石垣・西表紀行2001

サキシマヒラタ編  by BAJA

 

今回、持ちかえったクワはサキシマ、チャマル、ヤエマルなんですが、 まずはサキシマについて。 

石垣行ってサキシマは11月採集するのは結構難しい物である事が判明。 野外での発生木の90%以上はショウロウクサギという木で、基本的に 自然発生の樹液はほとんど無く、♀がショウロウクサギの幹にキズを付 けてそれを察知して♂がそこに来る形であるようだ。この時期既に雌の活動はほとんど無く、木には古い食痕しかないため、♂も含め休眠に近い状態になっている様である。

shorokusagi2.JPG (198357 バイト)

サキシマの食痕だらけのショウロウクサギ

気温は25〜30度近い日も多く、暖かく常緑樹も繁っていて夏の気配が 色濃いのに、ススキが穂を出していて、秋の気配もあるという不思議な 雰囲気でした。 この様な状況であるため、採集するには、発生木の根際を掘るか、材割り を行わないと数は期待できない。しかし、軟弱採集集団なので、あんまし 大変な作業は避けたいが、採集はしたい。そこで果実トラップはどうかと 聞いたが、あまり可能性がないと言われた。しかし、何かしら虫取れる かもちゅうことで、トラップの準備をする事になった。(実は山渓の甲虫 図鑑にのってるブルーのでかいコメツキ:ノブオオオアオコメツキが 果実トラップに来るという事を聞いた為、こっちを期待しての事だったん ですけどね。) この時期もう一つ良くない事がある。それは果実トラップ用の果実が時期 じゃない事である。バナナもパインも手に入りにくいのだ。しかし、駄目 もとで地元の市場に探しに行くとなんとかパインを発見。島人じゃないと ぼられるので、T氏に交渉を依頼。ジュースにするからと格安でB品を購 入する事に成功。トラップに仕掛けて最適状態になるには4〜5日必要で、 A品だと更に日数を必要とするので、これはラッキーであった。 夏場、うじゃ取れするポイントに案内してもらう。確かに食痕だらけだが、 全て乾燥して古い。ここにネットに入れたパイントラップを仕掛けた。 これを西表から石垣に戻った時にチェックする予定とした。 当初の予定では11/2西表無人地帯入り、11/5石垣戻り予定だった んですが、西表の無人地帯ではワイルド情緒たっぷりのキャンプ生活には 申し分ないのですが、採集って観点から言うと、山頂部への道もなく、 ポイントも知らないので、有人地帯でのキャンプに切替え、11/4まで の滞在とし、11/5を石垣のポイント回りに切替えた。 

trap2.JPG (161467 バイト)

パイントラップ・・・これが吉と出た

11/2夕方、Aポイントへ偵察に行く。 西表には車で入れる大きな林道は数ヶ所しかない。理由は島のほとんどが 保護区になっており、昔開発しようとした名残の物しか基本的にないのだ。 石垣、西表は多少標高が低いながらも300m級の山が存在する。これが マルバネ系を含め多様な生物が生息する鍵となっていると思われる。琉球 列島で、多様な生物層を持つ島の多くはこの様な山があるのだ。他にも大 きな要因があるとは思うが、大昔の海面隆起の影響が大きいようだ。 南の島であり、年中温暖なこれらの島ではあるが、このたかだか数百mの 高度差は意外に大きく、標高100m前後を境に樹層が一辺する。 ご存知の通り、海岸線付近はマングローブの林があり、低標高帯(10− 100)には幹の細い常緑樹やソテツ等が多い。それが高標高帯になると、 イタジイ、スダジイ、南洋スギ、南洋マツ等を主体とする高樹齢の原生林 となり、雰囲気は本土のブナ帯原生林にも似た様相を示す。 この植生の違いがクワガタの住み分けを演出してる様である。 ショウロウクサギなんかは低地に生える樹木で、ある程度まで育つと枯れ てしまう様な植物で成長も早く世代交代が早いようだ。数年で見ためが変 わってしまうとの事でありました。

