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新緑の白神1 新緑の白神2 新緑の白神3 新緑の白神4+滝上放流 


2002年4月下旬・・・新緑、山菜、山野草、清冽な流れ
 白神・源流の宝石・・・2002年初の尺岩魚。
 
 白神の春は、地元の古老によると、例年より10日以上早いという。それだけに、雪代で沸き返る渓は、萌黄色の新緑に彩られ、なだらかな斜面には、山野草とともに山菜がまるで山の畑のように群生していた。頭上からは、小鳥のさえずりが止むことなく響く・・・刻一刻と変化する生命の賑わいの凄まじさに改めて驚かされた。
 渓をふさぐスノーブリッジ、見上げれば、澄み切った青空に萌え出たばかりのブナの新緑が眩いばかりに輝いていた。今年は、萌黄の新緑が山腹を駆け上がる時季がやけに早い。
 新緑の森をゆく。かつての石炭道路も今はその痕跡を辿るのが困難なほど崩壊している。その歴史を知るものは、僅かに残る地元の古老しかいない。
 左は、白神で山菜やきのこ採りを生業とする古老。私はバテバテだが、古老はやけに元気だった。マタギの話・・・かつて、マタギが屹立する岩場で熊を仕留めた。ところが、深い谷底に落ちた熊を山道まで上げることができず、沢通しに流しながら運んだという。落差の大きい滝に熊を落としても、水の上だから意外に皮は痛まないものだという。 白神山麓の人々が、山に入る時、必ず休む湧き水。ここには、賽銭が投げ込まれている。マタギたちは、この神聖な泉に感謝し、100円玉を投げ込み祈ったという。ところが、何者かに100円玉が盗まれた、と古老は苦笑いしがら話してくれた。
 まだ4月下旬というのに、ツツジが満開だった。緑の氾濫に一際目立つツツジの花が至る所で見られた。まさに春爛漫・・・。
 萌黄色に染まる森の斜面を下る。落差100mほど下ると、突然清冽な水が岩穴から音をたてて流れ出ている。早くも山菜、山菜・・・と心が騒ぐ。
 急斜面に林立するブナの森を下る。緩くなった台地に残雪、周辺にはヤマワサビが群生している。
 斜面に群生するアイコ(ミヤマイラクサ)。今晩の野菜にと夢中で撮る、採る・・・。
 雪国を代表する山菜の一つ。葉や茎には刺があるので、軍手は必携だ。深山刺草(ミヤマイラクサ)といわれるとおり、やや深い山地に生える。採取する時は、根元からポキッと折るようにして採る。
 小沢沿いの斜面に顔を出したシドケ(モミジガサ)。モミジガサとも呼ばれ、葉がモミジに似ているのが特徴。山地の谷沿いの急斜面に小さな群落を作って生える。特に深山ほど茎が太く、歯ざわりがいい。
 ホンナ(ヨブスマソウ)・・・渓流周辺の湿った斜面に生える。ホンナは、いろんな亜種があり、色や形も異なる。茎や葉に短毛がついているのは、俗に「毛ホンナ」と呼ばれている。美味いものは、もちろん毛のないものだ。
 沢沿いに生えるアザミ。味噌汁の具として利用されている。  群生していたヒトリシズケカ。
 ニオサク(エゾニュウ)。渓流沿いにたくさん生える。株の真ん中に出た若い茎を切り、皮をむいて塩蔵する。すぐに食べられないのが欠点。  ザゼンソウ。
 コミヤマカタバミ・・・小さな白い花を1個付ける。葉は3枚、これを噛むと酸っぱい味がして結構美味い。山村では、この葉をガムのように噛んで汁を吸うらしい。
 一年中水が涸れることなく流れる小沢には、瑞々しいミズ(ウワバミソウ)が群生している。ミズは東北の方言で、茎が柔らかく水分が多いところから名付けられた。湧き水のしたたり落ちる岸壁や小沢などに群生するイラクサ科の植物。春から秋まで長い間採取でき、アクやクセもなく、幅広い料理に利用できる。山釣りでは定番の山菜だ。
 年中清冽な水を浴び、流木や岩には分厚い苔が生えている。まさに聖なる水が落走する豊潤な空間だ。瑞々しい緑の彩りと清冽な流れが心を和ませてくれる。この両側の斜面は、当然のことながら山菜の宝庫だ。じっと眺めていると、この豊穣の森を山の神として敬い続けた文化を思わざるを得ない。
 渓流沿いに咲き乱れるニリンソウ。花茎の先に直径2cm位の白い花を1〜3個付ける。ニリンソウだから、花が2個とは限らない。
 聖なる流れに、顔を出したネコノメソウ。ダイモンジソウと同じで、清冽な瀑布を一杯に浴びて生育する幸せな山野草だ。この瑞々しさに、いつも心が洗われる。

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