懐古趣味音源ガイド    其拾六

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241 jyake01 1986

U-vox/Ultravox

第二期ウルトラヴォクスの5作目にして最終作。一名脱退 前作『Lament』の延長線上ではあるが、更にポップ化とミッジ・ユールのケルト色が前面、かつ全面に押し出され、長い間いろいろやってきたけれど行き着いたところは民謡だったというわけか。喇叭とかストリングズとか使って元気っぽく奏ってるのもあるんだけれど、なんか余所行きの衣装みたいで似合ってないなぁ。本人達も多分自覚してるんだけど、結果的にこれをもって自然消滅してしまったのはちょっと惜しい気もする。Beatlesのプロデュースをしてた大御所George Martinに指揮棒振らせたりと最後の大団円って感じなのかな。 曲の出来は悪くはないが、時代に追いつかれ、追い抜かれた 残骸

242 jyake02 1976

In the region of the summer stars/The Enid

時代背景を考えれば(旬を過ぎた時期ゆえに)なかなか衝撃的だったデビュー作。ほんと、最初に聴いた時はたまげたものだ。金が無くて中途半端になったらしいというのは後で聞いた話だが、なんのなんの、こういうのも個人的には大好きです。これはEMIの原盤LPですがCDは別テイクだとかいろいろあるみたいです。そのうちCD見つけたら聴いてみたい気もしますが。ソロの『Hyperion』は歌入りだったけど、これはいきなりトータル1曲で歌無しかぁって感じです。

243 jyake03 1978

Jetlag/Premiata Forneria Marconi

マウロ・パガーニのいないP.F.M.なんてP.F.M.じゃないという声も聞こえてきそうですが、そんなこともないですか、ここまでは(この先は確かに違う、というか本来のクウェッリに戻ったとみるべきでしょう)。マウロ・パガーニが抜けてクラシックや民族音楽的な要素は薄まったけれど音としては前作の延長線上にあるといってよいと思います。メロディアスな叙情性もそれほど変わらずに地中海風の気持ち良さは健在です。丁度、テクにうつつを抜かしそうになるほんの一歩手前で踏みとどまっている状態でしょう。ランゼッティのビブラートボイスも個人的には好きなのですね。ちなみにこのジャケはアメリカ盤LP。

244 jyake04ja

(Ja)

jyake04uk

(Uk)

jyake04us

(Us)

1999

Miriam/Miriam Stockley

カール・ジェンキンズ(Karl Jenkins)のADIEMUSで歌ってるおねーさんですね。ADIEMUSでの非英語系というか非ヨーロッパ系言語の歌も凄いけど、ここでもその辺の才能は如何なく発揮されています。アフリカーンスだそうですがこの人がいなかったらADIEMUSもできなかったのでしょう。あまり深読みしても仕方ないんだろうけど、この人の方向性は他のボーカリストといわれる人達とちょっと違うような気がしてます。こう、学究的というかボーカルの研究者みたいだな。ちなみにUK盤はジャケが全然違います。横顔のアップなんだけど怜悧な感じの惚れ惚れするような素晴らしい写真です。誰が変えてんだか知らないけど、本質的にセンスを疑います。まぁ、その方が売れるだろうという判断に基づいてやっていることでしょうけど、色味も含めてここまで好みが違うのだねぇ。

245 jyake05 1973

Starring Rosi/Ash Ra Tempel

今で言うギターシンセの創始者というか先駆者というか、御大マヌエル・グトシンク(Manuel Göttshung)とロジ・ミュラー(Rosi Muller)のコラボレーションです。“あは~ん”とか“うふふ~ん”とか難しそうなことをやってるんだけど、楽天的な性格なのかなんだか感覚的でとても楽しそうに弾いているんですね。今考えるとこういうある意味、放蕩的で享楽的な音ってある程度の年齢にならないとわからないよなぁ、やっぱり。

246 jyake06 1985

Hounds of love/Kate Bush

5作目くらいかな。ちょっと一皮剥けた雰囲気です。前作がちょっと病的におっかない雰囲気だったので尚更かもしれませんが。女性的なエキセントリックな尖った部分?が影を顰め包容力のある暖かみのある音です。この人の場合ジャンルは完璧に無用で端的に言ってKate Bushの音なんですね。最近はすっかりご無沙汰みたいですが惜しいですね。あの天才的な特異さでは長く続けるのは難しいでしょうが。そろそろ出るとか出ないとか噂は流れてたみたいですが。

247 jyake07 1973

Stranded/Roxy Music

落日の頽廃感に彩られた3作目。個人的には『Avalon』の次に好きだなぁ。『Avalon』は別格だけどね。この頃は金が無くて、当時もとにかく安かったアメリカ盤に手を出してた。これがまた見開きジャケットなんだけど、左右の大きさが違ってぴったり合わないんだな。おおまかな外装に比べ中身の音の方は目一杯ヨーロッパの落日なわけで、その違和感に面白がってた記憶がありますね。Roxyは当時それほど先進的な気はしなかったけど、今聴いても古臭くなくて不思議なんだな。

248 jyake08 1982

Signals/Rush

カナダものということでちょいと物足りない部分もあるんですが、結構聴き易いしよくできてると思います。実は?ビッグネームみたいなんですが正直全然知らなかった。80年代前半のものしか聴いてなくて、最近は傾向が違う?らしいけど、まぁ巧いからなんでも出来ちゃうだろうね。非常によく考えられて作られていて隅から隅まで制御された意思が感じられて、ここまで来ると却って気持ち良かったりします。結構社会的なんですが、変な暗さが無くてさわやかだしな。

