夏期語学研修生諸君へ!




 ブリストル大学との学術交流協定と短期語学研修に関わり、
第一回(1996年)、第三回(1998年)、第5回(2000年)の研修を引率した者として、以下の配布物を残します。
 熟読し、何度も練習し、諸君の研修が成功することを期待します。

事前研修第一回 事前準備と研修態度について



政経学部教授 大石 高久

1 出かけるときは、忘れずに!

 ヨーロッパはカード社会
 殆どのものはカードでの支払いが可能。VISA, Master, AmericanExpressなどのカードが便利で、必需品。署名欄は、落とした場合の不正使用のことを考えて漢字に。

 挨拶と返事
 一番大切なことは、smileではないか。鏡を見てsmileの練習を!ウィンクも多い。  挨拶と返事:ホスト・ファミリー、語学センターのスタッフ、近所の人。
  Good morning/afternoon/evening, . . . . Hello.
 相手の質問や誘いには、Yes/Noをはっきり。断り方:I'm afraid . . .

 病気治療と散髪
 歯の治療を済ませておこう。持病のある場合は、英文の処方箋や薬を持参しよう。
 健康維持のため大学の施設を大いに活用し水泳、バドミントンなどをよう。
 散髪も好みの髪型を表現するのは難しい。国内で散髪してからでかけよう。現地で試したい場合は、写真などを持参すると便利。男子のカット£5-10、女子のパーマ£30-40程度。

 気候と服装
 気候と日没:イギリスの春から夏にかけて日没は遅い。最終的には10時半ぐらいまで明るい。しかし、冬時間への逆戻りもあり、冬には午後3時半頃暗くなり、雨の日等は一日中暗いこともある。電気はほとんど電球で、門灯等も無いために道路も薄暗い。部屋はどれも10畳以上あるので、100 Wでも暗く感じる。
 夏服と冬服:衣替えの習慣はないように思われる。ひとつにはセントラル・ヒーティングによって室内が常にあったかいこと、年間を通して平均した気温であること等で、冬でもジャンバーやコートの下は、半袖や夏服が多い。ちょっと外を歩く分には、体が暖まっているので、半袖・夏服のまま上にジャンバーやコートを羽織れば大丈夫である。亦、パーティー等を考えると、夏地が良いのかも知れない。9月でも中旬以降の朝夕は少々寒い。
 海外で、立派なサムソナイトを持って旅行しているのは、日本人だけ。サムソナイトは必ずしも必要ない。滑車のついた大きなボストンなどで、鍵を付ければ十分。帰国前には、2〜〜3泊分の身の回り品だけを残し不要なものは段ボールなどで郵便局から日本に送ると、身軽にロンドンの観光ができる。航空便で1週間程度。

 風呂とシャワーと洗濯物
 中央のボイラーによるセントラルヒーティングで、一日中熱湯が出て、各部屋にはラジエーターがあり、洗濯物を乾かせるようになっている。しかし、給湯能力に限界があるため、大量のお湯を使う「風呂」に入ると、しばらくは後の人がシャワーできない。給湯能力はそのボイラーが電気かガスかで異なるが、通常の家庭ではガス。
 逆に部屋は乾燥しがちなので、コップに水を入れて乾燥を防ぐと同時に、部屋の天井や壁などの装飾(ornament)にひびを入れない。
 シャワー・ルームの床は通常防水されていないので、シャワー・カーテンをバスタブの中に入れ、お湯をバスタブ外に漏らさないようにする。漏らしそうな場合には、使い方を尋ねること。シャワーの熱湯で火傷しないよう、通常は水を少し出しながら、お湯の量を調節して行く。
 湯上がりや機内でもスリッパがあると、日本人には重宝。
 通学途中にコインランドリー(Self-service Launderette)もある。利用する場合には、洗剤、洗濯機、乾燥機用に、£1と20pを事前に沢山用意しておくこと。次の項目を参照。

 少ない自動販売機
 イギリスには無愛想な自動販売機は余りない。学生ホール等で見かけることもあるが、基本的には指定のコイン、指定の金額でしか使えず、お釣りは出ないのが普通。つまり、£1.20となっている販売機に£2入れても、動かないし、お釣りもでない。

