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 有馬川沿いの遊歩道を歩いていた時だった。右手の田圃に見慣れぬ造形物が忽然と現われた。幾重にも束ねた笹竹の束が周囲を青竹で支えられて立っていた。何かの神事にまつわる行事の準備なのだろうか。子供の頃の記憶に残る故郷の「どんど焼き」にも似ている。折りしも正月開けの時期である。どんど焼きなら小正月の15日に燃やされるのだろう。15日のウォーキングが愉しみだ。  
 小正月15日のとんど焼きが楽しみだったが、当日は風景に変わりはなく、何の行事も見られなかった。散歩道の風景が一変したのは今日18日だった。有馬川遊歩道沿いの右手の田圃に炎が上っているのが見えた。遊歩道には赤い消防車も見える。近づくと炎の周りを大勢の人が取り囲む姿があった。遊歩道から消防車の脇を抜け、農道伝いに田圃に降りる。消防車には○○市消防団○○分団とその集落名が記載されている。
 パチパチという絶え間ない音とともに時おりパーンという竹が炎で割れる音がする。空中を笹の葉の黒い燃え滓が無数に飛びかっている。中心に埋められた松の木を取り囲む笹竹が勢いよく燃えている。笹竹の周囲をしめ飾りや門松の燃え滓が散在している。炎の周囲の一角に竹の垣根が作られ、垣根には何故か太い青竹が炎に向けて数本もたせかけられている。  
 炎を囲む人ごみの中に年配の知人の顔があった。彼女との雑談を通して多くの情報が得られた。やはりこの町の一番北の集落のとんど焼きだった。古い歴史を刻むこの町では五つの集落でそれぞれにとんど焼きの伝統行事が残されているようだ。只、本来小正月の15日だったが近年は人手確保の事情からその前後の日曜の朝になっているという。真中に松の木を柱に据え、周囲を笹竹で囲みながら数メートルにも組み上げていくやり方も昔ながらの手法で行なわれているとのこと。無病息災を願って持ち寄った鏡もちをどんど焼きで焼いて食べるのも昔ながらの慣習だという。
 炎に向って突き出された青竹が降ろされた。竹の節で作られたぐい飲みが配られ、斜めに切られた青竹の先から熱燗になったお神酒が注がれる。これも伝統行事の楽しい一場面なのだろう。別の青竹の先には鏡もちの断片がほどよい焦げ目をつけて煙を吹いている。
 年明けの散歩道で地元集落の「どんど焼き」という伝統行事に出くわした。