2000年3月12日上程
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雑感

なかなか便利な「超漢字」

 昨年の12月にBTRON仕様OS「超漢字」を導入してから2か月以上経った。最初のころは操作になれない点も多く、いまひとつ使えないなあと思っていたが、電子版の取扱説明書でいろいろ調べながら使ううちに、これはむちゃくちゃ便利やと思うようになってきた。今では、裁判修習で作成する文書はまず超漢字の「基本文書編集」(その名のとおり文書編集ソフト。「超漢字」に最初から附属している。)で文章を作成し、その文章をMS−DOS区画に持ってきて一太郎Lite2で形を整えるという方法を取っているほどだ(裁判所では文書を一太郎で作成している。)。一度Windowsを立ち上げ直さなければならないのはめんどうだが、そのめんどうさを考えても使う価値があるのだ。このOSは。

実身、仮身モデルで楽々文書作成

 この「超漢字」、何が便利かと言うと、その基となっているBTRONのファイル管理システムである「実身、仮身」の構造がめちゃ便利なのだ。

 実身とは文書、画像といったファイルの内容を、仮身とは、そうしたファイルを示す印というのだろうか。超漢字の取扱説明書による説明の言葉を借りれば、本に例えると、実身は本の中身、仮身は本の背表紙にかかれた標題ということになる。仮身をダブルクリックすると、実身、つまりファイルの中身が開かれるのである。

 この実身仮身モデル、何が便利かというと、アウトラインプロセッサがOSに最初から標準装備されているのと同じ効果をもたらしてくれるのである。長い文章を作成するとき、項目(章、節など)の名を実身の名前とした実身を作っておき、それを仮身にして並べると、目次の出来上がりである。そして、文章を作成、編集したい部分があれば、その項目名の仮身をダブルクリックすると、実身が開き、文章を作成、編集することができるようになるのだ。この、好きなときに好きな部分を選んで編集できるっていうのは、ムチャクチャ便利だ。しかも、編集したい部分をすぐに選択することができるのだ。言葉だけで言い表すのはなかなか難しいので、次の機会には画像を交えて説明しようと思っている。

 同じように目次だけ並べておくというのは、一太郎のアウトライン機能でもできるではないか、と言われるかもしれない。確かに一太郎のアウトライン機能はなかなか優れている。しかし、アウトライン機能を作るためには、アウトラインのレベルを段落ごとにつけるという作業が必要になる。これは、文章作成時にレベルをつけるのならまだしも、一度作りかけた既存の文章にレベルをつけていくのはなかなかめんどうである。これに対し、超漢字の実身、仮身の場合には、ファイル内の文章の一部分を一つの仮身とする(これを「仮身化」と言う。)ことがキーボードショートカット1発(該当部分を選択して左ctrl+9)でできるのだ。逆に、仮身で示された実身の内容を、仮身の置かれている場所に地の文章に戻して置くこともキーボードショートカット1発(仮身を選択して左ctrl+0)でできるのだ。これは作業を速く進める上で非常に役立つ。

(2000年8月17日付記:実身、仮身モデルを使っている場面の画像のページを設けた。)

速い動作

 超漢字の基になっているBTRONのTRONとは、The Real-time Operation system Neucleusの略とのことである。要するに命令を入力すると同時に動作するというリアルタイムOSなのだ。そのためもあってか、OSの起動が速い。パソコンを立ち上げると、ウィンドウズと超漢字のどちらを起動するか訊いてくるのだが、超漢字を選んでから初期画面になるまで17秒だった。ちなみにWindowsだと3分弱かかる。もっとも、これは、私の使っているパソコンがSONYのVAIOであり、いろんなソフトが入っていることも影響しているようだが。

 でも、この早さは特筆してよい。しかも、私の使っているモードは、最も起動に時間がかかるモードなのである!これだけ起動が早いと、本当に時間の節約になる。

 また、動作が速いのはOSの起動だけではない。ファイルを開くのもめちゃくちゃ速くできる。

ウインドウの開閉が楽!

 この点、窓98も、画面の一番下にあるバーか、ウインドウの右上にある×印(クローズボックス)をクリックすればウインドウの開閉は一発でできるのだが、超漢字の場合、カーソルをいちいち右上や下まで動かさなくても、カーソルのある位置で右クリックをしてメニューウインドウを開き、右クリックを維持したまま(プレスという。)終了のところまでカーソルを動かし(ほとんどの場合、最初から終了のところが黒白反転しているので、動かす必要がない。)右ボタンから指を離せばウインドウズを閉じることができるのである。ウインドウの開閉は結構頻繁に行うことだけに、これも便利だ。

 このように便利であるがゆえに職場でも愛用しているが、不便な点もかなり目立つ。

その1 ISO-2022-JPのJISコードで作ったHTMLファイルをオフラインで確認できない

 私はこのウェブページを、JISコードを使って作っている。ところが、私の作ったhtmlファイルを超漢字付属のブラウザで読み込むと、きちんと変換されずに、文字化けして表示される。。インターネットにつないでウェブページを見るときは、JISコードのページでもきちんと表示されるのだが、手元のパソコンのハードディスク内に保存してあるファイルを開いて見たときは、きちんと表示されないのだ。困ったものである。

