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 桃洞の滝左岸脇を登り滝上へ。危ない岸壁には、岩を削った足場があり、楽に登ることができる。ただし下りは高度感があり、足場も見えないので注意が必要だ。滝上を歩くには、スパイク付きシューズ又はフェルト足袋が必携。どちらがいいかと言えば、スパイクの方が歩き易い。桃洞渓谷の核心部は、この滝上から源流部一帯だ。
 左:桃洞の滝左岸の小段を巻く 右:滝上から下を望む。この高度感が堪らない。ここで下から見送っていた金光氏と手を振って別れを惜しむ。
 桃洞渓谷の素晴らしさは、清冽な水の透明度に加えて、延々源流部まで一枚岩盤のナメとナメ滝、様々な甌穴が切れることなく連続している点である。秋の陽射しにキラキラと輝く流れが特に印象に残った。
 遡行するほどに艶やかな渓谷美が展開・・・峰にはゴヨウマツ、岸壁の斜面には、黄色と紅に染まった低木林が燃えるような色彩を放っている。遡行する旅人は、神秘の造形美に奥へ奥へと吸い込まれていく。
 こんな渓谷美を鑑賞できるだけでも満足なのだが、ナメ滝シャワーのマイナスイオンを全身に浴びるオマケまで付いているから堪らない。なかなか治らなかった風邪もどこかへ飛んでいった。原生的な渓谷美は、誰しも抱くストレスと病を吹き飛ばす不思議な魔力を秘めている。
 名もない小さなナメ滝と釜、甌穴が連続。見渡す限り岸壁が連続しているが、渓は開け、すこぶる明るい。露出した緩やかな岸壁は、様々な縞状模様を描き、点在する低木林の紅葉は最盛期だ。青空に聳える尾根筋のキタゴヨウもまた美しい。
 連続する小滝と釜。思い切って斜め正面から射し込む逆光で撮影してみた。光と紅葉を映した流れが妖しいまでの輝きを放っているのがお分かりだろうか。何度飛瀑にカメラを向けたことだろう。ただただ感動の渓谷美に動物的にシャッターを押し続けた。
 朝陽を一杯に浴びて流れるナメ滝群。飛沫を浴びる岩盤には、薄っすらと苔が生え、岸壁の上部は錦の衣を纏ったように黄色と紅に包まれている。なるべく飛沫に近づき、マイナスイオンを全身に浴びながら撮影すると気分も爽快になる。
 小段が連なるナメの階段。甌穴は意外と深く、中には背丈以上の穴もたくさんあった。余所見をしながら歩けば、深い甌穴にスッポリはまりかねない。それでも夏なら「いい湯だな」ですみそうだが、寒い紅葉シーズンは寒さで震えが止まらないだろう。
 谷が狭まり、大きなナメ滝が懸かる斜面は、小さく高巻いて滝上へ。最初は滝の数をカウントしていたが、余りの多さにキブアップ。
 青空に映える尾根筋の針葉樹と黄葉の美  緩やかなナメの斜面。無数の星屑が輝きながら流れ落ちる様を眺めていると、身も心も洗われていくような快感を覚える。
 やがて右手から小沢が合流する二又に達する。雲一つない澄み切った青空と紅葉の美しさに、仲間が「感動した」を連発。なかなかこんなシャッターチャンスに恵まれることはないだけに、荷を降ろして右の沢へ。
 八段の滝。スパイクシューズなら難なく滝上まで登れる。
 中段から最上段の滝を望む。一番上の滝、左側にはロープが張られていたので上って見たが、上流はまもなく細流となり藪と化していたのですぐに引き返す。
 計画では、この二又にテン場を構える予定だったが、適地が全くない。さらに広葉樹の風倒木が皆無でキノコの気配もゼロ。二又でしばし遊んだ後、予定を変更して源流をめざす。
 これ以上ない秋晴れの陽射しを浴びて、逆光に輝く黄葉と穏やかに流れるナメ床を快適に歩く。これほど、ナメが源流部まで連続する渓も珍しい。まるで天然のせせらぎ舗装道路を歩いているような気分だ。言葉で表現すれば・・・身も心も爽快痛快、快適、感激、感動・・・の連続
左:トヨ状の滝 右:お椀のように丸いナメ滝
 緩い流れのナメ床一面を覆う苔の群落。さしずめ「桃洞マリモ」とでも命名しておこう。20年近い山釣りで出会った「水の風景」を振り返っても、記憶にない特異な美しさだ。さらに流速が早いナメ滝の上部にもビッシリ苔が生えていたのには心底驚かされた。それだけ大きな洪水はなく、水量が安定している証左だろう。
 中ノ滝・・・滝の美しさより、周りの岸壁の奇怪な縞状模様に目を奪われた。不思議な「水の造形美」は圧巻だ。
 右の岸壁は、人工的に岩肌を削り取ったような奇妙な紋様に注目。  中ノ滝中段下からフリーアングルのデジカメで撮影。
 中ノ滝を越えると、桃洞杉が目立つようになった。  まるで小さな天然堰堤のようなナメ滝。
 男滝・・・俗称「女滝」に比べ、この滝がなぜ「男滝」なのか?。ちょっと見ただけでは首をひねってしまう。「下の流れが白いフンドシに見えないか」「上の飛沫が射精に見える」などと勝手な解釈が始まった。右は、男滝下流の甌穴。落ち葉が大量に溜まり、深まる秋を感じさせる。
 男滝左岸の壁を上る。近づけば、さすがに男性的な壁だった。とてもザイルなしには上れないが、ここにも岸壁にボルトを打ち込み固定したロープがあったので快適に上る。

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