新空港になって初めて香港へ行った
映画「F」の原作、だと思って買って読んで見るが…確かに帯にも"映画「F(エフ)」3月14日(土)全国松竹洋画系にてロードショー!とか"書いてあるけど…。
内容は、人生からちょっと外れた落第生の女の子の物語。短編が7作。それぞれ、結構味があって面白いのだけど、残るものは少ない。
それよりも、どこに映画と関係してくるのか、そればかりに集中して読んでいたが…結局、ほとんど何も関係してなかった。これを原作というのはあんまりだと思う。
鷺沢萌は多分、読んだことない。映画「大統領のクリスマスツリー」で知っていて、ちょっと立読みしたぐらい。
クーンツの新作。後書きには'93「心の昏き川」'96「インテンシティ」の頃とは違って、クーンツは変わった、とある。
この作品では登場人物として小説家を使い、自分自身のメタフィクションとする、今までにない挑戦を果たし、以前の底の浅かった人物像から、より深い小説家としての進歩であると。
しかし、それは贔屓目じゃないだろうか?これも解説に書かれているけど、二人の心のシンクロナイズは「ハイダウェイ」そっくりだし、片割れという発想はキングの「ダーク・ハーフ」を連想させる。その他、さまざまなパクリが思い出される。
まあ、それはともかく、ストーリとしてはそこそこは楽しめた。でも、クーンツはもっと面白い作家だと思っているけど。次回作にはもっと期待。
言語学に関するさまざまな話題。エッセイ風。
言語学と言っても、翻訳の視点に立っているものが多くてあまり面白くなかった。
NHK教育の言語学の番組を見ていて、言語学に興味が突然出てきて、読み始める。
言語学広く一般を扱っていて、面白い。入門的な話題から社会言語学まで、広く、ある程度深く扱っている。言語学について最初に読むにはいい本。でも、ちょっと厚いし重いかも。
言語学の中でも社会言語学が中心で面白かった。退屈な部分が多い言語学でも、社会言語学は生きた部分にスポットをあてているので楽しく読めた。
映画「6月19日の花嫁」の原作という事で読みはじめる。乃南アサの本は初めてだと思う。小説としてはサスペンスものとして読んでしまうだろうが、映画との比較という事であんまり何も考えずに気軽に読んだので、まあ、面白かった。
失われた記憶を求めるという所で、読者を引きつける手法は映画と同じ。うまいと思う。後半は映画とは違う展開となるが、まあ、両方ともあんまり納得出来るエンディングではないなあ。
→ 映画「ジューンブライド〜6月19日の花嫁」感想
「6月19日の花嫁」のついでに読む。日本推理サスペンス大賞の第一回優秀作でデビュー作。こちらの方がずっと面白い。
美貌を持った少女が、自分そっくりな歌手のデビューにより芸能界での成功の道を閉ざされる。その後人形使いとして働くが…、こういう背景自体が面白い。ミステリー仕立てのストーリもまあまあ。
この作家は、記憶とか自己の存在のか、そーいうこだわりは面白いけど、あんまり練れている感じはしない。
「ゴーゴー・インド」「ゴーゴー・アジア」の著者。
沈没とは、旅先でそこが気に入り動けなくなる事を言う。まあ、主には旅先で会うヘンな人たちとのヘンな経験を集めたエッセイ。一つは2頁程度と長くない。
誰彼なくサインを集めるインド人、ロビーを掃除する綺麗好きの泊まり客などなど。気軽に読めるという点では面白い。
江戸関係の著作が多い石川英輔のSF小説。半分はエッセイ的。
21世紀、日本は物質文明の行き詰まりから省エネルギー、省リサイクルに徹した社会への転換を図る。そこは、江戸時代と同様な完全な自給自足の社会…というシミュレーション小説。
まあ、ちょっと能天気過ぎるかとも思うけど、結構面白い。話のベースとしては「大江戸えるねぎー事情」などと同じ様なもんだから、そっちを読んだ方がためになると思うけど。
江戸という時代を、庶民の色々な視点から描き出している。その内容は多岐にわたり、まさに雑学集と言える。地位では武士から魚屋、女性の地位、長屋、裏長屋、時間について、暖房、照明、教育、水道、端、歓楽街、芝居、花見、良好などなど。江戸時代に興味があるなら、かなり楽しく読めるはず。
香港旅行の途中で読む。これは香港新空港のカフェテリアの中でPowerBook 2400に向かって書いている。
「雑学 大江戸庶民事情」などの石川英輔のSF(?)小説。江戸にタイムスリップした男がどのように生きていくのかと言ったシミュレーションが基本。
しかし、そういう部分は面白く無い。結局、小説の形はしているけど、中身はほとんどエッセイと同じ。なぜ小説として成り立っていないかというと、そこには葛藤も無いし、対立するものもない。まったく坦々とした展開。SF小説としては落第だと思う。あまりにご都合主義が多い。
エッセイとしては中身は、「雑学 大江戸庶民事情」に出てくる内容とあまり変わらないので、そちらを読めばいいかも。
香港旅行の行きの飛行機の中で読む。
旅好き、アジア好き、料理好き、市場好きの著者には、まったく同じ趣味を感じる。しかし、この著者のやる事はもっと進んでいた。現地の市場で食材を買って、現地で料理しようと試みる。その苦労と成功の記録でもある。素晴らしい行動力(^^)。
ソウルでは韓式旅館のキッチンでナムル、ジョン、スントゥブチゲ、マンドゥグク。香港ではキンバリー・ホテルのスィート・ルームで鮮蝦猪肉焼売、清炒菜心、椒監頼尿蝦、西洋菜湯、韮茸蒸鮑魚。さらにバンコク、サイゴン、バリと続く。
やれば出来るもんだなあと感心。
ドイツのカメラと言えば、ライカ、コンタックス、ローライを思い浮かべるが、この本に出てくるのは昭和初期、第二次世界大戦前のドイツカメラの全盛時代。あんまり知っている機種が無い(^^;)。
スーパーシックス(スーパーイコンタ6x6)、エクサクタ、バルディナ、ロボットカメラなどなど。まとまりがないので、記憶に残り難いのが難点(^^;)。
思い入れ度も、同じ小学館文庫の「ライカ通の本」ぐらいあると面白いんだけど。単なる雑学っぽいまとまりになってしまっている。