第2章 Preparation〜大会に参加する前に

その1・プレパの意義

 Preparation は何のためするのでしょうか? それは Title に関する知識と客観的な Data を得、 Logical な自分の意見、 "Opinion"を作り上げていくためです。自分の意見 (=自分の言いたいこと)なしではDiscussion の面白さも半減してしまうでしょう。有意義なDiscussion をするのに、Preparation は必要不可欠な過程です。Preparation はディスを楽しむためにすると言っても過言ではありません。ここでは、いかの4つに分けて、Discussionのプレパの仕方を紹介していきます。

1、Title に関する基本的な知識
2、Brainstorming
3、Opinion Making (Formatについて)
4、Evidence の確保と整理(リサーチ)
5、Sheet作成  他

<1> Titleに関する基本的な知識を身につけよう。
  タイトルに関して必要最小限の知識を得なければ、どこから手を付けていいのか分かりません。そんなときはまず、
 「imidas」
 「現代用語の基礎知識」
 「知恵蔵」
  各種年鑑・白書
などに目を通しましょう。時間に余裕があれば、タイトルに関して包括的に扱ってる本や雑誌を読んでみましょう。なにが話題にあげられ、問題となっているのかが次第に見えてきます。

<2> Brainstorming

基本的知識を押さえたら、次は Brainstorming。 Brainstormingとはタイトル(問題)に関して何人かでアイデアを出し合うことです。これにより、複雑な問題ついての内容を整理、理解、検討することによって、さらに自分の意見に発展させていくのが Brainstormingです。以下、 Brainstormingの四原則について説明します。

Brainstormingの四原則
  Brainstormingにはこれと決まったやり方はないが、あるとしたら発想的思考から収束的思考への流れ、つまり各人が思いついたことをすべて情報として提示し、それを評価、比較、検討、分類することで自分の意見を作り上げていくことがあるのみです。この作業をする上で心に留めておくべきポイントを述べておきます。

1)根拠のない批判厳禁
 「そんなこと言うのずるい」とか、「そんなことしても無駄だよ、前にダメだったから」とか根拠のないことを言って批判するのはダメ。せっかくのアイデアの芽を摘んでしまい、発想の展開の可能性を否定してしまうことになるからです。十分な理由なしに、ただダメというのははじめから自分の意見の幅を広げることを放棄している、と思いませんか。意見の妥当性は、後の意見の「収束」段階で示せばいいことです。ただ、ここで注意しなければならないのは批判と反対意見(異なったアイデア)は違うものだということです。「TDFの大会は明学の白金でやろうよ」という意見と、「いや、専修の生田がいいよ」というのは反対の意見です。こう言ったものは、それが発想のアイデアになるものなので、当然表明するに足る意見です。

2)自由釈放
 問題解決の糸口や斬新なアイデアというのは、その人が漠然と感じている「こうかもしれないけど、不安だな」というような考えにあることも多いのです。このような考えを生かそうというのが Brainstormingなのですから、自分の用意していたアウトラインにこだわらず、思いついたことをふと口にしてみる、人の様子や言葉から触発されたことをすぐに口に出してみることが大切です。他人にも自分にも遠慮しないことです。またそのような環境作りに皆で努力することも大切。シャイにならないで。

3)質より量
 意見の質の良し悪しなどというものは、それこそ後で判断すればいい。とにかくみんなでしゃべってしゃべってしゃべりまくる。まとめるのが大変なんて横着なことを考えているといい考えや発想というのは生まれてこない。皆でわいわいやってるうちに、だんだんと質の良いものがぽろっとでてくるようになります、多分。

4)結合改善
 「ここはどうおもう」「それはこうしたらいいんじゃない」 自分の知識・知性を総動員して他の人がいってた意見でも何でも使ってでてきた考えを整理しましょう。これをしないとディスカッションで使えるアーギュメントかどうか分からないままです。出来る限り多くの人の意見を聞き、その人がそのアーギュメントをどう思っているのかを調べてそのアーギュメントの質を判断しましょう。

 以上の四つが、 Brainstormingを行う上での四大原則です。 Brainstormingは慣れの与える影響が大きいものです。授業の空き時間とかも活用してどんどん Brainstormingをして、どんどんあたまをじゅうなんにして、人の意見を参考にして自分の考えを構築してみよう。