 乞食と募金とチップ
 本来イギリスにチップの習慣はない。チップを与えたり、枕元に残したりする必要性はない。各種料金も税・サービス料込みの値段になっているので、支払い時にごまかされないように(ロンドンのイタリアン・レストラン等)。支払い時には、自分で合計を出しておき、できるだけおつりが少なくなるように支払う。おつりが出る場合には、自分が支払う紙幣でおつりが幾らか計算しておく。おつりは、当然大きい額面のお金から確認する。
 宗教関係からか、街角や各家庭をまわっての募金は多い。通常50p程度、多くても£1ぐらい。また、町中で乞食がSmall change (for a cup of tea), please?と小銭をせびってくることがある。中には、「務所から出てきたばかりなので、小銭をくれないか」という者までいる。しかし、Sorry, I cannot.と言えば、そのまま立ち去る。通常、襲ってきたりはしない。

 電気製品その他
 ヨーロッパでは国により電圧や差込口が異なるので、電気製品は「先パラ」(差込口が付いていない状態)で得られている。ブリストル近辺では電気製品は240Wで、プラグは3つ口(BFタイプ)なので、


出発前に電気製品を240Wにアドジャストしておくこと。この設定を忘れると、電気製品を壊すだけでなく、家の火災報知器が鳴り始め、大騒ぎになる。240Wだとお湯なども直ぐ沸くので要注意(通常は自動で消えるが)。
 乾電池の規格は世界共通なので、シェーバー等は乾電池式でも良い。
 水の性質が日本と異なるので、石鹸やシャンプーは泡立たない。旅行用のものを用意し、後は現地で購入すること。特定銘柄の化粧品を使っている人、肌が敏感な人は普段使っているものを日本から持参するのが良い(イギリスで販売しているものは香料が強いかも知れない)。

 電話とテレホンカード
 電話にも新旧あるので、電話ボックス内の使い方を読むしかない、(日本でと同様)基本的にお釣りは出ない。
 電話会社にはBT(British Telecom)とMercuryの2社があるが、後者は評判を落とし現在では殆ど見かけない。テレホンカードはNewsagent等で£1、5、10のものを売っている。ホテルのロビーではCDカードでかけられる電話もある。ホテルの室内からの電話は日本でも2倍程度取られるが、ロンドンのホテルではぼられる場合もあるので注意。

   日本への電話の掛け方:00-81-0を取った市外局番-市内局番
   英国への電話の掛け方:001-44-0を取った市外局番-市内局番
   イギリスでの救急電話:999

 道の聞き方と教え方
 イギリスではいろいろな人種の人々がイギリス市民となり、イギリス人として生活しているので、道路を歩いていると、こちらをイギリス人ないしブリストンと誤解して、道を尋ねられることがある。道の聞き方だけでなく、答え方も覚えておこう。

2 英語でチャレンジ

 40万円の元をとるために
 授業料、旅費、食事代、小遣いまで含めると総額40万円程度かかるでしょう。これは相当な額です。40万円あれば、コンピュータ(5-10万)とその周辺機器(3-4万)が買えて、噂の「インターネット」も6年間ぐらいできる。上記の費用の元を取り戻すには以下のような準備が不可欠でしょう。

 十分な事前準備!
 出発までに、市販されている旅行用、留学用、ホームステイ用のガイドブックを読み、お互いに教えあい、学び合おう。こうしたものを読むことは、出発の前提であり、読んでいないと後で他人に迷惑をかけることになる。

 チャンスは掴むもの!
 この研修は観光旅行ではないし、引率者もガイドではない。ヒースロー空港に到着以後、ブリストルへの移動するバスから日本語は通じない。1ヶ月間とは言え、ブリストルで「生活」するとはあらゆる分野での事柄を自分で英語で表現しなければならない、ということ。確かに、英語を使わないでも、お金さえあれば生きては行ける。しかし、諸君は池袋のノヴァで研修するのではない。自分から積極的に体当たりし、英語を使ってその生活を快適にしていくことが必要。失敗、間違い、発音の悪さを恐れず、他人の間違いを笑わず、短期間ながら、お互いに努力し、成長して行こう。

 One for all, all for one!

