水道水質基準(平成4年度版) Standard
作成者  BON
更新日  2004/01/18

 このページの掲載情報は平成4年改定時の水質基準です。現在は基準は改定されていますので注意。

 水道水質基準項目とその基準値等,各種の基準値に関する情報。水質基準の考え方や経緯などの概要と,3種類あった基準類を整理します

平成4年度改訂版 水道水質基準
 水道水質基準項目の概要を表の形でまとめました。
快適水質項目
 水道水質基準項目の概要を表の形でまとめました。
監視項目
 水道水質基準項目の概要。何度か増補改良されております。
水質基準とは
 水道水質基準の概要とその経緯
水質基準の概要と経緯
 水道水質基準の概要とその経緯。
水道水質基準(平成15年度改訂)
 水質基準に関してとりまとめました。
水道水質の現状
 水道水質の現状に関する情報を収集,掲載。
有害化学物質の詳細情報
 化学物質の毒性情報を集めたサイトを紹介。

【参考】


基準項目

 注意! 現行の水質基準は平成15年に改訂されたものです。このページでは,その前の水質基準(平成4年度改訂版)について整理しています。平成15年度版については以下のページへどうぞ。

水道水質基準(平成15年度改訂)
 水質基準に関してとりまとめました。

(1)水質基準項目の解説

 平成4年12月1日,水道水質基準は将来にわたって信頼できる安全でおいしい水道水を供給するため拡充強化されました。それまで暫定的に指針値が設けられていた有機塩素系化合物(トリハロメタン類)を取り込んだほか,それまで慎重に審議され,スクリーニングにより選定された農薬などの項目が追加,あわせて46項目(残留塩素をあわせて47項目)になりました。また,このとき,水質基準(健康に関連する項目水道水が有するべき性状に関連する項目)とは別に,快適水質項目監視項目が設定されています。

 平成13年1月現在までに,監視項目について4回の見直しがおこなわれています。

【備考】

 詳しくは上水試験法に掲載されていますが,水道水質時点(旧水質ハンドブック)が使いやすいです。法令関連はその他公的サイトも役に立ちます。


(2)健康に関連する項目

 基準項目,基準値を以下にまとめます。また,各項目のうち,当サイトで取り上げた項目についてはリンクを設定しました。なお,取り上げた項目の選定基準は,比較的検出頻度が高かったり,話題になっているものなどです。

 1-29は健康に関連する項目,30-46は水道水が有するべき性状に関連する項目です。

番号

項目

基準値

単位 備考
1 一般細菌 100 以下 /ml  O-157など特殊なものを除くと直接の健康被害はまずありませんが,水系伝染病を引き起こす微生物の存在を推定するために基準に入っています。
2 大腸菌群数

検出されないこと

3 カドミウム 0.01 以下 mg/l  イタイイタイ病で有名。地域的には高いところもありますので,そのような地域では重点監視を。大概は鉱山の関係するところだそうです。
4 水銀 0.0005 以下 mg/l  自然起源ってあるのかな?●●が井戸廃棄したために地下水の汲み上げ浄化処理をやってるところはありますが。
5 セレン 0.01 以下 mg  検出されてるの見たことない。
6 0.05 以下 mg/l  鉛製の給水管の問題が懸念されています。
7 ヒ素 0.01 以下 mg/l  結構よく出ます。温泉など,非常に深い地下水には結構な頻度で含まれ,処理が必要なケースも散見されます。
8 六価クロム 0.05 以下 mg/l  米国では一部に問題になっているようですが...自然のクロムは六価にはならないので人間が作ったものです。
9 シアン 0.01 以下 mg/l  工業用によく使用され,事故などで流出します。あまり長い期間残留しませんのでご安心を。
10 硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素 10 以下 mg/l  水源地での肥料の影響があるようで,農業の盛んな地域の地下水では要注意。
11 フッ素 0.8 以下 mg/l  虫歯予防効果と変異原性リスクの間で壮絶なる綱引きが...自然起源はまれに存在。
12 四塩化炭素 0.002 以下 mg/l  一般に使用される有機物。溶剤や洗浄剤としての使用から,揮発や地下水への浸透により水源へ入りこむ可能性があります。最近は工場跡地やクリーニング屋などで問題になることもしばしば。
13 1,2-ジクロロエタン 0.004 以下 mg/l
14 1,1-ジクロロエチレン 0.02 以下 mg/l
15 ジクロロメタン 0.02 以下 mg/l
16 シス1,2-ジクロロエチレン 0.04 以下 mg/l
17 テトラクロロエチレン 0.01 以下 mg/l
18 1,1,2-トリクロロエタン 0.006 以下 mg/l
19 トリクロロエチレン 0.03 以下 mg/l
20 ベンゼン 0.01 以下 mg/l
21 クロロホルム 0.06 以下 mg/l  トリハロメタン類。浄水のみの検査とされるケースが多いですが,汚染が進んでいる大河川などでは結構原水にも含まれてます場合があります。
22 ジブロモクロロメタン 0.1 以下 mg/l
23 ブロモジクロロメタン 0.03 以下 mg/l
24 ブロモホルム 0.09 以下 mg/l
25 総トリハロメタン 0.1 以下 mg/l
26 1,3-ジクロロプロペン 0.002 以下 mg/l  農薬類。ほとんどの農薬類は監視項目にありますが,これらの項目は測定頻度,影響ともに無視できないと判断されました。農業が環境に優しいなんて嘘っぱちもいいところですな。(-_-#)
27 シマジン 0.003 以下 mg/l
28 チウラム 0.006 以下 mg/l
29 チオベンカルブ 0.02 以下 mg/l

