女房は生きていた ★★☆
(Move Over, Darling)

1963 US
監督:マイケル・ゴードン
出演:ドリス・デイ、ジェームズ・ガーナー、ポリー・バーゲン、セルマ・リッター

左kら:ドリス・デイ、セルマ・リッター、ジェームズ・ガーナー、ポリー・バーゲン

「女房は生きていた」は、ケーリー・グラントとアイリーン・ダンが出演した「My Favorite Wife」(1940)のリメイクであり、そのようなこともあってストーリー中にオリジナル版に言及される箇所があります。聞くところによると、「女房は生きていた」は、本来マリリン・モンローが主演する予定だったそうですが、ご存知の通り彼女はあの世に召されてしまったので、ドリス・デイがピンチヒッターとして起用されたようです。それにしてもマリリン・モンローとドリス・デイではイメージが全然違うので、スクリプトは相当書き直されたのではないでしょうか。車と一緒にドリス・デイが洗車場で洗車(洗人間?)され、水浸しの泡だらけになるシーンなどを見ていると、モンロちゃんならまずいやがってやらなかったのではなかろうかと思われます。「死んだと思っていた女房が実は生きていたならば」という邦題通りのWhat ifシナリオが展開されるコメディで、主演がドリス・デイ+ジェームズ・ガーナーであるところからも予想されるように、60年代初頭のロマコメの持つのどかさがあり、見ていてこれ以上はないくらいの安心感があります。悪く言えば気の抜けたドクターペッパーのような風味があるとも評せますが、コメディですら滅多矢鱈に小細工に走る昨今の映画を見慣れていると、妙な技巧に走っていないだけに新鮮な印象があります。ドリス・デイの恋敵をポリー・バーゲンが演じており、ハスキー声を持ち、か弱そうにはそれほど見えない彼女は、「恐怖の岬」(1962)や「The Caretakers」(1963)のようなシリアスな映画でシリアスな被害者役を演じているよりも、「女房は生きていた」のようなコメディで暴れまくっている方が似合っています。また、50年代から60年代前半のコメディ系映画には欠かせないキャラクターであったセルマ・リッターとフレッド・クラークが出演しており、いつものように彼ら独特の可笑しさを加えています。ドン・ノッツがゲスト出演しており、彼のもやしのように弱々しいキャラクターも特筆すべきでしょう。ドリス・デイの歌う主題歌が素晴らしいことを最後に付け加えておきます。


2001/06/03 by 雷小僧
(2008/10/22 revised by Hiroshi Iruma)
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