 個人の語学留学ではなく、団体行動である。個人の軽率な行動、不注意は、残りの全員が迷惑することになる。メンバーが困っている時、トラブルに巻き込まれている時には、全員で助け合おう。指定された時間には必ず10分程度の余裕を持って集合すること。移動などで指定された時間に遅れた場合、不本意だが置いて行かざるを得ない。ただし、家庭での食事に招待された時には、15分遅れていくのが常識。
 沢山の政経学部生が集まっているのだから、その一人一人が自分の強い分野の能力を発揮すれば、それが全員のためになる。自分がこの研修に何が出来るかを考えよう。

 ホストファミリーと家に慣れる!
 相手が呼び易いように、自分の簡単な呼び名を事前に考えておく、ホスト・ファミリーにも呼び方を聞こう。ホームステー先に移動したら、ホストに近所のことを訪ねて、近くのバス停、店舗などを歩いて回る。
 ホームステイはアパートではない。ホスト・ファミリーも、賄い婦ではない。家事の手伝いも申し出よう。相手はこちらが日本の、しかも大学生であることを知っている。ホストやホストファミリーとは、出来るだけ会話し、質問したり、日本のことを説明しようと努力しよう。英語で上手く説明できないことを恥じる必要はない。説明しようとしないことを恥じよ。どう考えても、ホストが友好的でなく、溶け込めない場合、語学センターの職員に相談しよう。単なるわがままでは、自分と拓殖大学が恥をかくだけ。むしろ、ホスト・ファミリーをパブに招待し、パブでの現地の人々の様子を観察しよう。食事についてはホストファミリーも気を使っているはず!出来るだけ何でも食べてみよう!どうしても食べられないもの、アレルギーのあるものは、事前に相手に告げておこう。

 お金は大丈夫?
 殆ど毎日語学センターに通うことになるので、ホームステー先よりも語学センターの近くの銀行で口座を開設し、そこに親元から振り込んでもらうか、カードを携帯し、銀行の窓口でカードで引き落とすのが便利。カードの署名欄は、失った時のことを考えると漢字の方が安心。Traveler's Check(TC)も安心。普段の通学には、£5もあれば十分。大金は持ち歩かないか、複数のポケットに分散しておく。

 自分及び友人との闘い!
 通学バスや昼食の食堂などで積極的に英語を使ってみる。真剣に語学研修すると同時に、イギリス風の生活態度やブリストル大学生の学生生活を観察すること。
 授業中は、積極的に発言しよう。拓大生ばかりのクラスだが、他人の目を気にせず、どんどん発言し、間違いを恐れず、上手くなって行こう。分からないなら、質問しよう。分からないとき、黙ったまま隣の友人を見ながらニタニタして、照れ隠しをしてもダメ。分からないときは、"Beg your pardon?" or "Pardon?"と言おう。

 大人になろう!
 拓殖大学がイギリスの名門大学に派遣するのだということを忘れないこと。大人になること!言葉の不自由さからくる不安を紛らわすために、大声でギャーギャー騒いだり、男子学生が女子学生を小突いたり、悪ふざけたりしない。日本人を相手にするのではなく、ブリストル大学の学生の姿を良く観察しよう。
 通学途中やエクスカーションなどでも子どもっぽい振る舞いをしない。出来るだけ多くの人と接し、少しでも多く英語を使ってみる。Be a good civil diplomat!
 日曜日で授業もなく、エクスカーションもない日には、ホームステー先や語学センターの近くを探検しよう。House is castle.と言われるように、すばらしい建物がいっぱい見つかるだろう。ただし、バスの本数が極端に少ないことや開店している店が少ないことを念頭に。毎日6回乗り降りできてわずか£40の、Rover Cardの購入意志の確認。

3 「思い出ぽろぽろ」となるために
 英語でうまく表現ができず、それをどう表現すべきかについて質問することは当然である。出来るだけ、正しい英語に多く接することが大事だ。友人の英語に頼らず、出来るだけ自分で挑戦してみよう。その間、自分の失敗を恥じない。しゃべろうとしな限り、英語が勝手に口をついて出てくることはない!自分の英語を自分でチェックし、ネイティブに訂正してもらおう。友人の英語の誤りは訂正しない。他人の英語表現で、もっと良い表現がある場合は、訂正するのではなく、そのように言い直そう。ましてや、自分でしゃべらないでおいて、他人の英語を笑わったりしてはいけない。
 1ケ月の間に、徐々に英語の水準を引き上げよう。最初の1週間は、休憩時間や昼休みの食事時間中など日本語で会話するのもやむを得ない。しかし、例えば2週目からは、昼休みだけしか日本語を使わないようにしたり、3週目からは、緊急的でどうしても英語で表現できない場合以外は、日本語を使わないようにしよう。
 イギリス人と日本人、勿論違うところもいっぱいあるが、非常に似ているところも多い。自分で新たな発見を!キーワードは、
smile, looking into the eyes, confidence, challenge, invitation & tea.
 帰国後、いろいろな人がそれぞれの写真/ビデオと思い出を持ち寄って楽し思い出話ができるよう、今から準備し、チャレンジしよう!最後に、日本人だから「がんばれ!」と言いたくなるところだが、次の言葉を贈る。
  Be a good friend/Japanese/student! Enjoy your stay!



