん・あいりす」「保守的らぴすらずり」の動作を通じて、
			ミラーチェビシェフ2機構は、
			通常のチェビシェフ近似直動機構と何ら遜色ない性能を発揮する事が証明されました。
			 
			また2001年には「しろやぎ01」チームが本ページの資料をもとに、
			ロボット技術研究会関係者以外として初めて本機構を採用しました。
			異常設計事業部は今後もミラーチェビシェフ2の技術をオープンソースとすることで、
			かわさきロボット競技大会の技術向上に努めます。
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