ガイド撮影は固定撮影で使う「三脚」に代えて「赤動儀」を使って撮影する方法です。 また使用するレンズはカメラレンズの他、望遠鏡を使っての撮影になります。赤道儀は天の回転に合わせて回転する機械です。 機械が空と一緒に周ってくれるので、星が止まったまま見えるようになりまして、 星のわずかな光をよりため込むことが出来るようになりますので、暗い対象まで写せるのが特徴です。
但し固定撮影よりも複雑な作業をすることになります。
カメラ・カメラレンズ・フイルム・時計につきましては「2.固定撮影」と同じですので、 そちらを参照して下さい。
三脚と望遠鏡の間にあるのものが赤道儀で、6万円ぐらいものもから 天文学的な金額まで種類が有ります。金額が高いほど天体への追尾精度が上がると考えて良いでしょう。 高い買い物になりますので、一回で終わりではあまりにもったいないので、 「天文ショップ」の方と相談のうえ購入するのが良いでしょう。
望遠鏡なども1回覗いて終わりになる方が多いですしね(^^;
「経緯台」と呼ばれる手動の大変安いものもありますが、 電動の赤道儀の方が撮影が遥かに楽になります。昔は皆「経緯台」だったのですが、 撮影開始後10分ぐらいしてから、 なんでこんなところで、こんなことやっているいんだろうと考えてしまい、 それを何時間も続けるのには、すごく根性が必要なんですね、ハイ(^^;
望遠鏡と言いましても屈折式・反射式・シュミットカセグレン式・マクフストカセグレン式などなと 沢山種類があります。初めて使う方は「屈折式」をお勧めします。 何故ならそれ以外の望遠鏡は扱いが難しいためです。(以下屈折式で話を進めます)
どうむずかしいかと言いますと、家で調整して行っても運んでいる振動でまたずれてしまったり、 するのですね。特に光軸と呼ばれるものが狂うので歪んだ像になってしまうのです。
他に注意すべき点では、望遠鏡で重要なのは口径です。殆どの方が倍率が多いほど見えるように 思っておられますが、口径の大きい方が像が細かくなるのです。
数字を使って言いますと、有効倍率は口径の約2倍までと言われておりますので、 それ以上の倍率を上げた拡大はボケてしまうだけなのです。望遠鏡のうんちくは限りないので 「天文ショップ」で相談されるのが良いでしょう。
焦点距離を口径で割ったものがF値です。これが明るい方が撮影時に解放時間が短くてすみ、 それだけ失敗写真が少なくなります。ただしハローと言われるものが出たりします。う〜ん。 長くなりすぎますので「天文ショップ」で相談してくださりませ(^^;
口径が大きいということはレンズがでかいので重くなり、赤道儀がそれだけ力の有るもの にしなければならず、そうすると望遠鏡も赤道儀も値段がかさみ・・・・・と言うことで 結局は「値段」と「撮りたい天体」とに思い悩むことになります(^^;
◆三脚の沈み込みを押さえるため、なるべく硬い地面を選びます。
◆北極星を探して、内蔵の極軸望遠鏡を使い地球の軸と赤道儀の軸を簡単に合わせます。
◆色々な装備を付けバランスを取ります。
◆もう一度極軸をしっかりと合わせます。拡大撮影をする場合ここまでおよそ30分ほどかかるでしょう。 詳細は別項目にしようと思っております。極軸が合っていないと非常に苦労しますし、 殆どは失敗写真になるでしょう。
最近は赤道儀の精度が上がったので、200mmまでなら極軸さえしっかり合わせておけば、 機械任せに出来ます。ノータッチ・ガイドと言います。シャッターを切ったらコーヒーでも 飲んでゆっくり星見をしていれば良いのですね。この撮影セットで有名なのは【ビクセン社の「GPガイドパック」】と 【ケンコー社の「ケンコー・スカイメモ」】が有ります。 比較的軽いのでどこにでも持て行くことが出来ます。
私はスカイメモを買いに行ったのですが売り切れで、GPガイドパックを買いました。 上記写真の左側の小さい方です。私が買ったときは63000円でした。その他バッテリーや ガイド鏡・カメラ雲台などを買い足したので8万ぐらいになりました。
- ◆バッテリー
