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むーどす島戦記リプレイ ⇒ リプレイ第6話後:ショートストーリー
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リプレイ第6話後:ショートストーリー
●目次
・
パーティ日常SS①(作者:トゥ・ナP)
・
パーティ日常SS②(作者:ヤトリシノP)
ブラスの村、ヴァリスと旧カノンの国境にほど近いこの村は、新たな領主を迎え、新たな局面に面していた。
まだ早朝の陽のなか、一際大きな領主の舘の前で剣戟の音が鳴り響いていた。
音の主は2 人、領主ライトネスと、その客人であるヤトリシノだ。
「はぁぁぁぁあ!」
ライトネスは練習用の大剣を垂直に打ち下ろした。対するヤトリシノは頭上に大剣を構え、受ける体勢を取った、ように見えた。
「ーーーーーっ!」
この時に剣戟の音は響かない。それに気付いたライトネスは息を飲む。
―――ビュッ
時が止まる。気付けばライトネスの喉元にヤトリシノの大剣の刃が吸い付いていた。
受けに回ったように見えたヤトリシノだったが、打ち降ろされた大剣を受けずに斜めに流し、握り直した刃を
ライトネスの喉元に触れさせていた。
――パチパチパチッ――
稽古を眺めていたマーコットから拍手。すごいですっすごいです!、とぴょんぴょん跳ねている。
「なんか凄く戦ってて、おぉ!ライトネスさんがっ!って思ったらヤトリシノさんが逆転してました!(・ω・三・ω・)フンフン」
理解はしてないようだ。
しかし当の本人達はお互いに理解していた。
「解っていたけれども、やっぱり負けると悔しいな!」
爽やかに笑うライトネス。
「そんなに差はないよ。しいて言えば…基礎と経験、かな?」
言ってから1 呼吸置いて、ヤトリシノは1 人で大剣を振り回した。
それは、その手に持つ物騒な鉄塊を目に入れなければ、流麗な舞のようにも見えた。
「ほぉ…凄い、な…」
「ほほぅ…凄いと思います」
この舞に解ってる感想と解ってない感想が届く。
「形稽古だよ、習ってるときは何の役に立つのか、と思っていたけど、戦場に立つと思ったより役に立った」
また違う型を披露しながらヤトリシノは言った。
「それからは毎日やってる、戦場で知ったことからアレンジもしてる」
悪戯心だろう、舞の最後の一太刀をマーコットの頭上で止めた。
声は上がらない、完全にフリーズしたマーコットを見て、少し反省したヤトリシノだった。
「あっるぇぇーーー?なにやってんのーーーー?」
ひょっこりと顔を出したのはアンスリュームだった。
「なんかぁー、ヤトリシノ踊ってた?」
軽快に近寄りながら問うた。
「踊りではないけどね…」
答えてから、人の良いヤトリシノは剣舞を1 つ。
「えぇーっ!カッコイイ!凄いじゃん!何それーー!?」
歓声を上げながらアンスリュームはヤトリシノの動きを真似る。が、もちろん追い付けない。
「あーん、もっかい見せて!」
先程の型をもう一度。
「よっ、ほっ…はっー!」
またもアンスリュームは真似をするが、今度はかなり近いうごきをする。
「へぇ、見様見真似でよく動けるね」
素直にヤトリシノは歎息する。
「へっへーーー。あーし昔から体動かすの得意なんだよねー♪」
何度かアンスリュームは同じ動きをする。
ライトネスもこっそり動きを真似るが、生来不器用なのだろう、アンスリュームのそれとは違って見えた。
アンスリュームの動きは徐々に徐々に、キレを増していく。
それはヤトリシノから見ても才能を感じるものだった。
「どぉよどーよー?完璧っしょ!」
短い間にアンスリュームは1 つの型を完璧にトレースしていた。
「ヤバくない?あーしが剣使えたらさいきょーじゃん!」
たわわな胸を張って鼻高々。
「確かに凄いよ…私も型を覚えるのに何日もかかってる」
「でっしょーーーっ!あーしヤバくない?」
ケラケラ笑いながら喜ぶ。
「じぁさー、次が本番!ちょっと剣貸してーー」
―――――
「頭いてぇ…」
こぼしながら、トゥ・ナはこめかみを抑えた。
お天道様は随分と高い。辛うじて午前、というところか。
昨日、間違えて酒を飲んでしまったのが良くなかった。
「……あん?」
進行方向より少し斜め、ライトネス邸の前で皆が集まっていた。居ないのはルーシアだけだろうか。
「……踊り?何やってんだぁアイツら…」
視線の先ではライトネス、ヤト、ちっちゃいの、そして何やら踊ってる?アンスが見えた。
少し舵を切ってそちらに向かう。
霞む視界の先ではアンスがライトネスに何かを受け取っていた。
「やはり酒なんて飲むもんじゃねぇ…」
進む先、再び踊り出したアンスの手先がキラリと光る。
トゥ・ナがそれを認識すると同時に、左耳が風切り音を聴く
少し間を置いて後ろを振り返る。
そこはヤトの部屋の扉に鉄塊が突き刺さっている。一般的には”剣”と呼ばれるやつだ。
後ろから「トゥ・ナごめーーーーん!」と聴こえた。
