直熱三極管 2A3 について
直熱三極管が好きになった第一の理由は、三極管は電圧増幅部も電力増幅部も設計し易いことです。次が、中学と高校の時(中高一貫男子校)で、おんぼろの音楽室で音楽鑑賞と称して聞かされた外観の割には心地良い音のする2A3プッシュプル(PP)のモノラルの音源(電蓄に毛が生えたもの)との出会いでした。
最も影響を受けたのは、学校の近所のレコードも扱っていた楽器屋の特別あつらえの2A3PPのステレオシステムで聞いた、今は亡き松尾和子の「お座敷小唄」の実に色っぽくハスキーな声です。
楽器屋のスピーカは確かパイオニアの25cmのPAX25Fでコアキシャルのホーン型2ウエイでした。これがまた、2A3との相性が良く(と言っても色っぽい女性ボーカルの方が相性が良かったのかもしれないが)松尾和子やジュリーロンドンなどのボーカルがなまめかしく聞こえて、とても欲しくてしょうがなかったと言う記憶が残ってます。ちなみに、プレイヤーのカートリッジはグレースのMM型で、これもボーカルに良く合っていました(クラシック愛好者にはこの組み合わせは不評のようでしたが)。
この頃のオーディオ環境
この頃の私は、アマチュア無線に凝っていて、低周波アンプはUY-807のAM送信機のための変調器作りが主で10Wから20Wの出力を出すために42や6RP15のPPをいじっていました。
私のオーディオ環境は(この頃は一般的な総称がステレオでした)殆ど、廃棄された構内放送設備や5球スーパー、電蓄の部品の再利用で、当時多数出回っていた電電公社廃棄のCZ-504-D(ほぼ42)シングルステレオなどを作っては壊してましたが、2A3は高価だったので手を出せずにいました。
その後、社会人となり、世の中が半導体になったため球とはしばらくお別れしましたが、あこがれのスピーカだけは買っておこうと思い、20cmのPAX20Fを先ず一本買い、もう一本買おうと思っている内に他に浮気し、おまけに生産中止となったため一本だけで残ってしまいました。
PAX20Fは、半導体アンプで鳴らすと、俗に言うホーン臭さが目立つのでしばらく休眠させていました。しかし、昭和40年代以降に大量に手に入ったテレビの水平偏向管を使ってSE-PPのOTLアンプで遊び始めた時、16Ωの比較的高いボイスコイルインピーダンスと高能率のため小出力でも音の出が良いことから再び使い始めて今に至ってます。
この時鳴った音で、PAX20Fが私好みの女性ボーカルに最適であることを再認識し、ついでに2A3を思い出し、なんとかタマを入手し、電源トランス、出力トランスなどをスクラップ屋から集めてきて2A3PPのモノラルアンプを作り使ってきましたが、カップリングのオイルコンがリークしているようなので30年ぶりにこのアンプをリファインしました。
今のオーディオ環境について
私の主たるシステムのスピーカーシステムは、YAMAHAのNS-600で、お約束通りダメになったウレタンエッジをセーム皮で補修して使い続けています。
アンプは、「キット屋」の2A3PPステレオアンプキット「VP-2000」からVP-2000改造差動アンプを経て現在はEL34三結差動アンプとなっています。最近は104-DとUX-12Aの組合せで音を出す機会が多くなってます。
主なソースはパソコンのiTunesとパイオニアのFMチューナーなどで、主に女性ジャズボーカル系とネットラジオのジャズを流してます。
この他には、前述のPAX20Fをクライスラーの箱(団塊の世代は心当たりがあるかも)に入れたものや、どうやらあの有名なPE-16の兄弟分が入っているパイオニアのステレオコンポのスピーカ、最近入手した小さなバックロードホーンなどを、気の向くままに作ったアンプで鳴らしてます。
サブシステムは、アンプ作りや電気工作などのための作業小屋に置いてあります。ここのスピーカは、YAMAHAのNS-325で、やはりウレタンエッジをセーム皮で補修ししています。
アンプは6BL7差動プッシュプルを主として、2A3インターステージトランス式アンプや2A3差動アンプなどをとっかえひっかえ使っています。ソースは、主としてiTunesをネットワーク共有したMac G4 Qube(FANが無いのでとても静か)の出力です。
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枕元のPAX-20F(サランネットから透けて見える)と箱。普段は端に見えているiBookの音を弁当箱アンプで鳴らしてます。

TriのVP-2000と自作のパソコン用6V6シングルアンプを収容している棚。壁に掛かっている黒い箱がパイオニアのスピーカ。

作業小屋のMacと2A3PPアンプ、はめ込み画像はYAMAHA NS-325で、天井に渡した太い角材に布製の積載用バンドで吊って見たら、あちこちの共振が減って、とても良い音が出るようになりました。
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