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雑感

名古屋国際女子マラソンを見て

 名古屋国際女子マラソンで高橋尚子選手が2時間22分台(以下「22分台」)のタイムで優勝した。私はテレビで途中まで観戦していたのだが、丁度高橋選手がスパートをかけて2位以下の選手を引き離したところで用事があり家を出たので、その後は見られなかった。

 高橋選手の優勝は家に帰ってきてテレビを見て知った。前半は22分台を出すのは難しいと思われるようなスローペース(といっても、1kmを3分半以内で走っているのだから、ちょっと前までだったら十分速いのだが・・。)だったのでビックリである。しかも高橋選手は1年3か月のブランクがありながらこの結果を出したのだ。大した選手である。

 今日(12日)の結果とこれまでの実績から見て、高橋選手が女子マラソンのオリンピック代表になるのはほぼ確定だろう。日本の女子マラソンの出場枠は3人で、既に市橋有里選手が代表に内定しているから、高橋選手が選ばれるとなると残りの枠は1人となる。これを選考レースで2時間22分台を出した山口、弘山両選手が争う(といってもレース結果は既に出ているが)ことになる。タイムは山口選手の方がいいし、山口選手が優勝したのに対し弘山選手は2位だったことを考えると、山口選手が選ばれるべきような気がする。私も個人的には、山口選手の「根性走り」が好きなので、この2人の間では山口選手に代表になってほしい。でも、弘山選手は年齢が私に近いので、彼女にも代表になってほしい感もする。

 こんな悩みを持たせるのも、国別に出場枠があるというオリンピックの選考方法に原因があるというのは前に述べたとおりである。

 ただ、その問題をおいて代表選考方法について考えると、市橋選手を早々と代表に内定したというのが正直のところ腑に落ちない。確かに世界選手権2位の成績は世界第2位ということだから立派なものだが、タイムは今回の高橋選手より5分も遅いし、その大会に高橋選手は参加していないのである。まあ、バルセロナオリンピック代表選考の時には世界選手権2位の山下選手は問題なく選ばれ、同4位の有森選手が名古屋国際女子マラソン2位の松野選手を差し置いて代表に選ばれ、有森選手はオリンピックで銀メダルを獲得したという事実もあるので、世界選手権の実績はでかいということかもしれない。それに、市橋選手が内定を得ていなければ彼女は国内の選考レースのいずれかに出て実績を示したかもしれないから、そのチャンスを奪っておいて今更内定取り消しというのは市橋選手に酷にすぎるだろう。そうすると、市橋選手に早々と内定を与えたことが問題だったということになる。

 この点、陸連は、早々と内定を出すことにより、選手がオリンピックに向けて心置きなく準備できるようにするということを内定を出した理由に挙げている。それなら山口選手はどうなのか。彼女の東京での実績は、東京のコースがタイムを出しにくいものであることを考えると、彼女を早速代表にしてもいいようなものである。しかも、あのファツマ・ロバを破って勝ったのだ。でも陸連はそれをしなかった。多分、高橋選手のことが念頭にあったからだろう。でも、市橋選手はあっさり内定させた。セビリアでの「2位、2時間27分」と、東京での「優勝、2時間22分」、それほど違うものなのだろうか。げすの勘ぐりであることを望むが、市橋選手が陸連直属の指定強化選手という特別な地位にあったことが影響しているのではないだろうか。

 ところで、今回のレース後、日本陸連幹部の桜井氏は、代表はシドニーで勝てる選手かどうかを考慮して決めるというセリフを言ったという。タイムや順位に必ずしもこだわらないという意味だとNHKでは解説がなされていたが、これは山口選手ではなく弘山選手を選ぶということを暗に言っているのだろうか?なんか納得いかない。とにかく、誰が代表になるにしても選考理由を納得のいくように説明して欲しいものである。

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