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第11回かわさきロボット競技大会特別戦出場マシン<らぴすらずりX.5> | |||||||||||||||||||||||||||||
「らぴすらずりIX」
「らぴすらずりIXx」
以来のプロペラ推進方式のマシンの3代目が
「らぴすらずりX.5(らぴすらずりじゅってんご)」です。
本マシンでは「らぴすらずりIXx」での強力な推力は
そのままに、アームの先端部と脚機構に若干の修正を加えました。
2003年のらぴすらずりIXxにつづく2年連続の本戦出場はできませんでしたが、 特別戦に出場しプロペラ推進による相手マシンの押し出しの有効性 を観客にアピールしました。
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「らぴすらずりX.5」のコンセプト | |||||||||||||||||||||||||||||
![]() 図1:らぴすらずりX.5での修正点
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2004年3月、かわさきロボット競技大会の実行委員会は再び
ルールを変更
しました。
今回の主な変更は、 また「らぴすらずりIXx」運用中に判明した不具合点に対応するため、 ファンガード及び後方下段の設計変更を行いました。 全体として「らぴすらずりX.5」のコンセプトは 「らぴすらずりIXx」と同一です。 新規技術を導入せずに不具合修正のみを行い、 手堅いマシンを少ない製作部品点数で実現する事を目指しました。 図1にらぴすらずりX.5の全体図を示します。 このうち、青で示された部分について修正を行いました。 |
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腕先端部分〜金枠〜 | |||||||||||||||||||||||||||||
ペイロードリボン
と名付けたらぴすらずりIXxの腕の先端部分は、
リボンと編んだタコ糸を4重に張った物でした。
しかしこのような相手と絡むアームはルール上の疑義が発生したため、 らぴすらずりX.5では新しく相手を押すアームとして金枠を作成しました。
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図2:らぴすらずりIXxのペイロードリボン
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金枠は台所用品の焼き網の一部分を切除する事で作られた
目の粗い枠状の物体で、
これを用いて相手のアームを押えつけることとしました。
また、らぴすらずりIXxでは着地したアームが跳ねて相手の上を飛び越えるという 不具合が発生していたので、アーム先端にクッションをつけて着地したアームが 跳ねないようにしました。 最後に、相手に対する視覚的効果を狙って 枠にはホログラフシートを貼りました。 このホログラフシートは上側だけが固定されていて、 アーム展開時や相手アームと激突した時の抵抗になりません。
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![]() 図3:金枠の模式図↑ 図4:金枠の写真→ |
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推進脚機構〜機能の軽量化〜 | |||||||||||||||||||||||||||||
第11回大会までの脚機構の主動力源は、実行委員会が支給したギアボックスでした。
しかし、2004年から
「マブチ380モータ2個以下を動力源とするならば
ギアボックスとして何を使おうと自由」という方針に変わりました。
そこでこのルール変更を機に脚に必要な機能を再度見直すことにしました。
そもそも、 らぴすらずりシリーズの脚は走行審査を突破するためだけ に必要だったのですが、 走行審査自体は単に「350mmの平地を30秒以内に走破する」というものでした。 つまり通常のかわさきマシンの脚機構が備えるべき「高速性・旋回性・走破性」 はこの走行審査専用の脚には不要であり、それどころか らぴすらずりIXxで明らかになったように 実は後進も不要でした。 さらなる機能の軽量化を追求した結果、 「いっそのこと旋回機能も無しでいい」という結論に達し、 右側脚機構と左側脚機構を一つのモータで駆動する事としました。 この結果、ギアボックスの半分とモーター1個を省略でき、 マシンの軽量化に貢献しました。 | |||||||||||||||||||||||||||||
![]() 図5:簡略化された脚機構(モータ・ギアの半分が省略されている事に留意) |
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そのほかの改善点 | |||||||||||||||||||||||||||||
らぴすらずりIXx
では試合中にプロペラが外れて観客に当たるという事故が発生しました。
そこで急遽ファンガードを補強してプロペラが飛び出さないようにしましたが、 プロペラが針金製のファンガードに当たって折れてしまったら、 やはり破片が飛び散るうえ、試合続行も不可能となります。 そこで、プラスチックの網を使って プロペラを折らずに抑え込むソフトなファンガードを作りました。 実際にはプロペラが外れるような事故は発生しなかったので、 幸いにもファンガードが活躍する事態は起こらずに済みました。 |
![]() 図6:ファンガード
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またらぴすらずりIXxでは
ダクテッドファンと上段アームを後ろ側で支える後方下段アームが
上段アームの根元の部分と干渉していたので、このアームを1本とする事で
干渉が起きないようにしました。
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装飾 | |||||||||||||||||||||||||||||
今までらぴすらずりシリーズは過剰なほどの装飾排除を特徴としていました。
図8に示すのは1997年の初代らぴすらずりの装飾です。 アームの1箇所にだけ青と黒のビニールテープを並べて巻いて、 シンボルカラーの青と黒を示しました。 一方らぴすらずりX.5ではアームの根元の板にホログラフシートを貼り、 その上にマシンロゴを大々的に印刷しました。 光をきらきらと反射するホログラフシートを金枠にも採用したことで、 マシンの印象を決定づける結果となりました。
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![]() 図7:らぴすらずりX.5の装飾
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![]() 図8:らぴすらずり(初代)の装飾
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マシンスペック | |||||||||||||||||||||||||||||
製作したマシンのスペックを以下に示します。
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試合結果 | |||||||||||||||||||||||||||||
らぴすらずりX.5の試合結果は以下の通りです。
対戦相手の名前をクリックすると、
大会実行委員会が公表しているマシンの写真を見る事ができます。
試合結果をクリックすると試合の際の動画を見ることができます
(なお対彗星SYNDROME戦の動画は記録されていないためありません)。
らぴすらずりX.5は上記のように、 土曜日の予選で4試合、日曜日の本戦で2試合を戦いました。 敗者復活戦ではらぴすらずりX.5のアームによって相手マシンがロープに接触し、 ロープが激しく揺れているにも関わらず審判が有効を宣告しない一方、 らぴすらずりX.5のアームの場外接地については直ちに有効が宣告されるなど、 疑念の残る判定結果となりました。
![]() 図9:らぴすらずりX.5(敗者復活戦後) 敗者復活戦終了時点では、図9に示す様に破断してしまっていたアームですが、 特別戦出場の報を受けて急遽修理を行い、翌日の特別戦に間に合わせました。 結果として、カーボンファイバーパイプの補修の実績をさらに積む事ができました。
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マシン総括 | |||||||||||||||||||||||||||||
新コンセプトを導入せず、
らぴすらずりIXxの不具合修正にとどめる事で、
手堅い設計で本戦出場を目指したらぴすらずりX.5ですが、
二年連続の本戦出場を果たす事はできませんでした。
その原因は二つあると考えられます。
ペイロードリボンの代わりに採用した金枠が重く、
またトリガー機構の剛性が低かったため動作が遅く、
結果としてアームの展開が遅くなっていた事。
他方でらぴすらずりX.5は以下の二点を達成する事に成功しました。 つまり、一つは事故なく全試合を完了した事、 もう一つは特別戦に出場する事で、 参加者・大会関係者・観客の前でプロペラ推進の有効性をアピールできた事です。 その結果「ロボコンマガジン」だけでなく 「週刊アスキー」にも写真入りで紹介されました。 近年「異色」とされる機体がその看板を降ろし、 あるいは特色ある機体が参加しなくなっていく中で、 「らぴすらずり」シリーズの異色性は今後も重要度を増していく と考えられます。
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マシン略歴 | |||||||||||||||||||||||||||||
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