ノコギリクワガタ飼育講座の補足



Prosopocoilus inclinatus

by coelacanth


蛹化・羽化

クワ馬鹿4月号のノコギリクワガタの飼育講座で報告した温室育ちのでかいノコであるが、雄雌共に無事に蛹化羽化したので簡単に写真報告を行う。

これが雄の蛹である。前回紹介した雌蛹同様、ネスビン内から蛹室を壊す事無くスプーンで出して撮影し戻す事ができた。5cm程あり、オオアゴが伸びた時は7cmになるか?と大いに期待した。



そして次が、その羽化したものである。やはりギネスなどそうそう簡単に出るものではなく、体長は64mmという所だった。しかし飼育でこれだけのノコを出したのは全く初めてだし、なかなか採集でも難しい大きさではある。



ところが、coelacanth邸で飲み会を開いた際にお披露目したのだが、これを見たA.CHIBA、K-sugano氏は、「これ頭楯がとんがってて何か違うね、歯や色も違うし。アマミとかトカラとか混ざってるね」みたいな事を言う。さすがに亜種マニアだ。私なんぞは細かい事はさっぱり気にしない。確かに言われて見ればそのような特徴があり、純粋な本土のノコギリではないようだ。しかし爆発氏のミヤマ飼育の報告の例の様に飼育によって歯型が変な個体等もあり得るかも?と少しは思っている。この親虫は野川センターで展示の為にそこらのJマートのペットコーナーで780円みたいな感じで買った「普通のノコ」のはずのもので、アマミノコは(たまたまだが)もっとずっと高い値段で隣で売っていた。まぁ沖縄が混ざったにしてもそうそう簡単にでかくなったりはしないと思うので、飼育方法は間違っていないとは思う。

次は雌の成虫だ。羽化したのを計測すると36mmだった。やはりこれもギネスではないが、それにしてもほとんど最大級で、こんなでかい雌ノコは初めて見た。しかも羽化するものがどれもこれもこんなサイズなので大変嬉しい。亜種マニア達の鑑定によると、この雌も鞘翅部分に独特のスジがあるのでやはり純粋ではないという事だが。面白いのは数頭のうちいくつかは真っ黒になり、いつまでも赤っぽい個体とは明瞭に異なる。



羽化不全もなく、大変満足行く結果ではあるが、残念ながら非常に雌が多く、雄はわずかに5、雌は10というところだ。雄も全てが特大だったわけではなく、2つはまぁまぁぎりぎり大歯というクラスの蛹だ。更に室温に置いたもの等幼虫のままのがまだ10程いる。これらはやはり2年1越となるようで、まだまだごく小さい3齢という所だ。幼虫を取り出す事が嫌いなのでまだしっかりと雌雄同定を試みていない。




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