 

映画で観るイギリス

(◯はBristol, Oxford & Cambridgeに関係あるもの。◎はお勧め。)
イギリス英語はアメリカ英語とはかなり違います。レンタルし、録画・録音して繰り返し観賞すると尚良いでしょう。

【歴史】
King Arthur and the Knights of Round Table『アーサー王と円卓の騎士』(ウェールズの伝説)
King Henry V『ヘンリー5世』
A Man For All Seasons『我が命尽きるとも』(ヘンリー八世とトーマス・モアの確執)
◎ Cromwell『クロムウェル』(市民革命の指導者とアイルランド問題の始元)
◎Brave Heart(14世紀のScotland)
Rob Roy『ロブ・ロイ』(17世紀のScotland)
◎Michael Collins『マイケル・コリンズ』(アリランド独立の父)
A Tale of Two Cities『二都物語』
◎Waterloo『ワーテルロー』
The Prince and The Pauper『王子と乞食』
Jack The Ripper『切り裂きジャック』
DrJekyll and Mr Hyde『ジキルとハイド』
The Secret Garden『秘密の花園』
◎The Remains of The Day『日の名残り』(日系作家の受賞作)
Rainbow『レインボー』
Shadowlands 『永遠の愛に生きて』
◎The Browing Version『明日に向かって』(イギリス的)
Maurice『モーリス』
A Room with a View『眺めの良い部屋』
◎Shakespear in Love『恋に落ちたシェークスピア』
Elizabeth『エリザベス』
Series of Shirlock Homes and Agatha Cristy

【現代政治】
First among Equals『めざせダウニング街』
A Very British Coup
House of Cards
In the Name of the Father『父の祈り』(アイルランド問題)
Patriot Games(アイルランド問題)
Hostage
Series of 007

【社会・文化】
◎Shirley Valentain『旅する女』
◎Blass『ブラス』
◯Go Now『ゴーナウ』
The Full Monty『フル・モンティ』
◯The Russian Soldiers
Wish You Were Here『あなたがいれば』
A Summer Story『サマー・ストーリー』
Another Country
Scandal
Shades of Darknesss
Paper Mask
Diamond Skulls『ダイアモンド・スカル』
The Rachel Paper
Prime Suspect
Close My Eyes
The Lair of The White Worm『白蛇伝説』
Deborah Kerr in An Affair to Remember『めぐりあい』, King and I『王様と私』 & The Grass is Greener
A Chorus of Dissapproval
Melody『小さな恋のメロディー』
Goodbye Mr Chips
Scrooge『クリスマス・キャロル』
◎How Green Was My Valley『わが谷は緑なりき』(19世紀初頭のWales)

【コメディー】
◎King Ralf『ラルフ1世はアメリカ人』
◎A Fish Called Wanda『ワンダとダイヤと優しい奴たち』
◯Nuns on The Run『走れ!尼さん』
◯Oxford Blues『オックスフォード・ブルース』
Fawlty Towers
Blue Ice
Dirty Rotten Scoundrels
Four Weddings and One Funeral『フォー・ウェディング』
Nine Months『9ケ月』
Notting Hill『ノッティングヒルの恋人』
An Awfully Big Adventure『恋する予感』
Bullseye!『ダブルチェイス』
Blame It on the Bellboy『ベルボーイ狂騒曲』
Splitting Heirs

【音楽・ミュージカル】
◎Enya The Beatles
The Rolling Stones
Cliff Richard
Julie Andrews in The Sound of Music & Merry Poppins



       サイバー大石ゼミナール(社会問題と社会科学のリンク集)
         ■社会問題:環境問題超高齢社会と福祉問題労働問題・女性問題・人権問題
         ■社会諸科学:哲学・思想社会学経済学政治学・法学
         ■Office Hour:語学研修と海外留学資料蒐集論文執筆就職活動
       研究業績  ■邦語論文   ■英語論文
       講義とゼミナール
         情報社会論   ■経済学史   ■2〜4年ゼミナール   ■高志会
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