■直美編■
5日目【7月25日】


 
 

◆7月25日<昼>◆
『直美さんの責任感』


 


 俺は一度、姉貴の家に昼食を食べに帰ったものの、朝の直美さんの様子が、なんとなく心配でまたで天乃白浜海水浴場まで来てしまった。
 彼女、いるかな?

 …え〜と。
 お、いたぞ!


 「お〜い! 直美さ〜ん!」
 「……」
 「直美さんってば」
 「……」


 なんだ、直美さんボーとしちゃって。
 あれ、浜辺でいちゃつくカップル連れの方を見てため息をついてるぞ。どうしたんだろう?

 ブォォンン!! ガキィン!!!

 「ぎゃっ!!」

 突然、大きな音がしたかと思うと、浜辺に悲鳴があがった。
 俺も音がしたほうに視線を向ける。

 「大変だ! 子供がジェットスキーに轢かれたぞ!」

 誰かが叫んだその言葉に、周りの海水浴客がざわめいた。

 大変だ! すぐになんとかしなきゃ!

 「直美さん!!!」
 「あれ?まこと君、いつからここに」
 「それそころじゃない! 事故だ!」
 「え? …た、大変!!」

 俺と直美さんは急いで事故現場へ駆けていった。
 波打ち際に小学校低学年位の男の子が仰向けに倒れている。
 しかし、ぶつけた方のジェットスキーが見あたらない。
 探してみると、それらしいジェットスキーが猛スピードで沖へ去っていくのを見つけた。

 「直美さんあいつ逃げる気だよ」
 「そんなこと、今はどうでもいいわ! とにかく怪我した子供を」

 とにかく、なんとかしなきゃ。