その6 絶景 ザイオン


 朝、おきると、すごくきれいな空が私たちを迎えてくれました。

 そう、もろに快晴の空、コテージを出ると、ものすごく気分がいい。

 ついに、アメリカ旅行のメインディッシュといえるルートに出ることになります。

 その第一弾が、この「ザイオン国立公園」その中のメイン「ナローズ」と言われるトレイルに突入します。

 ココは、「バージン川」という川の中をジャバジャバ入って行き、ザイオンキャニオンの大渓谷をを下から眺めてやろう・・・という所です。切り立った崖の中を歩く関係で、上流で大雨が降ると、一気に川の水位が上がって、ある意味、メチャクチャ危険なところでもあります。なにせ、逃げ場が全くないモノで・・・

 その入口にはその日の川の状態がボードに表示されておりまして、その安全を見ることができるのですが、前日は、「エクストリーム」(もっとも危険な状態)になっておりまして、ヤバイなぁ・・・とか言っていたのですが、まぁ、一晩経てば変わるベェ・・・とか言って安心しきっておりました。

 ところが、翌朝見ても、やっぱり、その表示は変わっておらず、今回は、ダメかなぁ・・・と、半分あきらめました・・・

 ところが、どうも、この辺の原因は、2日前に雨が降っていて(この辺は、汽車の中で降られてたのがわかっているので)、それが元だろうから・・・と、ココであきらめるのも悔しいし、というわけで、それのカッコウだけはして、川の入口までは行こうよ・・・と、3人で行くだけ行きました・・・あわよくば入るつもりで・・・

 私は私で、川の中を歩くなら、黙って「足袋」だろう・・・と、このために足袋まで新調しての参戦なのだ、いけるモノなら行かないと悔しいじゃん・・・

 で、行ってみると、現地の連中は、しっかり奥の方まで行ってるのですねぇ・・・

 それなら・・・とばかり、我々も川の中に入っていこうと決めました。

 川そのものはたしかに、水は少々濁っているのですが、流れそのものは尋常で、心配はないだろう・・・って感じなのです。

 金さんは、ビーチサンダルにひもを通して固定して、片チャンはスポーツサンダルを使用してます。

 入ってみると水はものすごく冷たいのですが、しばらくすると結構慣れるモノです。金さんと片チャンは棒をみつけ、杖にしましたが、私は「いらん・・・」と突っ張る。

 さすがは時の忍者とか、とび職なんかが使うアイテム、足袋は滑らないし、なんと言っても軽い・・・

 行けるところまで行ってみましたが、そろそろ限界、すごい所は2人で両手を広げると両端の岩壁(高さ300m位)に触ることができるのですが、そこまでは行けませんでした。

 奥の方で弁当を平らげ、帰りに、ふと現地の連中を見ると、彼らは、トレッキングシューズを担いで素足で帰っている・・・

 どうやら、トレッキングシューズで入ったはいいけど、途中で水のせいでメチャクチャ重たくなりつらくなったのでしょう、それを見た私は、ニンマリし、う〜ん、「わが足袋の勝利♪♪」

 帰りに、入口近辺に戻ると、チャリンコ青年がマウンテンバイクに乗っている・・・おいっ、ココ、川の中だぜぇ・・・と、心配しつつ、気合い入れて入って行ってる彼らを思わず応援したりして・・・

 川を出て、駐車場までの道を歩くと、何人かは私の足袋に気づき、少々ウケておりましたが、案外気づかれないモノで、普通に駐車場まで戻り、靴に履き替えました。

 その時点で16時頃、アメリカの日の入りは結構遅いので、まだまだ明るい時間は長いです。

 というわけで、簡単なトレイル(ハイキングコース)を歩こう、というわけで、前日に通った道を奥の方に登っていき、長いトンネルを過ぎたところに「キャニオン・オーバールック」というコースがあり、一応は初・中級クラスらしいので、言ってみました。

 最初、階段があり、登ることの苦手な私は少々覚悟を決めたのですが、それを登ればあとはほとんど平坦な山道、こりゃいいやぁ・・・とるんるん気分で歩いていると、奥に見えるは、ものすごく大きな渓谷でした。

 前年のカナダは「エビスキャベラの大氷河」以来の大ヒット・・・という感じの谷で、モノの本では、少々取り上げられておりましたが、こんなに苦労なく、おいしいところだったら、もっと大々的に書いてくれてもいいのになぁ・・・と思ってしまいました。

 とにかく説明しがたいです。目の前に広がる雄大な景色、「アメリカへやってきたぞおおおおおおおおおっ」と言う実感を再認識できるありがたいところでした。

 今回、金さんはちょっと前に行った東サイドの旅行で「オレが見たかったアメリカって、こんなモノなのか?」と、心にもやもやしたモノがあったと言っておりましたが、この大渓谷で、「見たかったアメリカ」を見ることができたようです、それを納得させるに十分なロケーションです。

 3人して満足で宿に戻り、夕食は例の中華屋さん。

 今回は、麺類に挑戦・・・ということで、金さんと片チャンは「ラーメン」を頼んでみました、私も・・・っておもったのですが、頼み損なっちゃって・・・

 ところが、出て来たラーメンが、とても「いい味」出しておりまして・・・

 スープに関しては、まぁ、こんなモノでしょう・・・と言う感じで、問題ないのですが、中の麺が、こう、スパゲッティーみたい・・・というか、うどんみたい・・・というか、そんな感じの麺で、もう、大ウケ・・・

 私はというと、とりあえず、メシに関しては「Fried rice」(チャーハン)にしてもらって、あの、とぎ汁味のメシは避けることにしました。