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 男滝の中段は、横に細い小段がある。ここを伝って滝頭へ。最後のフィニッシュもロープがあるのでラクラク通過。滝を上れば、確かに男性的な滝だった。
 落差の大きいナメ滝には、全てロープが張られていた。全くのど素人には無理だが、沢を歩いたことのある人なら誰でも完全遡行できる。それだけにぜひチャレンジしてほしい渓谷の一つだ。それだけの価値はあると断言できる。今度はぜひ新緑の桃洞渓谷を歩いてみたいと思った。
 全山燃えるような紅葉に染まった源流部。
 源流部に突入すると、次第に桃洞杉が目立つようになった。標高が高くなると、一般に杉は姿を消すはずだが、この沢は逆に杉が目立つようになる。誠に不思議なことばかりだ。
 底まで丸見えの清流、水面は紅葉を映し薄っすらと赤みを帯びている。
 こういう甌穴は至る所にあった。上ばかり見ていると、こうした穴に落ちかねないので注意。
 いよいよ水も少なくなり、桃洞渓谷も終わりを告げる。ここまで岩魚の走る影はゼロだった。なぜなら、渓に点在する岩はゼロだから当然のこと。岩壁は柱状摂理が全く見られず、いきなり風化して砂と化すような岩質だ。だから岩は皆無。渓谷と言えば、岩が点在しているのが当たり前の光景だが、この点だけみても不思議な渓谷と言えるだろう。小さな枝沢を上り、登山道がある稜線をめざす。
 稜線の藪こぎで見つけたブナハリタケ。桃洞渓谷では、キノコの気配がゼロだっただけに嬉しさもひとしおだった。
 黄葉したブナが林立する登山道を歩き、高場森方面をめざす。  途中、右ノ沢を詰めてきた沢登りパーティに出会う。東京から来たらしいが、キノコが全くわからないという。避難小屋に泊まるとのことだった。それじゃキノコ料理をと、ブナハリタケ一袋を分けてやった。
 桃洞スギ原生林。通常秋田スギは標高600〜700m以下に分布しているが、桃洞スギは800〜950mの豪雪高山地帯に分布する耐寒耐雪性品種として珍しいという。
 奥地の高山帯に分布する桃洞スギの原生林は、樹齢200年から300年前後。学術的・林業技術的研究の場として貴重な原生林として評価が高く、昭和50年、国の天然記念物に指定されている。左の写真は、一本の幹の途中から数本の幹が天高く真っ直ぐに伸びる典型的な桃洞スギだ。
 高場森から焼山、八幡平方面を望む。  割沢森へ向かう途中から、山腹伝いの山道を歩き黒石林道へ抜ける。ブナの森も深くなり、風倒木も目立つ。これならキノコも期待できそうだ。
 黒石林道を歩いていると「奥森吉青少年野外活動基地」と書かれた軽トラックのおじさんに呼び止められた。「どこまで行くんだ。乗らないか。」やけに世話好きな人だった。「キャンプ場に泊まったら」と言ったが、「いや、水のある沢までお願いします」と言ってトラックに乗せてもらった。地図には名前が載っていない小沢の橋まで送ってもらった。ここではA沢としておこう。
 秋の谷間はあっと言う間に暗くなる。予定外のコースを辿っただけに、時間は大幅にオーバー。偶然とはいえ、トラックに乗せてもらったのはラッキーだった。というのもA沢は、ブナの森が深く、最高の場所だったからである。焚き火を囲み、キノコをメインに酒を飲み語らった。空を見上げれば、満天の星空が今日一日の感動のフィナーレを飾ってくれた。

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