[はじめに]
それは、ある1通のメールから始まりました。
「SOAさん、こんなDIYを見付けました。つぎはこれがいいですよ!(爆)」
そこには、新型CIMAのヘッドランプを、フォグランプとして取り付けたDIYが紹介されていました。
「す、すごい!」
目も眩むばかりの圧倒的な光量といい、前方に向かって一直線に進む配光パターンといい、まさに理想的なフォグランプとなっていました。
しかし、SOARISTO号のフォグランプのHID化はすでに完了していますし、第一、これだけの大きさのフォグランプを取り付けるスペースなどありません。
「う〜む、困った」
しかし、「(爆)」と言われてしまったからには、是が非でも完成させるしかありません。こうなったら職人の意地です。(笑)
フォグランプとして、どこに取り付けようかと頭を悩ませていたところ、はたとあることに気付きました。
「ロービームに入るじゃないか!」
そうなのです。ARISTOのヘッドランプのロービーム側が、新型CIMAのヘッドランプを埋め込むのに、ちょうどいい大きさをしています。
しかしそのためには、純正のディスチャージヘッドランプユニットを分解し、新型CIMAのヘッドランプユニットを取り付けられるよう、かなりの改造が必要となってきます。
さらには、ARISTOに移植するにあたっての最大の難問として、車の加重状態に応じてヘッドランプの光軸を調節する「オートレベリング機能」を、どのように活かすか、があります。
すでに、VIPカーといわれるカテゴリーの車には、新型CIMAのヘッドライトを無理矢理移植したものが出ています。ただ、光軸がバラバラであったり、配光が不自然になってしまっているものも、中にはあるようです。せっかくの移植ですが、ルックスを優先したが故に実用性をスポイルしまっては、意味がありません。
そこで、「ルックスと実用性を両立させた移植」を第一目標とすることにしました。新型CIMAのヘッドランプの特徴的なデザインや圧倒的な光量を活かしつつ、オートレベリング機能をきちんと動作させ、日常のドライビングにも何の支障も来さないこと、また限りなく純正に近いクオリティーで作り込みを行うこと、この2つを主眼(!)とします。
ここに、「フォースは我に、新型CIMA複眼移植プロジェクト」が発足したのでした。
(ちょっと大げさか?)(^^ゞ
[マルチプロジェクターヘッドランプについて]
新型CIMAのアイキャッチポイントとなっているマルチプロジェクターヘッドランプですが、日産さんによると、「従来のプロジェクターの1.7倍、世界最高レベルの明るさを実現した」とのことです。
[写真1] |
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- 東京モーターショーに展示されていた、新型CIMA(F50)のマルチプロジェクターヘッドランプユニットです。(写真1)
- 説明には、「7眼化により、大口径双放物面リフレクターによる高い光束利用率と、レンズ軽量化を両立させたヘッドランプ」とありました。
- 自動車工学の紹介記事によると、「マルチレンズと特殊な自由局面リフレクタの組合せおよび7つの凸レンズで、大光量をより広く最適に配光し、従来のフォグランプの照射範囲もカバーする」そうです。
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[写真2] |
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- さっそく日産部品さんまで行ってきましたが、新品で購入すると、片側だけでなんと98,000円(!)もします。(写真2)
- バーナーもバラストも込みなので仕方ありませんが、アッセンブリー丸ごとの販売で、パーツ単品での販売はしていないそうです。
- 解体屋さんもいくつか当たってみましたが、そもそもこんな特殊なパーツ(?)が出回るはずもありません。
- 今回は、とあるサイトより、左右2個セット48,000円で購入しました。
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[マルチプロジェクターヘッドランプの分解]
まずは、今回の素材であるマルチプロジェクターヘッドランプを分解してみました。大きいとは予想はしていましたが、これだけデカいとは思いませんでした。
[写真3] |
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- これが今回購入した20mm機関砲、でなく、マルチプロジェクターヘッドランプの本体です。(^^ゞ(写真3)
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[写真4] |
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- 表側には「MULTI-LENS : MADE IN GERMANY」、裏側には「GATLING BEAM」との刻印があります。(写真4)
- (凄いですねぇ、ドイツ製のガトリングガンです)(笑)
- HIDバーナーのタイプは、プロジェクター用のD2Sです。
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[写真5] |
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- とにかく、デカい!です。(写真5)
- レンズ面の幅は約14cm、奥行きは約15cmもあります。
- ARISTOのヘッドランプユニットと合わせてみましたが、このままでは取り付けできないことが分かりました。
- きちんとビルトインするためには、かなり工夫する必要がありそうです。
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[写真6] |
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- 遮熱板と思われるアルミ板と取付けステーです。(写真6)
- 取付けステーは、右用と左用とがあります。
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[写真7] |
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- リフレクターです。(写真7)
- プラスチック製でメッキ加工してあります。
- 形状は、たしかに放物線のような弧を描いています。
- このリフレクターでHIDバーナーからの光を収束し、レンズ面に送るのですね。
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[写真8] |
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- マルチプロジェクターのレンズ本体です。(写真8)
- 本当に、ガトリングガンか昆虫の複眼のように見えますね。
- 覗き込むと、自分の顔が7つ見えます。(笑)
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[写真9] |
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- レンズをハウジングから取り外したところです。(写真9)
- 7つのレンズはガラス製で一体成形でした。
- 裏から金属板でレンズ面を残して遮光されています。
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[写真10] |
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- ハウジングです。(写真10)
- 金属製でダイキャストで出来ています。
- ちょうどレンズに当たる部分が窪んでいます。
- (まるで「たこ焼きプレート」のようです)(笑)
- この窪みが、レンズ下半分に入射する光を遮ることで、光が上方へ拡散することを防いでいるのですね。
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