 このBrainstormingの方法はいろいろあります。またその内容・目的も場合によって違いますが、タイトルが決まってはじめてみんなで集まったときは、まずはタイトル全体に関してどんなトピックがでてきそうか、といったことについてみんなで意見を出し合ってみましょう。そのときそのトピックの名前をを黒板などに書き移すことをお勧めします。その時、「この部分とこの部分は重なるんじゃないか」「このトピック所のトピックはこんな所で関連するんじゃないか」といったこと、例えば「代用監獄」と「冤罪」、「陪審制」と「冤罪」はつながるといったことをあげてみて、それらを線で結んでいってみましょう。そうするとタイトルの全体像が見えてくるだけではなく、例えば「陪審制」の話において冤罪を減らそう、ということになったとき、「代用監獄」の問題も解決しないと冤罪を完全に減らすのは難しい、というようなトピックごとの相互関連・話の発展性もみえてくると思います。


<3>Opinion Making

Titleに関する基本的な知識集め、Brain Stormingを終え、ある程度オピニオンの知識が固まってきたらOpinion Makingにとりかかりましょう。

Policy Determining DiscussionにおいてOpinionの基本的構成要素は、
1)どのようなPolicyを採るのか(Plan)
2)なぜそのPolicyを採るのか(採択理由)
の2要素です。

Opinionを作るためにはその表現形態であるFormatの理解が欠かせません。
Formatには主に、Problem-Solving FormatとComparative Advantage Formatの2つがあります。
 T.D.F.の大会はFree Formatで、自分のアイデアを分かり易く説明できるのであれば、どのようなオピニオンでも構わないのですが、ここでは代表的なこの2つのFormatに限って解説をします。

 Problem-Solving Format (PSF)は、その名前が示すように、現状に何らかの問題があってそれを解決しよう、という場合によく使われます。

 Comparative Advantage Format (CAF) これは、現状に問題はないけどそれをさらに良くしよう、というときやCauseが不明確なとき等に使われます。では、Problem-Solving Formatから順にみていきましょう。

Problem-Solving Format
Analysis of the Status Quo (ASQ)
 Problem : 実存している問題
 Harm : Problemから起こる実害
 Cause : Problemが起こる原因
Plan
 Direction : Planの大まかな方向性・スタンス
 Administration : Planの実行者
 Mandate : Plan の具体的内容
  (Finance : Plan の財源 Enforcement : Planを守らせるための罰則規定)
 Advantage : Planがもたらす利益
 Process to the Advantage : Advantageが実際に得られるかどうか
              (Plan の実現可能性と実効性)

 このProblem-Solving Formatは文字どおり、現状において、発生している“問題(=Problem)”を解決するということを目的にしています。ここで言う“Problem”とは、現状において何かしら悪いこと(=Harm)(悪いと思うことができるもの)を引き起こしているものです。
 現状において何らかの問題によって害(Harm)が引き起こされていて、それがSeriousであることが認められれば、そのことを通じて現状を変える必要を示すことができ、(Necessity to Change)、その現状をどのように改善しようかというPlanの話に移ることになります。

 Problem : 問題が実際に存在することを示す
 Harm : 問題から引き起こされている(されるであろう)実害の大きさ
    を示す。
    <Seriousness> 通常Quality (質) とQuantity (量) による

 Necessity to Change (Need for Changeとも言う) を証明するためには、Problem, Harmの2つの要素は必要不可欠です。 ASQにおいてそのポイントはこの、Problem, Harmと、そのConnectionにあります。理由は、これら三点、特に最初の二点のいずれかが欠けてしまうと“問題”なしということで、日本政府が政策を採って問題を解決する意義が薄くなってしまうからです。例えば、もしエイズが日本に蔓延していても、風邪同様に対した病気でなくすぐ治るのだとしたら、多くの人がかかっていてもあまりたいした問題ではないし(ProblemはあるがHarmが無い状態)逆にエイズが不治の病気だとしても地球上にエイズという病気がなかったらこれまた全く問題ありません(HarmはあるがProblemが無い状態)。このように、ProblemとHarmの両者がそろって初めて、「現状を変えるに値するHarmfulな問題が存在する」ということが示され、Necessity to Changeが証明されるのです。
 ここで注意して欲しいのは、上にも書いてありますが、HarmがSeriousなだけでは、Necessity to Changeは証明できないということです。よくSeriousnessとNecessity to Changeを同じものとしてみている人がいますが、両者は違うものであるということを認識して下さい。

