▼第5の手紙〔僕→彼女〕




    前略。


    返事が遅れて申し訳ない。何を書いていいのか分からなかったんだ。


    こうしてペンをとった今でも、まだ何を書くべきなのか分かっちゃいないと思


  う。僕の部屋のゴミ箱には丸めた便箋が何枚か放り込んであるよ。


    だから、ここでぐちゃぐちゃと言葉を連ねる代わりに、友達に書いた手紙のコ


  ピーを同封しておこうと思う。かなり照れくさいし、まるで的外れなことが書い


  てあるかもしれないんだけど、僕の気持ちを正直に伝えるにはそれが一番だと思


  うんだ。


    もしも僕の言ってることが単なる勘違いだったら、僕が君から何を借りてるの


  かを教えて下さい。勘違いじゃなかったら──どうなるんだろう。


    何だか本当に変な手紙だね。読み返すとまた便箋を丸めてしまいそうだから、


  このままポストに入れることにしようと思います。


    末筆ながら、来年が君にとっていい年でありますように。


                                                                    草々


        12月27日


  



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