赤道儀を買うと電池ボックスが付いてくると思います。アルカリ電池で大体8時間作動します。 電池容量が心配な場合(長時間使用する場合又は寒くて電圧が低下する場合)には、 赤道儀は大体9〜12V(ボルト)で作動しますので、12ボルトのバッテリーを使うと良いでしょう。- ◆ガイド鏡
極軸を合わせたと思っても、誤差がありますし、三脚を蹴飛ばすなどして(^^; ずれてしまっているときがあります。 そこでカメラとは別に、望遠鏡を取り付け、接眼レンズに十字線を貼っておきますと、 星がずれていく様子が分かります。そのずれを見ながら赤動議をコントローラーで手動微調整していきます。 200mmまでならばこの操作はいらないのですが、300mmを越えますと絶対に必要になってきます。
- ◆自由雲台
カメラの三脚の上にカメラを取り付ける時、どの方向にもカメラを向けられるように、 グルグル周るようにするものが付いていると思いますが、それを「自由雲台」と言います。使用目的は同じでカメラを色々な方向に向けるために使います。長時間解放しますので 安物ですとカメラの重さに耐え兼ねて、いつのまにか明後日の方向に向いてしまいますので 気を付けましょう(^^;
300mmでもF4〜8ぐらいのレンズはまだ軽くて良いのですが、 F2.8になりますと2Kぐらいの重さがあります。小型の赤道儀のモーターではしだいに きつくなってくる重さです。上の写真の右は300mmのF2.8を搭載しているものです。左側に300mmを載せて、 右側にガイト鏡700mmを載せています。 ガイド鏡を覗く所にはGA-4と言う暗視野照明装置を付けています。
暗視野照明装置はガイド鏡を通常のように見ると暗くて十字線(レチクル)が見えないので、 赤いダイオードが内蔵されていて、星と十字線とが両方見えるようになっています。
シャッターを開いた後は、このガイド鏡を覗いたままの体勢になります。 十字線から基準星(近くの2等星以上の星)がはずれそうになったら、 コントローラーで赤道儀の回転を手動修正します。 椅子などを用意して楽な姿勢をするようにしましょう。
F2.8でしたら解放時間は通常20分から40分でしょう。
直焦点撮影は望遠鏡の「対物レンズ」だけを使い直接カメラに接続します。う〜ん。 簡単に言いますとレンズの替わりに望遠鏡の筒をカメラにくっ付けて撮影するのです。カメラレンズは500〜1200mmぐらいになりますとミラーレンズ(原理はシュミカセ式)以外は、 非常に高額です。何百万円もしてきます。そこで望遠鏡の対物レンズだけを使用します。
この方法は像がシャープである利点がありますが、像が小さいことが欠点になります。 通常星雲・星団を撮影するには、この直焦点撮影の方法を使います。
左の写真では手前が直焦点。奥がガイド鏡です。双方に小さな望遠鏡が付いていますが、 倍率の低い望遠鏡で望遠鏡自体を大体の方向に向けるのに使います。
直焦点撮影の方法は上記300mmと同じになります。但し次第にピント合わせが難しくなりますと ともに、拡大率が上がりますので、 電動ガイドをし、ガイド鏡で基準星を追尾するとき コントローラーでの手動修正がひっきりなしになります。
はっきり言ってミクロン単位の調整になります。簡単な方法はカメラファインダーにピント・スコープを当てて合わす方法が楽ですが、 私はこの方法では、さっぱりピントが合ったことがありません(^^;
別の方法では、フイルムを入れる前に、シャッターを開放にしてから、カメラのマット面 (カメラのフィルムを入れるとき蓋を空けますね。すると真中にシャッターの窓が あります。あれですね)にすりガラスをあて、 ピントルーペを使いピントを合わせてから、フイルムをセットする方法です。 この方法ですと何かでピントがずれてしまったら、もうピントは合わせられないのが 欠点です(^^;現在私はこの方法です。
又フイルムを入れる前にナイフを使いピントを合わせるナイフエッジ法と言うものがあります。 ピントが合っている点はただ一点なので、 ナイフの刃をそこに当てますと、一瞬にして全ての像が消えます。 他の所に当てると右側がかけたり左側がかけたりします。 このナイフの刃をスライドさせる板などの自作方法は「本」などを参考にして下さい。