 Planでは、誰が(Administration)どのようなことをして (Mandate)
どうなって(Process to the Advantage)何が得られるか(Advantage)ということを話し合います。そして得られるもの・利益(Advantage)がPlanを採ることによって失うもの・不利益 (Disadvantage)よりも大きければそのPlanを採択することになります。
Additional Advantage
Advantage(AD)には、Planによって現状分析で話し合った問題を解決することによるADの他に、Planの採択によって当初期待していなかった問題解決のADとは別のおまけの利益が得られることがあります。これをAdditional Advantage (AAD)とよび、通常Planを採択するかどうかを決めるときは、問題解決によるAdvantageとAdditional Advantageを足したものを、Plan採択によって引き起こされるDisadvantageと比較してどちらが大きいかにより判断します。ADとAADを足したものからDAを引いたものを純利益 (Net Benefit)と呼び、このNet Benefitの大きさがPlan採択の基準となることが多いということです。

 A.S.Q.とPlanの間には密接な相関関係があり、よくいわれている両者の関係は以下のようになっています。

 この型に絶対はめなければならないというわけではありませんが、Opinionを作る際などに役に立つと思うので参考にしてみて下さい。

 Opinionの構成はよく分かりましたか? えっ?まだ難しくてよく分からないって? ではここで、とっても貧乏な自分がいると仮定して、その自分が「冬の寒さで凍え死んでしまいそうなのでコートを買いにいくというPlanを作るとすると、どのようになるかみてみましょう。

Analysis of the Status Quo
 Problem : 寒くて凍えちゃう。
 Harm : このままじゃ凍死しちゃう。
 Cause : 真冬なのに夏物の服しか持っていない。
Plan
 Direction : 寒さで凍えないようにしよう。
 Administration : 私
 Mandate : コートを買おう。
  <Finance : 特価税込9800円(所持金9850円)>
 Advantage : 凍死しない
 Process to the Advantage : コートを買う>着る>寒くない
             >凍死しない
 AAD: 1. 今なら福引き券がもらえる。 2. 服屋が儲かる。
 Disadvantage : お金がなくなって夕食が買えない。

 TDFの大会では、このPlanの主体が「私」ではなく「日本政府」になっただけです。そんなに難しく考えないでね。

 詳しい話の流れについてはProcedureの所(現在ペーパー製本版のみ)にも説明を載せてあるのでそちらも参考にして下さい。


Comparative Advantage Format (CAF)

 1) Observation : Planを実行する際に対象となるものの現状。
       (価値判断はこれに含まない)
 2) Advantage : Plan採択後に得られる良いこと、Planの存在意義・目的。
 3) Plan : Problem-Solving Formatと同様

 Comparative Advantage Format (CAF)は、「現実にSeriousな問題はないがPlanを実行するとより良くなる」というOpinionも作ることが出来るように、との考えから発生したFormatです。しかし実際にはCauseが多数あって特定が困難な場合やCauseが存在しないというようなときにCAFを使う人が多いようです。

 ObservationはADを示すための現状分析として提示します。そのため、Plan実行後に何が対象になるのかを意識して必要十分なObservationを作ることがCAFにおいてのポイントの一つです。
 Observationでは、事実の分析のみを行い、価値観を含んだ説明・状況の善し悪しの主観的な議論はAdvantageで行います。
 Observationの次にはAdvantageについて話し合います。ここではPlanを採ることによって得られるだろうAdvantageは本当に価値ある良いものなのか、そのSignificanceを通常QualityとQuantityの両方から検証し、それが本当に価値あるものとのコンセンサスをとります。そうすることによって、なぜそのOpinionにあるPlanを採るということを考える必要があるのか、その動機付けが明確になります。
 ADのSignificanceについてコンセンサスがとれたら、こんどはそのADをどのような方法で得ようか、またその方法で本当にAdvantageが得られるだろうかというPlanサイドの話し合いに入ります。Planで話し合う要素はProblem-Solving Formatとほぼ同じです。

EXAMPLE
Rush Hour Train
Observation ;
   a) Commuters use jammed trains during the rush hour.
Advantage : Commuters will spend a comfortable time.
  Quality: Comfortable time
  Quantity: Number of the commuters (About 12,345,000)

Plan
 Direction : The J/G should make commuting comfortable.
 Mandate : The J/G should legislate the off peak commuting law.
 Process to the AD :
  Plan adoption  
   → Number of commuters during the rush hour will decrease.
    →Advantage


<4>Evidence の確保と整理(リサーチ)

 Titleに関する基礎的な知識を身につけ、Brain Stormingなどを経て、自分がどのようなオピニオンを作りたいか固まってきたら、今度はそのオピニオンを作るためのリサーチに入りましょう。
 細かいデータや主張は、手当たり次第集めていたのではとっても時間がかかってしまいます。とりあえずオピニオンのセンテンス等をくんでみて、自分のオピニオンの Flow と照らし合わせ、自分のオピニオンの根拠付けや出そうなDAとその返し、他人のオピニオンのサポートなど、具体的に絞って探り出すことをお勧めします。オピニオンのセンテンス等の組み方が分からないという人は、Opinion Makingの部分を先に読んで下さい。以下リサーチの場所・方法について参考までに書いておきます。