【参考】


(3)水道水が有するべき性状に関連する項目

 基準項目,基準値を以下にまとめます。また,各項目のうち,当サイトで取り上げた項目についてはリンクを設定しました。なお,取り上げた項目の選定基準は,比較的検出頻度が高かったり,話題になっているものなどです。

 1-29は健康に関連する項目,30-46は水道水が有するべき性状に関連する項目です。

30 亜鉛 1.0 以下 mg/l  色がつきます。
31 0.3 以下 mg/l  人体必須元素で存在量が多く,しょっちゅう検出されます。まあ色がつく程度ですが。
32 1.0 以下 mg/l  これも色。藻類対策で散布することもありますが。
33 ナトリウム 200 以下 mg/l  塩味の水はいやですから,ナトリウム量が制限されます。
34 マンガン 0.05 以下 mg/l  色がつきます。管などの中にべっとりくっつきます。結構よく出ます。嫌いです。
35 塩素イオン 200 以下 mg/l  塩味の水はいやですから。
36 カルシウム,マグネシウム等(硬度) 300 以下 mg/l  快適水質項目にもあります。
37 蒸発残留物 500 以下 mg/l  これらの項目が高いということは,上流域での水利用度が高い,ということを意味するケースが多いです。やな項目です。
38 陰イオン界面剤 0.2 以下 mg/l
39 1,1,1-トリクロロエタン 0.3 以下 mg/l  なんで感覚項目だったんだっけ?
40 フェノール類 0.005 以下 mg/l  塩素と反応するとすごいいやなにおいがしますので快適項目です。
41 有機物等(過マンガン酸カリウム消費量) 10 以下 mg/l  長ったらしいのでKMnO4消費量などと略記することも。CODMnと似ていますが少し反応方法が違います。
42 pH値   5.8〜8.6  ピーエイチ(英語読み),ペーハー(ドイツ語読み)
43 異常でないこと  異常,と書いた試験結果はみたことありません。原水は測らなくてよいです。(そりゃそうだ)
44 臭気 異常でないこと  異常でないこと,の解釈はすごく難しいです。
45 色度 5 以下  鉄,フミン質などが原因。
46 濁度 2 以下  クリプト対策として流出濁度0.1度以下にせよとの通達あり。

【備考】


(4)基準とともに測定する必要のある項目

 基準項目ではありませんが,併せて測定する必要のある項目がいくつかあります。あまり体系的ではありませんがあげてみることにします。

●日常維持管理で検査する項目

天候,気温,採水時刻,地点等      地点の記録のほか,データの吟味や整理に必要です。軽視してはいけません。
水温      温度は全項目の判断に影響します。また,味覚にも多大な影響を与えます。
濁度      水質基準項目に含まれる項目のうち,これらの項目は毎日検査する必要があります。センサー利用が進んでいる項目です。
色度    
臭気    
   
pH    
過マンガン酸カリウム消費量    
電気伝導率      必須ではありません。イオン類の含有量と相関があり,蒸発残留物との関連と考えてよいかと思います。測定が容易なのが特徴。
(アルカリ度)      凝集沈殿法の場合。凝集剤や凝集助剤の投入に関する判断材料になります。

●原水

アンモニア性窒素   mg/l  水道台帳の作成において記述しなければなりません。

●浄水

残留塩素 0.1 以上 mg/l  浄水の基準値。給水栓水で0.1mg/L以上必要です。

【備考】


快適水質項目

(1)快適水質項目の解説

 高度成長の結果として,水源水域の富栄養化などによるカビ臭を中心とした異臭味など,水道水質に関する懸念が高まりました。しかし,水質基準は感覚的な指標ではなく,あくまでも健康や設備に対する悪影響を考慮して決められるものであり,基準ではこのような懸念に対応できない状態でした。そこで,この対応策として,平成4年の基準の大幅見直しの際,水質基準を補完するものとして,より質の高い水道水のための目標値として別途設定されました。よって,これはスタンダードではなく,クライテリアに類するものと考えられます。

