よし、恵理香ちゃんと一緒に仕事しよう。
俺は恵理香ちゃんに連れられてセンターの入場券販売所にやってきた。
天乃白浜は別にビジターセンターを利用しなくても海水浴を楽しめるが、ほとんどの海水浴客はここを利用する。半町営の施設なので設備の割には料金は大人600円と安い。その料金で駐車場からロッカー室、シャワー室、休憩室などのビジターセンター内施設が利用できる。そのほか海水浴用品の販売、レンタルもやっているし、売店はもちろん水着のまま入れるレストラン、喫茶店などがあり天乃白浜に来るならここを利用しない手はない。
で、その入場券を販売しているいのがここだ。入場券とはいえ、これは便宜上使っている言葉で実際は入場料と交換にロッカーキーの付いたバンドを貸し出す所だ。これを腕に着けて持っている限り、ビジターセンターの出入りは自由って訳。
「接客は私がやりますんで、いろいろ、サポートしてくださいね。もちろん他の人の手伝いもです」
売場には恵理香ちゃんの他、二人が入場券を売っていた。
「森沢さん、変わりましょう。昼休み行ってください」
恵理香ちゃんは素早く恵美と呼ばれた娘と入れ替わった。
「はい大人二枚ですね」
「学生五枚ですね一応、学生書を拝見できますでしょうか?」
うわぁ、さすがにテキパキしてるなぁ。
「宇佐見さん百円玉が少ないの、事務所の沢田さんに言って五本ばかりもらってきてください」
「OK」
「団体さんです。ちょっと数を確認して下さい」
「わかった」
「あ、こっちのチケットが少なくなったわ、持ってきて」
「りょうかい」
「お客様をロッカー室に案内してくれないかな」
「お易い御用」
なんだ、楽勝楽勝!涼しいし…いい所選んだなぁ。
「急にお客さんが増えて来ましたね。宇佐美さん、申し訳ないですけど、三番に入って下さい」
「え?俺が?なに?入場券売るの?」
「少しの間だけお願いします」
げぇ〜こういうの初めてだから思いっきり不安だよ…大丈夫かなぁ。
「ちょっと、早くしてよ」
神経質そうなおばさんに急かされて、いきなり慌てた。
「すいません、大人三枚200円のお返しですね」
う〜ん確かこんなんだよなぁ。日頃から買い物するときによく観察しておけばよかった。
「これ違うわよ。大人四枚に学生一枚に子供二枚に幼児四枚よ」
「すみません」
「宇佐見さん、両替お願いします〜」
だぁ、俺だって忙しいんだ〜! やっぱり他の所にしておけばよかったぁ。
結局、俺は最後までそのまま売り子をしてしまった。
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