元祖!教祖!ノコグチャマット編

 さて、どん尻にひけーしは〜!「ノコギリクワガタ飼育講座」の製作者であるcoelacanth氏の今年の累代飼育結果を取材してきたので報告するとしよう。
...と思ったのだが、ミヤマクワガタ以上と言われている虚弱体質なあっしは台風一過の暑さでcoelacanth邸に到着した時には既にやる気をなくしていたのであった。おまけにこの日はcoelacanth氏までもが暑い中、虫の世話をしていてお疲れのようであった。会って初めに目に付いたのは汗でグチャグチャに濡れたTシャツであった。流石ノコグチャマットの師匠である。結局「原稿の続きを書いてくれ〜!」と頼み、いつものように変わった虫を見せてもらい、夕飯までご馳走になって帰ってくるというパターンとなってしまった。この場を借りてお礼を言わせて頂きたい。いつもありがとうございます。そして、またヨロシク!って何ページか前にも書いたような...(^^;;

 以下はcoelacanth氏より送られてきた原稿である。ご丁寧なことに何やらよくわからないイラストまで送られてきた。なんだかいつものようにあらぬことや余計なことまで書かれている気もしないでもないが、せっかくだからそのまま掲載することにしよう。でないと後が怖い。やっぱ原稿を依頼したのは間違いだったような...(^^;;

「ピンポ〜ン」(←正確には「プィ〜〜ンプォ〜〜ン」ってとこかな。わかる人にはわかる。(^^;;)といつものように突然インターフォンが鳴り、何やら健康を害したような顔色の悪い男が現れた。

「ちわ〜ピーコっすぅ。ノコギリの取材に来ました。」ひどすぎる(T_T)(←全然全くちっとも似てない。(^^;;)

子供達がさっそく騒いでいる「おとうち〜ん、またナマハゲさんが来たよ〜」。ふむふむ、聞けばノコ師匠たる私の結果を取材に来たという。よしよし、どーんと紹介してやろうじゃないか、、、とは実はならなかった。というのは去年あたりから我が家はオオクワでもノコでもなく、他の無闇に増えた怪しい外産などに占領されつつあり、ノコなどは「ああ、早く餌を換えねば、ビンもでかいのに、、、」と思ったまま後回しになって結局放っておいてしまい、軒並み60mmなどという全然師匠の名に値しない結果に終わっているのである。取材に来たくせに「いやーめちゃめちゃ暑くてもうやる気なくなったっス」というので写真も撮らず、しょうがないから好き勝手に私が報告する事になった。

  • まず、できかけの原稿を見せてもらい、最初の方で気になったのだが、「ノコギリも材に産む」というのは間違いでもないがあまり正確ではない。硬い材には全く産まないし、ボロボロの材はほとんど硬く詰めたマットみたいなものだから、そんな感じで崩しながら産む、という方が多い。あるいは表面だけ齧って、樹皮とマットの隙間みたいに産む事が多い。ただし幼虫はそこそこ硬い材にもどんどん穿孔するので、マットで産まれてもそこに材が埋まっているとそこに入って行く。状況から見るとどうもそういう事だったのではないかな?(疑問符が付いていたので答えておこう。軟らか目の材をただマットの上に乗せておいただけだったのでありますが、ノコ♀はその材にボコボコと穴を開けていたのでありました。それでだいぶたってからではありますが気になって割ってみたのでありました。)

  • 次に私がそもそも「水分は多めに」と思った理由であるが、いくつか読んだ本にまずそう書いてあった事と、実際におっかなびっくり水を加えてビンにノコ幼虫らしきものを入れていた頃、なかなかもぐらないのでビンのマットを完全に水没させ、ひっくり返して水を抜いたら見事にもぐった、というような経験によるところが大きい。当時は幼虫の区別もよくわからず、繁殖もできてなかったので朽木割で得たでかい幼虫で、採れた場所からどうもオオクワじゃないからノコだろう、と思っていて実際羽化したらノコだったものである。この辺は過去のクワ馬鹿に載せた「思い出し日記」に書いてある。もちろん、何度も採集して、実際地面に埋もれたようなかなりびちょびちょ気味の朽ち木から採集しているという経験によるところも大きい。

