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がんを明るく生きる-前立腺癌の末期から生還した伊藤勇のサイトのホーム

末期癌より生還した伊藤勇への相談の手紙とその返信

その29
真実を父に告げました

Mさんより
父の病気のことをネットでいろいろと調べているうちに、伊藤さんのhpにたどりつきました。私の父にも伊藤さんのような奇跡が起きないかなと毎日祈るような思い・・・いえきっと伊藤さんのように治ると信じて暮らしています。

手術をしたのですが、リンパ節転移があり、抗がん剤治療を勧められて迷っているところです。大腸癌で、術後先生から転移がありがん細胞を取りきれなっかた、というお話を聞いたときには、父にそのことは黙っていようと思っていました。けれど伊藤さんのhpを拝見しまたいろいろな方の意見を聞くと、どうしても嘘をつきとおすことの方が、あとあとわるい結果を生むような気がして、真実を父に告げました。

父は、話してくれてありがとう。それなら元気なうちに会いたい人、行きたいところに行き悔いのないように生きると言ってくれました。 もしずっと隠されていて動けなくなった時に、実は・・・なんて話されたら、死んでも死にきれないよとも・・・。

私は早速伊藤さんのhpを教えてあげて、それからは毎日父もhpを見ているそうです。抗がん剤治療については、現在は術後退院している身ですので、少し考えたいということですが、治療を受けてみて、あまりつらいようなら、中断させてもらおうかなと思っているようです。

今後を考えると、ふと涙が出て困ってしまう時がありますが、とにかく今日も父に会えた、父の笑顔を見れたとそのことだけを思って私も明るく生きようと思っています。

病気になって迷惑かけてすまないねという父、術後麻酔から醒めた第一声はありがとう、ありがとうの言葉でした。こんな父ですもの。きっと癌さんのほうで退散してくれますよね。 また時々お便りさせてください。伊藤さんもお元気でお過ごしください。

その29
伊藤勇 より

Mさんへ
お便りありがとうございます。お父さんには心からお見舞いを申し上げます。
さて、お父さんに事実をお話されたこと、そしてお父さんがそれを素直に受けて下さったこと、又それをおとうさんが「話してくれてありがとう、それなら元気なうちに会いたい人、行きたい所に行き悔いないように生きて行く」と言われたことはあなたとして先ずはホッとされたことと思います。

これからの治療面では、リンパ節への転移とのことで抗がん剤治療を勧められているようですね。抗がん剤と云われてイメージすることは一般に副作用として発熱や吐き気などで体力の消耗等が嫌われる一因とされています。私は、医者ではありませんので、詳しくは解りませんが、抗がん剤治療をしても全員がそうであるとも言えず、中にはケロッとしている人もおりますし、副作用で悩まされる人もおり、個人差があって様々です。

お父さんの場合、消化器官ですので抗がん剤をやらなければ栄養面で身体全体が弱って来るのではないかと気になります。抗がん剤での確率は2割前後の有効率と云われておりますし、又転移している場所への投与で延命効果は確かにあるとされております。

娘としてお父さんへの深い愛情が痛いほど伝わって、抗がん剤使用についてのお悩みは痛く理解できますが、あまり怖れず、先ずは先生の勧める治療に従ってみて、もし、あまり副作用で苦しまれるようでしたら、先生と相談されながら一時中止するか、またはセカンドオピニオンという方法をとられて他の先生の診断結果で治療方法を決めるという案も考えられます。

いずれにしても、最終決断はお父さんが納得されてご本人が決断されるのが最も適切かと思います。ご心配でしょうが、元気を出して明るく接してあげて下さい。

奇跡が訪れること心からお祈りいたしております。

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