結婚専科 ★☆☆
(Marriage on the Rocks)

1965 US
監督:ジャック・ドノヒュー
出演:フランク・シナトラ、デボラ・カー、ディーン・マーチン、シーザー・ロメロ

左:フランク・シナトラ、中:ディーン・マーチン、右:デボラ・カー

フランク・シナトラやディーン・マーチンが出演するコメディ映画は少なからず存在しますが、デボラ・カーのコメディはほとんど見かけません。唯一、ケーリー・グラントと共演し、かのベストセラー作家シドニー・シェルダンが監督した「Dream Wife」(1953)がベッドルームファースですが、但し日本劇場未公開作品です。同様にケーリー・グラントと共演した「芝生は緑」(1960)はコメディであると見なせるとはいえ、どちらかといえば会話主体のドラマをコメディで味付けした印象が強く、従って、日本で劇場公開された完璧なコメディとしては、ここに取り上げる「結婚専科」が挙げられるくらいのものでしょう。面白いことに「結婚専科」も「芝生は緑」も倦怠期に陥った夫婦を題材にしてコメディに仕立てられており、デボラ・カーのような麗しき女優さんでも倦怠期に入るとかくなりやと思わせるイメージのギャップに、好奇心と笑いが誘われます。何しろ彼女が黒いネグリジェを着てフランク・シナトラ演ずる旦那の前に現れても、信じられないことに彼は一顧だにしないのです。「Dream Wife」(1953)->「めぐり逢い」(1957)->「芝生は緑」(1960)->「結婚専科」(1965)と、デボラ・カーを一方の主演とし男女関係をネタにしたコメディ調作品を年代順に並べてみると、男女間もしくは夫婦間の倦怠度が幾何級数的に増大していくように見えるのは気のせいでしょうか。ここには、ギリシア悲劇に勝るとも劣らぬ人類の永遠の真理が見出せるかもしれませんね。それはそれとして、「結婚専科」では、コメディキャラクターにはこと欠かず、主演3人の他に、シーザー・ロメロ、ジョン・マクギヴァー、トニー・ビル、シナトラの実の娘ナンシー・シナトラなどが続々と登場します。噂では、メキシコを小馬鹿にしたようなシーンがある為、そちら方面では極めて評判が悪いそうです。メキシコ人に聞かれると張り倒されそうですが、ただシリアスな作品ではないだけに、他国民が見ると笑えるのも確かです。「ティファニーで朝食を」(1961)のミッキー・ルーニーキャラクターに言及するまでもなく、ハリウッド映画では、日本人も散々小馬鹿にされてきたことは誰でもご存知のことでしょう。ということで、特にデボラ・カーのファンには見逃せない一本かもしれません。それともイメージが狂うから見ない方がいい?


2001/06/17 by 雷小僧
(2008/10/28 revised by Hiroshi Iruma)
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