地下水水源開発 Development of Resource
作成者  BON
更新日  2007/01/20

 水源の開発についての情報を整理するためのページです。ここは地下水関係をもってきました。

地下水水源の開発
 地下水水源の開発に関する情報。井戸の設計と併せてご参考ください。
表流水水源の開発
 比較的小規模水道における水源選定時の手順などについて。
海水淡水化
 海水の淡水化技術が近年注目されていますので,これを紹介。

【参考】
 海水淡水化をこちらにもってきたので,表流水と地下水を分離しました。


地下水水源の開発

1)地下水を取水するということ

 地下水水源の開発について。地下水関連の情報はこちらからどうぞ。

地下水性の水源
 地下水湧水などの取水について。

(1)水利権はいらないが節度ある開発を

 地下水利用でもっとも重要なのは,節度を守ることです。地盤沈下などの懸念地域で規制をされているケースを除けば,井戸を掘ることに特段の制限はありません。しかし,地下水は貴重な天然資源であり,地域住民共有の財産であるうえ,一度汚染すると水質は容易に回復せず(水量は数十年のオーダーで回復するようですが),また過剰揚水が水質汚染を引き起こす(塩水化,ヒ素など)ケースがあります。最低でも,周辺の井戸の所有者からの同意は取り付けましょう。(聞いたら反対されることもままありますが...)

(2)地盤沈下

 地下水取水に伴う問題として,地盤沈下があります。主として土の間にある間隙水が地下水としてくみ上げられることで地盤が沈下するのがその原理です(滞水層の上が縮むことにより,上載層の水が下に搾り出されるモデル)。

 わが国では科学的データによる検証が必要な段階で,関東など主要なエリアで,どれくらい地下水を汲んだら地盤沈下が起きるかをモデル化する取り組みを実施中だそうです。

 ただ,事実として,広域水道や工業用水道の普及により地下水の取水が規制されると,顕著に地盤沈下は沈静化しました。

 また,地下水位を下げることで液状化現象を防止する研究もあるとのことです。

 実際に地下水を扱う場合,まず最初に,規制の状況をチェックしてください。これについては環境省ホームページに現状が掲載されていますので,こちらを参考してください。ちなみに,地盤沈下の抑制には,工業用水道が大きな役割を果たしており,地下水取水制限とセットで工業用水道事業が多数創設されています。

全国地盤環境ディレクトリ【環境省】
 地盤沈下ディレクトリより,全国の地盤沈下のみられる平野部の情報。

(3)排出水の水源化

 現在ではむしろ地盤浮上も観測される例があり,この対策として地下水をくみ上げている例(東京駅など)もあるようです。ちなみに,ロンドンでは,この取水分の95%はテムズウォーターが水道水として利用しているんだとか。

 また,少し主旨が外れるかもしれませんが,高速道路の工事などがある場合は注目です。トンネルからの湧水が手に入る場合があるからで,これは通常良好な水源です。道路トンネル工事や大規模導水トンネルの補償として水道が整備されるケースが多いのは,これらの構造物によって地下水が遮断される場合が多いことと,トンネル湧水が手に入ることが多いこと,の双方の理由があります。

 特に,遠隔地から導水してくるための導水トンネルなどでは,このような侵入水が数字に現れない(予定も測定もされていない)ものの,有効な水源となっているケースがままあります。

【備考】


2)取水可能量

 地下水の場合,取水可能水量は,試掘及び試験揚水によって算定しなければわかりません。よく,近隣の井戸の情報やボーリングデータ,透水係数などの情報から取水可能量の算定を要請されますが,地下水の構造や地下水の移動は非常に複雑で,地下構造が均等であると想定した理論式で正確に算定するのは不可能です。とはいえ,試掘すれば実際に井戸を掘るのとあまり変わらないコストがかかるので,このあたりは痛し痒しです。

 取水可能量の算定の実際については,井戸のページにとりまとめました。

井戸
 地下水の取水は井戸によります。井戸の設計に関する情報を中心にとりまとめました。

【備考】


3)地下水水質

 表流水の場合は,ほとんどなんの疑問もなく何らかの浄水処理を想定しますが,地下水の場合はこれがおろそかになりがちです。

 このため,最低でも1〜2回,できれば3年程度分程度のデータをとってください。大腸菌が検出されるなど表流水との交換が疑われる場合は表流水と同様の処理の導入を,また深層地下水の場合では溶解性物質に注意を払ってください。

 たとえば,東京の地下水の水質は一般に決してよいものではないそうで,特に,不圧地下水については,アンモニアやDOCなどが比較的高いケースがあります。地盤の中に還元性の物質(ピート,腐植等)が多い場合にこのような現象が発生しやすくなります。

 また,濁度については,一般に,浅井戸であれば濁度はせいぜい数十度が上限ですが,一端高い濁度が出る状態になると,数日程度継続するのが普通です。それ以上に高い濁度が出たり,また出た濁度が1日程度で平常値まで急速に下がる場合などには,雨水の直接侵入が疑われます。

【備考】


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