ヨーロッパ滞在顛末 15
電話 01/07/01
部屋はとにかく見てみなければ良し悪しなど判るはずもない。けれどもこれだけ物件が絞られてしまっていると、もう選択の余地もないわけだ。仕方ないけどこの中から決めるしかない。比較的条件の合う期間を貸しに出している物件を更に絞り込んだ。 と管を巻いてもしょうがない。ぼくはノートに喋る内容をメモした。 次の日学校から帰ってきて、ぼくはしばらく電話の前でうずくまっていた。 ドイツに来て何度目かの清水の舞台の覚悟で、受話器を取った。 くじけてなるものか。呼吸を整えて他の物件に再びかける。……あれ、また留守? 翌日は、前日ほどの勇気は要らなくて、どうせまたみんな留守なんだろうと予想していたら、本当にそうだった。……ドイツの人って、すぐに電話を取らないのが普通なのか? もしかして。 だんだんぼくは不安になってきた。このままでは誰にも連絡が取れないままズルズル時が経ってしまうではないか。これではまずい。情報もうかうかしているとすぐ古くなってしまう。 そうこうしている内に週末を越してしまった。午前中にかけてみたりもしてみたが、不思議なことに誰も出ない。いくら何でももうこれらの物件は片付いてしまっただろう。もう一度 Mitwohnzentrale で情報をもらってこなければいけない。あそこに行くのは何だか気が進まないけれど、そんなことは云っていられない。 また例の何だか愛想の悪い兄ちゃんに頼んで、新しい物件をプリントアウトしてもらう。今度は2件しかない。うそ。とぼくは思わず日本語で口走ってしまった。 もうこれは逃がさないぞ。幸い期間と面積と価格は2件ともまぁ申し分ないものだった。中央駅に戻って来たあと、ぼくはその場でその2件に電話してみることにした。 |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
copyright 2000-2002 by ARAO Gakuji
aragak@aragak.com