249 jyake09 1972

Wolfcity/Amon Düül II

正規盤の五作目にして、ほぼ代表作とも云えるオリジナリティと独特の中近東エスニック趣味が結実した。このジャケ見てると脈絡もなく“シャボテン公園”のヒドラと“虎の穴”を思い起こすのです。どっちも昔の子供向けのTVだけど、今では考えられないようなやり切れない暗さが印象に残ってます。そんなイメージが拭えないので、音楽としての完成度は前作に比べ非常に高く、混沌とローテクが絶妙に溶け合ったコズミックな傑作なんですが、どうにも怖いイメージがあるんですね。「狼の街」とは何も関係ないんだけどね。

250 jyake10 1971

Tago-Mago/Can

なんかたくさんあるから少しづつ片づけていかないとな。まだ混沌とした部分はあるにせよ、ベストメンバーによる全盛期の始まりなわけだ。タイトでポコポコしたリズムが前面に押し出され、研ぎ澄まされたシンプルな単音が縦横無尽に跋扈してます。日本で出ることなど全く考えてなかった(実は出てたんだけどね、びっくりだけど)せいか、訳のわからないお下品な歌詞を日本語で歌ってたりすんですけど、まぁ、歌詞はどうでもいいんだろうね。 一人でそこに座ってる 頭のイカレた奴 虹の上から小便 我らがヒモと呼ぶ LSDの街から 離れがちを恐れ 朝がまだ来ないと 幸いなことに

251 jyake11 1994

Solo/Kaipa

78年の2ndのリマスタ+ボーナストラックって奴ですか。北欧系(スウェーデン?)特有のとても穏やかでやさしい明るさが印象的です。巧いんだけどテクに走るわけでもないし、アレンジでごりごり押して来るわけでもないし、線が細いのか太いのかよくわからないあっさり目のボーカルと淡白で向こうが透けて見える叙情的で雄大な透明感みたいなとこが特徴ですか。スリーブ通り森の妖精みたいなアナログシンセの音。

252 jyake12 1976

Kolinda/Kolinda

これ何枚目か知らないけれどハンガリーの民族音楽ですね。ジャズロックっぽいのもあるらしいですが、これは電気使ってません。ハンガリーもフン族の正統な末裔だから結構中央アジアに通づる音もありますね。楽器もどこかの納屋から引っ張り出してきたような異様な風体をしてます。奏でられる音と歌はとても素朴で美しいのですが、風土の持つ邪悪なまでの暗い怨念みたいなものが籠められているような気がしてならない。「通りゃんせ」みたいな底なしの暗さ。

253 jyake13 1999

Peasants,pigs & astronauts/Kula shaker

捉らえ所がなくて正直よくわかっていません。なかなか斬新な分厚い音で攻めて来るんですが黒人風のボーカルにはちょっと興醒め。流行がそうなわけ? かな。インド風エスニックとかいろいろあるけれど、曲によって差があり過ぎて益々わからんぞ。しゃしゃり出て来る分厚い喇叭の音がうるさい気もすんですが、この辺は若い人との感覚の差なんですかね。年くったなぁ。

254 jyake14 1990

The comforts of madness/Pale Saints

冷たい湿気を帯びた霧がかかったような、奥の方で聞こえてる歌が独特の空気感を醸し出しています。ちょっとノイジーな音使いもあって楽しめますが基本的にはギター楽団ですね。淡白なようでいて、そこはかとなく華やかな雰囲気もあって、でもやっぱり耽美的なのは4ADだからかも。埋もれて聴いているとちょっとくせになるんだな。

255 jyake15 1974

Tristan e Iseult/Christian Vander

『トリスタンとイゾルデ』はケルト説話を起源とし、中世仏独で独自文学として成立後にアーサー王物語に加えられた騎士の悲恋物語。ゴットフリート・フォン・シュトラースブルクによる叙事詩を元にしたヴァーグナーの楽劇としても名高い。これは1972年のラグランジェ(Yvan Lagrange)の映画『TRISTAN ET ISEULT』のサウンドトラックにデモ音源が使われた後に、正規スタジオ録音されたものといわれる。映画はYoutubeで極一部を見ることができるが、非常にシュールな模様(商業映画ではない?)。未見。どこを探してもない。

一応マグマの4枚目としてリリースされる予定だったが、当時はマグマ名義では出せ(現在はMagma名義に戻っている)なかったらしい。マグマでの呼称は『Wurdah Ïtah』で『死せる地球』という意味らしいが詳しいことは知らん。一応12曲が収録されているが、LP分割点を除きすべて連続した1曲の扱いになっている。ブラスキーズ(Klaus Blasquiz)とステラ・ヴァンダー(Stella)のコバイア合唱、ドラムはもちろん総帥、ベースはトップ(Jannick Top)と極小コンパクトにして最強の布陣。全編を引っ張るアタックの強いピアノも総帥の手によるものと云われる。アンサンブルから類推される通りの音だが、あっさり目のアレンジに比して躍動感と呪術風の血が滾るようなアタックは正に真骨頂。大袈裟なものより個人的には気に入っている。

256 jyake16 1981
1984

Crumbling the antiseptic beauty + The splendour of fear/Felt

2枚のアルバムのカップリングCDです。ドラムというよりは太鼓のようなプリミティブなリズムと柔らか目の深めのリバーブがかかったギターの音が新鮮だった。耽溺的な甘美さみたいなものは2枚目の『Splendour of fear』になるとかなり表に現れてきます。決して軽い音じゃないのだけれど、風に舞う羽毛のようなふわふわした透明感が絶品ですね。

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最終更新日 2003/07/27