 シフトJISコードで作成すればいいじゃないかと言われそうだが、私はシフトJISは使いたくないのだ。大体、インターネットの日本語環境はもともとJIS(ISO-2022-JP)が標準なのだから、JISコードで作ったファイルをきちんと手元で表示確認できるようにするのが当然だと思うのだが。

 まあ、BTRONはインターネットへの対応がごく最近始まったばかりなので、いろいろと追いつかない点があるのは仕方ないのかもしれないが、早くなんとかしてほしいところだ。

欠点その2 メールソフトの使い勝手が悪すぎる。

 超漢字にはこのバージョンからメールソフト(フリーソフト)が標準で添付されてきた。電子メールのやり取りができるようになったわけだ。

 しかしこのメールソフト、使い勝手が悪い。

 まず、メールの本文を作るためには、基本文章編集ソフトをたち上げ文章を作る必要がある。これはめんどうくさい。メールソフト1本だけでなんとかならないものだろうか。まあ、BTRONは、単純な機能の組み合わせでいろいろな作業を行うことにしており、複雑な機能を1つのプログラムに詰め込まない主義のOSなので、仕方がないともいえる。むしろ、文章作成はすべて基本文章編集ソフトで行うというコンセプトを徹底しているので、初心者には取っつきやすいのかもしれないが・・。

 また、メールを「サーバから削除しない」という設定にして読み込んだ後、読み込んだメールを削除しようとすると、サーバへの接続を開始するのだ。パソコン内に読み込んだメールだけ削除するという機能がないのである。これは不便。複数のOSを使って何度かにわたってメールを読み込んでいる者にとっては、サーバ上のメールはそのままで、手元のパソコンに読み込んだメールだけ削除する機能は必須なのだ。

 あと、読み込み、表示がいまひとつ遅い。まあ、インターネットとの親和性はこれからの課題だなあ・・。

ブラウザも要改善

 ブラウザも、なれてはきたけどやっぱり不便。ブックマークをいろいろ当たるというネットサーフィンの仕方が面倒。まあ、この点は、MacintoshのNetscape Navigatorのブックマークのhtmlファイルを転送してきて、最初にそれを開くということで対応している。

 いまだに不便だと思っているのは、画像を読み込まないというモードがないことだ。画像も、読み込んだページの画像すべてを読み込んだ後でないと表示されないので、画像の概要(サムネール)だけ見るということができない。しかも、画像読み込みにけっこう時間がかかるんだよねえ。

 あと、フレームに対応していないというのも不便なことがあるけど、これは、フレームを使うことに私自身好意を持っていないので、問題とはしない。

文字入力での問題点

 「超漢字」での文章入力だが、文章入力を続けて確定させた後にエスケープキーを押すと、これまで書いたのが、下手すると全部消えてしまうのだ。これはおそろしい。まあ、もう一度エスケープキーを押せば復活するので泣くことは少ないのだが。

 仮名漢字変換システムについては、「超漢字」附属のものは思ったより使えた。でも、変換キーで変換、右クリックで確定というのがどうしてもなじめなくて、変換システムとしてはVJEを使っている。ATOKほど利口ではないが、VJEもちゃんと変換をしてくれている。でも、入力中にいきなり確定してしまうことがあるのは何とかしてほしいよなあ。

 また、ひらがなで入力した文字を半角英字に変換することができない。はっきりいって入力モードをいちいち切り替えるのは面倒である。でも、超漢字の場合、英数とかな漢字入力の切り替えはキー一発なので、それほど苦にはならないが。

 ちなみに、変換方式は3つの中から選べるのだが、私は、VJE-Deltaを使っている。仮名を漢字に変換するのには、やっぱりスペースキーを使うのが便利だし、確定にもEnterキーを使うのが便利だからだ。

総括

 いろいろ問題点も書いてきたけど、主にインターネット回りのことであり、コンピュータをネットにつながないものとして使っている分には大変便利なものだ。インターネット関係についてはまだ対応し始めたばかりというところがあるが、実のところブラウザは上記の点を除けば使い勝手はいいものであり、メールソフトがもっと使い勝手がよくなれば、というところだ。悩みは対応するプリンタが少ないこと(職場にあるレーザープリンタは対応していない・・。)、SCSI機器をつなげないことだ(SCSI機器につなげないというのはバックアップを取る上で非常にネックとなっている。何とかして欲しい。)。便利なものだし、値段もそんなに高くない(実売で8000〜11000円くらい。WindowsやMacOSより安いでしょ(パーソナルメディア社で通信販売で買うと15000円だが・・。)。)ので、もっと普及して欲しい。使い出すとWindowsなどタルくて使っていられなくなること請け合いである。

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