その12 汽車に揺られて・・・


 朝5時に、電話が鳴る、なんだろう・・・と受話器を取ると「ツー・ツー」って・・・

 あ、前の日のウチに宿のママさんにお願いしてあったモーニングコールかぁ・・・

 早いトコ着替え、5:30にはフロントに行きました、そこでタクシーを頼み、しばらくかかるかな?・・・と思ったのですがすぐにタクシーは来ました。

 そうなるとハナシは少々早過ぎちゃうのですが、宿から駅まで5分ほど、費用は5ドルほどでした。

 汽車の時刻は8時、ラスベガスのユニオンステーション・・・またの名をユニオンプラザホテルに到着したのが6時、なんと2時間の暇ができてしまいました。

 できてしまったモノは仕方がない、一応、荷物番もありますし、交代で行ったのですが、一番安いスロット、5セント(5円程度ですね)のヤツでボチボチ遊びました。

 思えば、アメリカの物価というヤツは安いですねぇ、バクチだというのに、1発5円程度でやらせてくれるんだもんなぁ・・・暇つぶしでできますモノねぇ・・・

 日本のガキンチョが遊ぶルーレットゲーム(駄菓子屋とかにあるピピピピピというヤツなんか)でさえ、1回10円からなのに・・・

さて、そろそろ7時半だし・・・駅の待合室の方に戻りますか・・・ところが、どうやらおやくそく通り汽車は遅れているみたいです。

 まぁ、いつ来るかわからないので素直に駅の方で待っていたら、結局汽車は1時間程度遅れて到着しました。

 機関車はどうやら新型らしい・・・さすがにアメリカの鉄道の型はよくわからないのでコメントはしにくいのですが、見た感じ新しいカッコウしているのです。

 客扱い、給水などを終え、結局、ラスベガスを発車したのが約1時間半延・・・

 とはいえ、この辺になると汽車に乗ると眠る癖がついており、気づいた頃はロサンゼルス到着の1時間程度前になりましょうか・・・

 結局、ろくな回復運転もなく、ロサンゼルスの駅に到着したのが、予定より1時間半延でした。

 さて、次に乗る汽車が22時頃、到着が15時半くらい・・・ということで、結構な時間があるのですが、この駅にはコインロッカーはない、しかし、ロサンゼルスのユニオンステーションというこの駅の周りは、いまやニューヨークより治安が悪いと言われるロサンゼルスの中でも特に治安の悪いエリア、うっかり巨大な荷物を持った日本人3人組なんか見つかろうモノなら、いいイケニエだろう事は容易に想像できます。

 ということで、また、交代で荷物番をし、駅構内を偵察したりしました。最初の打順、金さんが見てきたら「メシ食えるところがあるぞ」と、戻ってきました。

 最初、金さんが「パスタ屋さん」と言っていたところは、どちらかというと軽食屋さんだったのですが、いろいろな食べ物があり、中でもハンバーガーなんか、かなりおいしそう・・・ということでそれを頼みました。

 そのハンバーグを見ると、中にはケチャップもマヨネーズも入っていないのですが、なんか、そのシンプルな味わいが逆においしかったのです・・・純粋なビーフの味わいが・・・

 ところが、ロサンゼルス方面のコトバ、ちょっち方言かかっているようで、少し聞き取りにくいなぁ・・・という典型がありました。

 そのあと、片チャンと一緒に注文してたのですが、そのときのオネェチャンが「マヨネーズはいるか?」と聞いてきてたのですが、その言葉、「マ〜ネ〜?(語尾が上がるのね)」って聞こえるのです。片チャン、「お金かな?」と思い、悩んでいたのですが、どうやらマヨらしいことに気づいた私が「マヨネーズだってさ」とツッコんだら「おお、そうかぁ」と納得し、「イエス、ぷり〜ず」。

 さて、一通り注文を終了し3人でのんびり食事してると、ナイスなガタイのおに〜さんがあやしげなヤツをとっつかまえてきました。何だろう?・・・って思っていたら、金さんが、「万引きだよ」というのです。

 なんか、駅構内でやるなよなぁ・・・って気はするのですが、日本人の主観でしょう・・・

 それにしても、この辺はなんだかんだメキシコ系の影響があるのでしょうねぇ・・・なんか、先ほどの「マ〜ネ〜」なんかといい、ちょっちスペイン語っぽい言葉の訛りがあるのです。

 それはそれで個人的に結構好きなんですが・・・

 さて、めしを食ったらもうやることもないんです、このときに強い武器がやっぱりゲームボーイ・・・なんだかんだで結構世話になったかと思います。

 さて、今度のエルパソに行く汽車(サンセット・リミテッド号)は、22:30の発車なのですが、どうやらシアトルからの汽車を接続して発車らしく、その影響で遅れるらしいのです。

 ちなみに、この汽車、毎日運行ではなく、週に何本か・・・という汽車です。このため、本当はロサンゼルスで一泊・・・なんて事もやりたかったのですが、コレのために無理になりました。

 とりあえず、サンセット・リミテッド号には、スムーズに・・・とは、乗り場で乗車号車指定を2転3転しましたが・・・乗車できました。結構乗車効率はいいようで、1人で2人分の座席は確保できまい・・・隣の座席はきれいに空け、睡眠に入りました。

