2003年3月


「レッド・ドラゴン 」- Red Dragon -

 ブレット・ラトナー監督、トマス・ハリス原作、エドワード・ノートン、アンソニー・ホプキンス、レイフ・ファインズ、ハーヴェイ・カイテル、エミリー・ワトソン。

 満月の夜ごとの一家惨殺事件の発生により、元FBI捜査官グレアム(エドワード・ノートン)が復帰を要請された。グレアムは、かつて逮捕したレクター博士(アンソニー・ホプキンス)に助言を求めに行く…。

 原作、最初の映画化「刑事グラハム/凍りついた欲望」と印象深い記憶がある物語であるが、それに負けず面白かった。最期にはアクションとなってしまうのがちょっと情けない。また、グレアムの捜査方法、殺人者の精神に移入し切って、精神を病みながらも犯人を追い詰めて行く、その壮絶さが描かれてないのが納得出来ない。それでも、ノートン、ホプキンスはもちろんだが、レイフ・ファインズ、エミリー・ワトソン共に味があっていい演技に助けられていて楽しめる。

「レッド・ドラゴン」Official Website


「ピノッキオ <日本語吹き替え版>」- Pinocchio -

 ロベルト・ベニーニ監督主演、カルロ・ジュフレ、ニコレッタ・ブレスキ、ミーノ・ベッレイ、ペッペ・バーラ、キム・ロッシ・スチュアート、フランコ・イァヴァローネ。
 青い妖精(ニコレッタ・ブレスキ)の魔法で出来た跳ね回る丸太、その丸太でジェッペット爺さん(カルロ・ジュフレ)が作った人形は言葉を話し動き回り、ピノッキオ(ロベルト・ベニーニ)と名付けられる…。

 ロベルト・ベニーニ、頑張ってはいるが、どう好意的に見てもピノッキオには見えない。さらにユースケ・サンタマリアの下手な吹き替えが悪化させている。見ていて、辛いものがある。疲れた。
 美術などは結構好きなのだけど、ロベルト・ベニーニがやっていなければもうちょっと楽しめただろう。「ライフ・イズ・ビューティフル」は好きなんだが。

「ピノッキオ」Official Website


「青の炎」

 蜷川幸雄監督、貴志祐介原作、二宮和也、松浦亜弥、鈴木杏、山本寛斎、中村梅雀、秋吉久美子、唐沢寿明、竹中直人。

 同名原作の映画化、ほぼ原作に忠実。主人公、櫛森秀一(二宮和也)は高校生。母(秋吉久美子)と妹との三人暮らしの所に転がり込んで来た、10年前に離婚した父親の曽根(山本寛斎)の暴力に悩む。法律では解決出来ずに完全犯罪を計画する…。

 原作の前半では強く感じた、犯行に及ぶまでの切なさ、純真さはまるで感じられず、単なる凶悪犯罪者にしか見えない。殺しについては映像にすると生々しく、さらに主人公に共感出来ない。二宮和也、松浦亜弥ともに悪くは無いのだけど、ちょっと違うっていう感じが強い。
ラストは原作同様、やはり最悪のまとめ方だと思う。

原作「青の炎」感想


「リロ&ステッチ <日本語吹き替え版>」

 クリス・サンダース&ディーン・デュボア監督脚本、山下夏生(リロ)、田畑智子(ナニ)、山寺宏一(スティッチ)
 暴力的で凶悪なエイリアン626号が逃亡。水が苦手な626号が不時着した先はハワイ、両親を無くし姉と住むリロのペットの子犬、ステッチとして暮す事になる…。

 ダンスとかサーフィンとか映像が上手く、ハワイの文化の出し方が上手い。ステッチはどう見ても可愛く無く、悪人だが、なんとなく最期にはハッピーエンドにまとまってしまうのがディズニー的なマジック。でも、やっぱり可愛くないキャラでこれではヒットしないと思う。

「リロ&ステッチ」 Official Website


「ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔」- The Load of the Rings : The Two Towers -

 ピーター・ジャクソン監督、イライジャ・ウッド、イアン・マッケラン、リヴ・タイラー、ヴィゴ・モーテンセン、ショーン・アスティン、ケイト・ブランシェット、ジョン・リス=デイヴィス/バーナード・ヒル、クリストファー・リー。

 第一部に続く、3つに分れたそれぞれの旅。フロドとサムは指輪の元の持ち主ゴラムにモルドールまでの道案内をさせる。アラゴルンとレゴラス、ギムリはウルク=ハイに連れ去られたピピンとメリーを追跡する。