図書館案内
1)大学の図書館
 みなさんの通っている大学の図書館です。これは大学によって規模・内容にばらつきがあり、一概にはいえませんが、始めに行うべき基礎知識の仕込みぐらいは十分出来るはずです。

2)地元の公立図書館
 これも規模は場所によってバラバラで、基礎知識の仕込みぐらいにしかならないような小さな図書館も多いけど、自治体によってはかなり充実した図書館を持つところもあります。

3)都立・国立図書館

国立国会図書館  TEL03-3581-2331
営団地下鉄「国会議事堂前」下車7分「永田町」下車3分
開館時間 9:30〜17:00(請求は16時まで) 複写可B5;35円
休館日  日曜・祝日・第3を除く土曜日・第3第4月曜日
           (その日が祝日の場合は前日)他
利用資格 20歳以上(それ未満の人も紹介状を書いてもらえば使える)
 蔵書図書約570万冊、雑誌115000種、マイクロフイルム19万枚、書架の総延長410キロメートルの巨大図書館である。しかしほとんど閉架式・貸し出し不可で閲覧も20〜50分ぐらい待たされる。目的もなくいくと無駄に終わるけど欲しいがどうしても見つからない資料があるなら行く価値大。

都立中央図書館(広尾)  TEL03-3442-8451
日比谷線広尾駅より8分
開館時間 9:30〜20:00(土・日・祭〜17:00、月曜13:00〜)
休館日  第1木曜・第3日曜日(他に月一回不定期)
利用資格 16歳以上
館外貸し出し不可・複写可B5;25円、B4;35円
 参考調査の機能に特に力を入れており、多数の蔵書を利用して研究や調査をしたり、欲しい資料の所在を探すのに適している。図書は約121万冊、雑誌約9330種と規模は大きく、このうち18万冊ほどが開架されていて利用のしやすさでは定評がある。1996年5月までは改修工事で休み。

都立日比谷図書館   TEL03-3502-0101
営団線 霞ヶ関より5分 都営三田線 内幸町より2分
開館時間 10:00〜20:00(土・日・祭日〜17:00)
休館日第1木曜・第3日曜(他月1回不定期)
  (新聞・雑誌室は日・祭閉室)
館外貸し出し可(都内在住・通勤通学の中学生以上・5冊・4週間)
コピー B5;25円、A4;30円,B4;35円
 館外貸し出しに活動の重点を置いている。約13万冊の蔵書はすべて開架。

このほかに、社会福祉や労働といった専門図書館も、そのタイトルにあったものが見つかれば利用価値大です。これは専門図書館についていろいろ載せてある本(だいたい図書館にある)を見つけてリサーチするのが早道です。


Researchの方法

1)単行本によるプレパ
 その分野の書架に行けば、関連した本がおいてあるのですが、それでは偶然においてある本しか利用できません。そこで役立つのが文献目録です。
「日本件名目録」
「書誌作成マニュアル-文献目録を作る人のために」
「日本書誌目録」
「これから出る本」
「まるすニュース」
 以上の本は図書館のリファレンスコーナーにおいてあります。また論文資料の脚注を利用して、それから芋づる式に資料を探すのも一つの手です。パソコン端末を利用した資料検索を提供しているところも多いのでこれもキーワード検索等で利用してみましょう。

2)雑誌論文の利用
 まとまっているのは書籍ですが、新しさという面では雑誌論文や新聞にかなうものはありません。新聞は毎日注意深くみるか縮尺版の索引で探す、または有料のデータベースの利用というような探し方になります。雑誌の場合は雑誌書架にある雑誌からタイトルの分野をカバーしていそうな雑誌を選んで目次から探す、又は「雑誌記事索引」(累積索引版・日外アソシエーツ編・紀伊国屋書店)等を利用することになります。メジャーな英文雑誌記事のバックナンバー(TIMEやAsiaweek等)はインターネット(WWW)を使ってキーワード検索出来るところもあるので便利です。

@参考 メジャーな雑誌として、ジュリスト・エコノミスト・週間東洋経済・経済セミナー・SAPIOなどがあります。いろいろな分野をカバーしているので使いやすいでしょう。

