タイトル |
著者名 |
投票得点 |
『夜想曲(ノクターン)』 |
依井貴裕著 |
+5点 |
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『どんどん橋、落ちた』 |
綾辻行人著 |
+5点 |
ストーリー性を剥ぎ取ってむきだしのロジックだけで構築した、異形の連作本格短篇集。小説形式についての意欲ある試みをアイデア倒れに終わらせず充分に活かし切った見事な出来映え。ここまで突き詰めてしまったその先にはいったい何があるのか?今後が愉しみであり不安でもある。 |
『鬼貫警部全事件』 |
鮎川哲也著 |
+5点 |
全3巻から成る、シリーズの集大成。フィジカルな意味では小粒と言っていい工作が難攻不落の偽アリバイを作り出す、いわば効率性の高いトリックの宝庫。無茶な大技ばかりが「奇想」ではない。 |
『そして二人だけになった』 |
森博嗣著 |
+3点 |
究極の閉鎖状況下で起こった連続殺人事件。最後に生き残った2人のどちらかが犯人なのか?それとも……大技が2つも盛り込まれておりインパクトだけなら十二分だったのだが、解決に矛盾を残したまま終幕を迎えてしまうので読後の割り切れ無さは甚大。精神衛生上極めて芳しくない問題作。 |
『法月綸太郎の新冒険』 |
法月綸太郎著 |
+3点 |
原点回帰といおうか新境地といおうか、この人がこれほどまでの純粋本格ミステリマインドをまだ持ち合わせていたことに驚いた。全体としてやや練り込み不足の観もあったが、基本部分のアイデアがこれだけ鮮やかなら、もう充分。ずっとこの路線で活躍していただきたいものである。 |
『私が彼を殺した』 |
東野圭吾著 |
+2点 |
解決部分を省いた趣向作の第2弾。世間で真相とされているものが本当にその通りなのだとすれば、ちょっと納得のいかないところもあるのだが、それはそれとして、泣ける話を描ける作家という世評に甘えず野心作・問題作をものにしていく作者の創作姿勢は素直に賞賛しておきたい。 |
『ドッペルゲンガー宮 《あかずの扉》研究会流氷館へ』 |
霧舎巧著 |
+2点 |
連続殺人事件が進行中の屋敷の所在位置も謎の一要素にする趣向のせいでサスペンス性は大幅に削がれてしまった観があるし、推理を小出しにしたために謎解きのカタルシスが小さくなってしまったのは残念。だが、作品を支える大元のアイデアは悪くない。演出面での工夫次第で化ける作家として期待しておきたい。 |