更にはこれでもフイルムが熱で膨張したりしてピントが狂うので、カメラ内部の空気を吸い出して フイルムをカメラにくっ付けててしまうように、カメラの吸引加工をする方法が有ります。 この方法はフィルムの位置が数ミクロンずれますのでナイフエッジの方法も少し変わります。 加工などは天文ショップにご相談を。
直焦点でのシャッター解放時間は通常20分から40分ないし1時間でしょう。 このように惑星や月の場合を除けば、天体写真は一晩で何十枚も撮れるものではないのですね。もっとも機械装置の数を増やせば良いのですが・・・・・・、お金がね(^^;
拡大撮影法は主に惑星や月を撮るときに使います。上記の直焦点撮影に似ているのですが、 望遠鏡の「対物レンズ」の他に「接眼レンズ」も使用し2回拡大します。上記の写真では手前側の望遠鏡で、望遠鏡とカメラの間に黒い延長筒が見えると思いますが、 この中に接眼レンズを組み込みます。
さて困りました。これは使用機材をノギスなどで測り、合成f値や倍率を計算しなければなりません。 そうしないと解放時間が分からないのですね。故に使用機材により値が異なります。ただし月だけは明るいのでカメラの露出計で測れ、シャッタースピードが決められます。 ですから月を前提にお話を進めます。 「カメラの露出計で出た値」及び前後二段階までのしぼりの範囲を 撮影しておくと良いでしょう。
口径が大きい方がより細かく像を結びます。月の全体を撮るのでしたら大体2000mmなので 6〜7cmの口径の望遠鏡でも良いでしょう。大体月の半分がフイルムに一杯になるあたり4000mmが 限界点ですね。それ以上は口径の大きな望遠鏡でないと無理です。土星で言えば環が1つだけ写るのが口径6〜7cmです。10cmになりますと環が少し分離してきますが、 カッシーニの隙間までは写りません。屈折式の望遠鏡では通常は12cmぐらいですので、 これよりも口径を大きくするには反射系の望遠鏡の方が安く済むようになります。
算式が嫌いな方もおられると思いますが参考までに簡易式を載せておきます。
★直焦点用算式 f(合成焦点距離)/D(対物レンズの有効径)=F(合成F:明るさ) 720mmの望遠鏡で、対物レンズの口径が60mmのとき、明るさはF11になります。 ★拡大用算式 接眼レンズからフィルムまでの距離 拡大率=(----------------------------------) −1 接眼レンズの焦点距離 口径60mm。焦点距離800mm。接眼レンズ20mm。接眼レンズからフイルムまで80mm。 拡大率は80/20-1で3倍となります。 合成焦点距離は800mm*3倍で2400mmになります。 合成Fは2400mm/60mmでF40となります。
天体写真はこの他コリメート法(間接撮影法)と言うものが有ります。通常の望遠鏡のように、 つまり対物レンズ(筒の部分)に接眼レンズ(覗く所:アイピース)を付けた状態で、 カメラにカメラレンズをつけ人間が覗く様に、 接眼レンズとカメラレンズを平行して、カメラレンズを無限大にして撮影する方法です。簡単に言いますと対物レンス・接眼レンズ・カメラレンズで3回拡大します。
経緯台で月や惑星を撮影したり、ビデオで撮影する場合にこの方法が良く使われます。 カメラをもう1つの三脚に付け撮影するのと、専用のアダプターを自作するかの方法が有りますが、 下手なうちはカメラレンズが接眼レンズに当たり双方ガジガジになってしまうのでお勧めしません。
星雲などはとても見つけにくいものです。 そこで設置するときに1等星などを3つぐらい合わせ、 M81などと入力すれば望遠鏡が勝手に動いてくれ、 目標の星雲が自動的に視野に入る(天体の導入と言います) スカイセンサーというものがあります。星の宝石探しは自分でやりたいという方は不要ですが(^^;
天体写真はガイド鏡にヘバリ付いていなければならないのが辛いのですね。そこで ガイド鏡にCCDカメラを撮りつけ、コンピューターなどでガイド修正を行なわせ、 現在の状態を小さなモニターで見ていれば良いという「オート・ガイド」が大分普及してきました。天文雑誌の入選作品などをみても「オートガイダー使用」などと書かれていますね。 ま!初心者のうちは手でやりましょう(^^;トラブルのとき手動の経験が生きると思いますので。