 なお,水道水はまずいと思ってる人は多いのですが,ミネラルウォーターと水道水(大都市)を同じ温度,同じ塩素濃度に調整してのみ比べると,圧倒的多数の人が水道水の方がおいしいと感じるそうです。硬度の項目の影響ですかねぇ。

【備考】


(2)快適水質項目

 基準項目に含まれる項目の一部を,さらに厳しい条件で規定している項目があります。快適水質項目について以下にまとめます。

1 マンガン 0.01 以下  
2 アルミニウム 0.2 以下  mg/l  
3 残留塩素 1 以下 mg/l  水道で臭いうんぬんされるのは塩素臭です。
4 2−メチルイソボルネオール 粉末活性炭処理:0.00002以下
粒状活性炭処理:0.00001以下
mg/l  2-MIBと略記,ジメチルイソボルネオールと読む。かび臭いにおいの素です。
5 ジェオスミン 粉末活性炭処理:0.00002以下
粒状活性炭処理:0.00001以下
mg/l  かび臭いにおいの素です。
6 臭気強度(TON) 3 以下 mg/l  臭いの指標。臭いを感じなくなるまでの希釈倍率ですが,感覚指標ですので...
7 遊離炭酸 20 以下 mg/l  
8 有機物等(過マンガン酸カリウム消費量) 3 以下 mg/l  KMnO4消費量と略記。
9 カルシウム,マグネシウム等(硬度) 10以上100以下 mg/l  
10 蒸発残留物 30以上200以下 mg/l  
11 濁度 給水栓で1度以下,
送配水施設入口で0.1度以下
  
12 ランゲリア指数(腐食性) -1度以上とし,
極力0度に近づける
 
13 pH値 7.5程度  

【備考】


監視項目

 監視項目とは,「水質基準の設定を保留」することになった項目です。これは,現状では検出レベルが低く基準を設定するに至らないものの,将来的には水道に対して悪影響を与える可能性がある,として,今後ともモニタリングの対象にすることと判断された項目です。平成13年1月現在で35項目です。暫定となっているのは毒性評価が確定していない項目です。

1 トランス-1,2-ジクロロエチレン 0.04 以下 mg/l  
2 トルエン 0.6 以下 mg/l  
3 キシレン 0.4 以下 mg/l  
4 p−ジクロロベンゼン 0.3 以下 mg/l  
5 1,2-ジクロロベンゼン 0.06 以下 mg/l (暫定)
6 フタル酸ジエチルヘキシル 0.06 以下 mg/l  
7 ニッケル 0.01 以下 mg/l (暫定)
8 アンチモン 0.002 以下 mg/l (暫定)
9 ほう素 1 以下 mg/l  
10 モリブデン 0.07 以下 mg/l  
11 ウラン 0.002 以下 mg/l (暫定)
12 亜硝酸性窒素 0.05 以下 mg/l (暫定) 平成12年度追加。
13 二酸化塩素 0.6 以下 mg/l 平成12年度追加。
14 亜塩素酸イオン 0.6 以下 mg/l  
15 ホルムアルデヒド 0.08 以下 mg/l (暫定)
16 ジクロロ酢酸 0.02 以下 mg/l (暫定)
17 トリクロロ酢酸 0.3 以下 mg/l (暫定)
18 ジクロロアセトニトリル 0.08 以下 mg/l (暫定)
19 抱水クロラール 0.03 以下 mg/l (暫定)
20 イソサチオン 0.008 以下 mg/l  
21 ダイアノジン 0.005 以下 mg/l  
22 フェニトロチオン(MEP) 0.003 以下 mg/l  
23 イソプロチオラン 0.04 以下 mg/l  
24 クロロタニル(TPN) 0.05 以下 mg/l  
25 プロピザミド 0.05 以下 mg/l  
26 ジクロルボス(DDVP) 0.008 以下 mg/l  
27 フェノブカルブ(BPMC) 0.03 以下 mg/l  
28 クロルニトロフェン(CNP) 0.0001 以下 mg/l  
29 イプロベンホス(IBP) 0.008 以下 mg/l  
30 EPN 0.006 以下 mg/l  
31 ベンタゾン 0.2 以下 mg/l  
32 カルボフラン 0.005 以下 mg/l  
33 2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D) 0.03 以下 mg/l  
34 トリクロピル 0.006 以下 mg/l  
35 ダイオキシン類 1 以下 pg/l-TEQ (暫定)

【備考】


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