◆7月23日<昼>◆
『浜辺でアルバイト』
昼食を食べて、俺はまた天乃白浜海岸へやって来た。
うわぁ〜!
相変わらず人が多いな。
さてと…来たのはいいが、どうしよう?
「あ! まこと君! いいところに来た!」
直美さんが俺を見つけて走り寄ってくる。
「な、なんです直美さん」
彼女のなにやら企んでいそうなニコニコ顔に、嫌な予感を覚えて、身構える。
「今日ね、急に欠勤が増えちゃって人手が足りないのよ」
「それは大変…って、まさか俺に手伝えと?」
「その通り! 大丈夫、臨時だけど、正式なアルバイトよ。どうせ暇なんでしょ?」
「どうせとは失礼な。なんで旅行先でバイトしなきゃいけないんだ」
「時給けっこう高いよウチは。スタッフにも可愛い娘はいっぱいいるし…」
直美さん、可愛い娘がいっぱいいるって、風俗店の呼び込みじゃないんだから…。
「……」
「助けてくれたらさ、私、まこと君とまたデートしてあげてもいいかなぁ」
「よく言うぜ、厚かましい…」
「…なんか言ったかしら? まこと君?」
「昨日だって誘ったのは直美さ…」
「楽しくなかったっていうわけ〜?そう。じゃぁいいわ。もう二度と遊んであげない」
「わ、わかった、わかりましたよ」
うう〜もしかして俺、尻に敷かれてんのか?
「OK〜じゃあ、とりあえず、着替えてもらおうかな」
あ〜あ。直美さん時々、姉貴みたいな強引なノリがあるからなぁ。
ふう〜、なんで俺の周りってこんな女性ばっかりなんだろう?
俺はビジターセンターに連れて行かれる。
社員用のロッカー室で、用意してあったシーサイドパークのシャツと帽子に着替えると、直美さんの待つスタッフ用の会議室に行った。
中にはいると直美さんと一緒に2人のスタッフの人がいる。
「早かったわね。それじゃあ紹介するわ。彼が私たちのチーフ沢田さんよ。そして私の高校時代の後輩で接客担当の谷口 恵理香よ」
「よろしく、宇佐美君」
二人のうち若い男性の方が挨拶をする。歳は康太郎さんと同じくらいだろうか?スポーツマン系でいかにもさわやかな夏の男ってイメージの人である。シーサイドパークの社員で直美さんの上司って感じみたいだ。
「よろしくお願いします」
もう一人は明るくはきはきとした印象の女の子だ。俺より少し年下だろうか?少し長い髪を首の後ろでまとめている。なかなか可愛い。直美さんが可愛い娘がいっぱいいるって言っていたのも、まんざら嘘じゃないって事かな。
「早速、仕事に取りかかってもらおうか。僕か谷口君、飯野さん三人のうち誰かの手伝いをしてもらいたいのだが誰と組みたい?」
「私は駐車場整理、恵理香は入場券売場で接客が今日の仕事。沢田さんは事務と私たちの管理が仕事よ」
|