  • その後色々飼育した結果思う事は、何もノコに限らずほとんどの種類のクワガタ幼虫について

    • 初令から2令位までは特に水分を多めにした方が大きく育つ
    • 幼虫がでかくなってきたら水分よりも養分が必要なようだ
    • 更に羽化前には水分は控えた方が羽化不全などになりにくいし、蛹室も崩れ難くてよい


    という感触を得ている。一般的にオオクワよりノコのマットは水分多めでいい事は間違いないが、ピーコの結果を見ても、ある程度大きくなってからは、一度は餌を換えてやるとか、そもそもよい栄養分を与える事の方が良い結果につながっているようである。ここで抱える矛盾は、「餌を換えるとストレスなどで縮む事がある、かと言って全く換えないとやはりマットが劣化し過ぎてよくない、かといってマットの水分を少なめにしすぎると最初育たない」という事になる。また最初に水分が多ければ、結局マットの劣化が早い事も間違いない。これらの結果を総合的に考えてベストをまとめるならば、

    「最初びちょびちょ小さいビン、水分やや控えめのでかいビンに移して蛹化まで」

    という感じになるかも知れない。そもそもノコはマットが徹底的に劣化して泥になっていたりかなり濡れていても「耐える」だけであって、それがいいという事ではやはりないようだ。私の最初のマニュアルは常に最善を求める、というよりは単にズボラでもそこそこ、というものなので、ベストを求めるなら面倒でも一度は餌の状態を見て餌を換える方が良いかも知れない。無論、頻繁に変えるというような事は不要だし、それは逆効果でさえあるだろう。第一面倒だし。

  • 最後になったが、もう一つの要素である「飼育容器の大きさ」だが、これが結構馬鹿にならない。私の場合、最初は採卵してピルケースに移し、びちょびちょにしたまま孵化まで持っていき、大抵まず100gゴールドネスビンの水分多め小麦発酵マット(最近はなんでもかんでもフスマ添加マットにしているが、似たようなものだろう)で管理し、でかくなりそうなら150gネスビンあるいは250gエクセラビンに移す。がしかし今回は他の虫であまりに忙しく、100gビンそのまま、、、とかやっと150gビン、という事でノコやオオクワがみんな小さくなってしまったのだ。これは非常にきれいな相関を示し、100gのままのはのきなみ40mm前後のノコやオオクワ、150gのノコやオオクワは60mm弱、250gは結局オオクワだけでなんとか65mmみたいな事になったのだが、それぞれ10頭づつ位きれいにそんな感じになった。幼虫はビンの大きさを知って自分の成長をコントロールするようにさえ見える。かと言って無限にでかくするのは置き場所や餌の問題からあまり効率的とは言えないのは当然である。まぁ最終的には250gエクセラビンでなんでもいいように思われる。ただし雌はどれもこれも餌や水分などがよければ100gビンで38mmのノコや42mmのオオクワなどが出るので区別さえつけば、でかいビンで贅沢させる必要は全くなさそうだ。最近はビンは重たいし丸くて不便な点もあるので、ミニプラケでの幼虫飼育も多くしている。これもほとんどの種については十分な大きさのように思われる。


という訳でなかなかよい記事になったと思うから後はしっかり頼むぞ。ピーコは実に好青年だとネットで評判になっている(好「青年」?かどうか、更に見かけはともかく、、、天敵によるイラスト参照)。いつ来ても、「せっかく来てくれたからお茶でも」と勧めても「いやいやとんでもないっスぅ。すぐ帰ります。」と実に礼儀正しい。うちがどうしても引き止めるので結局、いつも茶を飲んでいくのだが、「遅くなったのでついでに飯も食っていけ」と誘っても「いやそんな絶対悪いんでもう帰ります」と固辞するが、話がつい長くなって結局いつも夕飯を食って行く事になってしまう。「いや、ほんとにいつもいつも遅くなって申し訳ないんでもうすぐに帰りますから、、、」と延々と話を続けて、結局帰ったのは9時過ぎだった。いや、実に礼儀正しい男だ。気にしないでまた飯を食いに来てくれたまえ。(「・・・・・・」(^^;;)



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