 途中気づくと、隣にアンちゃんが乗っていて、少々ビックリしたのですが、向こうも寝てましたし、私もまだ眠い・・・また寝ました。

 再び起きたのが朝の9時・・・お互い、遠慮していたのですが、どういうきっかけか覚えてませんが、おはなしできそうな感じだったのでおはなしを始めました。

 彼がナニを言っているのかはわかる由もありませんが、とりあえず、ナニを言いたいのかは、カナダ旅行、そして、今回の旅も長いことで、英語のヒヤリングくらいは結構マスターしておりまして、結構わかるモノです、基本的に単語がわからないくらいで・・・

 彼は中学生くらいで、スケボーが好きで、音楽もヘビーメタルとかを好んで聴いているようです。こうなると洋楽に徹底的に疎い私は弱い・・・ハナシのキャッチボールができないんですね・・・

 彼は皮ブーツを履いていたのですが、スゲェ高そうだね・・・なんておはなししたら、80ドルくらい・・・とかゆってまして、正直、私にはタダみたいな金額に聞こえたので、そりゃ安いとビックリ、ちなみに今履いているりーぼっくのシューズ、130ドルからするぞ・・・と、異常に高い日本の物価のハナシしたら、彼はやっぱりビックリしておりました。

 また、彼はヒマになると、絵を描いておりまして、おもしろそうでしたので、何かのために・・・と持って行っていたザウルスの「手書きメモ」機能で、絵なんか描いてみてもらいました。

 「実は、おいら、列車を運転してるんだ・・・」と日本での仕事のハナシをして、ネタをつかみました。ちょうど、そのザウルスに、○浜○行の電車の写真を取り込んで入れてあったので、それを見せました。

 そんな感じでそれから彼の家族(ママさん筆頭に5人家族、ワシントン州から来られてるそうです)ともおはなししたりして、気づいた頃はもう、エルパソに近づいておりました。まさしく、鉄道の旅の醍醐味を味わえました。彼らには感謝です。

 さて、この辺の風景、右半分がメキシコ、左半分がアメリカというちょうど国境付近を汽車が走っているという状況で、右と左の風景にかなりのギャップがありました。

 正直、少々ビビリます。

 エルパソの駅に到着、例のご家族は、ここから寝台車に乗り換えるとかで、移動しました。そして、我々は降車し、最初に見た看板が・・・「一番安全なところ、それがアムトラックの駅です」みたいな看板なんか見つけちゃおうモノならもうビビリっぱなしでした。

 さて、駅舎にたどり着くと、今度はいかにも「白タク」っぽいオヤジが「TAXI! TAXI!」と叫んでいるのですが、「タコシー」みたく聞こえるは愛嬌か?・・・

 我々は意図的に無視していたのですが(怖いからね)、レンタカー屋の場所がわからない事にはハナシも始まらず、他に交通手段も見あたらなかったため、彼のタクシーに乗りました。

 そのオヤジ、我々が最初から疑ってかかっている・・・ってのはわかっていたようで、「ほれ、ちゃんとメーターがついてるだろ?」と見せてくれ、ちょっち安心しました。

 このタクシー屋、すごくいいオヤジで、いろいろ話してくれたのですが、指定したレンタカー屋が、なんとクローズド・・・まじめな運チャンは指定した場所であることを必死こいて説明してくれ、コレじゃ仕方ないから、とにかく空港にレンタカー屋があるから、そっちに行こうよ・・・と話してくれました。

 というわけで、結局、タクシー代そのものは20ドルくらい余計にかかってしまったのですが、無事空港に到着しました。

 右も左もわからないような我々をすごく親切に案内してくれたその運チャンにはすごく感謝、チップをはずみました。

 さて、空港で予約のチケットを見せ、なんだか知らないけど、店、やってなかったぞ・・・って感じのことを必死こいて話したら、ナニゴトもなかったように、車を貸してくれました。

 最後のレンタカーは「マーキュリーのトパーズ(Topaz)」、排気量は2.2リッターだと思いました。コレで3回レンタカーを借りたのですが、その中では最もチッチャカイ車だったのですが、最初の運チャン、金さんは「乗りやすいわぁ」をレコしておりました。

 さて、今回は、エルパソを基点にして、白い砂で有名(?)な、ホワイトサンズ国定公園、夕方に見られる「30万匹のコウモリ」で有名なカールスバッド洞穴国立公園を見学する予定でした。

 車はハイウェイを北方向に90マイルほど(約150キロ)走る、ところが、ハイウェイのはずが途中で急に交差点や信号があって結構怖い・・・まぁ、交通量の少ないイナカでしか許されないだろう道路ではありました。

 また、ホワイトサンズ国定公園というところは、米軍の演習場もあり、その関係で入ることができないこともあるのですが、その関係の「関所」みたいなトコもあります、通過した時点では夜になっていたので全くフリーです。

 ホワイトサンズ国定公園の玄関口、アラモゴルドと言うところに到着したのは20:30頃、宿に関してはスムーズにチェックインができ、見ると、向かいにケンタッキーフライドチキンがある・・・

 渡米後、初のケンタッキーでお食事になりました。

 食べた感じでは、トリさん、クッキー(パンの代わりについてくるようなヤツ)は日本のそれとほとんど変わらずに食べられたのですが、コールスローサラダがすごく変に甘いのです。 あれさえなければほぼ違和感なく食えたのになぁ・・・