 繋ぎといういう印象が強いが純粋には楽しめる。人間の国ローハンの攻防が見せ場ではあるけど、終わってみれば一番活躍したのはピピンとメリーとは(^^;)。そして一番強いのは木かい(^^;)。ローハンの犠牲は何だったのかと思わせる。
 CGが作る迫力ある映像には魅了させられる。今回、ゴラムの映像の自然さには感心した。

「ロード・オブ・ザ・リング」Official Website


「戦場のピアニスト」- The Pianist -

 ロマン・ポランスキー監督、エイドリアン・ブロディ、トーマス・クレッチマン、フランク・フィンレイ、モーリーン・リップマン、エミリア・フォックス、エド・ストッパード、ジュリア・レイナー、ジェシカ・ケイト・マイヤー、ルース・プラット。

 ゲットーから生還したポーランドの伝説的なピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマンの手記を元にしている。第二次世界大戦、ナチス・ドイツがポーランドに侵攻、ウワディスワフ・シュピルマン(エイドリアン・ブロディ)とその家族はゲットーへの移住を強制された。ドイツ兵、ユダヤ人警察の残虐行為が続き、やがて収容所行きになるところを、ウワディスワフ一人がのがれ事になる…。

 結構面白かったが、おすぎの TV-CMが余りにしつこくて、素直に感動出来ない(^^;)。実話をベースに、ゲットー収容経験を持つポランスキーが監督をしているので、ゲットーとそこの人々の暮らし、希望、裏切り、落胆と、描写はさすがに上手い。
 最期はちょっとあっさりしすぎな感じもする。

「戦場のピアニスト」Official Website


「呪怨」

 清水崇監督脚本、大石圭原作、奥菜恵、伊東美咲、上原美佐、市川由衣、津田寛治、柴田かよこ。
 女子大生の仁科理佳(奥菜恵)はホームヘルパーのボランティア。訪問先の寝たきりの老婆が住む一軒家で奇怪な怪現象に出会う。

 予告編の余りの怖さに身構えてしまって、あんまり怖くは無かった。予告編の方が怖さが凝縮していた感じ。まあ上手いとは思うが、ラストはちょっと平凡か。驚かし方は「リング」っぽくて、あんまり新鮮さは感じなかった。物語としては結構複雑で、上手く出来ているとは思うのだけど、怖さ先行でストーリを楽しめなかったかも。
 映画が終わると、場内全体、やっと終わったかというため息。みんな緊張して観ていたんだと、ちょっと驚き。

「呪怨」Official Website


「ギャング・オブ・ニューヨーク」- Gangs of New York -

 マーティン・スコセッシ監督、レオナルド・ディカプリオ、ダニエル・デイ=ルイス、キャメロン・ディアス。
 1846年、ニューヨークのスラム地帯、イースト・リバーのファイブ・ポインツ。ビル・ザ・ブッチャー(ダニエル・デイ=ルイス)率いるアングロ・サクソン系ギャング団ネイティヴス、それに対立するアイルランド移民のヴァロン神父(リーアム・ニーソン)はビルに殺される。ヴァロン神父の息子アムステルダム(レオナルド・ディカプリオ)はビルへの復讐を誓う…。

 なかなか面白かった。ダニエル・デイ=ルイスの印象強さには、ディカプリオは影が薄い。
 チネチッタに再現された19世紀のニューヨークの町並みが見事。埃っぽくて、薄暗く、薄汚れた雰囲気がなんとも上手い。150年程前、ニューヨークを舞台に米国人であるはずの移民同士が争っていたという事実を今描き出すスコセッシには関心する。最期のまとめ方はドタパタしていてイマイチな感じ。

「ギャング・オブ・ニューヨーク」Official Website


「黄泉がえり」

 塩田明彦監督、梶尾真治原作、草なぎ剛、竹内結子、石田ゆり子、哀川翔、山本圭壱(極楽とんぼ)、伊東美咲、田中邦衛、柴咲コウ 。

 続々と発生する死者の甦り現象を調査するため、厚生労働省の川田(草なぎ剛)は故郷の九州、阿蘇へ向かう。そこで再会した幼なじみの葵(竹内結子)は事故死した恋人の俊介を忘れないでいる…。

 映画の主人公は、原作にないオリジナルキャラクタ。原作を先に読んでいたので、油断したのか(^^;)あっさりと騙された。最期はちょっと納得出来ない結末の付け方。全体的には感動的ではあるのだけど、肝心の川田と葵の部分だけは関心出来ない。草なぎは全体的に力が入りすぎ。
 RUI(柴咲コウ)は出番が少ないのが幸いしたのかイイ感じ。山本圭壱は予想外にいい味があった。

原作感想
「黄泉がえり」Official Website


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