まとめ

 以上、少数ではありますが様々なマットによる飼育結果を報告して参りましたが、最後に今回の結果や頂いた情報などから主に幼虫の飼育に関しあっしなりの考えを簡単にまとめさせて頂きます。既に前のページでcoelacanth氏がまとめられてる気もしないでもないが...(^^;;

 添加剤について

 今回、発酵マットを作る際に使用する添加剤として「そば粉」を使用してみましたが、たまたまそれが良かったのか、そば粉添加発酵マットから大きめなノコの成虫を得ることが出来た。ひょっとすると根食い系のクワガタを大きくする要素がそば粉にはあるのかもしれないがあっしにゃ見当もつきませぬ。聞くところによると同じタンパク質であっても薄力粉のそれとは異なるとか...。でも発酵後もその形態を大きく変えず、経口摂取の効果も期待できる「ふすま」も大型を作出するのには有効だと思う。ふすまとそば粉の両方を添加して発酵させたマットなんか結構良いかもしれない。♀に関しては、なんでもそこそこ大きくなるようである。

 水分について

 やはしノコには水分はやや大目の方が良いようである。少ないととにかく食がすすまないようである。ただしあまりにも多すぎるとマットの劣化を早めてしまい頻繁に餌交換をしなければならなくなると思われる。もっともそのままほったらかしにしても羽化してくるが、やはし羽化不全の可能性が高まるのではないだろうか。

 飼育容器について

 あっしもcoelacanth氏同様、っちゅーか見習って採卵を行い、採れた卵をピルケースに入れて保管し、孵化後もしばらくの間(遅くても2齢中期くらいまで)はそのままにしております。その後瓶に移すのでありますが、この時点で雌雄の区別がつけば♀はそれほど大きな容器に入れる必要はないでしょう。適度な水分であれば餌の交換も不要であります。ノコギリクワガタは一度食した部分を何度も食べるのか、餌の消費がとても少なくて済むように感じております。もちろん大きめな容器で飼育できるのであればそれに越したことはありませぬ。雌雄の区別がつかない場合や大型の個体を目指す場合で飼育スペースやマットに余裕があるのであれば最初から1リットル程度あるいはそれ以上の容器に投入されることをお奨めいたします。発酵マットの添加物が違うのでなんとも言えませぬが、今回最初に450ccの瓶に入れその後900ccの瓶に入れ換えた個体よりも、最初から900ccの瓶に入れた個体の方が大きくなったことがその理由であります。餌交換後はそれほど食していなかったことから餌交換によって環境が変化してしまい餌を食べなくなったとしても最初から大きめな容器に入れておけばそれだけで十分な量を摂取していたのではないかと思われます。coelacanth氏の報告にもあるとーし、餌交換を行わずに飼育する場合や交換を忘れた場合(←数が増えるとよくあります)にも有利でありましょう。また何故かあまし上部まで食い上がってくるっちゅー感じがしないので、幼虫の飼育には高さのある容器よりも幅のある容器の方が適しているのかもしれません。

 羽化後の管理について

 ノコギリクワガタは、自然界では夏に羽化、成虫で越冬して翌年活動するとのことであるが、冬場に加温して飼育した個体はその殆どが孵化後6〜8ヶ月、初夏までには羽化してしまう。今回一番早く羽化した個体は3月中旬であったが半年以上経過した最近になって試しに入れておいたゼリーが少しだけ減っていたという状況である。「ノコギリクワガタ飼育講座」の中でも「この羽化直後の1年越冬期間がどうもかったるい」とあるが、実際ほんとにかったるいしつまらない。「この期間をなんとかできないものか」「温室で飼育してしまったものは、いったいいつから活動を開始するのであろうか」と思っていたところ、まちかねBBSにてハンドルネーム「アキノリ」氏のコメントにこれを解決してしまうと思われるアイデアが書かれていたので勝手に抜粋させていただく。(プロフィールに名前が見当たらなかったのでお許し下さいまし)

トカラノコに限らず国産ノコの新成虫は、羽化したばかりの時はなにも食べません。新成虫を確実に産卵させるには、一度冷蔵庫に2〜3週間入れて冬眠をさせると良く生んでいます。

とのことである。まだ試していないのではっきりしたことはわからないが、温室と冷蔵庫を使用することにより1年1化で羽化をさせ、その年に繁殖をさせることが可能となる素晴らしいアイデアである。もちろん羽化後すぐに冷蔵庫に入れたら死亡してしまうことであろう。ノコは成熟が遅いようなので羽化後3ヶ月ほど経過した個体なら大丈夫なのではないだろうか。

 幼虫の重さからの♂成虫サイズ予想

 今回の少ない飼育結果からではあるが、オオクワではよく見る終齢幼虫の体重からの成虫サイズの予想表を作ってみた。もちろん参考までであって必ずこうなるわけではないが、それほどかけ離れたサイズになるとも思えない。ただし水分の多い餌で育った個体は、水太りでかなり違ったサイズになると思われる。尚♀に関しては餌交換をしたのが1頭のみであったためわっかりましぇ〜ん。(^^;;

終齢幼虫の体重♂成虫の予想サイズ
6g50mm
7g52mm
8g58mm
9g60mm
10g62mm
11g64mm
12g66mm
13g68mm
14g71mm
15g74mm



これを見ると7gと8gの間で成虫の予想サイズにかなりの開きがあるのに気付かれると思うが、この辺りがしっかりした大歯型になるかどうかの境目だと思われる。


 最後に、「思う」「だろう」などばかりの報告ではあるが、少しでも多くのノコギリクワガタファンや、これからノコを飼育しようとしている方たちのお役に立てば幸いでありまする。と月並みな言葉で終わることとしよう。これを全部読まれたあなた!お疲れ様っした!!ふー...



参考文献&くわ馬鹿記事
 くわ馬鹿 98年04月号 ノコギリクワガタ飼育講座/coelacanth氏
 くわ馬鹿 98年07月号 ノコギリクワガタ飼育講座の補足/coelacanth氏
 くわ馬鹿 98年10月号 驚異のマット飼育法/亀有カブト氏
 月刊むし 1999.6 クワガタ特集号・11 P54 オオクワガタ飼育の大革命!/大村朗洋氏


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