この舌を噛まずには発音できそうもない女優さんは、フランス系カナダ人のようであり、チャームポイントは、典型的ともいえるそのベビー・フェイスです。それを利用して「愛のメモリー」(1976)では、親子を一人二役で演じるという離れ業を見せてくれます。子の役として、女子大生を演じており、この作品に出演した当時は、彼女は既に33、4歳であったはずなのに、それでも女子大生らしく見えるところが恐ろしいところです。また、「チューズ・ミー」(1984)に出演した時は40歳をとうに過ぎていたはずであるにも関わらず、その時にも非常に若く見えました。もともと60年代には、フィリップ・ド・ブロカ、アラン・レネ、ルイ・マルなどのフランス系の映画監督の作品に出演し、アカデミー主演女優賞候補にノミネートされた「1000日のアン」(1969)が彼女のキャリアの頂点であるものと考えられますが、70年代に入ると余勢を駆ってハリウッドの娯楽大作にも姿を見せるようになりました。80年代に入ると、ロバート・アルトマンの弟子ともいえるアラン・ルドルフの必ずしも一般受けするとは限らない作品に再び出演するようになるので、70年代の方が彼女にとっては特殊な時期であったのかもしれません。個人的な印象としても、小さくまとまりすぎていて派手な映画に向いているようには見えず、ブライアン・デ・パルマの「愛のメモリー」を除く70年代の作品においてよりも、60年代や80年代の作品においての方が、彼女の特徴がうまく生かされていたように思います。 |
|
1966
|
戦争は終った
|
1979
|
黒馬車の影
|
1969
|
1000日のアン
|
1984
|
タイトロープ
|
1974
|
大地震 |
1984
|
チューズ・ミー
|
1976
|
カリブの嵐
|
1988
|
モダーンズ
|
1976
|
愛のメモリー
|
1988
|
戦慄の絆
|
1978
|
コーマ
|
1992
|
抱きしめたい夏
|
|
|