Evidence の整理

 こうして得たEvidence は、ディスカッションの時にすぐ取り出せるように整理しておきましょう。

(1)Evidence Cardの作成
B6の情報カードに
1)見出し
2)Sourceの出典 : 文献名、ページ数、著者、発行年月日、出版社等
3)引用:原文に忠実に、引用を示すQ)UQ)を忘れずに
4)その他:どんなトピックのどこで使うのか、分類を記しておく
            と、かなり使いやすく資料を整理できるでしょう。

また、統計、アンケート調査に関しては、
5)調査年月日
6)調査機関
7)調査対象(どういう人を何人調査したかという母集団)
8)調査方法(どのように行ったか)
    ということも後々必要になることがあるので、書いておきましょう

(例)※注:このエビデンス・チャートの内容・数値は実在のと異なります。

(1)TDF is great!!!
(2) Asahi N.P./April XX 1997

(3) Q) Minister of Justice said T.D.F. is a
great organization for Japanese citizens. ............
@@@@@@@@@@@※※※※※※※※
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆♂♂♂♀♀♀♀
##### (UQ

(2)Chartの作り方
  資料を説明するときに口で言っただけでは分かりづらいことがあります。(例えば、何かの数字を比較するとか、何かの伸び率を示すときなど)こういう時には、グラフや表などの図(Chart)を作って説明すると非常にわかり易くなります。百聞は一見にしかすぎず。これでテーブルの他の参加者の君へのまなざしが変わること間違いなし。Chartにも表題(見出し)を書き、内容を分かり易くはっきりと書いて、ついでに出典をかいておくとGoodです。

Evidence のチェックポイント
 Evidence は引用されたら全部を認めなければいけない、というわけではありません。以下、Evidence のチェックポイントについて述べておきます。

1)オピニオンプレゼンターが証明しようという事と、実際に引用された内容がきちんとあっているか。

2)Authority に問題はないか。Authorityがオウムの上祐氏であったらもしそれが本当のことであってもテーブルの参加者は疑問を感じてしまうでしょう。

3)Dataは古くないか。経済の問題に5年前のデータでは古すぎます。

4)Over claim になってないか。ただ、仕事の疲れを癒すのに2、3日の休養が必要といってるだけなのに、それを週休2日制の導入を正当化するために使っているなど。

5)因果関係によけいなもの、欠落した部分はないか。たとえば、
 A→C がEvidenceでは A→B
 AB→B が AC→B
となっていたりするなど。Linkageをみるとき注意しましょう。

<5>Sheetの作成

 これは大きく3つあります。やることは、
  A)Opinion Sheetの作成
  B)Q−A Sheetの作成
  C)Argument Sheetの作成 です。
 これを全て作るのは大変なことですが、最低でもOpinion Sheet位はちゃんと大会前に自分で作っておくようにしましょう。

A)Opinion Sheetの作成
 テーブルでみんなに配るためのOpinion Sheetを作ります。これは限られた時間を有効に使いテーブルをスムーズに進めるために非常に有効なものなので必ず作っておきましょう。また、これとは別に自分用のシートをOpinionのStructure をもとに、Definition 等の細かい説明やカードを盛り込んでブリーフにして作ります。これによりPresentationの時の混乱が少なくなり、使える Dataと使えないDataの整理が楽になります。

B)Q−A Sheetの作成
 予想されるかぎりの質問に関して答えをまとめておきます。これによって、関連データや補足説明の他、Confirmation の要素となるポイントの整理が出来るという利点があるばかりではなく、どのようなQがDiscussionにおいて大事であるのかが見えてきて、自分のスキルを上げる効果があります。

C)Argument Sheetの作成
 自分のオピニオンがテーブルにおいてどのように扱われるかを予想して作成します。自分のオピニオンに対し否定的な立場に立って、徹底的に検討します。書き方としては、オピニオンへの反論とその返しという順で、Debateのフローの様に横に書き連れてゆくと見やすいです。

CASE Noteの作成
 自分がオプレになれなかったときにもいろいろ発言して有意義な時を過ごせるよう、いろいろなトピックについて調べ、どんなアーギュメントが出てきそうか、どんなQAが考えられるか等を調べてみましょう。じっさいのテーブルで出てきたアーギュメントやQAをまとめていくのもGood。最近の大会参加者ででこんな事をやってる人は多くないが、自分がテーブルでしゃべれないのなら特にこういったプレパもして欲しい。前にも書いたけどプレパはディスカッションを楽しみ、君のスキルを上げるためにとても有効かつ必要なものです。"There is no loyal road to leaning." がんばりましょう。

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