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がんを明るく生きる-前立腺癌の末期から生還した伊藤勇のサイトのホーム

末期癌より生還した伊藤勇への相談の手紙とその返信

その23
化学療法をやめて玄米の食事療法を徹底しようと思いますが…

Hさんより
初めてお便りします。
昨年末に肺がんで骨と脳に転移が始まっているといわれ今年に入ってからずっと治療に専念しています。

私は34歳、野菜や豆類が大好きで不摂生もせず、自分の病気をいわゆる生活習慣病だと片付けるにはあまりに抵抗がありました。
子供もまだ2歳です。全く自分に落ち度は無い!という気持ちから中々抜け出せずにいましたが、いずみの会【注:伊藤が入会しているがん患者の会のこと】の本を読むうちに、自分の精神面がいかにがん体質を作り上げてきたかということにしみじみ気づきました。

病気を治すことと同じくらい、自分のマイナス思考をどうにかしない限りどうにもならないと今は思い始めました。大変難しいことですが、今置かれている状況の中で有難いと思えることを見つけ、周りに感謝の気持ちを表すことから始めようと思います。

今までがんセンターに通っていましたが、副作用の強い化学療法などに疑問を感じ、そして何よりもがんセンターに行ったとたんに(心身ともに)具合の悪くなることに気づき、自分の納得のいく方法で自分が自分の体の面倒をしっかり見ようと思い始めました。
私のような性格では、がんセンターでは体調の現状維持すら難しい気がしています。家では楽しく元気に過ごしています。

そこで色々調べた末、お聞きしたいのですが、いずみの会の方々は食事療法を徹底的に実践していらっしゃいますよね。正直言って今までの私は玄米以外はほとんど食事療法の内容のようなものを好んで食べてきました。
(毎日というわけではありませんが)これからは、これに玄米を加えて毎食徹底してやろうかなと思うのですが、なかなか食欲が湧かず、かえってストレスになっています。

周囲は食べる量が減るよりも食べたいものを食べたほうがストレスにもならないしいいだろう、と言います。私も性格上強迫観念みたいになりそうで、好きなもの(と言っても生活習慣病になりそうなものは食べません)を自由に楽しむ方が明るく過ごせていいのではないかと思うのですが、伊藤さんはいかがお考えでしょうか?

つらつらと長くなりごめんなさい。
伊藤さんのようなずっとずっと年上の方(気に障られたらごめんなさい)がこんなにもプラス思考で奇跡を起こしてやってらっしゃるのだから、自分にも出来ないはずは無い、と日々自分に言い聞かせています。ありがとうございます。

がんセンターでは年配の方ばかりで、「若いのに気の毒な」みたいな視線をあちこちで感じて本当に不快でした。その代わりこちらの方が生命力、体力、気力あるぞ!若い分辛いこともあるけれどメリットもあると思うのでそれを生かしていこうと思います。これからもよろしくお願いします。

その23
伊藤勇 より

Hさんへ
まだ幼いお子さんが居られるあなたにとって、まさかの癌の発症とは、本当に「何故わたしが・・・どうして??」と、告知を受けた当初は信じたくない気持だったとお便りにありますが、それは誰でも当然の事です。私には痛い程理解出来ます。

然しながら、現に自分の身体には、癌細胞が巣食い始め、更には、転移もある現実は、もう認めざるを得ませんね。
お便りにも、否定思考から現実を受け入れ、周りに感謝する心のゆとりが出て来られた事が伺えて、少しホッとしております。性格も本質的には変わりようがありませんが、自分の心を分析して、弱い面が見つかれば、それを極力変えていく努力は出来ますので、時々頭を持ち上げるマイナス思考や、強迫観念に対しては、見逃すことなくつかまえて、「まあまあ、お前さん、又そんな事考えてるねー、それで良い事あるかい?」と 自分自身に問いかけて、自分を叱咤激励してあげて下さい。

さて、いずみの会発行の著書を読んで、玄米菜食にお気持を持って行こうとなさっても、食欲がなかなか出て来ないといって却ってストレスを感じて居られるご様子ですね。そんな無理はもちろんなさらない事です。

いずみの会の会員さんで、玄米菜食で結果が出ている人は、胃癌、大腸がんなど消化器の癌の人達ですから、肺癌や呼吸器系統は、玄米に固執しないで、担当の医師に何でも相談して、現状の症状をよく認識して、自分に最も合った治療法を医師と一緒に探す努力をしたほうが宜しいと思います。

私は、癌センター以外の医療機関で再度検診した結果、癌は、やはり真実であったかと心から受け入れる事が出来ました。そうとなれば、医師を信じ、医師と一緒に最良の治療方法を積極的に探し出してそれに向かって、素直に治療に専念ようと一生懸命癌についての学習もし、質問もして、自分の「癌ちゃん」と向き合って来ました。
医師側も、患者の熱心な姿勢には、心が動かされたようで、常に気を置いて 誠意を持って温かく治療に協力して下さいました。

周りの視線等に振り回されずに、可愛いお子様の為にも、明るく穏やかにお過ごし下さいね。それと、セカンドオピニオンは、遠慮することなく受ける事をお勧めします。今の医療機関以外の先生の所見も入れて、将来の見通しを立てて治療に専念して頂きたいのです。
生きる為には、あらゆる手段を尽くして下さい。

肺癌でも種類は私が知る限りでも3種類はあります。辛い化学療法でも、それしか自分には無いと解れば、我慢しないで、その都度の様態を医師に伝え続けて、自分に合った薬や方法を探す事です。

医師も人間です。個人個人で千差万別の症状、また、同じ薬でも効く人と全く効かなくて苦しむばかりの人もいて、患者さんから色々告げられた訴えを、医師も試行錯誤しながらやっていくのですから、遠慮したり、あきらめたり、甘く見たりしない事です。

いろいろ書きましたが、これは私の素直な気持です。風邪を引かないように気をつけてお暮し下さいね。

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