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サッカー
磐田は、PKを狙って中盤4人、DFライン4人と8人でエリア内を守る布陣を敷いたカザフスタンに攻めあぐんで、最後まで崩すことができなかった。前半終了間際には、中山雅史が、相手GKの飛び出したところを、体を反転させて左サイドからシュート。これが無人のゴールに入りかけたところで、DFにかき出されてしまった。前半は、強風の風下にいた磐田はこれも凌いで無得点のまま後半へ。 後半に入ると、右内転筋を痛めてこのところ耐えながら試合を続けている高原が、相手の激しいマークを受けるなどしてさらに踏ん張りがきかなくなったために交代。 チーム全体的にも、Jリーグで、前節の札幌、前前節の清水と延長が続いている(1勝1敗)だけに選手の疲労も色濃くなる。後半は、終始ボールを支配しながらも得点を奪えずに、試合はそのまま延長戦に突入した。 前半13分、鈴木−福西と左サイドに展開したボールに、後半交代で入った金沢が、マイナスまで切れ込んで、センタリングを上げたかに見えたが、これが見事ゴール隅に決まる。 磐田が、金沢のプロ公式戦初ゴールで延長Vゴールでパヴロダールを下して、26日の決勝に3年連続で進出した。また、この試合で警告を受けた藤田は、26日の決勝は出場停止となる。 決勝での対戦相手は、この日の第2試合でPirouzi(イラン)に2−1で勝利した水原三星(韓国)となる。 磐田・鈴木監督「墓穴を掘ったという試合になってしまった。守られると点を取ることができない弱みに、あれほど徹底して守られると……。決勝は自分たちのサッカーができると思うし、ここで負けてしまったら何も残らない。(体調も悪かった)奥も決勝には出場できるだろう。金沢も、思い切ってサイドを行け、と指示した通りに動いてくれた。高原は、あの状態(脚の痛みから踏ん張れない)を引っ張ると、本人にもチームにも良くないと思ったので代えたが大事ではない」 公式戦初ゴールの金沢「あの場面はニアの速いボールを(中に)返そうと狙っていたんで、決めるつもりじゃなかったんです。相手が守備的だから、サイドから崩すしか手がないとは思っていたんですが。あれは……“シュータリング”です」 中山雅史「やはり決めるところで決めないとね……(前半終了間際のシュート)ちょっと球威がなかったのかな。とにかくあれだけ引かれてしまって、しょぼいサッカーをしたな、という感じ。ボールとは関係のないところで、タカ(高原)にも自分にもガンガン(ファールで)来るのも、ちょっとひどかった。勝つことだけが必要な試合だったし、こういうのも仕方ない」 主将の服部「もう今日は結果だけだね。とにかく勝たないことには明後日(26日)が消化試合になってしまう。それだけは避けなければ、と思った。下(ピッチの状態)にもかなり神経を使う部分があったし、あれだけ引かれてしまうと打つ手がないというのも欠点というのもわかっている。それにしても、4人2列であんなにきれいに並んだのも初めて見たね(カザフのDF)。なんだか逆に新鮮だったよね」
「中山:オイ、上げろよ! あれ、入ったの?
この日パヴロダールは、中盤を4人、最終ラインを4人と見事なまでの2列縦隊を組み、これがペナルティエリアを囲む「8バック」のような恰好で守備を敷いた。磐田を相手に、当然のことながら「かなり守備的に来るとは思っていたがあそこまでとは」と鈴木監督も予想はしていたが、まさに守るだけ。中山、高原がクサビとして動こうが、中央で速いワンツーを展開しようが、どうにもこうにも切り崩すことができなかった。唯一の望みが、セットプレーとサイド攻撃だった。 Vゴールの場面を中山はこう話す。 金沢は、左脚のアウトでボールをひっかけるキックをして、ニアを狙った。体は完全に中、つまりセンタリングを狙った位置にあり、ゴールが決まったときには、選手たちも笑い、本人も苦笑。その後、「名付けて“シュータリング”」と絶妙なネーミングまで披露して爆笑を呼んでいた。 それにしてもこれがプロの仕事とはいえ、1週間で3試合の、それもタイトルをかけたアウェー戦を続けるしんどさは計り知れない。肉体以上に、神経が痛めつけられるだろう。 中山、高原、服部、奥の4人は、この後、コンフェデレーションズ杯に合流する。当たり前のように、当たり前に試合を消化していく選手の肉体と、それを司る精神力のたくましさは、言葉で表現することは難しい。
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