サンタモニカの週末 ★☆☆
(Don't Make Waves)

1967 US
監督:アレクサンダー・マッケンドリック
出演:トニー・カーティス、クラウディア・カルディナーレシャロン・テイト、ロバート・ウエバー

左:トニー・カーティス、右:シャロン・テイト

アレクサンダー・マッケンドリックといえば、「Whisky Galore」(1949)、「The Man in the White Suit」(1951)、「マダムと泥棒」(1955)などイギリスのEaling Studio Comediesと呼ばれる一連のコメディを監督していた人であり、コメディの達人であったとも言ってよいでしょう。また「成功の甘き香り」(1957)では、コメディとは全く正反対のシリアスドラマでも腕利きであったことを証明しています。60年代後半に監督した「サンタモニカの週末」は、トニー・カーティス主演のロマンティックコメディですが、さてそれではマッケンドリックの手腕はここではどうだったかと問われれば、さすがに残念ながら往時のキレはないと答えざるを得ないでしょう。確かに有名な「マダムと泥棒」はカラー作品だったとはいえ、「成功の甘き香り」などで見せたあの白黒映画でのキレを考えると、彼はあまりカラー映画を得意としないタイプの監督であったように思われます。では、ここに取り上げる「サンタモニカの週末」は全く面白くないかといえば、それなりの良さもあります。リゾートビーチに舞台が置かれ、60年代当時ののんびりとした雰囲気がうまく捉えられているのは確かです。殊にビキニ姿のシャロン・テイトのトランポリンは見ものですね。それから、主人公(トニー・カーティス)の所有するリゾートハウスが崖崩れでズルズルと海に向かってすべり落ちていく最後のシーンはなかなかの見もので、並みの監督であれば、一見くだらないように見えながらそのくだらななさが面白いという逆転の発想を、これだけ大規模な仕掛けを用意してわざわざカメラに収めたりはしなかったでしょう。また、野郎であれば女優さん達を鑑賞する楽しみもあります。殊に、数年後にマンソン一味に惨殺されるひまわりのようなシャロン・テイトと、相変わらずのハスキー声が素晴らしいクラウディア・カルディナーレが光っています。加えて、ジョアンナ・バーンズが顔を見せています。ということで、全体的にはイマイチな印象がありますが、60年代ののどかな雰囲気に浸るには丁度良い湯加減の作品であると言えるかもしれません。


2002/03/31 by 雷小僧
(2008/11/04 revised by Hiroshi Iruma)
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