●パーティ日常SS②(作者:ヤトリシノP)
ブラス村に新たな領主が赴任することになり、新しく館が建設された。
その館の広い部屋で男は椅子に座り、女は姿勢正しくテーブルの脇に立っていた…。
「…領主は良いと言ったよね?」
「はい…」
男は手に持っているグラスを女の方へ差し出した。
「なら良いよね?」
「…申し訳ありません」
「…」
領主が部屋を出て行って以降、このような問答が何度か繰り返されていた。
―――コンコンコン―――
開けっ放しの扉にノックしながら一人の女性が部屋に入ってきた。
「何かあったのですか?大きな声が部屋の外まで聞こえてますよ…」
「…いや、エール酒のお代わりを…お願いしてるだけ…」
男はバツが悪そうに答え、闇夜が映る窓へと視線を外した。
溜め息を吐いた女性は女に座るよう促し、女に問いかけた。
「チェリーさん…何杯目なんですか?」
「5 杯目です…」
「呑み過ぎです!身体を壊しますよ!」
女性の顔が般若のごとく変わった。
「…」
視線を外したまま答えずにいる男を一瞥し、女性は一枚の紙を取り出した。
「これをライトネスさんから預かっています」
女性は男に見えるように胸の前で紙を広げた。
そこには【領内に於ける酒類の取り扱いはルーシアに一任する】と書かれていた。
「…ルーシアさん…これは?」
「見ての通りですよ?解りますよね?」
「…チェリーさんは知ってたの?」
「はい、お代わりは程々にと言われておりました…」
「そう…なんだ…」
男は衝撃の事実を知り、呆然としている。
「ヤトリシノさん、今後のお代わりは1 杯までとします」
「えっと…」
「ご不満ですか?なんならお代わり無しでも良いのですよ?」
「い、いえ不満なんてありません」
「なら、そろそろ寝た方が良いのではありませんか?」
「はい…」
「それから、今後はチェリーさんに一任しますからご承知おきくださいね」
ルーシアに微笑みながら言われたヤトリシノはトボトボと自室へと戻ったのであった。
ヤトリシノが居なくなったのを見計らってルーシアが悪戯っ子のような顔をチェリーへ向けた。
「この紙は偽物です。呑み過ぎ防止の為に私が作りました」
「え!」
「ライトネスさんのサインが無いんですよ」
「では、ヤトリシノさんは…」
「信じたみたいですね笑」
ルーシアとチェリーの小さな笑い声が部屋に響いたのであった…。
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●本コンテンツについて
・本コンテンツは同好者の間で楽しむために作られた非公式リプレイです。
・2021年にオフラインセッションでプレイしたものをまとめたものとなります。
・動画制作とリプレイテキスト公開を同時進行しております。
・個人の趣味で行っておりますので、のんびり製作しております。気長にお待ちいただきながらお楽しみください。
・原作の設定とは無関係の設定が出て来たりしております。あくまでこちらのコンテンツは別次元のお話と思ってください。
・本コンテンツの制作にあたり、原作者様、出版社様とは一切関係がございません。
・TRPGを行うにあたり、皆が一様に分かる世界観、共通認識を生んでくださった原作者様と、
楽しいゲームシステムを販売してくださった関係者の方々に、深く感謝申し上げます。
●本コンテンツの著作権等について
・本コンテンツのリプレイ・ショートストーリーの著作権はむーむー/むーどす島戦記TRPG会にあります。
・本コンテンツのキャラクターイラスト、一部のモンスターイラスト、サイトイメージイラスト等の著作権は、
むーむー/マーコットPさん/アールグレイさんにあります。
・その他、原作、世界観、製作用素材については以下の権利者のものとなります。
●使用素材について
・本コンテンツは以下の製作者、原作者、製作素材等の著作物を使用して製作されています。
【プレイヤー】
・トゥナ・P
・マーコットP
・ヤトリシノP
・むーむー(GM)
【挿絵・イラスト】
・マーコットP
・むーむー
【キャラクター(エモーション・表情差分)】
・マーコットP
・むーむー
【使用ルール・世界観】
・ロードス島戦記
(C)KADOKAWA CORPORATION
(C)水野良・グループSNE
・ロードス島戦記コンパニオン①~③
原案:安田均、水野良、著者:高山浩とグループSNE
出版社:角川書店
【ウィンドウ枠デザイン素材】
・ウィンドウ&UIパーツ素材セット3
(Krachware:クラハウェア)
【マップアイコン素材】
・Fantasyマップアイコン素材集
(智之ソフト:tomono soft)
【Web製作ツール】
・ホームページデザイナー22
(ジャストシステム)
【シナリオ・脚本】
【リプレイ製作】
・むーむー
【ショートストーリー・小説製作】
・トゥナ・P
・マーコットP
・ヤトリシノP
・むーむー
(むーどす島戦記TRPG会)
【製作】
・むーむー/むーどす島戦記TRPG会