さて、話しは戻るが、このAポイントは標高100m程まで車で行く事が可能 で、丁度植生が原生林になる辺りにある。駐車場からすぐ林道があり、 そこから既にマルバネポイントとなっている。夕暮れ時だったが、一回り 偵察を敢行する。結構太いイタジイ等があり、それなりに雰囲気はあった。 本番となる夜間採集に向けて一旦キャンプ地に戻る事にした。 夕食後、いよいよAポイントを目指す。丁度満月時期なので、明るい。 道中の道路には大きなオカガニが沢山移動中で、沢山踏み潰されている。 Aポイント駐車場に付き、ヘッドランプを点灯し、懐中電燈を片手に林道に分 け入る。昼五月蝿かった蝉の声は止み、聞こえるのはふくろう等の夜行性 の鳥の声と餌を求めて樹上移動するオオコウモリの鳴き声と移動音。 まさに南のジャングルの音だ。 昼にチェックしたイタジイ、スダジイなどの木を中心にチェックして行く が、虫の姿は少ない。ヘッドランプによる蛾もほとんど居ない...。 時おり、足元をガサガサ移動するオカガニ。夜行性のハブではと多少ビク つきながら奥へと進む。(本当は楽しくて恐いの忘れてました。) ほどなく、木の根元で大きな物体が見つかる。セマルハコガメであった。 でかい。しかも、こいつマジに重い。しかも持ったとたん、ビビッてしっ こだだもれして、しまいにゃ、ウンチまでだだもれしやがった。 重いし、可哀想なので、リリースしてあげた。歩く速度はとても早い。 あっと言う間に奥へと消えて行った。(よかったなぁ。もしかすると食わ れてたかもしれないんだぞ。え、誰が食うのかって?:笑)

hakogame2.JPG (157150 バイト)

亀さんに共食いされなくてよかったね

とある木に差し掛かった時、樹上から落下する物体の音においらとエンダ ーさんが気づいた。落ちた付近を照らすと、楕円形の3〜4cm程の甲虫 の腹が見えた。そっちはエンダーさんにまかして、その木の上を見ると、 サキシマの♂と♀が居た。とりあえず、♂をゲッチューする。♀は落下し て見失った。下に落ちたクワを見つけられないらしいので、そちらをチェ ックする。クワ♀なのは確かだったが、サキシマに見えなかったので、 明らかなサキシマ♀は後にしてそっちを捜索したが、見つけられなかった。 やはり落ちたクワは素早い。非常に心残りだ...。 なにはともあれ、この旅初のクワガタをゲット。57mm程のサキシマ♂ でした。 

ちょいと飛んで、11/4 。この日の午後4時頃、西表を後にする。 西表からは高速船と通常船があるが、通常船でも40分程で石垣に戻れる ので、通常船を選択。料金は千円ちょい位だったかしら。 石垣港に着き、この日の宿泊先のキャンプ場に移動。この日はお祭りで町中は結構 な人出だ。キャンプ場にはバイカーのテントが沢山あった。聞いた話では、 ほとんどここに住み着いてる様な人も多いとか。(笑) 1泊だけなのと今晩のテント宿泊は3名だけなので、テントを1貼りにし た。 夕食は食材を買い出しして、焼肉バーベキューとして、火起こし当番の私、 釣り(食材調達なのよ。)の亀有さん、食材調達のTさんとエンダーさん にわかれた。ランタン2個を設置して、炭火を起こしつつ待っていると、 ガス欄単の灯りに蝉が数頭飛来した。一応お土産様にこれを捕獲。 釣りの方は潮がいまいちだったようで、成果はなかった様だ。程なく、買 い出し部隊が戻りました。なんと外灯でサキシマ♀を拾ったそうな。この時期でも灯火にくるのね。焼肉バーベキューを開始。肉を摘みつつ、泡盛 を飲む。とっても美味しい。 

なにやら周りに生えている木の樹上がガサガサしてるとは思っていたので すが、鳥でもいるんだろうなぁと思っていたら、突然固いものがバシッと 落下してきた。??と思ってその物体をみる4×2.5×1.5cm程も ある桃の種にも似た木の実の種である。どうも何かが果皮を噛って種だけ を捨てたらしい。直撃するとかなり痛そうだ。 みんなで樹上を照らす。と、そこにはオオコウモリが...。ここはあいつらの食事場所だったらしい。木の実を器用に噛ってタネを捨てるらしい、 光をあてても動じず、実を噛り終ると、次の実を求めて移動するのみである。かなり堂々とした様子だ。届かないと思ってなめているのだろうか。 おまけにこいつら小便まで振りまきやがった。幸いだれも被害には会わな かったものの。もし、被害があったら6.3mの網で捕まえて焙ってくっちゃろうかと思ったよ。我々の恐さを知らずに済んでよかったなぁ。オオ コウモリども。(鬼) 夜もふけ、食事も終った頃、ついにパイントラップのチェックに出撃。

ところが、エンダーさんはお酒とここ数日間の疲れ(すっと運転手してたからね。)もあって、お休みモード。結局3人で出撃。 一つ目のパイントラップ、黒いものと沢山の茶色い物が沢山ついている。 黒い物体に思わず、居たー!!と叫ぶが、近づくとなんの事はない、でっ かいゴキちゃんと蛾の群であった。一応裏返すが、居ない。パインは良い具合に発酵して辺りにはよい匂が充満しているのに。 続く2個目、3個目、居ない...。 この時期の採集は厳しいのか?最後の4個目、居たーとの声、みるとそこには真っ黒なでかい物体が。65mmオーバー(だと思う)のサキシマ♂ がべったりとパインについて居ました。トラップの裏面に隠れて居たよう です。ピカピカの完品で、大顎も長めで、かなり立派な個体でした。ちょ っと感動です。トラップは効果あったのでした。

sakishima.JPG (34643 バイト)

くそ〜〜採るとこ見たかったよ〜正確には65.5mmでした。新成虫のようでした。エンダー蔵(^^v

トラップ回りの木もチェ ックします。しばらくして、亀有さんが、「痛てっ!」と言い足元を見ま す。あっしの脳裏には”ハブ?、ムカデ?”といった物が浮かびましたが、 ライトで照らすと、そこには黒い小さな塊が剥きだしのふくら脛にくっつ いて居ます。「?」なんと、それは小さなサキシマ♂でした。「脚トラップですね。」と3人で大爆笑。 その後、ショウロウクサギの高い所にも大きな♂を発見、うちらに気づき、 大顎を目一杯開いて威嚇している。とってもかっちょええ。サキシマは結構しっかりしがみつくので、ちょいと揺らしても落ちて来ない事が多いそうだ。たたき落としても見つかる様に、足場を均し、枝でたたき落とす。 無事ゲッチュ〜!! 本日3頭目。60mm程の立派な♂でありました。 この後、マルバネポイント等を探しに行きましたが、成果は得られず、 キャンプ地に戻りました。

とっても感動的な採集シーンでした。あれを見られなかったエンダーさん、可哀想...。 その後、Tさんは家に戻り、残ったおいらと亀有さんは今日の採集の成果 をつまみに残ってるお酒を飲んでました。 さて、寝ようかと思って、寝る前にちと小便しにいくと、砂場をのそのそ 移動する大きな物体が。暗闇にゆっくり移動するその姿が何となく蛇の頭 に見えて、ライトで照らすと、南洋栄螺(トゲの無い栄螺ね)???と良く見ると大型のオカヤドカリさんでありました。亀有さんを呼んで良く見 ると、それはもう沢山の動く貝が。楽しいので二人で急拠ヤドカリ採集。 大きいのから小さいのまで。子供のお土産には最高です。ほんの10分程で50個位は採りましたでしょうか。 今度こそ本当に就寝です。亀有さんが、ヤドカリのタッパとサキシマのル アーケースをエンダーさんの枕元に置いて。(笑) 

yado2.JPG (38662 バイト)

実は●●記念●という噂も・・・(^^;妙に貝が綺麗だね・・・

翌朝目覚めるとエンダーさんとヤドカリの姿がありません。(火暴) ヤドカリはテントの外にありましたが、エンダーさんの姿がありません。 亀有さんの鼾は普通じゃないので、この日まで、別テントに隔離していたのですが、この日はテントが一つだったので亀有さんが一緒だったのです。 おまけにヤドカリが枕元でゴソゴソガサガサ。(木亥火暴) 実はあっし、夜、野犬を3頭見かけて居たのです。ちと心配になりエンダーさんを探しにいくと砂浜に無事なエンダーさんの姿が。 先に寝ていたので平気かなぁと思ってたのですが、一度ふっと目覚めかけ たらもう、二度と寝つけなかった様で、シュラフ持って海岸の砂浜で星を見ながら寝たようです。(笑) ところが、朝食用に買っておいたハンバーグが野犬にやられていました。 これが無かったらエンダーさんが食われていた?(恐) サキシマ採集ができなかったエンダーさんの希望で昼に再びパイントラップを見に行くと上の方 につく極小のサキシマ♂が無事みつかり、なんとかゲッチュ〜!! めでたしめでたし。

教訓: 

・時期外れでも灯火はチェック ・トラップもやるべし

・サキシマ何はともあれショウロウクサギ 

・脚が痛いと思ってもすぐに払ってはいけない(笑:本当は素足では危険です。) 

 
策謀編

ヤエマル編

チャマル編

グルメ編

クワ馬鹿冬号目次へ